Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

冬・静寂の上高地...テントライフ

1/28~29 長野県徳沢
2泊3日の予定で横尾から蝶ヶ岳を目指そうと入山しましたが、雪深く横尾まで辿り着けずに徳沢で幕営をし下山。束の間の陽気から厳冬期へと戻ろうとする2日間でした。

1月28日
冬の上高地は3年振り3度目。相性が良いのかいつも晴天に恵まれています。朝の気温は-4℃。この時期の上高地としては、春先の陽気と言っても過言ではないでしょう。昨年開通した上高地トンネルのお陰で125mほど短縮。距離よりも雪崩ゾーンを回避できるのが助かります。吊尾根が見えたところで、今回のニューアイテム「ソリ」の登場。ここから目的地の横尾までは標高差100m、約15kmの水平移動なので、30kg超えザックの運搬手段として取り入れました。
大正池ホテルから先の車道は一人分の踏み跡のみ。トレースとして利用するには寂し過ぎました。帝国ホテル前でスノーシューを履き、誰も居ないバスターミナル前を横切って河童橋へ到着。小梨平を少し入ると踏み跡はなくなり、一瞬、心が折れそうになりますが、青空に勇気を与えてもらい、真綿の世界へ踏み込みました。
真っ白な林床に落とす樹々の影。青空を衝く明神岳。聞こえてくるのは自分たちの息遣いと雪を踏む音。しばらく歩くと明神からの登山者。お互いのトレースをお礼と共に交換しました。そして、明神。再び、トレースはなくなり、これはゴール横尾まで続くことを意味します。ここからも明るい冬の林から覗く明神岳前穂高岳の白き岩峰。梓川沿いを染めるケショウヤナギの美しさに助けられ、一歩一歩トレースをつなげます。深い所ではスノーシューが膝下まで沈む時もあり、夏道であれば1時間もかからない明神・徳沢間も今日は倍近くかかります。この調子で進めば横尾到着は4時近くになるため、徳沢泊に変更すると共に、蝶ヶ岳登山は断念しました。
緑がまぶしい徳沢のテント場は立ち入るのが申し訳ないほどの清らかさ。6月、ニリンソウの花が白く染める森の奥からは童話の主人公たちの囁きが聞こえてきそうです。前穂北尾根が眺められる場所で幕営。荷物を整理した後は、水作りタイム。45リットルの袋に詰めた雪からは6リットルの水が出来ました。
夕食後、ようやく一息ついて天気をチェックすると、30日は雨混じりの雪となり、午後からは急速に気温低下の予報。冬の雨は致命傷になりかねないので、即、29日下山を決定。無理をせずに徳沢泊としたことが功を奏しました。

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全てはここから始まります
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朝靄の立つ大正池
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車道から木々の合間に焼岳
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バスターミナルの駐車場も一面銀世界
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力強い梓川の流れ
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吊尾根と対峙する焼岳は男前
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ソリのトレースは3本ライン
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明神岳穂高岳にない孤高を感じます
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ここから先は 私達の道
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冬の風物詩 ケショウヤナギの並木が雪に映える
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また撮ってしまう(笑) エッジの曲線美
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さて 貴方ならどう引きますか?
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明神・徳沢の中間点「古池」
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河原沿いに出ると 徳沢まであと僅か
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貸切の徳沢テントサイト
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トイレまでのトレースから前穂高岳
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今日のトレースは 一歩の重みが違いました
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斜光に照らされる 神々の頂
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夜の帳が 徳沢に訪れる
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星の明かりが見守る マイハウス

