Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

厳冬期の南八…テントライフ

2月5~6日 長野県編笠山

2月5日
青空を確信させる朝、期待を膨らませ、甲斐駒ヶ岳が望める駐車場に向かいます。

数十年前のGWに娘と登った編笠山。山頂から見た雪景色の赤岳を初め、南八の岩峰群は、まだファミリー登山の域に居た自分にとって強烈な印象を与えました。時が過ぎ、本格的に山をやり始めてからも、編笠山から見る景色は特別な思いに駆られ、訪ねる度に当時を思い出しています。
この時期の拠点、富士見高原からのルートはその山容が表すとおり、長く緩やか裾野から始まりました。
一昨日から降ったものか、登山道に入ったところから、雪が残っています。何度か林道と交差し、盃流しの沢を越えて乗った尾根が、これから始まる山行のスタート地点と呼んでよいでしょう。
テント装備のため、休憩とあわせてアイゼンを装着。ここ数年は1,900m付近の急登地点だったため、ずいぶん手前からになります。昨年の3月、氷結した登山道に苦労し、結局登り切った2,150m付近で撤退して以来の編笠山。そのつづら折り急登は、締まった雪のお陰で歩きやすいものの、去年来、慣れないザックの重さが体力を消耗させます。
前回、撤退した地点を通過したあたりから、トレースはつぼ足状態になり、一歩の負担が急上昇。また、スノーバスケットが破損するトラブルにも見舞われます。このルートは山頂直下まで樹林帯を歩くため、一気に広がる展望は高度感と解放感を味わえます。そして、目の前に現れた小さな空間。疲れていたためか、青空が見えるその空間は、森林限界が近い場所と勘違い。再び、樹林帯に入り、道は更に雪深くなります。そして一度、緩んでしまった気持ちを立て直すことは至難の業で「山頂まで1時間」の案内に心は折れ、山頂を越えた青年小屋での幕営は無理だと思いました。
バディは下山を希望。しかし、それも危険ではないかと思い、樹林帯で幕営できればと適当な場所を探しながら進みます。結果オーライのため、これが正しい判断であったかは、後々考えねばなりませんが、2,299m 森林限界手前の登山道脇にテントを張った跡があり、整地することなく幕営できました。設営中、駐車場で挨拶をした2名の方と話をしたことで、少し気分転換。ここまでの道中では「もう、次はないな」と思っており、山頂からの展望を是が非でもと、渋るバディと共にサミットプッシュ。
ここから道は更に急登となり、待ちに待った樹林帯を抜けました。このことから、山頂を除き、幕営地として最高地点だったと言えます。
岩稜帯に入れば風の洗礼を受けるのが編笠山。断続的に10m程度、時にはそれ以上の西風を全身に受けますが、経験上、登れないほどの風ではありません。背後に広がる富士山、南、中央、北アルプスの展望がこれまでの苦労を風と共に流していきます。所々、踏み跡は消え、また、心配された踏み抜きもなく山頂が少しづつ近付いてきます。そして、エビの尻尾に覆われた山頂標識と共に姿を現す南八の名峰たち。
「明けない夜がないのと同じで 終わりのない登りはない」
そう言い聞かせてきた今回の山行。ひとまず終わりが見えました。
今日の入山者は自分達を含め7名。この時間帯の山頂に立てたことは初めての経験であり、当然、自分達2人しか居ません。衰えを知らぬ風はゆっくりと景色を味わう雰囲気ではありませんが、しっかりと目に焼き付けることが出来ました。また、八ヶ岳を柱に、北は白馬から東の富士山まで続く遠景、近景はいくら見ていても飽きることはありません。しかし、陽が傾き始めた今、安全確保のためには潮時です。屏風絵の如く前方に広がる南アルプスと歩いてきた裾野。丁度、編笠山をひっくり返したかのように、釜無川を底にして、巨大なすり鉢が広がる景色。そこに飛び込むような錯覚を抱きながら樹林帯へと向かいます。全てを脳裏に刻むことは無理だとしても、この帰り道の思い出をいつまでも大切に残しておきたい。
再び樹林帯に入ると、ひとつの幕が閉じた気分。次の幕は水作りから始まる厳冬期テントライフ。編笠山の懐深くで過ごす一夜は、展望に勝るとも劣らないかけがえのない時間でした。

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目指す頂きは この後 登頂まで姿を隠します
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この季節 青空と風は 別物です
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つづら折りが終わる2100m付近は 木漏れ日ゾーン
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トレースの変化に対応しながら進みます
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大きな勘違いをした 小さな世界…
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つぼ足山行は 試練と我慢
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13時40分 奇跡のテント場に到着
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待ちに待った 南ア北部の名峰たち
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森林限界に向かって…
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遂に森林限界を迎え 展望が待つ岩稜帯へ…
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まずは 富士山からの南アルプス…
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続いて 南アルプスからの中央アルプス…
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最後は 中央アルプスからの御嶽と乗鞍岳
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空を眺めれば 岩と雪の世界
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厳冬期の風と共に まずは偽ピーク へ
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ピークに向かって 最後の登り
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富士山やアルプスを眺めながら 雪山を楽しみます
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このルートで最も好きな場所
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次の朝には 崩落したエビの尻尾…日々 変化です
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2月ともは思えない富士山ですが 日本一には変わりなし
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歩いた文三郎ルートを目で追いながら…赤岳
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風を除けた場所からの「阿弥陀岳
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雪面の山脈は 緩やかでした
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厳冬期「編笠山」… 見るものは全て見た気持ちです
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この景色と出逢えたことに感謝
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パノラマの下りは 編笠山の代名詞
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初めての夕暮れ迫る景色は これが見納め
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水を作りながら眺める「雪行灯」
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安定の美味しさに 自画自賛
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風がないため 意外と寒さは感じません

