Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

約束の里帰り…船窪小屋再訪

9月25~26日 長野県船窪小屋
小屋開けの手伝いをしたのは新緑の葉が色濃くなってきた6月下旬。梅雨真っ只中にも関わらず、見事な青空の下、荷揚げヘリから降ろされる荷物を皆さんと仕分けしたのが、私達の夏山開きの日でもありました。あれから90日。山には再び冷たい風が吹き始め、緑濃かった葉も色付き始めたので、約束通りの里帰り.‥(^^)

9月25日
蝶ヶ岳から2週間。季節は着実に歩を進め、登山口の七倉山荘はひんやりとした空気に包まれています。ここから船窪小屋へと続く船窪新道(七倉尾根)は標高差140m毎に1~10の標識が立ち、この小さな案内板の声援に力を貰います。「天高く亅と言った秋の空は拝めませんが、まずは最初の第一歩…。3番ポストで最初の急登も一息。やがて樹間に槍ヶ岳も見え始めます。そして、美しい森と共に現れる鼻突八丁の梯子群。どこの急登もそうですが、核心部はこの急登を過ごしてからなんですよね(^^; 勢い込んで登ることなく、同じ気持ちで登るのが身体に優しい…。と言うことで、このルートの核心部は鼻突八丁終了から天狗の庭までと思います。
チングルマ街道と勝手に名付けたお花畑のトラバース道は秋の装い。本当に山の秋って早いですね。季節は山から駆け降りてくることが実感できます。稜線を跨ぐと針ノ木岳の荒々しい岩肌を借景に青い屋根が見えました。懐かしい笑顔まであと少し…。小屋前では山友が忙しなく登山者の応対をしていました。「鐘は自分で鳴らして~」「はいは~い(笑)」
一息ついた後、水汲みのお手伝い。途中、山友に教えてもらったビューポイントで黄色く染まる七倉岳を見上げ、頂から谷へと駆け降りる錦の織物に言葉を失いました。水場は山友と整備した時とは全く別物。山は生きてるため、それに合わせて整備をしなければならないそうです。本当、皆さんには頭が下がります。
今度はお母さんに出迎えの鐘を鳴らしてもらえました(^^) この後は美味しい夕食、小屋前テラスで夕暮れの一時、そしてランプの灯りが揺れるお茶会へと短い夜は更けました。

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ポストに登山届を投函し 目指すはあの稜線!
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茸と苔のコラボレーション…(^^)
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槍ヶ岳 ファーストショット!!
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真っ赤もいいけど 色付き始めのグラデーションが好き
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鼻付八丁名物「4連梯子」
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右手に北葛岳の荒々しい岩肌.‥
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空を含めた 極彩色の世界
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小屋開け準備でお会いした取材クルーと再会
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高瀬ダムは加藤文太郎さんと縁の場所
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遠くに見えていた稜線が もう目の前に…
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真っ赤な葉で 裏銀座の稜線も霞みます
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10番ポストまであと僅かです
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お土産満載のザックは 20kg(笑)
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少し登って振り返ると 表銀座の稜線が…
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緑がいいアクセントだと思う 山の秋
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斜面が黄色く染まるのも 山の秋
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七倉岳からの続く 錦秋の滝
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見違えほど整備された 唯一の水源地・・・
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山に打ち寄せる 黄色い波
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手前に七倉山荘の灯り…遠くは大町市

9月26日
厚い雲が覆う朝となりました。時折、小雨も交じります。しかし、槍から立山へ続く稜線に雲はかかっておらず、遠く小屋の灯りが揺れて見えました。小屋から少し上がった所からは、雲の切れ間に富士山と八ヶ岳、そして、大町の灯り。下界とここは数字で計れない距離を感じます。
鐘の音が何度か響き、それに合わせて「行ってらっしゃい亅の声。下山だけの私達は最後の客となり、囲炉裏端でお父さん、お母さん達と談笑。そんな時間はあっという間に過ぎ、お父さんが鳴らす鐘の音といつまでも手を振るお母さんに見送られ出発しました。
小屋が見えなくなる10番ポストで今の景色をしっかりと目に焼き付け、お二人がお元気で過ごされることをお祈りしました。
紅葉は一日でその色付きが変わると言います。昨日と光の加減が違うこともあり、今日の色は瞼の奥まで届きそうな深い色でした(^^)
雨で湿った梯子や木の根道を慎重に降りながら、交わす会話は楽しかった小屋の思い出話。半分を過ぎた辺りから雨に打たれはしたものの、深い森の梢が傘となってくれました。来年はこの森の落ち葉掻きで訪れようかなぁ…。
下山後は山友がお薦めのカフェで共にいつもの.‥(笑)

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餓鬼岳の左肩に 小さく富士山が浮かんでいました
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今夏行く予定だった五色ヶ原も色付いています
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立山の斜面も秋の装い…白い建物は黒部アルペンルートの大観峰
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小屋の窓からは 烏帽子岳から続く裏銀座の縦走路
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囲炉裏端で 素敵な朝の時間
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また来年 お元気な姿を見せてください~
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陽射しを反射する様は まさに「宝石箱」
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蓮華岳と北葛岳とも しばらくお別れです
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七倉尾根の斜面も これから益々色付くことでしょう
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季節外れのチングルマ
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季節通りのチングルマ(穂)
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ヤマハハコは蝶ヶ岳でも 咲いていました
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シラタマノキの白い実が 真っ赤な絨毯に映えます
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いつまでも眺めていたい道です
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日本の山の秋は 世界に誇れる 色のグラデーション
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七倉ダム周辺が色付くのは まだ少し先のことでしょう
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山友が設置した通称「〇〇ベンチ」…〇〇はナイショ(笑)
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この辺りは 紅葉が目立っていました
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来年も美しい花を咲かせてね…オオヤマレンゲさん
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安曇野の山友とは 山だけでなく 嗜好も一致…

最後に今日9月27日は御嶽噴火のあった日。この日は山で犠牲になった方全ての御冥福をお祈りしたいと思います。