1月30日
静かな一夜が明け、テントから顔を覗かせると、そこだけ時間が止まったような前穂高北尾根。やがて東の空が赤く染まり、その光は岩峰に命を灯します。その最も高い頂には一筋の雪煙。その稜線の世界を思えば、まさしくここは「徳沢天国」。朝食の用意をしていると一人の登山者がテントの前を通過していきました。長塀山の方に踏み跡は続いていましたので、蝶ヶ岳を目指されたのだと思います。無事下山を願う限りです。
やがて朝陽は上高地側から射し込んできます。日陰にあったマイハウスにも潮が満ちていく感じで陽が当たり始めました。「生きていること」を感じる冬の朝です。
暖かい陽射しを受けながら片付けをします。当初の目的は達せませんが、充足感に溢れた撤収です。梓川の畔に出て大天井岳方面を見るとレンズ雲。荒天の兆しにこの判断は正解だったと確信しました。昨日、我々が引いたトレースは森の中に綺麗な道筋を引いていました。そして、同じ行程とは思えないほど、快適に進むことができます。以前にも書いたことがありますが、雪道のトレースは高速道路。それを最初に引いた方の努力と感謝の気持ちは忘れないで欲しいと思います。
夏道と同じコースタイムで明神に到着。徳沢を出発した際には青空だった空もその半分を雲が覆い始めてきました。そして河童橋に着く頃には、山稜と空が一体化。予報通りの高曇りとなっていました。
河童橋の畔では10数人のスノーハイカー達。それでも夏の喧騒が嘘のような静けさです。温かい紅茶を飲み、河童橋を出発。車道を歩いていくと、そこにも一本のライン。我々が引いた道だと思うと何か嬉しくなってきます。
昨日とは打って変わった大正池穂高連峰。どちらの景色も厳冬期であり、優劣をつけることは出来ません。明日はきっと更に厳しい表情を見せるのだろうと思いながら、現実への境界線、釜トンネルへ入りました。
下山後は、春の香りを気持ちに込めていつもの・・・(笑)

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贅沢な 朝のひととき
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黄金色に目覚める峰々
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雪煙は…神の息吹なのか
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地上の煙は…生活の匂い(笑)
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目に痛いほどの 銀世界
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小屋へと続く 新しい踏み跡
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徳沢テントサイトを二分する踏み跡
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大天井岳上空にレンズ雲…
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白一面の梓川畔と霞沢岳
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大きく両手を広げている明神岳から前穂北尾根
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一往復するだけで 見事なトレースが出来上がり
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兎のトレースとの交差点
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明神岳の背後に迫る白い雲
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紅一点.‥ひとりぼっちの河童橋
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眺めるは 男前の焼岳
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振り返れば 色をなくした 上高地
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大正池の畔から見る焼岳が大好き
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まもなく吊尾根もその姿を隠すことでしょう
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穂高よ さらば~」と口ずさみます
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無事の下山を祝って 安曇野にて…

極上のパウダースノーハイキング

1月16日 長野県八子ヶ峰
今シーズン最強の寒波が襲った日本列島の週末は、女神湖畔のホテルで過ごしていましたが、2日目はスノーシューで新雪を楽しめるかなと準備はしていました。そして偶然、この日が山行予定だった群馬の山友夫妻をお誘いし、すずらん峠園地駐車場で待ち合わせをして、初めてのパーティとなりました。
朝、青空が見えた空はいつの間にかどんよりとし、ホテルを出発する頃には激しい雪.‥(^-^; しかし、回復傾向の予報通り、駐車場でスノーシューなどの準備をしている内に小降りとなってきました。冬の蓼科山登山口として有名なこの駐車場、八子ヶ峰へは道路を挟んだ反対側の森へ進路をとります。しばらくは雪を纏った八ヶ岳の森歩き。さほど急な登りでないモフモフ、フカフカの新雪の上を、スノーシュー独特の浮遊感を楽しみながら半時間ほど登ると稜線に建つ「ヒュッテ・アルビレオ」に到着です。ここからは多少のアップダウンはあるものの、スノーシューのための稜線歩きになります。
八子ヶ峰は東峰と西峰があり、今日は風も穏やかなので、スキー場のゲレンデトップ西峰を目指します。まずは、東峰へ雪原の一本道。お喋りに撮影大会にと如何にも楽しいスノーシューハイク。やがて薄日が射し始め、墨絵から白銀の世界へとグラーデション。テンションも上がります(^^)/
東峰と西峰の中間地点で先行者の方に追いつき、お礼を述べた後、しばし談笑。ここで先頭を代わり、時折、蓼科山の頂が顔を覗かせる中、蓼科別荘地から入笠山方面、車山から昨夜泊まったホテルへと続く雪景色を眺めながら、雪原にトレースを引いていきます。西峰に近付くにつれ雪は深さを増し、直下は腰ラッセル。しかし、極上のパウダースノーは泳ぐように前へ前へと進むことが出来ました。
ゲレンデに思い思いのシュプールを引くスキーヤーを少し羨ましく思いながらも、西峰1,833mに到着。起点となったヒュッテから弧を描くような稜線がこの小さなピークで終わりを告げており、我々が残したトレースをはっきりと確認することが出来ました。
5時間余りのスノーシューハイク。山は時間と空間を超える場所となり、3月の再会を約束して、それぞれの帰途につきました。
下山後は、真っ白な蓼科山を思い出しながら、いつもの…(笑)