2月6日
上空を過ぎて行く風の音が一晩中聞こえていたように思えます。テントを始めた頃だと気になって眠れぬ夜になったかもしれません。経験は耳栓よりも効果が高く、今ではテントを揺らすほどの風が吹いても眠れます。予報では午前中は稜線に雲がかかるとのことでしたが、昨日同様、雲ひとつない快晴になり、これでは夜明け前に展望地まで登って写真を撮れば良かったかと思いました。
今回のように山行途中で幕営地を変更したのは2度目。前回は5年前の黒戸尾根。その時も山行前日に降った雪の影響で七丈小屋へ辿り着けず、五丈小屋跡に張りました。人の気配が全くない雪のテント場。聞こえてくる風と梢のハーモニー。灯りは自分達のテントだけで真の闇が見える世界。
早朝と同様、昨夜、夜景撮影に向かえなかったのは、体力ではなく気力の問題。私達が計画する冬山テント山行は体力より気力が落ちた分、標高を下げなければなりません。昨日の山行は今後の計画に転機を促す、ひとつの分岐点になったことは間違いのないことです。
朝食をとり、撤収の準備も一段落したところで、一人、森林限界地点まで向かうことにします。最後にもう一度、眺めておきたい気持ち。気力が体力を上回った瞬間です。
空荷とは言え、冷えた身体で急登に取りかかるため、慎重に歩き始めます。昨日、午後の斜陽を受け、黄砂の影響で黄色く染まった中央アルプス方面の空。今朝は青波がどこまでも続いています。槍ヶ岳を眺めるところまで登り、手当たり次第と言っていいほどシャッターを押し、気が付けば寒さで指先に痛みを感じます。迂闊にも、行動用のウール手袋のみで撮影していたためです。もう十分であろうと思えたところで戻り支度を始め、いつものように手袋の中で指先を温めようと拳を握ったところ、左右両方の指数本、第1関節から先が固まっています。感覚はありますが、触れる感覚はありません。正直、焦りました。ずっと握って温めたいものの、樹林帯まではピッケルが必要で、握らないわけにはいきません。逸る気持ちを抑えて樹林帯に戻り、しばし立ち止まって「戻れ、戻れ」と祈りながら指先を温めます。ほどなく、感覚が戻り始め、かゆみと痛みが継続して生じます。この時点で初めて指を見ると、指先が少し赤くなっている程度で、大事には至りませんでした。時間にして10分程度ですが、冬山では「これぐらい」は禁物です。
今回の山行はトレースと言い、直下のテントサイト、そして凍傷未遂とギリギリのところで事なきを得ました。久しぶりであったことを含め、油断のあったことは否めません。また、慣れた山、快晴、最後かも知れない等、様々な要因が思考力を鈍らせています。取りあえず、安全に下山したことは、山行が成功したことの証しですが、正解だったかどうかは言い切れません。
昨日と打って変わってゆっくりとした時間を過ごし、いよいよ下山することに。本当に奇跡的なテントサイトを作って下さった方にあらためてお礼を伝え、昨日苦労した道を戻り始めます。つぼ足だったトレースは、週末登山者のお陰で一本の道になり、夏道より歩きやすくなっています。それこそあっという間に下山した感じで、急坂を下り終えた1,800m付近の明るい林で、春の陽気を思わす暖かな陽射しを受けながら、ランチタイムとしました。白樺林と雪景色。ホームや地元では味わえない雰囲気。今後、雪を踏みたくなったならば、スノーシューハイクへと移行するのも時の流れだと思います。
最後に青空の下、お椀のような頂を見せる編笠山に別れを告げ、人工的にクールダウンさせるいつもの…。

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昨日とは違う 今朝の登り坂
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振り返って眺める景色にも 親近感を感じます
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森林限界を超えて 北岳甲斐駒ヶ岳仙丈ヶ岳
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白き山嶺が輝きを増す 朝の展望
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全ての景色は「一期一会」
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このまま山頂に登ってしまいたくなります
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諏訪湖越しの北アルプス 編笠山らしい景色
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いつの日か 頂きに立ってみたい…北岳
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登頂よりも 印象深い 冬の黒戸尾根山行…甲斐駒ヶ岳
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初めての南アルプスはここから…仙丈ケ岳
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雪景色はいつも遠望…木曽駒ケ岳
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今年は頂きに立つのだろうか…御嶽山
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永遠の憧れ…槍・穂高連峰
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思い出に残る一晩を過ごさせていただきました
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唯一心配だった頭上の雪…
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下山中 最後の展望に感謝
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つぼ足は 見事なトレースに 進化していました
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1本の高速道路が 林の中を突っ切ります
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忘れられない 勘違いの場所
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春を思わす 日当たり良好の林
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何気ない注意書きを胸に 下山します
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しばらくは レンズ越しのにらめっこ
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この道も これが最後の見納めでしょう…
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テントを張ったのは どこだろう…
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山頂から眺めても 麓から眺めても 素晴らしい山に変わりなし
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いつかこの展望を 皆と揃って 眺めましょう
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昭和感たっぷりのお店で いつもの…

