Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

アートと共に 秋ハイク

11月4日 奈良県曽爾村
ホームを予定していた平日は、予定を変更して紅葉の渓を抜けた先にある村役場の駐車場に向かいました。

地元のテレビ局が夕方のニュースで特集を組んだ「MIND TRAIL 心のなかの美術館」。コロナ禍の現代において、自分の足で歩き、アートを通して身体と自然を感じて欲しい。その思いをコンセプトに自分が居る場所=心の中に美術館が作れるのではないかと、アーティストが自然や大地と共に展示する芸術祭(HPより抜粋)。
会場は奈良県の吉野・天川・曽爾、3ヶ所の広大な大地。
ホーム鈴鹿のルート本谷を延期した空白の平日、自宅に近い曽爾会場を訪ねてみることにしました。
会場までのアクセスは、紅葉の名所「香落渓」を抜けていきます。室生火山群の柱状節理と青蓮寺川が作るV字谷。車窓には朝陽を受けて色鮮やかに染まった樹々が次々と広がります。週末は渋滞する道路も、今日は路肩に停車し、地元の秋を堪能できます。「自然と生活」が調和する地元に感動です。
と、本題のハイキングを前に、思わぬ秋のプレゼントをもらい、予定は大幅に遅れることになりました(笑)。
スタート地点は曽爾村役場。しかし、大々的にPRをしている訳ではなく、TVで紹介された作品が目印程度になっています。まずはガードレールに並んだ作品が青空に映えます。風に揺れる様が気持ちをふんわりとさせます。その道の反対側には、玄関を意味するような作品。そこをくぐり抜けていくのでしょうか。
と言うのも、今日はルートから少し離れたジビエ料理を出すお店でお昼を考えていたため、紹介された順路とは反対周りで歩きます。
田畑が広がる長閑な田園風景。普段は車で通り抜ける道を歩けば、新たな発見もあります。この辺りは、ススキで有名な曽爾高原を初め、室生火山群が生んだ鎧岳・兜岳・屏風岩の見事な柱状節理が見られ、今日はその淵を紅葉で着飾っています。それらの山々を背景に突如として現れる作品。モニュメント的な作品もあれば、メッセージ性の強いものもあり、また、マップに紹介されていない作品が展示されていることから、オリエンテーリングのポイントを探すような楽しみも加わります。
インタビューでプロデューサーの方が「周っていく内に、自然にあるものが作品に見えてくる」と話されていました。これまでも数々の現代アートの作品を鑑賞してきましたが、今回のような自然の中に配置され、ハイキングと調和する作品は初めてです。六甲山でこうした企画をされていることはこのブログで知っていました。しかし、実際に自分で歩いて作品と向き合えば、建物内や狭い空間に集められた物とは違い、大きな自然の中で一体感を保とうとするも不協和音を奏でる立体的なメッセージ。風、匂い、気温、道の高低差、山々のグラデーション。自然の中の不自然さ…。そして、作品の持つ力。これがこれまでになく、一番感じたことでした。率直に「来て良かった」です。
ただ、予定していたお店は営業しておらず、行動食も持参していなかったため、途中から空腹感との闘いにもなり、スタート地点に戻る分岐で撤退 (笑)。全体の1/3を周りましたが、8㎞ほどのハイキングでした。
役場が近付くにつれて女性ボーカリストの歌声が聞こえてきます。今回の芸術祭に合わせ村独自の企画で開催された「奥大和 ユニークベニューコンサート」でした。今日だけ役場前の「そにのわの台所」で開かれ、最後の曲「WHAT A WONDERFUL WORLD」は今日のハイキングを締めくくるぴったりの曲でとても感動しました。もし、来年もこの企画があれば、全ての会場を巡ってみたい、そんな思いを残し、以前から気になっていた蕎麦屋さんに向かうところは現実的…(^^; 昼食後は元々予定していた地元のカフェを目指すものの、祝日営業の振替休日のため、途中にあった青蓮寺湖を見下ろす高台に建つカフェでいつもの…(笑)


岩と緑と紅葉 そして 秋の青空…香落渓

ハイタカ VS カケス 貴重な瞬間でした

天を指す 全山柱状節理「鎧岳」…山頂に立てます

作品でありながら 来場者と他の作品を巡ります

木々の合間に鎧岳…迫力がありました

コース終盤の作品からスタート…屏風岩とリンクしているよう

収穫の終わった田園…中央には兜岳

作品名「道標.8」…夕陽か朝陽か

空腹感を癒してくれる景色に感謝(笑)

阿吽の呼吸が空に揺れます

ハイキングコースと言うよりも 地元を歩くルートです

この作者の作品は どれも景色に溶け込んでいました

曽爾高原に俱留尊山…曽爾村を代表する山

桜の季節も素晴らしい屏風岩…稜線を歩けます

何故でしょう ここにあることで 意味があるように思えます

作品は 景色ではなく 訪れる人に向き合います

本日 一番の気になる作品…

反対周りなので 指す方から 歩いてきました

振り返れば 紅葉の屏風岩…

何かを支え合う「道標」

本日 一番のお気に入り

ススキの影響か 兎が餅つきをしている気がしました

本日 最後の作品…結構なインパクト です

帰り道 朝とは違う 光の香落渓

春には野鳥観察の地 青蓮寺湖

ちょっと固めのプリンで いつもの…(笑)