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週末寒波で一気に冬山モード
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トレースに導かれて 稜線を目指します
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森が開けると 明るい兆しが…
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スノーツリーが並んでお出迎え
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冬の静けさを感じるのは 曇り空
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パウダースノーをお伝えしました(笑)
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視界が悪いと歩けませんね
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雪の結晶が判りますか?
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蓼科山へ続く 北八の森
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西峰へ続く スノーハイクのための稜線
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稜線の向こうには ゲレンデトップ
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時折 吹く風が 木々の雪を払います
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さぁ トレースを作りますか!
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先頭の視界は こんな感じです
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案内は消えても 冬にはりっぱな標識なんです
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車山高原も 白く染まりました
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白樺湖も 白く染まっています
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スノーシューならでのポーズです(笑)
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さて 帰りますか…
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我々の道を 振り返ります
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雲が地上に降り立つ 冬の道
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北横岳が輝いて見えました
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蓼科山も輝いていました
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青空と稜線に別れを告げます
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シンプル イズ ベスト (^^)

2017初歩き.‥八ヶ岳東稜

1月4日 長野県杣添尾根

昨夏、杣添尾根で三叉峰(横岳)に登った際、このルートは冬でも登れるのではと思って色々と調べ、冬道ルートを2017年初歩きの道としました。

初歩きは3、4日のどちらか。両日ともに冬型気圧配置で麓は晴れ模様ですが、南八ヶ岳稜線は雲の湧く風が流れこむ予報。しかも稜線は15m以上の風が吹く冬山モード。あわよくば、横岳山頂標識をと思っていましたが、「今日は杣添尾根の冬道ルートを歩けるところまでだな」と、突風に枝を揺らす海ノ口登山口を出発しました。
登山口に入ると大きな石にうっすらと積もった雪。チェーンスパイクの威力が発揮される道でした。しばらくは…、と言うよりこのルートの8割近くは樹林帯。上空に広がる青空、森に射し込む陽光は「ダイヤモンドダスト」を樹間に浮かび上がらせます。急登とは言えない登り坂が続く杣添尾根前半。ここは慎重に歩き出したいところです。少し平坦になっては登り坂を何度か繰り返し、中間地点の標識を通過。稜線にかかる雲の傘下に入り、気温は二段ぐらい下がった気がしました。進行左手の県界尾根を見ながら現在位置の目途を立て、冬道ルートに向けて装備の準備。ヘルメットにゴーグル、バラクラバ、アイゼンに予備小物。行動食を口にし、ピッケル片手に出発。しかし、全ての事をこの一回の休憩で終わらそうとしたため、時間がかかり過ぎてしまいました。樹林帯の無風とは言え、気温は-10℃。ここまで温めた身体を冷やすことになり、筋肉は初期化。当たり前のことが、何故か出来ないこともある…教訓です。
八ケ岳東面は小屋がないことからか、西面に較べて登山者は多くありません。そのため、明確だった踏み跡が薄くなり、所々、トレースも消えかかってきました。それでも赤テープは適度にあり、夏に歩いていることもあって不安はありませんでした。夏、ダケカンバの緑が美しかった冬道の分岐点と思われる場所に到着。トレースはありませんが、小動物の足跡が進路を指しています。
小さな坂を登り切ると、杣添尾根の冬道出発点に立ちました。ここから三叉峰まで続く一本道。今日はその半分程度しか確認できません。トレースは消えていましたが、細尾根であるため、迷うことはありません。ただ、見えない踏み跡を外すと、膝上ぐらいまで沈みます。左側は急峻な場所もあり、滑落するなら右側へと意識しながらルートをとりました。
10日前に登った赤岳や南八ヶ岳の稜線は雲に隠れ、登頂を拒んでいるかのようです。振り返れば、陽の当たった高原が見渡せ、尚の事、寒さが身に沁みます。そして、その山麓から稜線を眺める人の様子が思い浮かびます。
ピッケルを支点に急坂を登り終え、森林限界をほぼ越えたところを本日の「折り返し地点」としました。
山は戦いの場ではなく勝ち負けはありません。山頂を踏めたとしても、それは山が我々を受け入れてくれただけと僕は思っています。海外では攻撃や征服を表す「アタック」と言う山言葉を使わなくなったそうです。
展望がなくても歩きたい尾根を楽しめた今回の山行は、次に繋がるものとなり、満足のいくものとなりました。
下山後は時間がなかったので、近所でいつもの…ムリヤリ(笑)