雨が降る前に ホームで参拝

1月28日 三重県入道ヶ岳
平日の曇り空。まだ参拝者の姿がない椿大神社の横を抜けて、駐車場に向かいます。

休みと天気が合わないまま1月を終わろうとしています。年末に降った雪も各地で貯金を使い果たし、期待されたほどにはなりませんでした。そんな中、新春を祝う春告げ花「福寿草」の便りが届き始め、行先を雪か花か決めかねていましたが、所により午後からにわか雨の予報に、ホームの中ではショートコースとなる入道ヶ岳に決定。ルートは福寿草が咲く井戸谷ルートを登り、前回下りに利用した北尾根ルートは駐車場への登り返しがあるため、南側の二本松尾根ルートを利用した周回コース。さて、福寿草を見つけることが出来るのかと思いながら、まずは序盤の核心部に向かって集中します。
入道ヶ岳は鈴鹿山脈南部に位置する標高906mの山。登山口は今回利用する椿大神社や北の宮妻峡、南の小岐須渓谷等があり、四方にルートが広がることから、そのなだらかな山頂付近を想像することが出来ます。また、主脈から見れば前衛峰の立ち位置で標高1000m未満と合わせて、ホームの中では比較的登りやすい山です。
井戸谷ルートは樹林帯から始まり、核心部となる小さな滝が続く沢沿い、そして最後、伊勢湾や山麓の町並を眺めながらの笹原急登となっています。中盤の沢沿いでは、要所にロープが張られ、また、雪解け時には落石の巣になることから、下りよりも上りで利用されることをお勧めします。(登山道には、20年3月 下山時に滑落の注意書きがありました)
序盤の樹林帯は急坂で身体が馴染むまでは慌てないことが後半の笹原急登に繋がります。3番ポイントにある祠には横着をして登山道から安全登山を祈願。その後、避難小屋までは短いロープ場や細い道もあり、核心部への準備運動になります。樹林帯も切れ始めた明るい沢沿いで、1本の木に群れる鳥を発見。八ヶ岳ではお馴染みの「鷽(うそ)」でした。鷽と言えば、新年の「鷽替え神事」が思い起され、名前が「嘘」に通じることから、昨年の災厄、凶事が嘘であり、今年は「吉」になることを願って行われます。「替えましょ 替えましょ」の掛け声はありませんが、本物の「鷽」と出逢い「吉」になるよう願わずにはおれません。
美しい沢は危険と表裏一体。落石、滑落、転倒。まさに鈴鹿アルアルです。ただし、注意が必要な区間を過ぎれば、沢と自然林が一体となった、これも鈴鹿らしい道が待っています。
お目当ての福寿草。前回は2年前の3月。群生地は登山道から逸れるため、そのポイントを思い返していました。ここだと思う地点で入り込みましたが、確信が持てず、周囲に株を見つけることが出来なかったため、引き返しました。結果的には、更に入り込まなければならなかったと思いますが、次回の楽しみとなりました。
そして、最後の笹原登り。井戸谷ルートのメインストリート。徐々に広がる山麓の景色と前方の笹原。数年前、真っ白く染まった雪の斜面にトレースを引いた谷。微妙な曲線が演出する稜線までの道は思ったほど長くありません。稜線に合流すれば、北の頭から奥社を経由して山頂に向かう山頂周回ルートもあります。
入道ヶ岳はアセビの山。県の天然記念物にも指定されています。そのアセビのトンネルを抜けた先にある鳥居は椿大神社奥宮。この入道ヶ岳が御神体になっています。笹原のゆるやかな山頂付近は360度の展望で、晴れていれば北アルプスに白山、伊勢湾越しの知多半島などを眺めることが出来ます。高曇りの今日でさえその眺望は素晴らしく、風も穏やかであったことから、昼食とともに満喫しました。
下山時に利用した二本松尾根は急坂の印象が強いルート。その核心部でちょっとしたことから拳大の石を落としてしまい、幸いにも登山者が居なかったため大事に至りませんでしたが猛省。加害者、被害者も表裏一体。忘れがちなことを胸に刻んだ出来事です。
後半は樹林帯の中、変化のない道が続き、河原が見えれば駐車場に到着。片付けをしていると霧雨が車体を濡らし、山頂付近は霞んできました。
下山後は、参道にあった日本茶カフェでいつもの…(笑)。

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通報ポイント設置は それが必要なルートだということ…
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登り初めが急なことは 鈴鹿アルアル
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長居は無用「落石の巣」
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残雪期は 右側からの落石に注意
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今は 左側への滑落に注意
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今年初の花…ネコノメソウの仲間
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実?を食べるのに一生懸命…鷽 (トリミング処理)
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今日は深く沈んで見えました…伊勢湾
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ホームらしい 沢沿いの冬枯れ道…美しい
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さて メインストリートへと参りましょう
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名残雪となるのでしょうか…
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曇り空でも明るい山行が楽しめるルート
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思った以上に 斜度があります
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山麓の景色を楽しめるのは ホーム随一
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稜線に出れば 更に景色が広がります
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アセビのトンネルは 入道ヶ岳の代名詞
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振り返り アセビ越しの鎌ヶ岳と御在所岳
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鳥居に続くこの道も 代名詞…
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貸し切りの山頂広場で 久しぶりの…
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見守っていることを実感できます
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主峰「御在所岳」は やはり貫禄がありました
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雪景色になることを祈って…
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再び アセビのトンネルを抜けて 帰ります
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椿大神社の森を眼下に 中央を横切るは新名神高速
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家庭では味わえない日本茶で いつもの…(笑)

2021年初登りは モノトーンで開幕

1月11日 奈良県三峰山
3連休の最終日。自宅から最も近い霧氷の山の駐車場に向かいました。

関西で霧氷の山と言えば「金剛山」「高見山」と、ここ「三峰山」。シーズン週末は霧氷バスが運行され、公共交通機関利用者にも門戸が開かれます。山域は台高山脈から派生する高見山地東部に位置し、奈良県三重県の県境尾根を歩く「新道ルート」等、複数のルートがあり、登山口は南北両県にあります。また、三重県側の山麓には中央構造線が露出した国の天然記念物「月出露頭」。そのスケールの大きさは地球規模です。
私達は自宅から40分程度で着く、奈良県御杖村にある登山口から山頂を目指します。ここを起点に、不動滝、登尾、新道の3ルートがあり、不動滝↗ 登尾↘ がマイルート。その理由は、下山時の林道歩きを短くすることと、急坂は上りに利用することの2点です。
林道に入ると先日降った雪が所々に残っており、やがて白一色に覆われていきます。そんな中、道端の側溝に沿って飛ぶ鳥の姿。飛んだ瞬間に見えた青い羽根に「ルリビタキ」であることがすぐに判りました。その後数分間、私達を先導するかのように一定の距離を保ちながら飛び、林の中へと飛び去っていきました。登り初めで出逢えた青い鳥。幸先の良い始まりとなりました。
林道から分かれて約10分でルートの名前になっている「不動の滝」に到着。氷瀑の進捗状況は3割程度でしょうか。両側が迫った谷の突き当りにある落差21mの滝は、小さな滝をいくつも従えた堂々たる姿。行場であることからも神秘性も感じます。
ここからしばらく続くつづら折りの急登。昨日までの寒波は幾分落ち着き、体温は一気に上昇します。汗冷えをしないように注意しながらも、出るものは抑えられず(笑)、それでも登尾ルートと合流する頃には気温が下がることを実感でき、いよいよ冬山らしい雰囲気になってきます。
今日は高曇りのため、太陽を浴びてきらきらと煌めく霧氷にはなりませんが、色を無くしたモノトーンの世界は晴れの日とは違う世界を演出し、見た目以上の透明さを感じます。「三畝峠」が県境稜線。以前は下山ルートとして、この尾根を歩く新道ルートで周回していましたが、最近は今日のルートばかりです。
ここから先は更に開放的な林を一色に染める「霧氷大通り」を歩くことになり、時の流れを忘れさせます。最後の分岐点は「山頂」と「八丁平」。八丁平は山頂の南側に広がる笹原の台地。アセビやゴヨウツツジが巨大な日本庭園を飾り、そこに至る樹林帯を抜けるルートは山頂からの下りよりも、トラバース道からの方が立体的な美しさと広がりを感じることが出来、その一本道を歩くことは、まさに、三峰山へのレッドカーペット。まず、目に飛び込んでくるのは、霧氷の林へ適度に配置された針葉樹。その濃淡は光溢れる晴天よりも、今日みたいな曇天の方が際立ち、繊細なグラデーションも浮かび上がらせます。
三重県側からのルートと合流すれば、台高山脈からの派生する多くの山稜が一望でき、眼下に飯高の町並を見下ろせます。この急峻な山腹の地下に中央構造線紀伊半島を横断し、四国へと繋がっています。とてつもない力と時間が眼下の景色に影響しているのではと想像できる三峰山の隠れた魅力です。
さて、八丁平からもうひと登りで円形ステージと呼ぶ山頂広場。そこだけ切り取ったような一角からは、室生火山群の峰々が霧氷フレームの奥にひっそりと佇んでいます。
最も霧氷が美しいと思うのは、山頂から八丁平分岐点までの稜線。八丁平が「全体」を楽しむのなら、ここは「個」を楽しむ一本道。その道を少し外せば、膝下まで埋もれる箇所もありました。合流までの道は、まだまだ続く霧氷を名残惜しむ時間でもあります。
お昼を山頂で過ごそうと大勢の方が登って来られる中、山麓の集落にあるお目当ての食事処を目指して下山したバンビーズ。家を7時に出発して、昼前には下山できる環境に感謝です。
下山後は、自家製でいつもの…(笑)


