Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

2020年 初登り…登頂と撤退

1月1日 愛媛県石鎚山(弥山)
冬山を登り出して数年…初めての元日登山に胸膨らませ、海を2度渡って、山麓の駐車場へ向かいます。

2020年は比良山系で年越しテント泊をして、琵琶湖越しの初日の出を予定していましたが、日程的な余裕が出来たため、観光と娘夫婦宅訪問を兼ねて、四国の山を計画。この時期のアクセスや山行、そして元旦と思えば、目指す山は霊峰「石鎚山」。
この山に初めて登ったのは、2014年の夏。瓶ヶ森林道(通称、UFOライン)を使用して土小屋ルートで向かいました。今回はアクセスの良い石鎚登山ロープウェイを利用した成就社ルート。成就社とは、石鎚神社 中宮のこと。「物事の成就を祈り、またその願い事を叶えるお社」であることから、初詣にもなる有難いルートです。
石鎚山は最高峰「天狗岳」、石鎚神社奥宮頂上社の建つ「弥山」、南尖峰等の総称であり、古くから山岳信仰の山とされ、途中何ヶ所かに設置された鎖は、登山でよく見かける物とは異なり、大峯奥駈道でも見かける、大きくて太い鎖。また、登頂は「登拝」と呼び、山行そのものが修行の場になっています。
元日は初日の出を山頂で拝もうとされる方のために、普段は8時40分始発のロープウェイが4時から運行されています。我々は初詣登山のため、昼頃の登頂を目指し、8時前に乗車です。乗客の大半は中宮 成就社へ参拝される方。成就駅に降り立つと、霧氷と青空になるであろうまだ明けきらぬ空に出迎えられ、初登りが素晴らしい1日になることを十分に予感させました。
うっすらと白くなった参道を歩くこと約20分、中宮 成就社に到着。お詣りを済ませた後、見返遥拝殿に向かいます。ここは石鎚山開山の祖、役小角が山頂より下山し、遥かに山頂を見返し、「吾が願い成就せり」と改めて石鎚山を拝したところ(石鎚神社HPより)と伝えられ、祭殿の真正面には石鎚山が一幅の絵の如く、鎮座されていました。
神門をくぐり、いよいよ登拝の始まりです…が、まずは、八丁に向けて下ります(笑)。所々に配された木の階段は雪で滑りやすくなっており、チェーンスパイクで安全確保。「遥拝の鳥居」をくぐれば、階段メインの登りが続き、試しの鎖、前社ケ森小屋を過ぎると展望が一気に広がる「夜明かし峠」に到着です。
見返遥拝殿で拝んだ石鎚山はその岩肌を読み取れる距離となり、左側には美しい瓶ヶ森から続く稜線と山並み、そして、右側には瀬戸内の海岸線が広がります。ここまで、御来光登山をされた多くの方とすれ違いました。今日はきっと素晴らしい初日の出だったことでしょう。
一の鎖を過ぎれば、前回利用した土小屋ルートと合流。ここには二の鎖が設置され、前回は登りましたが、今回は迂回路を利用します。それでも、ここから続く桟道と呼べる迂回路は、一歩間違えれば、鎖場より危険なルートであり、時折、10m近い風が吹くことから、チェーンスパイクを金網に引っ掛けないよう慎重に足を運びます。三の鎖を過ぎれば、もうあと一息。西ノ冠岳から堂ヶ森に続く草原の稜線が望めれば、頂上へ続く最後の階段になり、頂上社の向こうには、下から見上げた天狗岳の岩屏風が、天を貫く剣先のように鋭く、その岩峰を私達に魅せてくれました。
バディの了解を得て、天狗岳へ向かいます。最初の下り鎖でプチスリップ。岩場ではチェーンスパイクは威力を発揮しませんね。その後、夏道を思い出しながら岩場を避けて進みますが、どうしても岩場を通過しなければなりません。
終盤、3m弱の縦移動。「ここを登ってしまって帰りは大丈夫か?」躊躇していると後から来られた方が身軽に登って行かれます。そのステップを見ながら後に続いて稜線付近まで登りましたが、次の岩場のトラバースがどうしても安全に戻って来られる確信が持てません。「山頂はあの岩の裏側、ここさえ渡れば…」と思えるも、「無理せんといてや」と、見送られた時のバディの声が思い出され、ここをピークとしました。
「ザックをデポしてたら行けたか?いや、ザックがあったから無理せずに落ちなかったか…」
結果は誰にも判りませんが、安全に戻ったことが何より「正解」です。
御来光登山に賑わっていたであろう山頂も今は10名程度で、皆、頂上社の陰で風を避けています。雪が少ないのは致し方のないこと。それより、この青空と展望を与えてくれたことに感謝です。
最後に西日本一(弥山:1,974m 天狗岳:1,982m)空に近い場所から、2020年の安全登山祈願とその決意を新たにし、無事に戻って来られた安堵感と共に、山頂を後にしました。
成就社に戻り、遥拝殿で感謝の参拝。本殿横で宮司さんと言葉を交わしながら、新年らしい登拝が素晴らしい天気に恵まれたことに、あらためて感謝。2020年 初登り、満たされた気持ちで無事下山。
下山後は、一夜明けてからのいつもの…(笑)

