GW後半はテントライフとグリーンスマイル …弥山
5月4~5日 奈良県弥山
予定していた鳳凰三山は早々と中止し、1泊の山行計画に変更。GW前半の候補地であった奈良県大峰山系の弥山に向かいました。
5月4日
弥山登山口駐車場へは、国道309号線で西の天川村か、東の上北山村から向かいます。毎年、12月から4月まで通行止めとなり、テント泊山行は通行止め解除にあわせて計画をしていました。そのため、小屋開け前の静かなテントライフを楽しめる訳ですが、それ相応の装備が求められます。今回はGWまっ只中。人気の山が故、どんな状況なのか想像もできません。5時前に家を出発し、駐車場に着いたのが6時半過ぎ。すでに第1駐車場は満車で、初めて第2駐車場に停めました。(ここも7割以上は埋まっていたと思います)
テント泊山行は昨秋以来の7ヶ月振り。普段通り、自炊用の水(5リットル)を担ぎ、冬用シュラフに食材そのほか諸々…計量は28kg(カメラは除く)。一抹の不安はありますが、良く知っているルートなのでペース配分に注意をすれば大丈夫でしょう。
登山口は奥駈道ではなく、まず、「奥駈出合」の稜線を目指します。天気予報では午後から回復するも、稜線では北西の風が強いとのこと。また、急激な天候の変化に加え、この山域は雹、落雷に注意が必要です。いつもは汗を拭いながら登る尾根道も、寒気の影響で冷たい風が吹き、アウターを着て登る登山者が多く見られました。(我々は長袖シャツ)
風は出合で更に強くなり、休憩時にはフリースを羽織ります。ここから聖宝ノ宿跡までは緩いアップダウンが続く稜線歩き。12月、見事な霧氷を見せてくれた奥駈道は、新緑の準備を始め出したブナ林と緑豊かなバイケイソウの道となっていました。空模様が怪しくなってきたなと思っていると、コツン、コツンと白い玉が空から降ってきました。霰です。すぐに止みましたが、平地と違い山は怖い場所だとあらためて感じる出来事です。
再び、登り坂となり、第2展望台を過ぎた何度目かの階段で小屋の三角屋根が見えると、「肩の荷が下りた」と思えます。途中、テント装備の方が抜いて行かれましたが、国見八方覗のテントサイトは一番乗り。そして、今日も霧氷のトウヒが出迎えてくれました。
昼食の準備をしていると、「居たぁ~」の声。前日に山友、通称「奈良の娘」から「テント宅を訪問しようかな~」と連絡があったのでした。彼女とは初登り以来の4ヶ月振り。積る話で夕食タイムまで一気に過ぎていきました(笑)
夕食後、夕陽とマジックアワーを期待して、いつもの場所へ。期待通りに空は澄み渡り、先ほどまでの時間が嘘のように、静まり返った時間を過ごす3人です。一番星、二番星…。町に明かりが灯るように、夜空に星が瞬き始めました✨
弥山小屋のテントサイトは小屋付近と国見八方覗の2ヶ所。さすがにGW、所狭しにテントが張られていましたが、20時頃には上空を流れる風の音が聞こえるだけ。その後、テントサイトの音と言えば、星空を撮りに行く僕の足音だけだったように思います…。
世界遺産…我々は関係のない世界観
この道から始まる 我々の世界観
新緑に浮かびあがります…石楠花
冬枯れの林に 春の芽吹き
1300年以上の古道…奥駈道
バイケイソウの緑が 林床を染めます
予報通りに 霰が降ってきました
通り過ぎてしまいそうな 道端のスミレ
霧氷の白と春紅葉の紅
尾根と谷 そして幾重もの稜線 ここは神々の世界
いつもほっとする 小屋の三角屋根
12月とは趣が異なる 5月の霧氷
時折 青空ホールが上空を通過します
まさしく 粉砂糖を振った感じ…(笑)
今回は見るだけの近畿最高峰「八経ヶ岳」
次の霧氷まで いろんな山行があるでしょう
この景色ほど 温かくはない 今日の弥山
風になびく 今月限定のヘアーキャップ
苔の丘に 散りばめた白いベル
何度訪れても素晴らしい 苔のテントサイト
日没前に 夕食としましょう
陽射しが 優しくなってきました
大普賢岳へとつづく奥駈道…大好きな景色
幽玄の世界が 近付いてきました
ここで見る夕陽は 特別な思いが 甦ります
先人はここで何を思い 何を祈ったのでしょうか
マジックアワーに宵の明星が灯る
親子テントサイト(笑) から宵の明星
今夜も宇宙を感じることが出来ました
大台ケ原から月の出…右上は木星
5月5日