今年も安全登山をお願いします…ルリビタキ(トリミング処理)

林道歩きが 三峰山への準備運動

氷瀑へは始まったばかり…不動の滝

登山道から少し離れて「不動明王像」

暑くはないけど 汗ばむ登り

登尾ルートと合流すれば 世界が変わります

この案内板を過ぎれば 着いたも同然 (笑)

今日はモノトーンの霧氷通り

八丁平経由で山頂に向かうのが 我が家流

ドア to ドア 3時間でこの景色

青空がなくても 美しい「八丁平」

今来た道を 振り返ります

この道を 下山に使いたくないのです

2021年 ようやく始まりました バンビーズ

八丁平から三重県側の展望…遠くに台高山脈

さて 山頂に向かいます

伊勢方面は 薄日が射しているようです

山頂からの展望は 室生火山群の「俱留尊山」

おらが山「尼ヶ岳」も 顔を覗かせています

コースを外れれば モフモフの膝下通り

一足早く 霧氷祭りを 楽しませてもらいました

山頂からの霧氷通りは 帰りがお薦め

登尾ルートは 変化に富んでいます

駐車場から見上げる稜線は 別世界でした

自家製ぜんざいを焙じたてのお茶で いつもの…(笑)

2020年登り納め…ルート本谷

12月27日 三重県御在所岳
晴れ予報を前日に知り、2シーズン振りの駐車場に向かいました。

先週のマキノ高原がバンビーズとしての登り納めになると思っていましたが、急遽、晴れマークと雪の状況が確認できたことで、1年10ヶ月振りにホーム鈴鹿、冬の定期便「本谷↗ 中道↘」を計画し、慌ててアイゼンの手入れをします。
駐車場に向かう車窓から見える本谷メインストリート。真っ白な1本の筋とは言えませんが、12月としては久し振りの景色ではないでしょうか。道端にはまだ雪が残る駐車場への道。ルート上にどの程度雪が残っているのか気になります。
10数台が停まる8時前の駐車場。数組の方が準備中でした。今年2月の東天狗岳以来となるヘルメット、アイゼン、ピッケルの3点セット。ここ数年、関西周辺の雪山はチェーンスパイクが多く、今シーズンは雪に期待が持てそうです。
本谷の入り口は「山の家」前。楽しみが緊張を上回る中、焦らないように自分を戒めます。ルート本谷は御在所岳一ノ谷をスカイラインから大国岩直下まで歩くコース。大小数々の滝や変化する川筋を全身運動でやり過ごしながら、最後はロープウェイ直下のメインストリートへ向かうバリエーションルートです。
堰堤広場におりると踝程度の雪。ここに雪があるとアイゼンを付けるのがマイルール。雪の状況でコースが変化する冬の本谷。今シーズンは雪と岩のミックスでスタートです。
広場を染めていた雪も樹林帯に入ると岩が目立ちます。岩間のトレースには何人かが歩いた形跡がありますが、それに頼ると歩けなくなるため、都度ルーファイをし、歩きやすい自分のルートを探します。最も、ルートが選択できるのは序盤だけで、やがて、歩ける箇所は限られてきます。
左岸の巻き道を過ぎると、いよいよ本谷ワールド。覆い被さった枝葉はなくなり、沢筋が開け、幾筋もの滝が現れます。それを横目にアイゼンの前爪を岩にかけて登る短い緊張と解放感の連続。本谷に戻ってきたことを実感できます。
前回、ここを訪ねたのは2019年2月。山友を案内しての山行でしたが、その日は雨上がりで雪も今より少なく、アイゼンも不要。ただ、濡れた岩と踏み抜きの雪に注意が必要な状況でした。それに対して今回は、薄くもなく厚くもない着雪で、ピッケルが大活躍。又、手掛かりが少なくバディが登りにくそうであれば、躊躇なくスリングで補助する機会が何度かありました。これまでの経験に頼ることなく、現状を理解した対応力は今後一層重要になってきます。
二股を右に進めば白い鉄塔が見え、赤いゴンドラが遊園地の乗り物にように愛嬌を振りまく上空。視線を戻せば谷が狭くなり、いよいよ終盤に差し掛かった現実に引き戻されます。ほとばしる水飛沫の大黒滝を過ぎれば最後の二股。ここは広い斜面となった左股に進んでしまうことが多い分岐点。ポイントは沢筋から離れないこと。大黒滝を巻くように鎖場を過ぎ、「側溝滝」と僕が呼ぶ、浸食した岩を滑り落ちる滝が現れます。この巻道が力業の必要な個所で、次に現れるジョーズ岩への関門と言ったところでしょうか。
ジョーズ岩。今回、数年前に設置された鎖が無ければ、水に打たれての穴くぐり。岩寄りに鎖を導いた後、それを利用したバディはいつものように登り終えました。しかしここは「後悔先に立たず」の場所で、スリングを利用した簡易ハーネスを付け、ロープで確保した上で鎖場にかかるかどうか、判断に迷うところです。
メインストリートを登るにつれ、雪質は目に見えて良くなり、小さな粒が堆積するパウダー状態。恒例(笑)のゴンドラ手振りを楽しみながら、一歩一歩の積み重ねで本谷終了点に到達。最後の難関、大黒岩への直登はロープの力を借り、ピッケルとアイゼンの補助で通過。ここまで来れば一般道に合流し、ひとまず一息つけます。山上公園ではソリ遊びをする親子連れで賑わいをみせ、霧氷目当ての観光客も大勢訪れています。そんな中、ピッケルをぶら下げ、ヘルメットにアイゼン。そして、袖を捲った姿の私たちは奇異に映ったことでしょう。
絶好の登山日和の中、雪の本谷を楽しめたことは、いろんな出来事があった2020年の登り納めとしては最高でした。来年も可能な限りで山を楽しめればと思います。
下山後は、久し振りに訪ねた御在所岳とセットのお店でいつもの…(笑)

