Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

ホームの奥座敷…テントライフ

11月12~13日 滋賀県イブネ
雨の上がりと共に予定を遅らせて、青空が見え始めた駐車場に向かいます。

11月12日
先週、訪ねたブナ清水。そのルート上から頂上台地の山容が良く見えていました。ホームにて、北の御池岳と共にテーブルランドと言われる「イブネ」。私達の住む県側から見て主稜線の向こう側にあることからか「鈴鹿奥座敷」と呼ばれています。ホームの滋賀県側は滅多に計画をしませんが、唯一歩くのがこのルート。先週と同様、根の平峠に向かう旧千種街道。
初めてイブネを訪ねたのは8年前の4月。その時は、三重県側の武平峠から入り、雨乞岳を経由して向かう計画でした。ところが、林業用のテープにつられて道を間違え、廃ルートで御在所岳に登ってしまいます。結局、当初と反対回りで向かうことになり、イブネまでは7時間半もかかってしまいました。三重県側から入る場合は主稜線を越えねばならず、また、雨乞岳周辺の沢は遭難者も多いことから、その後は滋賀県側ルートになりました。
出発の朝、予報とおりの雨。ただし、9時頃には上がる見込みで、予定を2時間ずらして10時に出発し、4年半ぶりの奥座敷を目指します。(滋賀県側からだと、前座敷か?)
杉峠の直下までは渋川に沿って歩きます。駐車地から眺めていた川を最後は一跨ぎで横切り、その源流域で水を補給する予定。
まずは桜地蔵で安全祈願をし、イワナの泳ぐ姿を橋の上から覗けば、登山道らしくなってきます。小さな沢にかかる木橋を渡ること数度。眼下に清流を眺めながら道幅の狭い箇所を通過することも数度。危険なルートと表現することはありませんが、ひとつ間違えれば大怪我に繋がり、渋川に滑落すれば発見も遅れます。そして、高巻きのトラバース道は人によっては怖いと思うことでしょう。
鈴鹿アルアルのひとつとして「一般道だからすべてが安全」とは思わないことです。
ゆっくりと標高を上げる中で、紅葉帯に入りました。先週は黄色が目立ったホーム。今日は赤系でした。巨木並木を過ぎれば、いよいよ川幅は狭くなり、流れも勢いを増します。落ち葉のトラバース道を過ぎると水場に到着しますが、何と、枯れていました。やむなく5分ほど戻り、先ほど跨いだ川で補給。一応これは想定内。
この期に及んで5kg加算されたザックの重みをひしひしと感じながら杉峠に到着。先週歩いた県境尾根と再会です。ここで街道から離れて杉峠ノ頭、佐目峠を経由して、イブネに向かいます。樹間に見るイブネの登坂は高低差を感じますが、周囲の景色に助けられ、ほどなくイブネワールドの玄関に立っています。以前は表札代わりに「イブネ」と書かれた木札のかかった木がありました。鈴鹿10座に数えられた今は、少し進んだ先にりっぱな山名標識が立ち、その美しき苔の世界は数多くの山雑誌で紹介されています。
4年半振りに歩いた旧千種街道は、記憶とは定かではないことを思い知りました。それは頂上台地も同じことで、何となく道の変化を感じ、帰宅後に過去の写真と見比べて驚きました。頂上台地を覆う苔はなく、荒れ地のように地面が露出し、笹枯れの跡や地被類が目立っています。前回、台地の中央を突っ切って歩いた道は苔に覆われ、ようやく歩ける程度の幅となり、その先はアセビに消えていました。苔の台地はここ数年に生まれ、今なお成長中だと言えます。
30数年前は隣の雨乞岳と同様、笹に覆われていた「イブネ」。ホームを襲った笹枯れ現象で今の姿になり、私たちに頂上台地を見せています。それはイブネだけに限らず、入道ヶ岳、竜ヶ岳、藤原岳、御池岳。今となっては当たり前の稜線も身の丈を超える笹に覆われていました。20年以上前に藤原岳に登った時は、小屋から展望丘まで続く笹ブッシュに何度も顔を打たれたことです。(笑)
そして今回、アセビから顔を出す笹を多く見ると、やがて、過去の姿に戻るのかも知れません。未来を見ることは出来ませんが、過去を知り、現在のイブネや稜線を歩けることは、貴重な出逢いだと知ります。
所々にある笹枯れの名残地に幕営し、本日の予定は終了。今回もホーム主峰を眺める好適地。見渡す限りの頂上台地にテントは見当たらず、あとはホームの山々を見ながら過ごす時間。
夕方、雲に隠れたまま陽が沈み、四日市方面の街並みにぽつぽつと灯り見え始めます。気温は2℃ですが、鍋の準備をしていると、それほどの寒さは感じません。主峰、御在所岳の頭上高くにある月が宝石のように輝く木星と競演し、やがて地上の銀河の光芒が稜線を浮かび上がらせます。聞こえてくるのはテントを揺らす風。上弦の月が照らす頂上台地にて、ホームの山が守ってくれる秋の夜長のテントライフ。