この時期、天の川の見頃は午前3時。しかし、今夜の月歳18、天の川との距離も近いため、観望は無理だと思いながらも一応アラームをセット。フライシートのファスナーを上げると、やはり見事な月夜でした(笑)
続いて、朝4時。テントサイトは出発準備で賑やかになってきました。本日、奈良県の日の出時刻は、5時3分。準備をしてテントを出たのが、娘とほぼ同時。バディはまだ起きておらず、いつもの場所へは2人で向かいました。相変わらず冷たい風は吹いていますが、日の出前の凛とした空気が寒さを忘れさせます。しばらくすると、バディがやって来て、無事親子3人で御来光を眺めることになりました(^^)
昨夜、月が出たところより北側から御来光。地平線近くは薄く雲がかかっていたため、昇ってくると言うより、朧げな太陽が次第に浮き出てくる感じでした。やがて勢いを増してくる紅の光は、見ている我々にも届き、同時に苔や木々を照らし始めます。修験道の修業場として開かれた大峯奥駈道。その時代から毎日繰り返される夜明け。立ち枯れのトウヒは時代の中でどう移り変わっていくのでしょう。アルプスでは感じることのない朝を、ここではいつも迎えます。
テントサイトに戻ると、すでに数組が出発をしていました。GWで賑やかだったテントサイトは、早くもいつもの静けさを取り戻しています。青と緑が織り成す世界を眺めながら朝食タイム。ここではのんびりとした時間を過ごすことを大切にしていますが、下山の時は訪れます。最後に弥山神社にお参りをし、安全祈願をしてから小屋を後にしました。
見事な五月晴れが広がる中、早くも登山者がやってきます。さすがGWですね。いったい何時に家を出ているのでしょうか。その後も、次から次へと登って来られ、待機時間が嵩んできますが、12時までに下山すればと余裕綽々です。鳥の囀りに姿を求め、枝を飛び移る姿に一喜一憂。また、昨日と打って変わって燦々と陽が降り注ぐ林床にはバイケイソウが一面に広がり、まさにグリーンロード。3人で会話を弾ませながら、自然と笑みがこぼれます。
奥駈出合で娘と別れ、我々は石楠花が待つ尾根道を下ります。昨日は薄曇りであったため、1日で新緑が進んだのではと思えるほど、谷を飾る新緑は眩しく思えました。
「近くて良い山」
そんな言葉がピッタリな今回の山行でした。
下山後は、暑い日にピッタリないつもの…(笑)
夜明け前 大普賢岳から大台ケ原
こんな御来光もあるんだ…
遠く法螺貝の音が 聞こえてきそうな夜明け
神々から 命の灯
大地を染める朝は 一期一会
五月晴れ そんな言葉が自然と浮かびます
賑やかっだテントサイトも このとおり
弥山の魅力(一部w)が詰まった1枚
稲村ヶ岳から大普賢岳を一望…秘密の場所から
同じく一望…一般ルートから…(笑)
下山前 母子で眺める大峯奥駈道
お気に入りのいつもの場所で 娘がパチリ
12月 霧氷に染まった尾根道…手前の尾根が下山路
この辺りが新緑に染まるのは あと少し先
奥駈道の縁を飾ります...ワチガイソウ
枝から枝へと忙しそうです...ヒガラ
見つめる先には 何があるのでしょう…ゴジュウカラ
「聖宝ノ宿跡」手前の大岩に…ミツバツツジ
唯一咲いているのを発見…ミヤマカタバミ
5月 奥駈道はグリーンロードになります
陽光をいっぱい受けて 青空に映えていました
ゆっくり歩いても 奥駈道…
巣作りの準備中です…ヒガラ
着物リメイクような 石楠花の蕾
緑の谷を過ぎれば 終わりも近い
新緑の谷に 石楠花が浮かび上がります
せせらぎの音が 尾根道の終了ベル
再び この道を歩く日まで…
大峰の新緑がもっとも美しいと思う 我が家です
地元に出来たお店で いつもの…(笑)
青きGW 静かなる東稜…横岳
4月29日 長野県横岳(奥ノ院)
初めて杣添尾根を訪ねたのが2年前の夏。2017年の初登りでは天候が回復せずに森林限界付近で撤退。そして夏、花を訪ねて再び稜線へ。初登りのリベンジで登ったX'mas山行はバディが途中撤退。今度こそはと登山口「海ノ口自然郷」へ向かいました。
GW2日目は昨日と同様、高気圧に覆われて登山日和の予報。この時期の2,500m超えは服装や装備に悩みます。特に、「観光地では夏日」と言った予報では、残雪期の稜線のイメージが薄れてしまいます。赤岳の予報は日中の最高気温8℃、風は北西4m、天気は晴れマークのみ。気温の感じ方は季節によって大きく変わるため、いつも気にするのは風速と向き。最高気温 8℃は関西では真冬の気温。しかし、この時期の8℃、無風、快晴は僕にとって快適気温のはず。よって、上はベースと半袖シャツ、下はベースと秋用パンツとし、靴はスカルパ トリオレ。ザックには、防寒対策としてフリースとソフトシェル、冬用グローブ、バラクラバに10本爪アイゼン等を持参しました。