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朝陽に染まる 御在所岳と本谷メインストリート
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冬季閉鎖中の鈴鹿スカイラインからの御在所岳
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思った以上に雪が残っていました…堰堤広場
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これぞ本谷序盤…ルートは直進あるのみ(笑)
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ほど良い緊張感が バリエーションの好きなところ
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ミスター本谷「不動滝」…いつ見ても神秘的
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巨大な岩が点在するのも 本谷ワールド
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トレース(右岸)を振り返ります…歩きやすくなってきました
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力業その1…160cm以上あれば難なく通過
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力業その2…大黒滝の巻き道は岩とのミックス
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力業その3…側溝滝の巻き道は 一番のロング直登
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青空がお似合いの 門番「ジョーズ岩」
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近年は ジョーズ岩の鎖に 助けられています
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本谷メインストリートの別名は「手振り街道」(笑)
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S34 建設 高さ61mの6号支柱は日本一(当時は世界一)
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アイスガーデン…上から見ますか? 下から見ますか?
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歩きやすいが この辺りは 30度を超える斜度
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登山日和は 景色に余裕を与えてくれます
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陽の届かぬ メインストリートも そろそろ終盤
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最後の関門…大国岩への登り
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締まった雪は 気持ちよく登れました
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大国岩より…右端が「富士見岩」
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何とか通行可能でした…右側はアウト!
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本日のピーク「展望レストラン ナチュール」
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ようやく青空の雪景色と 出逢えました
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鈴鹿奥座敷「イブネ」の奥に比良山地「打見山」
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ホーム北部へと続く 雪景色のグラデーション
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精霊の居ないここは 輝く霧氷がお似合いです
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名物「御在所カレーラーメン」と屏風絵「鎌ヶ岳」
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本日のピークから大国岩(右端)
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富士見岩から鎌ヶ岳・大国岩・本谷メインストリート
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一般道「中道」…8合目岩峰手前の鎖場
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中道のメイン「キレット」…鎖場は岩の裏側
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キレット上部から見る 鎌ヶ岳と白鉄塔がお気に入り
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いつもの場所で いつもの振り返り…LOVE HONTANI
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いつかは ゴンドラから眺める日が来るのだろう
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素晴らしき主峰「御在所岳」に感謝
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往きと帰りでは景色が異なる 鈴鹿スカイライン
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ホーム鈴鹿の冬は 始まったばかり
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時間を戻して…雪を連想させる生クリームで いつもの…(笑)

雪の湖北…スノーシューとバンビーズ

12月24日 滋賀県マキノ高原 P562

寒波の恩恵を楽しもうと雪景色に染まる湖北エリアの駐車場に向かいました。

 

関西の山に雪をもたらした先週の寒波。その雪を踏もうとホーム北部か湖北エリアを候補地にしました。前日の予報では降雨の心配があり、雨雲レーダーで降水確率の低かった湖北エリアとし、何度も登っているマキノ高原から寒風を目指すことにしました。

福井県に近い滋賀県湖北エリアは、日本海側気候で降雪量も多く、2017年2月に訪ねた際は、一晩に1mを超える降雪で、山行はラッセル祭りになりました。マキノ高原を起点として登ることが多い赤坂山の最新レポを見ると、70~80㎝の積雪量。私達が目指す寒風は赤坂山と同じく、総延長80kmに及ぶ高島トレイル上にある858mのピーク。雪の状況はそのレポから予想できます。ただ、寒風へのルートは赤坂山から周回する際の下山路として利用することが多く、この状況では周回する登山者を望めません。以前にも、寒風までトレースを引いたことはありますが、雪の状態で大きく変わってきます。例えピークを踏めずとも、その行程を楽しむのも雪山の魅力。そんな思いを持ちながら、駐車場で準備を始めます。

出発点「マキノ高原キャンプ場」から一面の雪景色。圧雪された道をしばらく歩いた後、早速、スノーシューを装着します。雪はまだ身体を支えてくれるほど締まっておらず、ゲレンデ跡に取り掛かると、スノーシューでも10cm程、時には膝下まで沈み込みます。トレースは深さ50㎝ほどの壷足とスキーの2本ライン。その上を歩けば、凸凹と歩きづらく、新たなトレースを引きます。今週、緩んだ寒気は湿気を含んだ重い雪に変化させ、踏み込むには力が要ります。気温4℃、曇り、無風。ルート序盤の関門、ゲレンデ跡の直登にかかれば、袖を捲った半袖状態でも汗が止まりません。

前回は、2018年1月にバンビー4で訪ねました。今日よりも大雪で視界も限られた降雪の中、スノーギアの訓練をゲレンデ跡トップまでしたことが思い出されます。

ゲレンデ跡トップで振り返って見るキャンプ場や集落の田畑は、一息つかせる景色です。先週訪ねた精霊の森とは違い、人里の温かみがここまで届きます。更に進むと、本来のルートとは違う冬道。所謂、ショートカットの直登トレース。そこを過ぎてようやく樹林帯に入れば核心部。まず、トラバース道で分岐を目指すものの、途中で行く手を阻まれて迂回の直登。滑る雪の急斜面を滑落しないようにスノーシューを蹴り込みます。

分岐点合流からは、つづら折りで高度を上げるルート。雪の重みで道を塞ぐ枝に迂回の直登が何度も続きます。湿気を帯びた雪は時には崩れ、急登にかかる力と共に流していき、下りの大変さが頭を過ります。

出発時間が予定より遅くなり、また、湖南エリアに雨雲が近付いた知らせを受け、当初予定していた寒風は無理と判断。562ピーク直下にあるメタセコイア並木等の好展望地を本日のピークとしました。バディもそう思っていたようで、その場に応じた対応は特に雪山では重要になってきます。私達にとってこれは「撤退」ではなく「変更」です。

2㎞以上も続くメタセコイア並木や2つの谷に広がる山麓の集落、そして、白く染まった田畑に山々。低山故の展望と曇り空であるが故の美しさ。この景色を見ることが出来ただけで、感謝です。