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しばらく続く林道歩きで 準備運動
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今は千草(ちくさ)と書きます…千種街道
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先週より紅葉帯は下がったことでしょう
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紅葉の先にも「紅葉」
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ここは 街道随一の紅葉でした
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この橋に名前を付けるなら「もみじ橋」でしょう
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大シデ…枯れ木となっても その存在は大きい
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古木がこの街道を見守る…シデ並木
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水場手前のトラバース道は 落葉に注意…
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1本になっても その名を残します…杉峠
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先週はあの県境尾根から…
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比良山系に琵琶湖、近江富士滋賀県側の展望
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14時でも 長い影…「秋の日は釣瓶落とし
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ようやく イブネと向き合えました
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最も鈴鹿の槍らしい展望地…「鎌ヶ岳と鎌尾根」
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イブネワールドの予告編
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頂上台地「イブネ」の南玄関
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アセビから 笹が顔を出し始めてきました
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苔の海に浮かぶは 御在所岳と鎌ヶ岳
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苔の台地を見守るは ホームの薬師「雨乞岳」
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明日 初めて訪ねる「チョウシ」方面
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このアセビを 見届けたいと思う
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テントライフに欠かせない いつもの…
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春は 比良山系に陽が沈みました
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ほんのりと 山肌を染める 夕暮れ
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向こうから 眺められているような 気もします…
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静かに時間が流れた イブネワールド
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ここまで届きそうな 街の灯り