登山口の駐車場は6時過ぎで5台。GWとは思えない閑散とした状態ですが、これは期待通りの結果です。林道から登山口に向かう途中で眺める杣添尾根上部から横岳の稜線。三叉峰直下は地面が露出しているのがはっきりと見えます。1週間ほど前に杣添尾根の山行レポを見た際、雪解けが進んでいるものの冬道を利用されていました。ただ、踏み抜きがひどい状態であったと書かれていたので、山友に教えていただいたワカンを持参しました。
2100mを超えたあたりから道に雪が出始め、やがて、一面の雪景色。当然、締っているはずもなく、肩幅から逸れると踏み抜いてしまう、ある意味「ナイフリッジ」状態です(笑)。それでも雪の上は歩きやすく、いつもより早く冬道分岐点に到着です。冬道に入り樹林帯を抜けると、遠く富士山を眺めながら、赤岳から硫黄岳へと続く稜線が青空を背に浮かび上がっていました。5度目となる杣添尾根。今日が一番の登山日和。最終目的地の横岳(奥ノ院)へ最後のS字尾根を登り詰めます。とは言え、結構ここから長く感じるのはいつものことであり、それも楽しいのが杣添尾根です。
途中、尾根ルートがブッシュに阻まれ、ダケカンバの山肌を巻きましたが、ここの通過が大変でした。最初は膝下ぐらいですが、やがて、太ももまで踏み抜いてしまい、しかも反対の足までも嵌まってしまう。つまり、腰から下が雪に埋もれてしまうこと度々…(^^; ワカンを付けておけば良かったと思うも、それは後の祭りでした。やっとの思いで尾根まで戻りましたが、「いやぁ~、参りました」の一言です。
雪ゾーンから夏道へ。そこから、最後の急登を踏ん張り、三叉峰に到着です。風もなく、暖かい陽射しに包まれた稜線は、これまでの杣添山行を振り返る余裕を生んでくれました。雲海を抜けた最初の山行や凍える寒さを感じた2017年新春。強風の稜線が夏山開きとなり、安曇野の山友と登ったX'mas山行。そして前回、バディと登った時のために残しておいた奥ノ院も、あと15分ほどで到着。1年8ケ月に渡った杣添尾根物語第一幕の完結です。
下山時、雪道と同時にワカンを装着。その効果は抜群で、安定した歩行を得る事ができ、来シーズン以降も活用したいと思います。冬道分岐点の手前で残りのパンを頬張りながら赤岳や杣添尾根を振り返ります。そして、前方に広がる山麓の高原ジオラマ。麓から見上げる尾根も良し、ここから眺める景色も良し。そして何より、静かな山行が楽しめる八ヶ岳東稜は我が家にとって大切な場所です。
「また、いつか登る日まで…」
冬道を後にする際に残してきた僕の言葉です。
下山後は、登山口近くのヒュッテでいつもの…(笑)
中央が杣添尾根…楽しみな朝
春紅葉に出迎えられ あの稜線を目指します
登山口は 春の息吹を感じます
八ケ岳の森は まだ雪道がつづきます
雌雄で巣作りの準備…ウソ(雌)
樹間に富士山が見える場所を 中間点と思いましょう
青のグラデーション…山から山へ
冬道の玄関口
稜線直下は夏道…それでも 雪の杣添尾根
今日は 奥ノ院まで 辿りつけそう
GW後半 テント泊予定だった鳳凰三山
赤岳東稜…このスカイラインは素晴らしい
バディ 昨冬の折り返し地点を通過
稜線を巻いて 登り返します
踏み抜き地獄から 解放…夏道が恋しい…(笑)
雪は無いけど…三叉峰
奥ノ院への稜線にて 杣添尾根を振り返る
2つの鉄梯子の間が 核心部でしょうか
横岳(奥ノ院)から残雪の南八ヶ岳…
硫黄岳への縦走路…右下の岩稜が核心部
感謝としばらくのお別れを告げます
登りから付ければ良かった…^^;
残雪のワカン…安定の歩行でした
新緑の季節がもうそこまで…カラマツ
花豆タルト…地元らしい いつもの…(笑)
GW初日 車で登る展望の山…富士見台高原
4月28日 岐阜県富士見台高原
以前から気になっていた富士見台高原。明日のGW山行を前に立ち寄ってみました。
富士見台高原は岐阜県と長野県の境界に緩やかな起伏で広がる笹原の高原。中津川市街から林道を走ること約1時間。1,569mの神坂(みさか)峠駐車場が起点となります。この峠は縄文時代から通行があり、古代・中世には東山道(近江~陸奥)最大の難所として有名だったそうです(中津川市 歴史の道推進協議会 案内板より)