久しぶりの全身運動で疲れた筋肉は、滑落したくないと言う精神力で補い、特に最後のトラバース道は慎重に足を運びました。そして樹林帯から抜けたところで広がるキャンプ場越しの里。ここから見る風景にはいつも自然に足が止まり、緊張が一気に緩みます。

再び下りにかかると、ポツリポツリと雨。多くはありませんが、止みそうにもありません。予報より早まった感じで、その後の雨足の変化を考えれば、変更は功を奏しました。

下山後はクリスマスイブっぽい、いつもの…(笑)

 

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道の駅「琵琶湖大橋 米プラザ」から望む比良山地「打見山」

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延長約2.4km 約500本の「マキノ高原 メタセコイア並木」は 早朝がお薦め

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稜線は見えていました…マキノ高原キャンプ場

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まずは ゲレンデ跡を目指します

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振り返ってみる 里の景色がお気に入り

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ショートカットの圧雪直登は スノーシューが得意とするもの…(^^♪

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迂回の湿雪直登は スノーシューが不得意とするもの…(^^;

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樹間に見える 展望にほっと一息

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琵琶湖畔が見えれば 良しとしましょう

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全身運動の直登は このルートの面白さ

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ルーファイは 自分の責任で行います

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針葉樹林帯が 寒風への入口になりますが 今日は挨拶だけで帰ります

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クリスマスイブに相応しい 「ホワイト メタセコイア並木」

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これより先は危険な「好展望地」

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スノーシューがなければ 辿り着けない 山行でした

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ホワイトロードを飾った「栗のデニッシュ」で エネルギー補給

f:id:Regulus0821:20201226081347j:plain湖北エリアの冬景色は どこから見ても美しい

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2020年も無事下山を目指して バンビーズ

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こんなルートが続けば 楽なんですが…

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でも 直登ルートの下りは 必ず 現れます…

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この展望で 今日もほっとする時間です

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帰り道 トレースを引けば この通り

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好展望地までは しっかりトレースが 引けたと思います

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本日のピーク(手前の白い広場)の奥に寒風の稜線

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ホワイトクリスマス…サンタさんが微笑む いつもの…(笑)

関西冬山始動…精霊の森へ

12月16日 奈良県 明神平
初めて雪の核心部を通り抜けて精霊の森へ続く駐車地に向かいました。

今冬一番の寒波に見舞われた関西。平地でも初雪の便りが届きました。山間部では雪が積もり、霧氷も咲き誇ります。比良、鈴鹿、大峰。我が家から2時間圏内全てで冬山を楽しめそうです。しかし、冬型気圧配置が続き、風と雪の舞う厳しい予報。青空が見込めず展望も楽しめないとすれば、目指すは、精霊の森「台高山脈のオアシス・明神平」に決定です。
ここは駐車地へ続く林道が凍結すると進めなくなる車が続出するため、積雪のない時に訪ねていました。
今回は雪になると予想し、先週冬用タイヤに交換。それでも予想より早く集落を過ぎた辺りから白くなり始めると、4WDとは言え、落枝とあわせて注意が必要でした。
駐車地には先行車2台、バイク1台の計3組。雪が降ってきたため、ザックカバーとアウター。また、しばらく続く林道が凍結している可能性もあることから、チェーンスパイクを装着しての出発。気温は-1℃。
歩き始めてすぐにテント装備の方とすれ違い、残り2組。普段なら登らない天候ですが、ここはこの空模様だからこそ楽しめる世界があるため、久しぶりに履く冬靴の重さも期待と雪景色で苦になりません。
林道から登山道に入り、すぐに現れる第1、第2徒渉点。この時期は水量が少なくチェーンスパイクを付けていても難なく通過。それよりも、うっすらと積もった雪が岩や木の根を覆い隠し、序盤はそちらに注意が必要でした。
第3、第4徒渉点を通過し、明神滝が望める明神谷の入り口に到着。少し道から逸れてみれば、円形ステージを思わす明神谷は、滝から流れ落ちる水音と足元を流れる川音が重なりあい、霧氷と氷の芸術が見事な演出をしていました。やがて巨大な氷柱となるツララを右手に、ここからは巻くようにして高度を上げ、木橋を渡ればいよいよ精霊の森に入ります。
上空を流れる風の音は森の声。いつもは明神平で感じる風が、時折、谷を吹き上がり、北の国へと世界を変えます。しかし、それは一時のことで、その殆どは「動」を感じない森を歩きます。四郷川源流域を前に1名の方とすれ違い、もう1名は別ルートで下山したとお聞きしました。これでここから先は我々2人の世界になります。
水場の手前、植林帯で防風対策。関西圏では最高レベルの防寒対策を講じ、明神平の風に向けてミルキーウェイを進みます。取り替えたばかりの手袋は、ザックの中で冷えきっており、指先がジンジンするため、手袋の中で握りしめ、体温で指先を解します。冬山感覚に気分は高揚します。
精霊の声は一段と近付き、谷からの吹上も直に感じるようになれば、いよいよ、明神平への二股に到着。森を抜ける前、ミルキーウェイに浮かぶ シンボルツリー「孤高の貴婦人」とご対面。その美しく、凛とした姿に畏敬の念を抱き、しばし佇みます。そして、ミルキーな世界に包まれた「風の明神平」。粉砂糖をまぶしたような凍てつく小屋は見る者に冷気を送り、閉ざされた展望はこの世の果てを思わせ、これより先は立ち入ってはならない。そんなメッセージを感じます。風は10mを超え、体感温度は推定-15℃。ここは関西・奈良の1,323m。寒さからではなく、久しぶりの冬山に痺れました(笑)
長居は無用であるため、風を楽しんだ後は、再び、精霊の森へと戻り、帰途につきます。
一瞬、視界が開け水墨画の屏風絵が目の前に広がる展望は、精霊からの贈り物。そして、駐車場手前の林道で現れたブルーアイは、今日も見守られていたことを感じた出来事です。ただ、別ルートで下山した方の車が停まっていたことは唯一の気掛かりでした。
下山後は、町家を利用した盆栽カフェが、冷えた身体を温めるいつもの…(笑)