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3日 河口湖畔にて 新年を想う…
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登山口に向かう途中 杣添尾根(真ん中)が望めました
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冬に紅を点す ケショウヤナギ
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樹林帯ならではのお楽しみ
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冬だけの新芽が 伸びています
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先を行くのは どちら様?
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この景色を見れば 今日は帰っても良いんです
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でも もうちょっと尾根を歩こうかな(笑)
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夏は雲を抜けて上がってきた杣添尾根
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県界尾根の到達点も雲の中…
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振り返れば バディがいる…(古)
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晴れていれば 撮れない一枚
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ダケカンバの霧氷が モノトーンに映えます
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ここから先は 次のお楽しみに…
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霧氷が踊っているようです
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久しぶりに寒いと感じました (^-^;
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何となく お正月らしい写真でしょう?
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陽に照らされた麓を見て何を思う(笑)
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エッジの効いた曲線美
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まるで 光を当てたような 輝きでした
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麓から杣添尾根が綺麗に見えました
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実は 登る前にも いつもの・・・(笑)

奈良の娘と登り納め.‥三峰山

12月30日 奈良県三峰山

「奈良の娘」と呼んでいる山友さんをお誘いして、関西有数の霧氷が見られる山のひとつ「三峰山(みうねやま)」で2016年の登り納めとしました。
登山口は奈良県三重県にそれぞれありますが、自宅から小1時間で着く、奈良県側のみつえ青少年旅行村ゲートから出発。山頂へは最短の不動滝ルート、車道歩きの少ない登尾ルート、縦走が楽しめる新道ルートがあり、それぞれを組み合わせることで周回が出来ます。今日は下山後にランチを共にするので、不動滝~登尾としました。
駐車場から見る稜線にはいつもの雲。これが霧氷の山です。不動川沿いの林道を歩くこと30分。落差14m 3段の不動滝から登山道が始まります。うっすらと積もった雪がゆっくりとグラデーションする中、登尾ルートと合流。常緑樹から落葉樹へと移り変わるゾーンでもあります。空と一体化した霧氷が頭上を覆うのもこのあたりから…。昨年は青空の下、宝石のように煌めく霧氷のトンネルを歩きましたが、この寒々しいモノトーンの世界は「大人の味わい」で美しいもの(笑)
いつもは山頂を先に訪れますが、今日は八丁平経由で山頂を目指しました。八丁平は山頂から少し下ったところに忽然と現れる平原。霧氷のトンネルとともに三峰山を代表する撮影スポットでしょう。しかし、この辺りの風は本当に寒いのでしっかりとした防寒対策が必要です。今日の気温は-6℃。標高1200mにも関わらずこの気温が、霧氷を綺麗に育てる条件なんですね。
緩い登りとなった霧氷の林を過ぎると、ぽっかり空が開いた山頂に到着。室生火山群や御杖村の集落が霧氷越しに展望できるのですが、今日はベールに包まれていました。ここから八丁平の分岐点までが特に素晴らしい霧氷のトンネル。上ばかり眺めて歩いていると、スッテンコロリとなりますから、歩き眺めはほどほどに…(^^)
新年1月~2月の土日祝は「三峰山霧氷まつり」が麓で催され、登山者で賑わいを見せます。霧氷を静かに楽しみたい方は平日に、イベントも楽しみたい方は休日にと、それぞれのスタイルに応じて本格的に始まる霧氷をお楽しみください。