今では中央道の恵那山トンネルが開通し、当時の苦労など知る由もありません。それでも峠に向かう林道は、舗装されているとは言え、対向の困難な個所が多くあり、駐車スペースも限られているため事前の情報収集は必要です。ここは恵那山の登山口でもありますが、往復約10時間のCT。ほとんどの方は富士見台高原ではないでしょうか…。
さて、林道から登山道に入ってしばらく歩くと史跡「神坂峠遺跡」。数々の出土品が発掘され、この峠を行き交う先人の営みに驚きを覚えます。昼なお薄暗い樹林帯のトラバース。道端にはショウジョウバカマやバイカオウレンの咲く何気ない道ですが、谷側の傾斜はきつく、踏み外すことのないよう注意が必要です。半時間ほどで樹林帯を抜けると、身の丈を超える笹原に覆われた稜線が視界一杯に広がります。ここでも足元にはショウジョウバカマ。まだ茎が伸びきっていない状態で花を咲かせ、何か慌てた様子です。
左側によく通る中津川市街を俯瞰しながら10分ほど歩くと分岐点に到着。富士見台高原や萬岳荘に向かう道のほか、笹漕ぎ道などの交差点で、笹原の向こうには残雪の青い山脈、南アルプス南部の名峰が連なっていました。やがて前方には中央アルプス、坂道を少し登ると御嶽山や乗鞍岳から始まる北アルプス。遠くには白山も望めました。
ここ富士見台高原は、北、中央、南アルプスの展望を初め、日本百名山の内、なんと23座を見ることが出来ます。この日は鳳凰山、荒島岳、伊吹山を除く20座が確認できました。でも、名前にある富士山は見えないんですよね…。「富士山が見えたらいいなぁ~」と言う願望なのでしょう。それでも、見事な展望であることに違いはなく、夜は満天の星空を楽しむこともできるはずです。
さて、頂上標識に向かって登り始めた時に数名の方とすれ違いましたが、それ以降、見渡す限りに人影がありません。晴天のGW初日。素晴らしい展望地「富士見台」1,739mは、我々2人のためだけにありました。明日、4月29日は恵那山と富士見台高原の山開きが行われ、安全祈願を初め大勢の方がこの地を訪れることでしょう。まさに、イベントの前の静けさです。
帰りは、そのイベント会場となる萬岳荘に立ち寄り、テラスでコーヒータイム。ここはテントを張ることも出来、星空観察や朝夕の撮影など、テントライフに花を添えるアイテムがあります。機会があれば一夜を過ごしたいと思います。
下山後は、明日の山行に向け諏訪湖へ。でもその前に、木曽路11宿「馬籠」に立ち寄り、ほっとする和のテイストでいつもの…(笑)
GWなので(笑)…モーニングいつもので幕開け
山に入ると まだ桜を楽しめます
「富士見台高原」とはこんなところです
ヒメイチゲ がお出迎え
バイカオウレンは見頃を迎えていました
樹林帯から一気に展望が開けます
まずは南アルプス…荒川三山・赤石岳・聖岳
後ろには 恵那山がどっしりと
山頂?手前で 御嶽方面を望みます
中央道恵那山トンネルは この下を通っています
ショウジョウバカマの群落は初めてです
まだまだ道は続きますが 今日はここまで
中央アルプス…木曽駒ヶ岳~空木岳~越百山
今冬は 剣ヶ峰の頂へ…御嶽山
北アルプス 焼岳の向こうに吊尾根(奥穂高~前穂高)
御嶽山~中央アルプスが一望…中央は「南木曽岳」
縄文人もこの山河を見たのでしょう
ゆっくりと過ごしたい空間が ここにはありました
木曽路「馬籠宿」より…富士見台高原~恵那山
優しい味噌味で いつもの…(笑)
ホームで初登頂!春色の山を初夏の陽射しで…
4月21日 三重県ハライド(祓戸)
ホーム鈴鹿には主峰御在所岳を初め鈴鹿セブンマウンテンと言う個性的な山がありますが、その他にも四季折々楽しむことのできる山やルートがあります…ただし、僕は5月~10月は蛭休み…(笑) 今回は花の便りに誘われて、初めてのルートを訪ねました。
登山口の朝明渓谷。最近は冬の釈迦ヶ岳で訪ねる場所。いつもはまばらな駐車場も、9時現在でほぼ満車。係の方に尋ねると、天気の良い週末は大抵こんな状態だそうです。