11月13日
午前2時。星空を確認しようとファスナーを下せば、霜になった結露が落ち、首をすくめます。散りばめられた星空は、満天に輝くとは言えず、街の灯りが撮影を遮ります。
午前5時20分。まだ、夜明けには早く。午前5時45分、活動開始。
頂上台地は凍てつき、白い衣を纏っているよう…。この冷たい空気を久しぶりに身体へ取り込み、ホームの朝と同化します。次第に明けてくる東の空。暗闇が燃えつくされるグラデーション。
主稜線の向こうから上る太陽を、少しでも早く拝むため、イブネ北端まで移動すると、何と、1張りのテント。まだ活動されていないようなので、静かに御来光の時を待ちます。
夜明けを知らせる紅帯が両手を伸ばし、浮かび上がる峰々は南アルプス。その右側を追いかければ、真っ直ぐな頂上と両側に広がる裾野。ほんの一部しか見えていなくとも、その存在が「富士山」であることを示していました。
御在所岳の中道ルートにある富士見岩。イブネからも見えるだろうと思っても、見えるかどうかは運次第。
太陽が上がれば、それらは暁光とともに消え、イブネワールドが目覚め始めます。一期一会の言葉どおり、時と共に変化する世界。もう戻ることのない今を、少しでも多く感じようとしますが、気持ちが浮つきがちです。
雲ひとつなかった空は、朝食を終える頃には太陽が隠れるほどの雲。そんな中、クラシ、チョウシ、熊ノ戸平に向けて、朝の散歩。
週末とは言え、まだ、登山者は着きません。正に、テント泊した者だけが過ごせる時間。イブネ北端からクラシに続く冬枯れの林へ。ここもまた、美しい変化を遂げている場所。シンボルツリーは今も健在で、その先に見える苔の道は、ホームで最も美しいと思う道。
今日はクラシの標識まで向かいました。特に展望がよい訳ではありませんが、崖とも言えるその切れ落ちた稜線は、頂上台地の生い立ちを物語っているように思えます。
シンボルツリーまで戻り、初めて訪ねるチョウシを目指します。地形図ではこの辺りに登山道はありません。とは言え、目的地が見えていることと踏み跡があるため、迷うことはないでしょう。ただし、チョウシがどこにあるかを知っていることが前提です…。
次の目的地は「熊ノ戸平」。滋賀県側での「イブネ」の呼び方であると、何かで読みました。ここは別名「イブネのヘソ」。チョウシとイブネに囲まれた小さなピーク。そのピーク標識を探すのも一興ですが、そこに向かう時に横切る頂上清流や日本庭園の中を歩くように大小の石が配置された場所はイブネと異なる趣。
今回の散歩で新たに感じた進化するイブネの多様性と美しさ。次回までの変化が楽しみです。そして、これからの景色は訪ねる登山者以上に、この自然の成長に委ねられていることでしょう。
テントに戻る頃には登山者を見かけるようになり、その数は増えていきます。時間的に滋賀県側からの入山者と思われ、駐車地の混雑も予測されます。
何組かのグループが行き来する中、撤収を終え、20時間余り過ごしたイブネともお別れです。ホームであること、散策範囲が限られていること、平日だったこと。時間を大切に過ごせたテントライフでした。
大勢の人が寛ぐ頂上台地は、肩を並べた御在所岳と鎌ヶ岳のツートップを唯一眺められ、鈴鹿奥座敷と呼ぶに相応しい場所。
真正面に雨乞岳を望みながら下るイブネ坂。苔の道がどんどんなくなっていくのは、イブネワールドが遠のいていく証です。今日も佐目峠から上り返した杉峠ノ頭で昼食。陽射しが背中を暖め、冬枯れの林は休息の好適地。樹間に見えるイブネはもう遠い世界になりました。杉峠から再び旧千種街道を下れば、昨日とは違う景色が目を楽しませ、落ち葉を踏む音がやがて乾いていく駐車地へ戻りました。
下山後は、滋賀県の名店で秋を感じるいつもの…

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朝ぼらけに 高さや場所は関係ありません
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街の灯りが朝陽に変わります…木曽三川
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南アルプスから追いかけて…富士山
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山の端が 黄金色に染まっていきました…イブネ北端
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夜明けを迎える準備は 整いました
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イブネに届く 一日のはじまり
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さて 朝のお散歩に出かけましょう
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8年半前のイブネ…左の黒っぽい筋が 現在の道
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イブネ北端からクラシへは 一旦 下ります
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4年半前…林の手前の苔はまだまだ成長過程
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僕にとって 自然の曲線美は イブネの代名詞
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頂上台地を振り返ります
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唯一無二の世界が イブネワールド
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関西の富士山も素敵です…三上山(近江富士
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チョウシへの道…並木が特徴
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頂上清流は佐目子谷へ…熊ノ戸
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石、苔、アセビ…自然が生む日本庭園…熊ノ戸平
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クラシのシンボルツリーは 人間味溢れる美しさ
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鹿の苔道と名付けました
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まるでここは「苔の惑星」
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熊ノ戸平からイブネへは 苔光る道
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遠くに近江平野を従えて…イブネから熊ノ戸平
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自然区画の幕営適地
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鎌ヶ岳の先には 伊勢国の海
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また 次の機会まで…正面は 雨乞岳
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イブネ坂を振り返ります
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ここから見る鎌尾根が 最も美しい
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往き帰り 案内板に 足が止まります
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午後の陽射しが 染める道
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余韻を楽しむ時間だった いつもの…