f:id:Regulus0821:20200105154819j:plain
2020年初登り よろしくお願いします
f:id:Regulus0821:20200105154941j:plain
神門が 登拝の玄関口
f:id:Regulus0821:20200105155027j:plain
登拝が困難な方はここまで…遥拝の鳥居
f:id:Regulus0821:20200105155056j:plain
2020年元日の朝…この景色と出会える幸せ
f:id:Regulus0821:20200105155130j:plain
今回は試しません…試しの鎖
f:id:Regulus0821:20200105155210j:plain
少しずつ視界が広がり 明りが灯ります
f:id:Regulus0821:20200105155245j:plain
林道からの景色も素晴らしかった…瓶ヶ森
f:id:Regulus0821:20200105155324j:plain
「遥拝の鳥居」以来の再会…夜明かし峠
f:id:Regulus0821:20200105155406j:plain
「厳しさ」より「美しさ」が勝る景色でした
f:id:Regulus0821:20200105155440j:plain
四国と本州を結ぶ…しまなみ海道来島海峡大橋
f:id:Regulus0821:20200105155513j:plain
夜明かし峠を過ぎれば 自然と足が止まります
f:id:Regulus0821:20200105155544j:plain
左を向けば 空と瀬戸内
f:id:Regulus0821:20200105155621j:plain
あの稜線を 歩くことは出来るだろうか…
f:id:Regulus0821:20200105155704j:plain
アルプスにはない景色が 最近はお気に入り…
f:id:Regulus0821:20200105155809j:plain
この稜線も四国らしい連なり…堂ヶ森~西ノ冠岳
f:id:Regulus0821:20200105155917j:plain
数多くの階段物語も これにて完結
f:id:Regulus0821:20200105160004j:plain
天狗岳に霧氷があって良かった…」は 正直な感想(笑)
f:id:Regulus0821:20200105160052j:plain
唯一 安心して歩ける区間(弥山~天狗岳
f:id:Regulus0821:20200105160126j:plain
雪の部分を降ります…丸みのある石が曲者
f:id:Regulus0821:20200105160206j:plain
この先で撤退…チェーンスパイクでは 体重を預けることが出来ませんでした
f:id:Regulus0821:20200105160241j:plain
稜線から夜明かし峠…遠くに「中宮 成就社」
f:id:Regulus0821:20200105160320j:plain
近くて遠かった 天狗岳の頂
f:id:Regulus0821:20200105160356j:plain
まずはバディの待つ あそこまで…弥山
f:id:Regulus0821:20200105160458j:plain
この鎖は「生還の鎖」と名付けたい
f:id:Regulus0821:20200105160535j:plain
山並みの向こうには 太平洋
f:id:Regulus0821:20200105160701j:plain
頂上社前より 鳥居前から見た天狗岳がお気に入り
f:id:Regulus0821:20200105160611j:plain
遅くなりましたが「本年もよろしくお願いします」
f:id:Regulus0821:20200105160742j:plain
ではまた 次の機会に…
f:id:Regulus0821:20200105160819j:plain
本来「お下りさん」は谷側を歩きます ^^;
f:id:Regulus0821:20200105160849j:plain
新春参拝記念(先着500名)を頂きました(袋は御守り)
f:id:Regulus0821:20200105160922j:plain
久しぶりのおみくじは「大吉」…ただし 女難あり…(笑)
f:id:Regulus0821:20200105160953j:plain
2人で戻って来られて良かった
f:id:Regulus0821:20200105161024j:plain
いつもながら 麓から見上げれば 感慨は一入
f:id:Regulus0821:20200105161047j:plain
愛媛と言えばこれ 御来光のような いつもの…(笑)