今日のルートは茸岩を折り返し地点とする周回ルート。我々は核心部のハライドの急坂を登りとする左周りとしました。根の平峠分岐まで林道を歩きます。最初に訪ねるブナ清水は、朝明川の源流のひとつ。今は渓谷美を飾るこの川がどのように変化していくのかもこのルートを楽しむひとつでしょう。17年前、家族とともに根の平峠まで歩いた道も、記憶は薄れ、初めて通る道のようです。この道は旧千草街道で、鈴鹿の奥座敷「イブネ」へ入る際、滋賀県側から分岐の杉峠まで歩く歴史街道。初夏を思わす陽射しを受け新緑は輝きを増し、ヤマザクラやミツバツツジは寒暖の色彩を強めます。鳥の囀りに沢の音を聞きながら、先人達が通った時代を思い起こします。
足元に咲く春の使者「タチツボスミレ」。前回の山行(荒島岳)から約1ケ月が経ち、山は一気に春の装い。町で感じる四季の移ろいとは異なる山の四季。そして「今年も会えたね」と思う山の四季。
根の平峠直下でブナ清水への分岐となり、道は更に山の懐に入ります。時折激しい水飛沫の音を立てる朝明川に沿って新緑にはまだ早いブナの森を進むと、苔に覆われた大きな岩が現れます。その岩の割れ目から流れる澄み切った水が林床を分けています。ブナの森が育んだ清らかな水。朝明川の源流「ブナ清水」に到着です。岩穴を覗いてみると、源流は雫ではなく、細いながらも結構な勢いで流れ出ていました。稜線近くから湧水が流れ出るのはホームの特徴。どれほどこの山系は水を溜めているのでしょうか?そこから少し登った場所で昼食。まるでブナに見守られているような時間でした。
紅葉シーズンを思いながら落ち葉を踏みしめ、林床一面を覆うイワウチワの大群落を過ぎると、次の目的地「ヤシオ尾根」に出ます。この尾根、名前のとおりアカヤシオの稜線。まだ、蕾が多くあり、満開はGW頃かと思いますが、それでも見頃な花が我々を迎えてくれます。そして、折り返し地点の「茸岩」。鈴鹿山脈中部らしい奇岩です。少し頑張って大岩を登ると、眼下には伊勢谷が大きく広がり、釈迦ケ岳から続く県境尾根が一望できます。視線を横にずらせば、奥座敷「イブネ」に雨乞岳。僕が知る限り、これほどの絶景ポイントはそう多くはありません。
先ほどの分岐点まで戻り、最終目的地「ハライド」を目指します。鈴鹿にはカタカナ表記の山が多くありますが、ここは漢字では「祓戸」と書きます。意味を調べてみると、「神事を行う場所」とあります。そんな神聖な場所だからなのか、その頂へは険しい道のりが待っています。本日の核心部、「ハライドへの道」が始まりました。
ハライドは地図からも判るように周囲に険しい崖を備えています。ヤシオ尾根からは腰越峠経由で向かいますが、その峠を境に急坂となっており、特に尾根からの下りは、標高差100mを超えています。ハライドへの登り返しは80mほど。腰越峠への下りは樹林、ハライドへの登りはザレ場。右回りか左回りかの判断材料はこの通過だと思います。
ハライド山頂からは腰越谷を飾るアカヤシオや御在所岳、国見岳、青岳の三連峰。そして、出発地点「朝明渓谷」を挟んで広がる釈迦ヶ岳。美しい展望がそこにはありました。
ハライド北尾根で朝明渓谷に戻ります。標高を下げていくと、アカヤシオからレンゲツツジ、春を待つまだ固い芽から新緑へと色彩を変えていきます。途中、急峻な谷を眺めながら通過する場所もあり、危険性を感じないまでも最後まで気を抜いてはいけないのが安全登山だと思います。
まもなくGW。GW後半は天気が移りやすい予報となっていますが、どうなることでしょうか?その準備運動として向かった初ルート。ホーム鈴鹿の奥深さをあらためて感じる山行となりました。
下山後は、定番と季節を交えたいつもの…(笑)
今日のルート…駐車場にある大きな地図
春の雪洞ですね…八重桜
いつの時代でも 新緑は美しい
しばらくは朝明川を辿ります
鈴鹿で見ると 尚更春を感じます…タチツボスミレ
今はまだ 新緑の源…キブシ
同じ色系統でも 寒暖の差を感じます
春の生命力を感じます…ミツバツツジ
この花も春の使者…クロモジ
ほとばしる水飛沫に 涼しさを戴く
随分と川幅が狭くなってきました
源流の館…ブナ清水
見上げれば ブナの合唱が聞こえてくる…ブナ清水
森と水 鈴鹿にはそんな世界がたくさんあります
アウトドアな季節ですね
ここからの展望は感動しました…茸岩
アカヤシオの向こうには テーブルランドの「イブネ」
ヤシオ尾根の名前通りです
午後の陽射しが 森を優しく包みます
後半のルートが見えない…ハライド
新緑より先に谷を染める アカヤシオ
大好きな冬の釈迦ケ岳周回ルートが一望
これも春を代表する花…フデリンドウ
新緑とアカヤシオが共存する中腹です
