徐々に取り戻し始めた日常生活と共に、新しい山の過ごし方を感じようと車を走らせました。
山から離れた3ヶ月、この間、裏山の新緑は濃い緑へと変化し、入梅となりました。自宅周辺を散歩していたとは言え、この間の体力低下は否めず、また、30℃を超える真夏日の関西では山域も限られます。ホーム鈴鹿は蛭休み中。比良は暑い。残るは、大峰・台高方面。
この時期、1ヶ月余りに渡って次々と白い小さな花を咲かせるクサタチバナ。その群生地が大峯奥駈道にあり、登山口からは1時間半程。雨さえ降らなければミルキーウェイの森も幻想的で、久しぶりに履く山靴の感触を楽しむには丁度良いと判断しました。
今回も2年前にこのブログで紹介をしているルート。旧林道上に乗り捨てられた廃トラックにちなんだ通称「タイタン尾根」を利用し、群生地に向かいます。このルート、奥駈道の合流点を境とすれば、前半、急登と平坦道を繰り返すものの、それぞれ20分程度と長くは続きません。廃トラックに引っ張られ気味ですが、このルート最大の見所は、巨木にあると僕は思っています。僕が「森の主」と称する木を初め、数多く点在する巨木は見る者に力を与えてくれます。幾多の時代を過ごしてきた幹に手を重ねずにはおれません。また、廃トラックを過ぎてからの狭い尾根道の両側は、険しく切れ落ちており、広葉樹と針葉樹の間に聳える巨木は、訪れる度に足が止まります。そして、そのような厳しい環境の中、廃トラックが行き来をし、林業が盛んに行われていた時代があったことを思いながら歩くのも、一般ルートにはない楽しさだと思います。
後半の奥駈道はとても歩きやすい「公園の散歩道」。一旦下って、登り返せば、唯一の核心部、岩が露出した上り調子のトラバース。ここも谷側は急斜面になっており、雨上がりの下りは注意が必要です。
そこを過ぎればクサタチバナの群生地に出迎えられ、しばし緑の浮遊感を楽しみます。大台ヶ原など台高の山並を見渡しながら現れるトリカブトの群生地を過ぎれば1486ピーク。今回の折り返し地点。一般的にはこの先にある行者還岳を目指すのでしょうが、私たちが求める山はここまでで十分です。
いつもは稜線上で聞こえるハルゼミが今回は登山口でも響いています。出発時(10時25分)の気温18℃。標高1,070mはホームでは稜線上に位置し、下界の暑さとはまだ無縁です。それでも少し歩き始めれば、汗が滲みだし始め、樹々を抜けるひんやりとした風と木陰に助けてもらいます。平坦な道を歩けば、次第に汗も乾き、次の直登に備えます。樹間に空が見え始めると稜線「奥駈道」。稜線上は西寄りの風が強く、一気に身体を冷やし、夏の陽射しもさほど気になりませんでした。すれ違う人も疎らな平日。ハルゼミと鳥達の鳴き声が身体全体を包み込んでくれます。照り付ける陽射しは季節が夏になっていることを教え、今夏の遠征山行をどうするのか問いかけてきます。
クサタチバナの群生地にはバイケイソウの花茎が伸びてきており、そろそろ終盤を迎えているようですが、再会することが出来ました。いつものように、次回までしばしのお別れです。
帰り道、野鳥数羽をカメラに収め、今後の新しい山との関わりを感じながらも、まずは、山に入れたことに感謝です。
下山後は、やっぱり暑かった下界にて、いつもの…(笑)
巨木ゾーンの門番さん…今年もよろしく
近寄れませんが そのパワーは感じます
堂々とした姿は「主」に相応しいと思います
この迫力は この時期ならではのことでしょう
緑に埋もれた姿に 時代と哀愁
奥駈道にも引けを取らない この尾根道
空と稜線が重なれば 「奥駈道」
大峰を代表する「八経ケ岳」と「弥山」
このルートで最も好きな道
奥駈の星…ヒメレンゲ
こちらを向いて笑っているようです…クサタチバナ
この群生地を訪ねるだけで 十分な私たち
ここを下れば 天川辻…1486ピーク
ようやく 逢えましたね…ハルゼミ
アルプスにはない 親しみやすさを感じます
「次は私の番」と言っているよう…バイケイソウ
4羽のゴジュウカラ…巣立ちをしたところでしょうか?
昼下がりは もう盛夏です
キツツキの代名詞…アカゲラ (トリミング処理済)
ここは自然の曲線美が溢れています…
6月から販売のみたらしと共に…やき餅
森の道化師…ヤマガラ (トリミング処理済)
広葉樹と針葉樹のコラボ…やがて同体となるのか…?
吉野川を眺めながら いつもの…(笑)