秋が奏でるホーム...周回とその向こう側

11月6日 三重県ブナ清水
賑わいを見せるホームの峰々、その駐車場のひとつに向かいます。

毎年、GW頃からホームは蛭休み。そして、再開する頃に迎える行楽シーズンの人混みを避け、気付けばホームの紅葉は山麓辺りまで下りています。今年の5月、久しぶりに訪ねたブナ清水ルートは新緑が美しく、「ホームの楽園」と名付けました。知名度が上がってきたとは言え、まだ訪ねる人は少なく、ブナやカエデが着飾る頃に訪ねてみたいと思い、天気と休みが重なった今回の山行計画。
ここの核心部は登山口の駐車場。午前7時、100台を超える駐車場のほぼ最終組で停めることが出来、あとは安全登山を心掛けるだけです。
この朝明大駐車場は人気の高い釈迦ヶ岳のほか、国見岳、ハライド、イブネなど、多くの起点になっています。私達の予定は、旧千種街道で根の平峠を目指し、その手前からブナ清水を経由し、ヤシオ尾根、県境尾根で根の平峠へ。そこから、滋賀県側に下り、「鈴鹿上高地」と言われる場所にある大カツラを最終目的地とする「周回&ピストン」。
まずは、車道を歩いて羽鳥峰峠の分岐から朝明川にかかる橋を渡り、旧千種街道で伊勢谷を遡ります。オオルリの声が響いた林は、今は川のせせらぎが響く静寂の林。秋から冬へと眠りにつく準備をしているかのようです。何度か徒渉をくり返し、山肌が迫ってきた頃、空を覆う木々に変化が見えてきました。
黄、橙、赤…。すでに葉を落とした木や赤茶けた木もあります。そして、常緑樹がそれらと競合するかのように濃く、深い緑を発します。森が奏でる秋のシンフォニー…第1章。
短い直登の先に明るく光っているのが見えるとブナ清水の分岐点。ここから先が本日のメインストリート。落ち葉の絨毯に照らされて見頃を迎えた木々が私たちを囲みます。朝明水系は登るにつれてその川幅をどんどんと細め、やがて、一歩で跨ぐことになり、その出発点が「ブナ清水」。大きな岩の奥から流れ出すその滴は、多くの命を育んでいることでしょう。
意外なことに、分岐後は登山者を見かけず、あの駐車場の喧騒が嘘のような静けさ。そんな場所をアップするのはどうかと思う反面、さほど影響力もないから大丈夫と自己弁護。
さやさやと微かな音をたてて落ちていく葉。ただ歩くだけでなく、この世界と同化する楽しみ。ホームの楽園は、静かに秋を過ごす時間と音を与えてくれました…第2章。
ヤシオ尾根とは県境尾根からハライドへ伸びる支尾根。その尾根に向かう途中、アルペンムードが漂う釈迦ヶ岳を真正面に捉える展望地。稜線から山肌へ下りる木々のパッチワーク。重なり合う緑も美しい伊勢谷。出発点の駐車場が眼下に小さく見え、思った以上に登ってきたことを感じます。
県境尾根に合流するとすれ違う登山者も増えましたが、駐車台数から思えば少ない感じです。最後の分岐点「根の平峠」まで戻り、ここからは初めて通る道でタケ谷出合を目指します。
県境尾根と呼ぶように、鈴鹿の主稜線は三重県滋賀県に跨っています。急崖な三重県側と違い、緩やかに近江平野へと続く滋賀県側。「鈴鹿の山と谷」というシリーズ本があるように谷が入り組み、必然的に、沢の多い鈴鹿山脈 。ホームとは言え、奥深くなる滋賀県側は、その魅力と合わせてリスクも背負うことから、県境尾根の向こう側は滅多に歩きません。
事前に大カツラの場所を調べ、ここだと思う脇道から神崎川沿いの台地状になった林を進みます。膝下まで埋まる落ち葉道を過ぎ、少し高台から開けたブナ林を見下ろせば、「鈴鹿上高地」と呼ばれるのも合点がいきます。最近はここで幕営するレポも見かけ、今日も3張。そして、帰り道でも何組かの幕営組とすれ違いました。目指す大カツラは更に進んだ台地にあり、圧倒的な迫力は他の木々を寄せ付けない威厳さえ感じました。その大カツラを背に、川の畔でのランチタイム。時々、対岸の道を歩く方の話し声が聞こえますが、こちらは貸切状態。見上げれば奥座敷イブネに続く稜線。県境尾根との狭間に出来たこの森と川は、ホームの多様さと奥深さを五感で楽しむ世界でした…第3章。
根の平峠まで戻り、ブナ清水の分岐点で周回は終了。秋の陽は短く、昼下がりの陽射しでも夕方のように柔らかい発色。林を抜けた陽が照らす木々は、より一層に色付き、山行のフィナーレを飾ってくれました…第4章。
下山後は、新規開拓した小さなお店でいつもの…。