ホームでは ここに立ち寄れる いつもの楽しさ…(笑)
祝・開通!白きスカイライン…荒島岳
3月24日 福井県荒島岳
2年前、登山口で引き返してから機会を窺っていた雪の荒島岳。再び、登山口に向かう日が来ました。
荒島岳がある福井県大野市。雲海に浮かぶ「天空の城・越前大野城」で有名ですが、いつもの党代表(笑)としては「いもきんつば」「里芋」「醤油かつ丼」など、そっち方面で訪ねることが多くなります。そんな魅力ある町を山頂から俯瞰したのが2014年11月。それから天候と休日と予定がかみ合う山行トライアングルを待ち続け、ようやくこの日を迎えました。本当は山イベントに出向く予定だった土曜日。しかし、晴れ予報に「インドア会場に行っている場合ではない」とバディの声に応え、木曜の夜に山行を決定。登山口やルートは前回と同様、勝原スキー場跡からのピストンとしました。
まずは、ゲレンデ跡のブラックアイスバーンとなった急登からスタート。それも直線上部から雪に覆われました。荒島岳と言えば「泥濘の道」。今日はその心配はなさそうですが、気温が上昇する下山時、雪はどんな状態になっているのか気掛りです。
町並の背景には屏風のように連なる白きグラデーションの峰々。八ヶ岳とは展望も植生も異なり、里から見上げる荒島岳らしい光景です。
ゲレンデ上部から本格的な登山道となり、直登は雑木林からブナ林へ。やがて、樹間に白山が見え始めました。この山、名前のとおり本当に白き峰です。前回は薄曇りのため霞んでいましたが、今日は青空を背に浮かび上がり、霊峰に相応しい凛とした佇まいを感じます。
傾斜が緩んだところから、思いもしない「霧氷まつり」。山からの素敵なプレゼント。朝陽にキラキラと輝く林の中から聞こえるのはパラパラと言う落氷の音。時々、頭上に落ちてきますが、これも山からのプレゼント…^^;
しゃくなげ平でアイゼンとピッケルを準備。いよいよこのルートの核心部「もちが壁」に向かいます。夏道ルートに向かうトラバース道を前に、真っ白な雪面と霧氷、そして白山を中心とした展望が広がり、何度目かの歩止まりです。当然、鎖は雪は下。慎重に足下を確かめ、上を目指します。今後、雪が緩んでくると更に難度が高くなるでしょう。ここを過ぎれば、森林限界を超え、全周囲の展望と共に山頂までの稜線歩き。丁度、ホーム鈴鹿は竜ヶ岳の遠足尾根のような雰囲気です。ただし、ここから先の谷側は雪庇となっており、クラックも何ヶ所かありました。トレースを外れないことが鉄則であり、そのトレースも正しいかどうか、自分で判断しなければなりません。
傾斜は更にきつくなり、中荒島岳直下の最大傾斜に向かう小さなピークがよく紹介されるビューポイント。山頂からは周囲の展望のみで山を愛でるには、そのルート上にあると僕は思います。山と向き合える場所とは「山頂以外派」です(^^)
その小さなピークに立った時、「2年前の中止はこの日のため、ついにここまで来た」と喜びも一入。
そして最後の直登。途中、登山道と交差するように亀裂が走っていました。その辺りはアイゼンを踏む度に小さな面で雪が剥がれ落ちます。風もなく、穏やかな日でも、全く心配なく歩けないのが雪山でしょう。急登を終え、緩やかな稜線の向こうに祠の屋根。登り始めて4時間。標高1,523m、今日は雪で数m高くなった福井の名峰「荒島岳」に登頂です。
下山後は、越前大野の銘菓でいつもの…(笑)
春を感じる鳥…ホオジロ
ゲレンデ跡上部から振り返れば…
歩きやすい 明るいブナ林の直登
光のシャワーが 落氷とともに…(笑)
この程度の大きさなら 痛くないんですが…
3月下旬とは思えない この景色
しゃくなげ平まであと一息
見上げれば 力強い 荒島岳
興味本位の行動は 事故のもとですね
素晴らしき展望に感謝です
ウサギの綺麗なトレースが続きます…
人間のトレースも 見劣りしません
諦めなければ 出逢える景色があります
最後の試練? 中荒島岳に着かねば 登頂はありません
登山道が割れているのは 初めてです
すでに気分は登頂…(笑)
振り返れば この景色
山頂をさらに進んで 振り返ります
笠ヶ岳と槍・穂高連峰
来シーズンは あの頂に還りたい…御嶽山
お花畑の縦走路…白山(大汝峰~御前峰~別山)
自然界には畏敬の念を抱いて接したい
惚れ惚れする景色でした
限りある時間なので…下山します
トレースがオーバーラップする 美しい下山路
