Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

いつもののあとに…山散歩

6月27日 奈良県日出ヶ岳
出かける目的は、山歩きかランチか、それとも鳥か…。それを全て満たしてくれる山域に向かいました。

先週の伊吹山同様、ドライブウェイを利用して標高1,580mにある駐車場から「日出ヶ岳」、基準点名「大台ヶ原山」に向かいます。近年、ここは午後の時間帯に登りだすことが多く、山歩きの基本からするとこれはイレギュラー。その訳は、駐車場から山頂まではよく整備された登山道であり、その大半は横移動であるが滑落の危険性が少ないことや天候の急変が心配される場合は行動しないことが挙げられます。また、駐車場や登山道が混雑する時間帯を避けることも理由のひとつ。そして、今日も14時を過ぎての出発。
日出ヶ岳」と言う名前より「大台ヶ原」として親しまれているこの一帯。その中で、中級コースとして紹介されている東大台を周遊するのが一般的な登山ルートではないでしょうか。私達は初級ルートとして紹介されているルートを更に短くし、駐車場と山頂の往復4㎞、CT 75分。特に最近、聞くだけに留めていた鳥たちとの関わりに「見る(撮る)」を加えた私達は、CTより時間を要するため、山頂を登らずとも楽しめるこのルートが丁度良いと思いました。
まずはビジターセンター横のベンチで、いきなりのいつもの…(笑)
予報では日中雨が降ることはないとのことでしたが、曇よりとした空模様を見ると、年間降水量5,000mmと言う世界的に見ても大雨地域の大台ヶ原においては、少し心配になります。傘を差すのは面倒、でも鳥は観察したいし、山頂からの展望も楽しみたい。この三角関係を成立できるかが今日のポイントでした。
登山道に入ってしばらくすると中道ルートから聞こえる工事の作業音。それに鳥の鳴き声が混じり始めます。まだ鳥の声を聞き分けることは出来ませんが、日本三鳴鳥の一種「こまどり」の樹間を貫く、まるでレーザービームのような声はすぐに聞き取れました。続いて、我が町の市鳥「鶯」(この鳥も日本三鳴鳥)と共に美しい旋律を奏でる声が響き、周囲を見渡していると、声の主とは別の小鳥が数羽、忙しなく枝から枝へと移り渡っています。ヒガラの幼鳥でしょう。先日訪ねた大峯奥駈道でもゴジュウカラの幼鳥が群れていたので、今は巣立ちの時かも知れません。次は、一羽しか鳴いていないのに、周囲を照らすかのごとく響き渡る声。しかし、これもまた姿を確認できないまま先に進みます。
登山道に石畳が現れると山頂への分岐点が近付いてきたことを知らせます。展望テラスを過ぎ、核心部の階段を登れば、展望台の建つ山頂に到着。高曇りの下、大峯奥駈道の山稜が遠く熊野へと続き、視線を移せば、熊野灘の海岸線が霞の中に見て取れます。湿り気のない風と20℃を下回る気温は、ここが1,700mに近いことを伝え、「山の空気」が毛細血管の隅々まで届きます(笑)
雨の降る気配がないため、更に時間を掛けて駐車場に戻ります。まずは、ゴジュウカラの幼鳥が登山道脇に現れ、愛くるしい羽繕いの様子を10分程見せてくれました。そして、森を照らす鳴き声の主を発見。それは、日本三鳴鳥の残り一種「オオルリ」です。生憎の空模様で、その瑠璃色の輝きまでは見えませんが、木のてっぺんで堂々とした姿から発する声は正しく「宝石の輝き」。いつまでも聞いていたく、その場所を離れる機会が見当たりません。往路、美しい旋律を奏でていた鳥は、まるで間違い探しの絵の如く、涸沢の石の上に立っているところを収めることが出来ました。愛称「ミソッチ」の「ミソサザイ」。一瞬とは言え、ピンと上がった短い尾羽が特徴的な姿は一目で判ります。最後に、まだ声しか知らぬ「コマドリ」。本日一番の接近となりましたが、今日はここまでと言わんばかりに姿を見せることはなく、閑散とした駐車場に到着。3時間余りの行動は、山歩きに加わった新たな楽しみのお陰で、時間以上の喜びと感動がありました。これからも、高山植物とは違う「華」を添えてくれそうです。

f:id:Regulus0821:20200628202918j:plain
昭和の別荘地を利用した 「モチモチ十割蕎麦」のお店に寄ってからの…
f:id:Regulus0821:20200628203030j:plain
鳥のため 望遠レンズが外せない…
f:id:Regulus0821:20200628203058j:plain
晴れ間より 高曇りの方が 美しいと思う森
f:id:Regulus0821:20200628203137j:plain
トウヒ、シラビソ…関西有数の森
f:id:Regulus0821:20200628203349j:plain
追いかけて 追いかけて…ヒガラ (トリミング処理)
f:id:Regulus0821:20200628203404j:plain
ヒガラを追いかけて 気付けば 後ろに幼鳥… (トリミング処理)
f:id:Regulus0821:20200628203449j:plain
今日は誰と 出逢えるのだろう…
f:id:Regulus0821:20200628203657j:plain
新しい命が ここから始まります
f:id:Regulus0821:20200628203733j:plain
この辺りは 静寂の森 でした
f:id:Regulus0821:20200628203837j:plain
核心部(笑) へと向かいます
f:id:Regulus0821:20200628203921j:plain
実りの秋に向かって…ブナの実
f:id:Regulus0821:20200628204132j:plain
雨の源「熊野灘」 そして 山が豊かになる源
f:id:Regulus0821:20200628204246j:plain
ビジターセンター越しに 天狗岳釈迦ヶ岳
f:id:Regulus0821:20200628204446j:plain
慌てずに 時間を楽しむ余裕が欲しい 階段道
f:id:Regulus0821:20200628204331j:plain
10日前はあの稜線からこちらを…大峯奥駈道
f:id:Regulus0821:20200628204512j:plain
前回は 山友を案内して 正木峠から登頂しました
f:id:Regulus0821:20200628204538j:plain
この景色が日出ヶ岳でしょう
f:id:Regulus0821:20200628204621j:plain
どんな時でも 山では注意を怠れません
f:id:Regulus0821:20200628204655j:plain
テラスを楽しむには この時間帯が丁度良い
f:id:Regulus0821:20200628204828j:plain
あどけなさが判りますよね…ゴジュウカラ(トリミング処理)
f:id:Regulus0821:20200628204856j:plain
その一挙手一投足に 癒されます
f:id:Regulus0821:20200628204950j:plain
ホーム主峰のバリエーション以来のオオルリ…何年振りだろう (トリミング処理)
f:id:Regulus0821:20200628205028j:plain
声良し 姿良し そして 撮り易さ良し (笑) (トリミング処理)
f:id:Regulus0821:20200628205135j:plain
昨年の上高地以来…ミソサザイ (トリミング処理)
f:id:Regulus0821:20200628202954j:plain
山行前でしたが 順番的には やっぱり最後にいつもの…(笑)