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いよいよ森への旅が始まります
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しばらくは四郷川沿いの道…第2渡渉地点
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油断禁物の 薄っすらと積もった「石の道」
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明神谷は 高低差十分の巨大劇場
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やがて 巨大な氷柱へと 成長することでしょう
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時折見せる 色を失せた世界は 美しい
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この橋を渡れば 山が変わり 世界も変わる
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今 このベンチは 座れない…
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こんな日は 何か楽しい 気分になります
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つづら折りを重ね 精霊の森に近付きます
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ミルキーウェイでも 微妙に光の変化があります
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冬の小川は 静かに流れる 黒い帯
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空が広がれば 明神平まで あとわずか…
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ミルキーウェイの谷は 精霊の森
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ここは 精霊の森 真っ只中…
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明神平への入口…まっすぐも 明神平(笑)
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ランドマークの小屋とともに…「孤高の貴婦人」
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今日も美しいミルキーウェイ…
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風の方向と強さを 体現してみました(笑)
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また 次の機会まで…
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いきなり全開でした…関西の冬山
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心地良い風の叫びは 冬山日和
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どこまでも続く精霊の森は 光があれば 現れない
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とは言え 次は 光溢れる 森をお届けしたい…(笑)
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晴れた日は あの稜線から 明神平を目指します
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林道を前に いつもほっとする瞬間
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ブルーアイ…冬山の守り主
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季節は秋へと戻って いつもの…(笑)

2020 ラスト テント ライフ

11月23~24日 奈良県弥山

11月23日
3連休の最終日。夜半の天気回復を狙って10kmにも及ぶ山道国道を駐車場に向かいます。

いろんな出来事があった2020年も残り1月余り。今年は山行の回数もぐっと減り、来月もテント泊の予定はなく、これが今年最後のテント泊山行。パッキングをしながら振り返ってみれば、8月に続く今年2回目のテント泊です。
行先は2年前に訪ねた大峰山系弥山。ここは国道の冬期規制直前・解除直後に行くことが多く、私達にとってはホーム的テント場。営業小屋もありますが、休業時に行くため、水、食料などを担ぎ上げねばならず、それ故、静かなテントライフを過ごせます。
前回はミルキーウェイの初日と青空に輝く霧氷の2日目。そして、決して忘れることの出来ない富士山の遠望。今回も予報は全く同じで、奇しくも同じ日程。違うのは、霧氷ではなく冬枯れの森。冷たい風が吹く駐車場も前回同様で、時計の針が巻き戻されたかのように、ラストテントは始まりました。
近年はライトなテント泊や山行が増えていますが、私達は昔ながらの重装備派。夕食の鍋料理に翌朝のマフィンセット、数多くのインスタント飲料とおやつ(笑)。そして、それに要する水。総重量は30㎏+カメラ一式となります。
2年前も担ぎ上げていますが、今年は山行値が低く、年齢も2つ重ねています。全く不安がない訳ではありません。ただ、熟知したルートを含め、経験で補えると思っていました。
このルートは大きく3区間に分けられます。駐車場から大峯奥駈道出合までの「尾根直登」区間。出合から聖宝ノ宿までの「稜線なだらか」区間。聖宝ノ宿跡から弥山小屋までの「つづら折り」区間。直登の疲れを稜線で癒し、最後の登りに向かう。時間的にもほぼ等分でその区切りが休憩ポイントになります。
いつもよりゆっくり登ってみても、段差の多いこの区間では息が早くなり、身体はすぐに暖まります。腿を上げた時、カタッという何かが落ちる音と共に足元を見れば、鞄から落ちたカメラが登山道を転がり始めています。慌てて後を追いかけたものの、間に合わず、谷を10数m転げ落ちてしまいました。何とか止まり、逸る気持ちで戻ろうとするところ、バディに注意を受け、慎重に下ります。奇跡的にも異常はなく、モニター部分の保護カバーが少し傷付いた程度で済みました。これまでも鞄から落ちたことはあり、今回の件で万全の対策を講じねばと肝に銘じました。
やっとの思いで出合に到着。風当りが強いここは、倒木の陰に座って風を除けます。霧氷の季節になれば、ここから目を楽しませてくれます。今日は落葉の茶色と苔の緑が美しい冬枯れの一本道。時折、稜線を雲が流れるのか、ミルキーな世界に包まれる森は、修験者が歩いた奥駈道らしく、神々に試されているように感じます。聖宝ノ宿跡で十分な休息を取り、「聖宝八丁」最後の登りにかかります。駐車場の方が話していた「霧氷があるかも」については正解だったかも知れません。ただ今は、跡形もなく消え、その滴が頭上に襲います。登る度に激しさを増し、遂には雨具を羽織らねばやり過ごせなくなりました。濡れて傾いた階段に、冷たい風が吹く展望台。正しく試練の登りが続きます。ただ小さな一歩でも続ければ目的に近付き、今年もミルキーウェイに包まれた三角屋根に出迎えられ、苔のテントサイトにザックの花を2輪咲かせました。
設営を終え、一息ついてから小屋周辺を散策。小屋前にテントはなく、冬季小屋も無人。時間的にも今夜は私達だけのようです。上空を過ぎる風の音は空気を揺らしますが、テント周辺はトウヒやシラビソに守られて無風。夕食の鍋が完成した午後6時、気温は3.8℃で思ったほど寒さは感じません。逆に、温かい鍋料理で上着を脱いだほどです。
寝る準備を整えた午後8時。空の様子を見上げてみれば、朧月と激しく流れる雲。一瞬の雲間に見える上弦の月が美しい明かりを放ち、次の出番を待っていると、まるで刷毛で掃いたかのように雲が追い払われ「東の星空」を与えてくれました。山をやっていてこの瞬間だけは、何度遭遇しても感動します。感謝です。
さて「ぼっち散歩」の始まり。上弦とは言え、月明かりに照らされた夜道に文明の灯りは不要です。風に注意をしながら国見八方覗に立ち、眼下を流れる雲と上空で輝く星を眺めれば、今自分が立つ世界は現世なのかと感じます。現実の香りが全くありません。そして、遠く山並みの向こうで生活する明かりが灯台のように自分を照らしてくれます。そんな世界を1時間ほど楽しんだ後、明日への期待を膨らませ、風の音をBGMとして眠りにつきました。


全ては この道から始まります

出合まで4合目の札…有名処「ブランコの木」

この谷をシャクナゲの向こうまで滑落

美しくもあり 厳しい 出合への道

冬枯れの道は ミルキーウェイがよく似合う

ここも 精霊の森…聖宝ノ宿跡

弥山名物 「試練の木階段」

現世と黄泉の境界線…第1展望台

最後の階段は いつも活力が湧いてきます

ミルキーウェイに 苔が光って見えます

長い道も 必ず 終わりを迎えます

前回は雪に覆われたテントサイトでした

ザックカバーが 苔と同期しています

2020 ラストテントライフの始まり…

まずは 心と身体をほっこりさせましょう (笑)