これにて2016年は登り納め。ひと月休んでいたため、毎年目標としている36回には2回及びませんでしたが、こうして無事納められたことに感謝します。登り初めは3日の予定。来年も御裾分けが出来れば良いんですが…。
下山後は、ランチを楽しんだあとに自宅でいつもの・・・(笑)

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あの雲が 霧氷を育ててくれます
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少し離れて見るのが 綺麗と思う 不動滝
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寒そうですよね~
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ここから気温は 一段下がった気がします
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常緑樹と広葉樹の冬コラボレーション
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霧氷まつりの始まり…
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少しずつ成長を続けています
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今日は左周りで八丁平へ…アセビの葉も白い縁取り
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自宅から2時間余りでこの景色
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常緑樹が美しさを引き立ててます
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娘のお陰で 珍しい2ショット写真
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晴れ間もいいが うっすら見える程度も またいい
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山頂は霧氷に囲まれた 円形ステージ
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お目にかかったことは まだありません
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どこを切り取っても 霧氷の嵐
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霧氷のトンネルを母と娘がいく…(笑)
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顔面氷結はしていませんが寒そうでした
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登尾ルートから 室生火山群と御杖村
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谷間は3段変化で稜線へ
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一足早く 冬から春へのグラデーション

忘れものを受け取りに…赤岳

12月25~26日 長野県赤岳

今年1月、赤岳登頂を目指して行者小屋へ向かいましたが、バディが未明に体調を崩して撤退。新たな危機管理を学びました。そしてX’masの日、「サミット・プッシュ」の忘れものを受け取りに、再び、同じ道を歩きます。

12月25日

まだ真っ暗な美濃戸口、ヘッドライトの灯りを頼りに歩き始めます。時折、横を通る4WD車。この路面なら走れるかも…いやいや油断禁物。やがて空は白み始め、美濃戸で阿弥陀岳とご対面。白き岩肌は麓から見ても神々しい。今回はニューアイテムとしてチェーンスパイクを持参。行者小屋までノーアイゼンで歩けなくもないですが、その安定と歩きやすさは予想以上のものでした。 行者小屋に近付いても空模様は高曇り。背中には青空が見えていたため、とにかく信じて歩きます。

小屋の営業は年末年始のみ。それでも着いた時には20張りほどあったでしょうか。皆さんは撤収準備の真最中、我々は逸る気持ちを押さえながらテントを設営。やがて、硫黄岳上空の青空が横岳へと広がってきました。移動性高気圧が八ヶ岳を通過している瞬間です(笑) チェーンスパイクをアイゼンに代え、ヘルメットにハーネス、ピッケル、確保用ロープ。サブザックにはツェルトなどのエマージェンシーグッズ等など。登山モードにギアチェンジをし、サミット・プッシュ!

眩しいほど白く輝く阿弥陀岳を右手に文三郎尾根へ取りつきます。霧氷の華やかさに目を奪われつつ、目指すは赤岳の頂上。マムート階段はその一部を露出しており、その横や上を登ります。この辺りから、白の鎧を纏った横岳から硫黄岳へと続く稜線に足が止まります。高度を上げるにつれ、北八の名峰たちが顔を覗かせ、眼下には八ヶ岳の森から諏訪盆地。遠くには中央アルプスから北アルプスの白き孤島。

中岳との分岐点。権現岳から編笠山、そして、南アルプスの展望が加わります。通常、ここから風が強くなりますが、今日は微風です。しかし、陽射しと風の温度差はやはり冬山。体温調節に神経を使います。分岐点を通過する度に道は厳しくなりますが、鎖が出ていたので安心感はありました。登山道はクラストしている箇所はなく、良く締まった残雪期状態。確実なアイゼン歩行を続ければ滑落しそうな場面もありません。雪面に刺すピッケルが鳴く音と呼吸をあわせ、ただ、上を目指します。