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アクセスの良さは 混雑と表裏一体…朝明駐車場
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旧街道を行く山歩きは 景色と歴史を楽しめる
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街道から離れ ブナ清水ワールドへ
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谷間の変化も楽しみのひとつ
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新緑 紅葉 落葉…繰り返される時間
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頭上を飾る 陽の当らない道
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錦の森は 静かな朝が 良いと思う
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紅の森でした…ブナ清水
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今日は 紅葉カラーの バンビーズ
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次からは ここで 時間を過ごせばいいか…
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点を繋げば線になる ホームの紅葉…釈迦ヶ岳
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明るく染まる ヤシオ尾根に続く道
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巨大な箱庭…伊勢谷
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県境尾根からの奥座敷「イブネ」
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ヤシオ尾根北斜面を照らす「黄色の雪洞」
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県境尾根の向こう側へ…根の平峠
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足元にも 秋はありました
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穏やかな道が 果てない道に感じる 滋賀県
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神崎川…標高650mの谷間を流れる ホームの深淵
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この森のシンボルツリーは 圧倒的な力系 (笑)
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秋が奏でるホームの「ランチタイム」
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ブナ清水と 対照的な森でした
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美しいホームの秋に 感謝
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午後の陽を 楽しみながらの下山
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紅葉にも負けない 色とりどりで いつもの…(笑)

秋の周回と木枯らし1号

10月23日 奈良県薊岳
近づくにつれて雲が多くなるのはいつものことと思いながら、駐車場に向かいます。

僕が精霊の森と呼ぶ明神平。凍てついた冬、ミルキーウェイに閉ざされている森は、人を寄せ付けない世界。この明神平へは四郷川に沿って向かうのが一般的なルート。この他に、バス停大又から縦走するルートがあり、そのルート上の最高峰が薊岳 1,406m。その頂は明神平のある台高山脈から、西に派生する支尾根が南へ折れ曲がったところ。明神平から見れば、お椀を伏せたような形の頂は、いつも目に留まっていました。とは言え、駐車場からバス停までは林道を1時間近く歩くため、計画することはありません。近年、その稜線上にある1334Pへダイレクトに登り、薊岳からの霧氷を楽しむレポを見て、冬の前には試登しなければと思っていました。このルートは林業用であり、地図上に示されておらず、急登が続きます。登山口は駐車場から林道歩きを始めてすぐに現れる鉄階段。ここから稜線までは、ほぼ直登で向かいます。随所にテープが巻かれており、目印がたくさんあるものの、900m付近のトラバース道へは入り込まないよう注意が必要です。「稜線まで上を目指すこと」が、このルートの原則。
1200m付近からの自然林に合わせて、傾斜が更に厳しくなる、このルートの核心部。歩いた感覚としては、滑落のリスクはあり、雪があれば尚更でしょう。そのため、私達の中では、このルートを利用する選択肢はなくなりました。
稜線に立てば、木々の向こうに薊岳。近くで見てもこんもりと盛り上がっています。色付き始めた葉やすでに赤い実のみを残す木。苔の緑が赤茶けた落ち葉道の縁を飾る縦走路を西へ向かいます。今日は木枯らし1号が吹く予報の関西。稜線を抜ける北西の風に、今シーズン一番の寒い山行となりました。
南に折れると、広かった尾根は急に細くなり、やせ尾根は頂まで続きます。特に北側は切れ落ちている箇所もあり、注意が必要でした。こんもりした姿から丸みのある頂を想像していましたが、地形図でも判るように、細長い山頂部。規模は全く異なりますが、ジャンダルムと同じ見え方であることが登ってわかりました。岩が点在し始め、切れ落ちた先に細い立ち枯れが1本。薊岳の山頂です。
コブのように稜線から飛び出た山頂は、大峯奥駈道台高山脈の「台」である大台ヶ原から「高」の高見山へと続く稜線。また、奈良盆地や大阪方面の街並みに地元、おらが山まで見事な展望でした。そして、台高山脈の稜線上に見える開けた場所がこれから向かう「明神平」。まずは、来た道を戻ります。
登り詰めた1334Pで10名ほどのグループが休憩をしており、その後、10数名の方が薊岳方面に歩いて行かれました。その人数を許容できる山頂ではなかったため、事故がなければと思います。冬、霧氷のトンネルが続くだろう歩きやすい稜線をのんびり歩いて前山へ。山頂部にあった大きな倒木を風除けにし、昼食タイム。しばらくすると、青空が広がり始め、太陽の暖かみを全身に感じます。
最近は明神平までが多く、しかも冬のミルキーウェイ。この前山は県境を除く三重県の最高峰「桧塚奥峰」で幕営して以来の8年ぶりでした。明神平へ下る際、道の両側を埋めるシダは赤くなり始め、青空とともに新鮮な風景。関西の山でも稀有な世界の明神平。この緩やかで、おとぎの国を想像させる場所は貴重な存在です。
今年はこんな空の下、白く染まった精霊の森を訪ねることが出来るのだろうか。でも、晴れていれば、精霊を感じることは出来ないだろう…。期待と不安が交差しながら、シンボルツリーのもとへ。数張りのテントが点在する明神平からは、いつものように薊岳を眺めます。先ほどまで居た頂には、いつもと違う思いが繋がりました。
下山後は、自宅と反対方向に車を走らせたお店でいつもの…。

