Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

ホームの谷と尾根…そして 花

5月12日 三重県鎌ヶ岳
早くも夏日を迎えた5月の週末。ホーム鈴鹿らしい谷と尾根歩きを楽しもうと主峰の駐車場に向かいました。

鈴鹿山脈三重県側は断層帯となり険しく、伊勢平野に向かって急傾斜となっています。その地形的な特徴から幾筋もの美しい谷と尾根を縫う登山道と山麓には渓谷を楽しむ遊歩道。また、急崖は斜面を崩壊させ、それぞれが個性的な山容をみせています。その中で、ひときわ鋭角的な山容を魅せるランドマーク、それが「鎌ヶ岳」。鈴鹿の槍です。
鎌ヶ岳の登山口は大きく3つ。一般的なカズラ谷と縦走を楽しめる鎌尾根の「宮妻峡」。鈴鹿スカイラインを利用し最短ルートとなる「武平峠」。そして、谷と尾根を楽しむ今回利用した「旧料金所前」。
鎌ヶ岳は3年振りで、前回はイワザクラを目的に、長石谷~長石尾根を周回しました。その時に見たアカヤシオの谷が印象的で、その下を歩いてみたいと思い、三ツ口谷~長石尾根の周回ルートを計画。しかし、三ツ口谷を詰めた稜線直下は落石の危険性が高いことを知り、途中から長石尾根に合流するルートに変更しました。
トラバースや巻き道が続き、ルーファイも必要なためか、一般ルートでありながらも訪れる人は少ないようで、渓流の音や野鳥の囀り、そして今ならではの新緑を楽しみながら、ホームの谷と向き合えそうです。
人気ルートの御在所岳中道の登山口になっているため、駐車場を始め周辺のスペースは車で埋まっていました。駐車場で準備をする全ての方が御在所岳を目指す中、我々は来た道を戻り始め、三ツ口谷ルートに入ります。三滝川に沿って雑木林を進んでいると、時々、並走するスカイラインを走るエンジン音が静寂を破りますが、通り過ぎると「沢と風のシンフォニー」が再開されます。30分程歩いて分岐点となり、白い河原の向こうにぽっかりと口を開いたようにして待つ空間、いよいよ三ッ口谷の始まりです。
支流はすぐに渓流となり、岩肌は激しく流れる勢いで削られ、厳しさを兼ね合わせた渓谷美。崖にへばりつくように続く道は、所々崩壊し、片足が置ける程度の細さ。踏み外すと結構な高さで渓流に落ちるため、緊張が続きます。これが「鈴鹿の谷」と言ってしまえばそれまでですが、アルプスなどと比較してもその危険性は変わりなく、むしろ高いと言っても過言ではないでしょう。
傾斜が緩くなると現れる「名も無き滝」。一条、二条、滑滝…。新緑が水面に映るかのごとく、清らかな世界です。事前に調べていた難所「大滝」。その分岐点(迂回路)に気付かぬまま大滝へ到着。しかし、この時期は水量が少ないのか大滝と気付かぬまま(笑)通過し、崖の巻道に取り付き、迂回路と合流したところで「さっきのが、大滝か… ^^; 」。そこからしばらく歩くと長石尾根との分岐点となり、三ッ口谷を離れます。尾根に入ると夏を思わせる陽射しに晒されます。前方には露出して白く光る稜線と鋭角的な岩峰。谷筋を進むことで、知らず知らずこの高さまで登ってきたことに正直、驚きました。前回、ここを歩いた時は視界が良くなかったため、今日はどんと腰を下ろした「御在所岳」を見ることが出来、「さすが主峰だなぁ」と感じました。
ザレた斜面では自らを起因とする落石に気を配り、谷筋とは異なる注意力が必要です。少し平坦な場所で周囲に目を配れば、南部鈴鹿の名峰と少し霞んだ伊勢平野。束の間の休息です。そして、薮中の急登を過ぎれば、忽然と現れる山頂標識。1,161m 鎌ヶ岳登頂。
下りは長石尾根を利用しますが、全体的にザレており足元は安定せず、何度か繰り返される登り返し。また、両側が切れ落ちた箇所もある地味に厳しいルートです。そんな状況をアカ・シロヤシオやイワカガミなどの花たちに支えられ、長石谷と合流した後に待ち構える最後の渡渉と駐車場までの登り返しを務め上げ、無事下山。
下山後は、暑さに負けたいつもの…(笑)

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どこからでもすぐに判るのは 本家の槍と同じ
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今年は初めてですね…イワカガミ
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岩陰にひっそりと?…キランソウ
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玄関口は優しい表情の三ツ口谷
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この道を超えなければ 次の道はありません
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見事でしたが イメージと異なりました…大滝
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御在所岳本谷とは 様子も雰囲気も異なります
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鈴鹿の谷っぽい 素敵な場所でした
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大滝よりも この滝が印象的でしたね
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頭上が開けると 分岐点も近い…
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長石尾根から 山頂を見上げます
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ホームでは 一番急登が続く 鎌ケ岳
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御在所岳…ピークは 真ん中左の小さな三角形
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アカヤシオの谷は 新緑の谷となっていました
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根元の葉が細いので…ハルリンドウかな?
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5月と言えば この花ですね…シャクナゲ
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山頂直下…伊勢平野までは指呼の間
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見た目より厳しい…水沢岳へと続く「鎌尾根」
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雨乞岳をバックに…アカヤシオ
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新緑の長石尾根で帰ります
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咲き始めのホワイトベル…シロヤシオ
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下山までお付き合いいただきました
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三ツ口谷越しに 鎌ヶ岳
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最後の難所は 水量が少なくて 助かりました
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冷たい いつものの季節になりました…(笑)