ここは 悠久の時を感じる道

足元では 花が咲いたように思えました

ミルキーな世界を楽しめるのも テントライフの良さ

この木の成長を見守りたいと思います

冬のテントライフは やっぱこれでしょう…〆はうどんでした

オリオン座が東の空に…冬の到来です

月明かり 肉眼でも この程度の視界です

テントの灯りは 我が家の温かみ

町の灯りが 星空を襲います

月夜のぼっち散歩は 時間が早回し

11月24日
目が覚めると風の音は聞こえず、時計を見れば、日が変わろうとしています。フライシートから顔を覗かせば、予想通りに満天の星空。まだ月は沈んでおらず、もうひと眠りするか思案するも、身支度を整え、地上の宇宙に躍り出ます。オリオン座は高く上がり、冬の大三角形はもちろん、遮るものがないここでは、冬のダイヤモンドも軌跡を記せます。揺らぎが少ない今夜は星の輝きが一段と美しく、アンドロメダ銀河の渦もより楕円に近く写ります。寝る前には姿を隠していたお隣の八経ヶ岳も月明かりに浮かび、右肩越しに見える小さな灯りは太平洋沿岸の町でしょう。反対側、大普賢岳ファミリーも特徴的な稜線を浮かび上がらせ、こちらも遠く町の灯りが続いているのは、伊勢湾沿岸になります。
昨夜と違い風のない静かな夜。「自分の鼓動が聞こえる」とはこのこと。暗闇、恐怖、静寂、孤立、聖地…。今のこの状況を言葉で表せば、人それぞれでしょうが、僕にとってこの場所、この時間は「ワンダーランド」。
遠く大台ヶ原ドライブウェイを走っている車のヘッドライトとブレーキランプの灯りがはっきりと見え、そんな灯りが自分と現実を繋ぎとめる証になります。
いつしか時が経ち、小屋前の鳥居をくぐる頃には、濃いオレンジ色をした上弦の月が沈もうとしていました。夕焼けは好天の兆し。今、目には映らないけど、写真では月焼けになっています。そのわずかに思える月明かりが消えるだけで、西の星空は輝きを取り戻し、天の川の畔が浮かび上がりました。そして、一筋の流星…。
「テントに戻るのが惜しい」
前回と違ってさほど寒くはないため、その思いは強くなりますが、夜明けに向けてしばしの休息をとります。
再び、フライシートから顔を覗かせば、またしてもオリオン座。太陽が昇る熊野灘を中心にオレンジの帯が地上と空を分け隔てます。その光が届かぬ天上へと続く色の階調。この景色を見ることが許されたことに感謝です。東の境界には、前回は「偶然」、今回は「必然」と思っている富士山が約290 km先に浮かんでいました。その左には、南アルプス、中央アルプス、御嶽山から始まる北アルプス。日本の屋根が一望です。刻一刻と変化する空は星の瞬きも数えるほどになり、熊野灘に浮かぶ雲の上から御来光。加速度的にその勢いは周囲の山々を照らし、新しい一日の始まりを世に知らします。陽が高くなるにつれ、影となっていた峰々は青い山脈となり、その重なりはこの地の神々を感じさせるものです。
朝食を終え、撤収準備をしていると小屋の方から人の声。本日一番乗りの登山者です。我々も人間界に戻る時間となりました。晴天の下、気持ちも軽やかに歩けるのは素敵なことです。しかし自分は、今回や前回の大山のように劇的な変化の瞬間を垣間見ることが一番。それと出逢えた今回の山行は、オーバーウェイトで苦しい初日も含めて、充実したものになります。あとは、転倒することがないよう確実な歩行を心掛けるのみです。
第2展望台で出会った方に富士山が見えることを伝えると、えらく感激されていました。やはり、どこから見ても富士山は日本を代表する山です。その後も、10数組の方とすれ違いました。テント泊らしい方も居られます。皆さん、素晴らしい一日になったことでしょう。
出合への稜線で牡鹿にコゲラ、ヤマガラなどの野鳥、そして珍しく狐を見かけました。葉を落とした冬枯れの道は動物の営みに触れる機会も増え、また、展望も良くなります。
出合からの下りは、カメラが滑落した急坂。今度は自分が落ちないよう疲れた足腰を奮い立たせ、最後の一本道まで戻りました。そこから見上げる稜線は、1時間ほど前に歩いた道なのに、遠い記憶の中にあるかのような世界。ただ、充実した気持ちとヘトヘトになった筋肉は確かに自分が歩いたことを感じさせます。国道に出る橋を渡って山行は終了。2020年テント泊は数より質の1年だったと思いたい。
下山後は地元にてほっと一息のいつもの…(笑)


大台ケ原越し 熊野灘に船の灯り

上弦の月が 静かな夜を 照らします

今回2回目のぼっち散歩…随分 暗くなりました

松阪方面の灯りでしょうか…国見八方覗

町の灯りに浮かぶ 大普賢岳

弥山小屋の右斜めには アンドロメダ銀河(トリミング処理)

魂が消えいるような 月入りでした

今宵も 満天の星が見守ります

東雲…テントライフに許された時間

今回も 290km先の霊峰に遥拝

曙に浮かぶ 中央・南アルプスと大普賢岳ファミリー

世界が戻る 御来光

新しい1日のはじまり

御嶽山 乗鞍岳に続き 槍穂高連峰 そして左端には 笠ヶ岳

谷を埋める雲海も この季節ならではの景色

少しだけ 霜に染まりました

今朝は 空と同期した マイハウス

「お腹が空いたぁ~」

至福のひと時に 乾杯

熊野灘の揺らぎが ここまで届きます

大峯奥駈道山上ヶ岳・大普賢岳・行者還岳

昨日 歩いた尾根と稜線 その奥に 大台ケ原

さぁ 下界に戻る時間です

第2展望台にて 定番の写真

忙しなく愛嬌を振りまく…ヤマガラ (トリミング処理)

国見八方覗から落ちる 「冬枯れの滝」

「また 次の機会に 会いましょう」

影が美しい 冬の稜線歩き

威風堂々 ここでは 我々がビジターです

幹を打つ音が 森に響きます…コゲラ (トリミング処理)

奥駈道から離れ 駐車場へと向かいます

同じ道だけど 目指す方向が違えば 気分も変わります

甘さが筋肉を和らげる いつもの…(笑)