Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

ホーム解禁…女王と紅の羊たち

10月30日 三重県竜ヶ岳
蛭休みだったホーム鈴鹿。晴れ予報に期待しながら、今週末は混雑が予測される駐車場に向かいました。

ホームが再開されると季節は秋本番。ところが、今年はようやく朝晩が秋らしくなってきた程度で、紅葉も遅れ気味。天候と所用でひと月以上も山行から離れており、慣らし程度の山と思っていましたが、平日の晴れと言うことで、週末には登れない人気の竜ヶ岳に決めました。
ここは開放的な稜線「遠足尾根」を楽しめることから、近年は季節を問わず人気が高く、特に、シロヤシオの咲く頃や紅葉が始まると大勢の登山者で賑わいます。また、冬になれば関西屈指のスノーシュールートは、時には登頂を拒む難コースにもなります。この時期、牧歌的な景色を楽しめる山頂直下は、白い羊と称されるシロヤシオが紅の羊となり、谷を駆け抜けます。四季折々、訪ねる人に違う表情を魅せる竜ヶ岳は、ホームの中でも変化に富んだ山です。
台風の影響を心配しましたが、林道や登山道に倒木はなく、青空を背にした女王を目指し、植林帯の急登と向き合います。支尾根にのると、頭上を覆っていた針葉樹は広葉樹となり、稜線と斜面は昼と夜の境界線に見えます。昨年の11月中旬、このあたりの紅葉は見頃を迎えていました。今は少し色づき始めた程度ですが、台風の影響か、葉を落とした木々も多くあります。
アップダウンやトラバースを経て、ロープの張った痩せ尾根区間を過ぎると、尾根の名前に相応しい「大人の遠足気分」が味わえるルートの始まりです。
前回ここを訪ねたのは2月。山仲間、バンビー4の冬遠足。今年は雪不足で真っ白な女王とは成りませんでした。今は、ちょっと秋色になった女王の頂が稜線の向こうに見えています。
ここから女王の下へは、アセビの庭園やシロヤシオの林、天に続く笹原の一本道など、移り行く季節を楽しむかの如く、素敵なプロムナードを進みます。昨日の雨の影響か、朝、自宅周辺は濃い霧に包まれていました。今も山麓の町並みは霞んで見え、伊勢湾の海岸線も光の中に浮かんでいます。
気の早いシロヤシロが「紅一点」と言わんばかりに仲間の林で色付き、際立っていました。斜面一帯が染まる紅葉は見事ですが、オンリーワンの紅葉も目を引きます。そんな秋色とは対照的に、濃い緑色の葉を陽光に照らすアセビの若木。誰かが手入れをしているわけでもないのに、その配置は日本庭園を思わせます。年々、泥濘度合が進み、歩きにくくなる直登を終えると、金山尾根分岐。周回する場合に利用するルートのひとつです。ただ個人的には、登りと下りで表情が異なる遠足尾根のピストンをお勧めします。
近付きそうで近付かない女王。それでも、頂部分が覗いていた最初とは違い、その姿を現す毎に奥深さを増していきます。蛇谷に向かって流れるように折り重なった斜面はしなやかで、見る者の心に安心感を呼び起こします。気品に溢れたその表情は、いつ見ても「鈴鹿の女王」。
山頂上空だけ雲が沸き、この一帯だけが陰となるのは「竜ヶ岳あるある(笑)」。時々、雲間から現れる陽射しが斜面を照らすと、まるで命を吹き込まれたかのように紅の羊が駈け抜けます。次々と谷を駈け上っては、遠足尾根を越えていく羊たち。そして、雲に覆われて陰になれば、動きがピタッと止まります。そんな寓話の世界がここに広がります。
山頂は思った以上の賑わい。風も穏やかでそれぞれが昼食を楽しんでいる様子でした。我々はいつもの場所へと移動し、女王と向き合いながらのランチタイム。展望よりも…「We LOVE 女王」です。
ホームを初め、関西周辺の秋はこれから。そんな思いを抱きながら、いつもの場所に向かいます。
下山後は、ハロウィン仕様に一瞬心が動いたものの、定番でいつもの…(笑)

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いつ見てもワクワクする稜線…車中からの遠足尾根
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第1ポイント…岩山の展望台
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木洩れ日が優しい 冬枯れ風な「秋の稜線」
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下部は枯れていました…トリカブト
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さて 遠足気分の始まりです
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ここで お月見をしたい気持ちになります
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緑のグラデーション…もうひとつの秋景色
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紅葉を先取り…シロヤシオ
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あの登りが遠足尾根の核心部
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核心部から振り返れば ちょうど良い 休憩ポイント
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秋の雲とは思えない…10月30日の空
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羊を見守る貴方は…竜の羊飼いか…
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蛇谷へ下りて行く 紅の羊たち
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派手さはないが 心を打つ 関西の秋
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小高い丘を乗り越えて…
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羊が一匹、羊が二匹…zzz
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陽射しとともに振り返る…登頂がまた遠くなる…(笑)
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今日の出逢いは…一期一会
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さて 昼食場所に向かいましょう…
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この辺りから望む姿が 一番美しいと思う
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次は 雪の頂を 魅せてください
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日本の秋は 素敵ですね
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結構 気に入っています…アセビ庭園
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ようやく 秋らしい空に なってきました
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秋の大人をイメージしたいつもの…(笑)