主稜にのり、雲に浮かぶ富士山や八ヶ岳東麓にご対面出来ると、山頂まであと一息。どこまでも続く空が出迎えてくれる中、2899m 赤岳に登頂。冬山の中心がここにあると錯覚する展望です。今年1月に撤退したのは、今日と言う日のためだったんだと思いました。

貸切の山頂から小屋に移動し、岩陰で寝ころびながら昼食。微風とは言え体温は目に見えるように下がり始めたため、バディを確保し、今回の核心部だと思っている展望荘への下りに取り掛かりました。斜面は日陰となっており、歩き始めると雪質の良さがすぐに判りました。それでも集中を切らすことなく営業中の展望荘に到着。人が生活する匂いになぜか安心しました。顔面氷結のお地蔵様にお礼を告げ、地蔵尾根へ。ナイフリッジは発達しておらず、ここでも安定した雪道を小屋まで下っていきました。

天候と雪質と体調。雪山に必要なもうひとつの三点確保。今日は見事に噛み合いました(^-^)v

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この景色を見ると 肩の荷が軽くなります

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赤岳 X'masバージョン (^^)

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墨絵の世界にテントが映えます

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氷結した大同心を初めて拝めました

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さてと 行きますか(^^)/

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白黒の世界に明暗という グラデーション

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流れるような美しさに強固な砦

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夏道(階段)より歩きやすい冬道

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まだ陽の当たらない岩場は怖いほど美しい

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重量感ある阿弥陀岳とキリッとした中岳

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一歩一歩 確実に…

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マムート階段を振り返る 足長おじさんw

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文三郎尾根分岐からは 新たな展望が参加

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ここから見上げる赤岳は大迫力です

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トレースは明確  でも油断しないことです

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鎖は頼り切らないことが大切だと思います

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これぞ 南八ヶ岳稜線からの景色

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この空に無意味は言葉は要らない

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山頂から僕が眺めた八ヶ岳を 御裾分け(笑)

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風があると怖い 赤岳山荘に向かう稜線

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さて 赤岳展望荘へ下りますか…

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振り返れば 赤岳と富士山

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これから下る 地蔵尾根の稜線

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地蔵尾根から見る赤岳は 主峰らしい貫禄

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樹氷越しに見る赤岳は ただただ 美しい

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右手を向けばこの景色…尾根歩きは贅沢だぁ~

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行者小屋に戻ると 赤岳が光っていました

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夕刻 横岳は赤く燃えてくれました

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豚骨味噌味のお鍋で ほっかほか

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寒いけど 星降る夜は 見逃せません(^^)

 

12月26日

朝の気温は-12℃。夕べは-10℃だったので、さほど下がった感じはなく、逆に、寒さが幾分緩んだ感じ…(笑)テント内には稜線を吹く風の音が聞こえており、顔を覗かせると、予報通りの高曇り空。昨日の眩しかった世界から白と黒の墨絵の世界へ様変わりです。そんな中、赤岳を目指すのかテント前を登山者が通りがかり、「おはようございます。行ってらっしゃい」の声援を贈ります。

昨夜、ここでテントを張ったのは5張りの7名。ちなみに、トイレは2ケ所開放されており、水場はテント場沿いの小川を阿弥陀岳方面に1分ほど歩いたところにありました。まだ、滔々と流れていますが、これからはどうなのでしょうか?

ゆっくりと片付けながらの撤収。この時間もまたテント泊の楽しみ。「次は阿弥陀岳かなぁ~」と思いつつ、今しばらくはこの感動に浸りたいと思っています。

下山後は、仕事で諏訪に来ていた山友といつもの…(笑)

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いかにも寒そうでしょう (^_^;)

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日~月の山行は 静かで良かったです

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一段と 凍れる音楽を奏でる横岳

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見事なターンでした(笑)