荒島岳 と ハロ現象
これが当たると 結構 痛そう…(^^)
ちょっと寄り道…小荒島岳への鞍部にて
漫画チックな 中荒島岳への急登…
2年前と同じ場所から…感謝の言葉を
芋のダブル主演で いつもの…(笑)
初夏の陽気で プチプチ縦走…須磨アルプス
3月18日 兵庫県須磨アルプス
六甲全山縦走から早や1年あまり。今春もと計画を立てていましたが、何かと忙しく準備不足もあって秋以降に延期。でも、ちょっとだけ歩こうかと全縦起点「塩屋駅」に向かいました。
過去3回、六甲全縦は塩屋駅からスタートし、旧大会ルートで旗振山を目指していました。その理由は途中にある「六甲縦走路西起点」の看板。しかし、このルートだと六甲山系の途中から合流することになり、尾根を辿るには塩屋駅からダイレクトに取付かなければなりません。その空白部分が全縦の響きとともに気になっていました。
午後から神戸で人と会う約束があり、空いた午前中の有効活用(笑)で気になっていたダイレクトルートを利用し、須磨アルプスの東端「東山」を目指します。
「この先 行き止まり」…駅から歩いてすぐの所にある標識。予習のお陰でこれは承知のこと。住宅地の路地裏を通り抜け、取付地点の急登ならぬ急階段で山行は始まりました。塩屋駅は海抜4m。この階段で見る見るうちに住宅地の屋根越しに海が見え始めました。尾根道に入ると、そこは踏み固められた山道。毎日登山など大勢の方が旗振山を目指してできた道なのでしょう。今日も家族連れや高齢者のグループが汗ばむ陽気の中、行き来していました。
旧大会ルートの合流地点には「六甲全山縦走路」の案内標識。この文字を見ると心が躍るのは、僕だけではないはずです。ここから先の道は4回目、でもいつもはヘッドランプの灯りを頼りに登っており、知っているような初めてのような道です。須磨浦山上公園の石段を一気に駆け上がれば、茶屋のある旗振山に到着です。
夜明け前、まだ町が動き始めていない時間帯に登ってくる全縦56㎞の最初のピーク。今日は、半袖に着替えるピークです。
鉄拐山、高倉山、文太郎道経由で栂尾山。そして、須磨アルプスの横尾山から東山。
この時間帯になると大勢の登山者が須磨アルプスを目指したり、越えてきたりと思うように歩けませんが、僕も特に慌てている訳でもなく、されど、チャンスがあれば全縦スピードにギアチェンジ…。そんな感じで歩いていたため注意が散漫になっていたのか、まさかのルートロス、5分ほど登り返す羽目に…ただ、戻らなければ滑落が待っていたかも…。
名勝「馬ノ背」、別名「須磨アルプス」。風化した花崗岩のザレた岩稜帯が突如現れ、横尾山と東山を繋ぎます。ルートを少し外れて尾根を見下ろせば、標高の割には迫力ある光景です。慎重に歩きつつ、ルートを逸れて右左と景色を楽しみ、最後の痩せ尾根に差し掛かったところで、前方からやってくるグループに視線がいってしまい、足払いされた感じであっという間に転倒…(^^; 幸い滑落はしませんでしたが、状況的には運が良かったとしか言えません。
今日、歩いてきた旗振山から馬ノ背までの尾根を東山のピークで振り返りながら、痛めた左足を見ると、膝上で破れており裾をめくってみると…傷以上の見た感じ。歩行に支障がなかったので事なきを得ました。
「油断大敵」。山友に言われた言葉を大切にしなければと思います。
帰り道、文太郎さん縁の「高取山」、僕の全縦核心部「菊水山」、そして遥か彼方の中間地点「摩耶山」。それらゴール宝塚へと続く56㎞の山々に再訪を誓い、下山口「板宿」へと向かいました。
下山後は、神戸で用事を済ませて、自宅でいつもの…(笑)
電車の向こうには 六甲山系が海に還る尾根
いつもは右中の道 今日は右下の道...
いつもは右の階段 今日は左の尾根道…
梅の香りは 「春が来た」香り
今日は明るい 旗振山
春霞の大阪方面
今日の予定が書かれていました(笑)
いつもより長く居た 旗振茶屋前です
写ってませんが こんな大勢は初めて…鉄拐山
次はゴールを目指したい
朝 ラジオ体操をしている おらが茶屋前
ここでも春のコラボレーション
宅地へと急降下…転げ落ち注意(^^)
全縦大会渋滞ポイント…栂尾山階段
園芸種が縦走路沿いに…ツルニチニチソウ
新旧のツーショット(笑)
山が海へ…高倉山は造成され宅地となりました
ルートミスした地点から 須磨アルプス
50年後は 通行禁止?
