Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

初めてがいっぱいの2日間…谷川岳

3月19~20日 群馬県谷川岳
1月末から続いている雪山山行の締め括り。昨年は雪不足のため中止となった雪洞泊。「今年は良いよ~♪」の便りに、1年越しで山友宅へ向かいました。

3月19日
谷川岳の言葉から思い浮かぶのは、「一ノ倉沢」「トマ・オキの耳」そして「土合駅」。そのもぐら駅462段目に立った時「谷川岳のお膝元に来たんだ」と実感しました。
まずはロープウェイで天神平。そこからゲレンデ横を直登し、雪庇を抜けて稜線へ。次のピークを巻いて進んだ稜線の下に雪洞予定地がありました。ここまで1時間弱の行程です。今年1月、八子ヶ峰スノーシューハイクをご一緒した高崎在住の山友は、ご夫婦で山岳会に所属されるエキスパート。谷川岳を訪れるにあたり、我々が希望した雪洞泊を快く引き受けてくださいました。
見るものすべてが初めての景色。群馬県草津白根山野反湖を訪ねたことはありますが、雪山は初めて。とは言うものの「展望は明日までお預け」モードに加えて、凍てつく風が頬を打ちます(^-^;
雪洞予定地には前日作られた立派な雪洞がありましたが、そこは作業中の休憩場所にし、我々の雪洞を掘ることにします。まずは入口から始まり、次第に横穴へと拡げていきます。最初、1人だった雪掘り隊も、進むにつれ2人となり、最終的には3人が中に入って掘り続けます。外で作業をしていると、時折激しい地吹雪に襲われ、しゃがみ込んでしまうことも数度。「これぞ、冬山だぁ」と変な連帯感を覚えつつ 4時間、約 幅4m、奥行1.5m、高さ1.3mの「ホテル谷川岳」の完成です。
夕刻、キャンドルパーティの始まり。テント泊とは一味も二味も違う楽しい時間が会話と共に過ぎていきます。外は激しい風を伴った雪が吹いていますが、雪洞内は静かなもの。明日の昼頃には急速に回復する予報を信じて、ちょっと湿っぽい夜が更けていきました。

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18日 榛名湖畔に立ち寄り 結氷越しの 榛名富士
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この駅から谷川山行が始まった時代を懐かしみます
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現在の始まりは ここから…
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稜線直下の雪庇に悪戦苦闘
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レンズも吹雪に悪戦苦闘…^^;
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さて ホテルの建築に取り掛かりましょう!
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最初は連携プレイで 除雪します
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奥行を確保すれば 左右へと拡げます
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開始後 1時間半で このとおり
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空き部屋で昼食休憩中…入口から雪が入ってこの通り(笑)
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別部隊が離れのトイレを建築中…
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雪洞内には 簡単に棚が作れます
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ランタンを吊るすのも 自由自在
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食器は見失しなわないように…現代アートのようでしょう?(笑)
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夕食は ポトフ(パスタ)にグリーンサラダ…その他モロモロ
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キャンドルが心に温かさを与えてくれます.‥室温 -5℃ (笑)

3月20日
朝、ツェルトで塞いだ入口を開けると膝ぐらいまで雪が吹き溜まっていました。隣に作ったトイレ部屋も壊滅状態(笑)気になる空は予報通り、雪が降り続け、展望はききません。谷川岳はまだ厳冬期の顔を持っています。
ロープウェイの始発便に乗った登山者(ほとんどがBCでした)の方々が後方に見え始めた頃、ホテルを出発。山頂には昼頃登頂を目指して、ゆっくりとした歩調で進むため、後続の方にどんどん抜かれます。やがて、西黒尾根越しの山肌に陽が差し初め、標高を上げるにつれ、稜線の向こうの雪山が微かに姿を現し始めました。晴れることを信じて、急登をゆっくり進みます。
肩ノ小屋が近付くにつれて、左側には見事なエッジをきかせた山稜が浮かびあがり、上空には青空の見える時間が増えてきました。段々と近付いてくる晴天の足音が聞こえてきます。
肩ノ小屋では青空を背景に巨大な氷のオブジェが我々を迎え入れ、谷川岳が我々に微笑んでくれた瞬間です(^^)
トマの耳に向かって最後の登り。上空は抜けるような青空。ヨーロッパアルプスを思わせる白き稜線と頂。
「ありがとう、谷川岳」の言葉と共にトマの耳へ登頂。眼下には見たことのない雪庇を従えた稜線。そのラインの先にはオキの耳。到底、言葉では書き尽くせない感動と共にオキの耳へ登頂。
振り返れば、天に向かってその存在を示すかのようなトマの耳の姿は、僕の山人生の記憶にしっかりと刻み込まれました。
午前中は眺めることの出来なかった上越の山稜を楽しみながらの下山。遠く思いを馳せる至仏山、先日、山侍さんが登った武尊山。これまで見てきたアルプスの景色とは違う雪深き峰々。これから更に北上すれば、もっと違う世界が待っているのだろうと思いながらも、まずは谷川岳登頂の余韻にしばらくは浸りたい。
下山後は500kmを帰らねばならず、水上温泉で買ったものでいつもの…(笑)

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トイレの通路は ノートレースになりました(^^)
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最初はワカンを履いて出発しました
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ぼんやりとした陽射しは まるで昨夜のキャンドルライトのよう…
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西黒尾根に巻き起こる雪煙
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段々 山容がはっきりと見え始めました
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山頂に続く BCケルン…
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時折吹く15mほどの風
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青空の空間が 大きくなってきました
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肩ノ小屋の入り口に出来た オブジェ
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この模様は 自然界の法則に従っているのだろう…
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予報通り 急速に視界が開けていきます
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トマの耳から.‥オキの耳そして 一ノ倉岳
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天国と地獄は紙一重の世界
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巨大な雪庇は 谷川岳のパワーを感じます
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そしてここにも 谷川岳のパワーが…
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オキの耳からトマの耳…この景色を忘れない
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凍れる色とは このことか…
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オブジェのゲート…トマの耳直下
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上越の山を 余韻と共に…
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素晴らしい吊尾根と雪の肌
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BCのシュプールが キャンパスに絵を描きます
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ホテル谷川岳の正面玄関(笑)
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いつかは尾瀬へ…
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ありがとう 谷川岳(^^)/
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夜食の代わりに いつもの…