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赤岳の肩から 貴重な陽射し

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無言の別れを告げます…今日はいつもの黒い大同心

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霧氷は厳しい山行の クールダウン効果があります

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美濃戸まで戻ると ある意味「別世界」です

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最後は八ヶ岳の冬枯れ道を歩きます

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一日遅れて メリークリスマス♬ 

関西雪山解禁…武奈ヶ岳

12月17日 滋賀県武奈ヶ岳
武奈ヶ岳は琵琶湖の西に連なる比良山地の主峰。1200m級でありながら、日本海側気候の影響を受け、その雪質は関西随一です。登山口は比良山地を境に東西にわかれ、どちらも特徴のある名ルートですが、今回は雪山だからこそ歩きたい…コヤマノ岳稜線の樹氷も綺麗なんだけども…西南稜でピークを目指します。
西側の登山口は葛川坊村町。現在は国道367号線となっている若狭街道(別名、鯖街道)沿いの駐車場を利用させていただきます。周囲はすでに雪景色。稜線歩きに期待が膨らみます。
まずは、山麓の地主神社で安全登山祈願。続いて朱塗りの三宝橋を渡ると、つづら折りの急登が始まります。落ち葉で茶色かった道も次第に白くなり始め、所々はショートカットの冬道バージョンで高度を稼ぐこと1時間。広葉樹が混じって樹間が切れ始めても登りは続きます。
支尾根に乗ると急登は一段落しますが、この道は武奈ヶ岳の頂へ続くものではなく、P1096の御殿山への登り。武奈ヶ岳へは一旦下ったあと、美しいS字カーブを描く西南稜を歩くことになります。
足元の積雪は20㎝を優に超え、トレースを踏み外せば、膝下まで埋もれることでしょう。やがて、西側の展望が開ける場所となり、そこからしばらくは雪を被った林のトンネルが続きます。西南稜に次ぎ、大好きな場所です。稜線を吹く風を感じ始めると御殿山に到着。ようやく西南稜とご対面です。樹氷の森の奥に凛とした姿。その先端だけが輝いて見えます。
武奈ヶ岳比良山地の中では奥比良と呼ばれています。琵琶湖側の稜線にある北比良や南比良等とは違い里からも眺めることが難しい頂。まさしく「孤高の主峰」なんですね。
御殿山からもその頂は見ることが出来ません。直下の登りまでお預けとなります。御殿山から樹氷の森の急降下。ワサビ峠から登り返すと森林限界を超えたような西南稜が姿を現します。ここからは風との闘いにもなりますが、今日は10m程度なので良い方でしょう。右には前衛峰越しに琵琶湖、前方は湖北の山々、左は京都府丹波へと続く山並、後方は御殿山越しに南比良。全周囲を楽しみながら雪山歩きが続きます。登りから解放されたラスト100m。更に広がる琵琶湖が拍手で出迎えてくれるようです。
ここでスノーシューを履き、真っ白な雪原に思い思いのトレースを描きましたが、調子に乗っていると腰まで埋もってしまいました。昼食後はアイゼンに履き替え、冬空の下、「今年は関西も雪山が楽しめそうだ」と手応えを感じながらの下山となりました。本日の最低気温は-5℃。平均は0℃。登山者は30名程度で思ったより少なく、静かに雪山と対話が出来ました。
下山後は、冷えた身体を温めるいつもの…(笑)


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琵琶湖大橋から比良山地を望む
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今年も来たなと思わせる雪を被った朱塗りの橋
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朝日が暗い林を照らし始めました
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雪山は至る所にアートな世界
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つぼ足だとこんな感じです。トレースに感謝!
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雪面に落とす影を見るのも楽しみのひとつ
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雪面を裂く一本のトレースは下山の道しるべ
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自然の雪だるまの向こうは京都の峰々
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足を踏み入れることは出来ない清らかさ
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西南稜へのプロムナード
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御殿山からの西南稜
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西南稜から南比良の名峰たち
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堂満岳の左に琵琶湖の対岸が見えています
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美しき雪の西南稜に感謝します
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12月の関西の山と思えますか?
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プチシュカブラ…これからもっと成長することでしょう
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ピーク手前から振り返ります…素晴らしき曲線(笑)
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琵琶湖の向こうには近江平野が広がります
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今年初 スノーシューハイクの始まり
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関西でこれは「ぜんざい」と言います