昨年はモルゲンロートの馬ノ背でした
左の鉄塔が旗振山…2時間弱で歩いた山々
右から高取山、摩耶山、鍋蓋山、菊水山…最高峰は遥か彼方
今日はここまで
ヒガンザクラ? 梅とは違う 春の使者
シンプル イス ゙ベスト で いつもの…(笑)
おまけ…山友から いただきました
南八ヶ岳 氷と岩の調べとともに…編笠山
3月11日 長野県編笠山
春の足音が近付き、冬山も終わりを告げようとしています。今シーズンの見納めに南八ヶ岳展望の頂を目指します。
最後まで杣添尾根と編笠山のどちらにしようか考えていましたが、木金土の天候から、確実に登頂ができる編笠山としました。この山を最初に訪ねたのは、19年前のGW。当時、小学生だった娘も今では家庭を持つ社会人。今回で6回目となる編笠山の登山口は山梨県と長野県にありますが、最近は長野側の富士見高原を利用しています。
林道を横切りながら、尾根の取付地点「盃流し」に向かいます。先月、八子ヶ峰から眺めた裾野へ続く曲線美。歩くとシラビソやトウヒ等、展望のない道が続きます。2年前、テント泊をした時は西岳経由の周回ルート。その尾根道と平行しながら、やがて道は太古の森へと入り込みます。
1800mを超えた辺りで道は雪に覆われ、1900m付近から始まる急坂でアイゼンを装着。陽の当たらない道は雪道と言うより「凍り道」。それは、時折アイゼンの爪を弾くほど強固なものでした。
2100mで急登は終わり、樹間から陽が射し始め、空が近付いた気がします。再び始まる登りでは、森林限界が近いため青空が頭上に広がり、振り返れば樹々越しに北岳から仙丈ケ岳へと続く南アルプスの白き山嶺を初め、ミニチュア細工のような山麓の景色に目を休ませます。
「暗」から「明」へ。このルートで2番目に好きなポイントです。
そして、このルートの核心部、山頂直下の岩稜帯。過去2回、3月に登っており、雪の少なかった一昨年でさえ岩を雪が覆っていましたが、今日は完全に夏道ルート。上部の様子が判らずアイゼンを付けたまま登りましたが、結果的に不要でした。
綺麗な円錐形の山容を持つ編笠山。どのルートも最後の傾斜は同じですが、このルートが一番きつく感じるのは、数多くある案内板のせいだと思うのは、個人的感想…。そして、最も好きなポイントが編笠山の山頂標識と共に姿を現す南八ヶ岳の峰々。
阿弥陀岳、横岳、赤岳、ギボシ、権現岳。南北に長い八ヶ岳、自分流の絶景ポイントをお持ちでしょうが、絶妙に配したこれら五山の展望を擁した編笠山は、八ヶ岳随一と我々は思っています。八ヶ岳の創造主に感謝です。
麓から吹き上げる風を避け、北八ヶ岳へと続く展望を楽しみます。親子3人で初めて訪ねた時、「あんな険しい山に登るなんて凄いよねぇ」と話した残雪の赤岳。今では赤岳を始め、ほとんど登ってしまった雪の八ヶ岳。時の流れを感じると共に、こうして眺めていると、当時にタイムスリップしてしまいそう…(^^) 娘と登った30数座のひとつだけでなく、我々家族にとって大切な頂。それが「編笠山」。
下山後は、茅野駅前で新規開拓したお店でいつもの…(笑)
夜明け前…登山日和間違いなし
年輪ような薄氷…盃流し
アイゼンの手入れをしなければ…^^;
この標識を見ると 何故かほっとします
柔らかな陽射しに 力をもらいます
森林限界へと導く 森の灯り
一気に光の国へ
視線の先に あるものは…
空と町の間に浮かぶ雲
見上げれば 八ヶ岳が火山であった証
今日は 諏訪湖が 良く見えます
アイゼン歩行の訓練となった 岩稜帯
視界に収まり切れない世界が ここにあります
昔から僕は 山頂や峠に着く手前が好きなんです
権現岳から徐々に 姿を現す瞬間が堪らない
まずは 御礼のタッチ
先週の雪で化粧直しをした 主峰「赤岳」
随分と御無沙汰です…ギボシ・権現岳
来シーズンは その頂から編笠山を…横岳(三叉峰)
時代は移ろえど 変わらぬ景色…
ミラーボールか万華鏡…雪は不思議なキャンパス
太古の森が賑やかになるには もう少し先でしょう
新緑がこの道を飾る頃 町はお花見ですね
麓から眺める八ヶ岳も素敵な光景
こんなお山があったら 登ってみたい…(笑)