Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

厳冬期の北八ヶ岳・・・風は冬 陽射しは春

2月24日 長野県東天狗岳
天気と休暇が合致して3年3ヶ月振りに湯みち街道の終着点に向かいました。

当初は冬のテントライフと思っていましたが、翌日の天候が思わしくなく、又、準備期間も短かったため、日帰り山行としました。行先候補は「編笠山」「赤岳」「横岳」「硫黄岳」「天狗岳」の八ヶ岳。天候は心配なく、ただ稜線の風は昼前まで強い見込み。それぞれの雪の状態を確認して「天狗岳」に決定。
渋の湯は11月としては54年振りに積雪があって以来で、その時は登頂せず、高見石経由で周回。東天狗岳は1年半振りで、厳冬期としては5年振り。
「もう そんなになるのか…」と自分の山歴を振り返ります。
雪不足で助かるのは駐車場までのアクセス。同じく登山口となる唐沢鉱泉と比べて、つづら折りの標高が低いこちらの方が走りやすいと思います。さすがに、ノーマルタイヤでは無理ですが、全面凍結していた個所は最後の道幅が狭くなってからしばらくの区間のみで、帰りには溶けていました。ただ路面状況は悪く、慎重な運転が必要です。
朝のうちは風が残る予報のため、昼前の登頂を目指し、駐車場は8時到着としました。この時間の出発でも十分日帰りが可能な天狗岳はとても魅力的です。3連休最終日とは言え2日間は天候がすぐれず、駐車場はほぼ埋まっていました。数組の方が出発準備をしていましたが、大半は出発済。これも計算通りでゆっくりと山行を楽しめそうです。
経験上、黒百合平まではノーアイゼンで登れなくもありませんが、風の状態もわからず、落ち着いて支度の出来る駐車場で、すっかりご無沙汰の12本爪アイゼンを装着。昨年GWの立山以来です。
橋を渡り、つづら折からトラバース、支尾根までの直登の後は、黒百合平へ雪のハイウェイ。前回、唐沢鉱泉から周回した際、これほどまでに歩きにくかったかと思った石の点在する道は、雪で整地され、アイゼンもよく効いてとても歩きやすくなっています。左右に視界が開け始めると黒百合平も近く、樹林帯を抜ける瞬間は季節を問わず、気分が高揚します。
登る人、下る人、泊まる人…。賑わいを見せている黒百合平で小休止。稜線上の風を想定し、エネルギー補給をします。ここでは風の状態が掴めず、「試しの登り(勝手に命名)」付近で様子をみようかと、そのまま出発しましたが、中山峠ですれ違った下山者の恰好からここで防風対策を整え、登頂に備えます。
樹林帯を抜ければ両雄の天狗岳が目の前に現れると同時に、風もご挨拶。想定を超えることはなく、登頂は確信しました。積雪が少ないため、岩が露出している箇所も多く、アイゼンでの通過には注意が必要かもしれません。何度かの樹林帯を過ぎ、最初の壁を迎えます。ここはステップが切ってあり、アイゼンを引っ掛けなければ問題ありません。頬を打つ氷片混じりの風はバラクラバ無しでは歩けませんが、身体を包む陽射しは残雪期です。途中で薄手の手袋に替えたところ、結果的にこの判断は間違っていました^^; 高度を上げるとともに近付く天狗岳。後ろを振り返れば、蓼科山へと続く北八ヶ岳の稜線と黒百合平から山麓へ広がる森。それらの彼方には小春の陽気か花粉の影響か、霞んだ北アルプスから中央、南へと広がる白き稜線。
カレンダー的には厳冬期。ただ、それを感じさせない今日の天気。それでも、久しぶりに見る八ヶ岳の雪景色と風は、痺れさせてくれました。
「天狗の鼻」直下の直登とその後のトラバースが核心部ですが、凍っている箇所はなく、アイゼンとピッケルの操作をきっちりして通過すれば、山頂までは指呼の間。しかし、天候と風次第で大きく変わるのがこの季節の山。暖冬とは言え、やっぱり「厳冬期」。
大勢の登山者で賑わう東天狗岳山頂は、人に押されないよう、また、押さないよう注意が必要でした。大半の方は西天狗岳に向かったため、ほぼ貸切状態。南八の景色を見ることが出来た私達は、ここをピークとし、気持ちを切り替えて山頂を後にしました。
結果、下りも自分達のペースで歩くことが出来、予想以上に静かな山行を楽しめることになります。私達にとっては、ピークより大切な時間です。
下山後はジェラートで火照った身体を冷やし、翌日、安曇野の山友と一緒にいつもの…(笑)

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雪のハイウェイ ジャンクション
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「光の国」への入り口…黒百合平
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気温は8℃ 陽射しが有難い
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再会…中山峠
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今年の積雪状況が判ります
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遥かな岩峰「ニュウ」と原始の森「稲子岳」
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学ぶことが多い雪山初級ルート
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踏んだ回数だけ ステップが育ちます
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霞んでいますが 諏訪湖に北アの稜線
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鼻が近付いてきました…すりばち池分岐点
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核心部…鼻への直登
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振り返って…あくまでも イメージ画像です(笑)
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タイプが異なる双耳峰…西天狗岳
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山頂の賑わいがここまで伝わってきます
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風は写りませんが 尻皮で想像してください
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あの頂に立ってから 3年が経ちました…
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北八稜線を眺めながら 帰ります
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トラバース道 突風に注意
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鼻の下りに向けて 雪道を楽しみます
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ちょっとだけ トレースを外れて…
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残雪期のような斜面でも 雪質はやはり「冬」
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雪の森歩きも このルートの楽しみ方でしょう
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今日は一日 山日和でした
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杏仁豆腐、キャラメル、地元中学生考案の縄(じょ)ラート…
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山談義に春色を添えて いつもの…(笑)