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登れども 登れども…時間が経たねば稜線に着かず
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落ち葉が美しい季節になりました
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間近でも見ても いつもの雰囲気…薊岳
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写真だけ見れば 暖かな稜線
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赤い実りが 稜線を飾ります
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大通りから路地裏に入った感じの尾根歩き
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この岩を覆うには どれほどの時間が…
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明神平の山荘が 遠くに見えました
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山頂はこの道を過ぎてから 眺めましょう
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青山高原と俱留尊山 そして おらが山(右から2番目の頂)
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やっと立てた感じが強い 頂です
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これから向かう明神平と前山への稜線
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秋色が 台高山脈を縁取ります
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関西の前穂高北尾根…大普賢岳ファミリー
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霧氷も良いだろうけど 落ち葉道も素敵
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足元の小さな森に 風が吹き抜けます
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素晴らしい防風林でした
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8年振りのとは思えなかった この展望
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今は 森の精が 踊り始めそうに思えました
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シダの一本道が 明神平へと導く
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晴れ間の明神平は 遥か彼方の記憶
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「孤高の貴婦人」は いつでも 素敵です
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次は霧氷の世界に立ってみたい
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では また…
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頭上を飾る紅一点
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扉を開ければイタリアの風で いつもの…

霊峰とともに 秋のテントライフ

10月15~16日 愛媛県瓶ヶ森(かめがもり)

