Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

八ヶ岳東稜…雲を抜けて

8月14日 長野県横岳(三叉峰)
この時期の日帰り登山は出来そうでできない…。暑さ、虫、アクセス等々。1時間余りの協議(笑)の結果、目指した場所は南八ヶ岳の横岳を杣添尾根で辿るコース。訪ねる人も少なく、お盆休みでも静かな山行が出来るのではと思い、別荘地の奥にある登山口に向かいました。
横岳は標高2,829m、八ヶ岳では赤岳に次ぐ標高です。横岳と言う山頂標識はありますが、標識が立つ奥ノ院を始め、無名峰、石尊峰、鉾岳、日ノ岳など岩峰の総称であり、北八ヶ岳の横岳とは随分と山容が異なります。今回登る杣添尾根は八ヶ岳の東麓、海ノ口から三叉峰の稜線まで一気に突き上げる尾根。赤岳の県界尾根、真教寺尾根の東稜3兄弟のひとつです(^^)
駐車場からしばらくは別荘地内の遊歩道を進みます。しかし、そこは既に八ヶ岳の森。本格的な登山道に入ると、それは更に色濃くなり、鳥の囀りに合わせて苔達の囁きも次第に大きくなってきます。尾根らしい両側が傾斜地となった箇所もありますが、全体的には広い針葉樹の森をひたすら登り続けます。東面にも関わらず朝陽は雲に遮られ森には届きません。お陰で朝の冷たい空気を一杯吸いながらの山行が続きました。標高2450m辺りから頭上に空間が見え始め、雲が流れ踊る光景が…。きっと、雲海の海面なのでしょう。ダケカンバの美しいトラバース道を抜け、三叉峰の岩峰が樹間に顔を覗かせたかと思うと、森林限界を超え、青空を背にハイマツの大海原が広がっていました。振り返ってみれば、荒々しい雲海が視界いっぱいに波立ち、登ってきた尾根はその波に飲み込まれるように沈み込んでいきます。
ハイマツの海を泳ぐこと30分。赤岳と硫黄岳を結ぶ南八ヶ岳メインストリートのほぼ中間点に上陸(笑)普段、通り過ぎていた岩峰を登ると、ピークを示す棒がありました(^^) 初めは姿を現さなかった赤岳も阿弥陀岳や南アの峰々と共に挨拶程度ですが顔を覗かせてくれました。写真でしか見たことのなかった夏の赤岳。秋を思わせる風を感じながらもその姿は「盛夏」。余りの心地良さに気が付けば1時間近く経っていました。
メインストリートを往来する人は多いものの、杣添尾根を利用する人は少なく、当初の思惑通りに静かな山行が出来ました。人によっては最後まで展望のない道と思われるかも知れません。しかし、美濃戸から入山しても同様のこと。移り変わる植生を楽しみながら、やがて大展望が待つ稜線に辿るこのルートは、ここで紹介するも、そっとしておいて欲しいルートです^_^;
下山後は、自宅の反対方向に車を走らせ、いつもの…(笑)

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別荘地の遊歩道沿いに咲く キバナノヤマオダマキ
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八ヶ岳のギンリョウソウは苔から顔を出す(^^)
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八ヶ岳の森は「キノコ」の宝石箱やぁ~(古)
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刻一刻と姿を変えていた…雲海の断面
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八ヶ岳らしくないダケカンバの並木道
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ハイマツの大海原…このピークが横岳の稜線って信じられますか?
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いつかは県界尾根と真教寺尾根で赤岳へ…
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ハイマツの緑が赤岳を包む
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北斎の「富嶽三十六景」風の図…(笑)
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コケモモかな?
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キリッとした男前…風に向かって立つ イワヒバリ
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いつも歩いている北沢(右)と南沢(左)
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ベタな構図(笑)ですが やはり南八ヶ岳と言えばこれですね
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打ち寄せる波が停止したような岩峰
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I LOVE 黒戸尾根
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雲海に浮かぶ島…御嶽山
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岩の隙間に コバノコゴメグサ の群落
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雲海に沈み込む杣添尾根
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ゴゼンタチバナ もそろそろお別れの季節
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こんな岩峰なら登ってみたい…しかも 双耳峰(笑)