10月15日
核心部の林道を抜け、日帰り登山者で賑わう駐車場に着きました。

四国の名峰「石鎚山」。山岳信仰の山として日本七霊山のひとつです。その石鎚山脈にある「瓶ヶ森」。山名に「森」が付くのは、この地域の特徴で、山頂が森になっている訳ではありません。稜線上には、男山(1,830m)、女山(1,897m)のピークがあり、三角点のある女山に「瓶ヶ森」の標識があります。
この山は初めて石鎚山に登った時に知り、2020年の登り初めで見た山頂部に広がる笹原と急峻な中腹部。そして、その峰に続く石鎚山脈の稜線。本州では味わえない印象的な景色。調べると、キャンプ場もあることが判り、いつの日かと思っていた6年越しの山行計画。
当初の予定は立山雷鳥沢3泊4日。ところが、17日の天気が悪く、晴れた地域を探した結果の計画。1泊2日に減りましたが、残りは観光登山家らしい行程を組みます。
早朝、自宅を出発し、核心部の瓶ヶ森林道、通称「UFOライン」へ。この道は中盤以降、尾根沿いを走る展望道路ですが、途中、連続カーブはもちろん、基本1.5車線の道路で、すれ違い困難な箇所も多く、1時間以上も緊張が強いられます。
キャンプ場は第1、第2があり、駐車場に近いのは第2。私たちはトイレが整備され、女山に近い第1を選択。遠いと言っても、ゆっくり歩いて30分。最大高低差も70m程です。早速、駐車場で石鎚山と再会。向こう側から眺めた場所に立つことは、立体的にその山域を理解し、思い出も重なります。
左側に石鎚山、右側に氷見二千石原と呼ばれる笹原と瓶ヶ森を眺めながら進む一本道。あっという間に避難小屋へ到着し、そこから林を抜ければ、ベンチが目印のキャンプ場入口に到着。テントサイトは登山道から下がった先にあり、その途中にも1~2張のサイトが数段。今宵の宿地はテントから石鎚山を眺めることの出来る最上段としました。
午後から瓶ヶ森に向けて出発。第2キャンプ場を経由して、瓶ヶ森の語源になった「瓶壺」に立ち寄り、そこから駐車場近くまで戻ってからの登山開始。まず男山に登り、女山瓶ヶ森)から第1キャンプ場に戻る周回ルートです。第2キャンプ場のある旧白石小屋へ続く道は腰高までの笹を掻き分けて進まねばならず、足元の注意が必要でした。午後になって気温が上がるにつれ雲も上がり、石鎚山が隠れることもありますが、夕方に雲が上がると思っているため、今はその変化を楽しむ余裕があります。水場とされている「瓶壺」には、イシヅチサンショウウオが生息しており、運良く見ることが出来ました。また、版画家の畦地梅太郎さんの作品で「石鎚山」を描いたものが数点あり、我が家にもあります。その作品を描いた場所がここ瓶ヶ森。場所の特定は困難でも、想像は景色以上に広がります。こうした登山以外の要素が詰まった「見て」「感じる」前半部分です。
昼下がりの陽射しが容赦なく照り付ける中、本格的な登りになり、岩の先端に立ち止まって一休みすれば、広大な笹原の海へ飛び込めそうな錯覚に陥ります。笹原の反対側は、核心部UFOライン。吉野川源流域から立ち上がる山腹に引かれた道路は、日本と思えない開放的な景色を見せています。
祠が祀られた男山。そこから女山へは緩やかに続く道。この稜線は見る場所によって新たな興奮を覚える世界観。遠く雲の上に顔を出す石鎚山と針葉樹林。そして一面に広がる笹原。奥深さと色調の連続変化を伴った景観は女山に登ることが勿体ないとさえ思わせます。山頂では幾分傾いた太陽が一足早く秋の夕暮れを感じさせ、眼下で踊る雲にブロッケン現象と似た光輪が映し出されていました。
テントに戻り、ベンチで夕食の準備をしていると、途中から始まったマジックアワー。これまでの山行史上稀にみる夕暮れショーの始まりは、調理をしながらの慌ただしいもので、撮影、調理、撮影、食事、撮影…。17時までに食事を済ませておくべきだったとは「後悔先に立たず」。この後、山麓の夜景が瞬くまでの時間は、生涯語れるものになりました。
木星土星を連れた上弦の月は、林の小道に影を浮かび上がらせ、天の川の流れを止めます。静かな静かな夜。これが私たちの求めるテントライフ。

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前方に今日の稜線…UFOライン
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堂々たる姿の美しさ…石鎚山
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午後から歩く稜線と並走して 第1キャンプ場へ
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石鎚山が見守る テントサイト
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キャンプ場から振り返れば 青空と瓶ヶ森
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メインストリートから外れれば この通り…
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これほどまでの笹原は 初めて…氷見二千石原
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石鎚山の賑わいが嘘のような 静寂さ
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修験の山らしく 厳しい登頂への道…子持権現山
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一気に高度を上げる男山への道
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特徴は花弁の紅色筋…シコクフウロ(イヨフウロ)
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リンドウは あちらこちらで 咲いていました
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一部を切り取って 秋を味わいます
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10月の陽射しとは思えない
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頭を雲の上に出し~♪ これも山の醍醐味
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女山瓶ヶ森)からの稜線とUFOライン…男山頂上
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見た目以上に穏やかな稜線
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振り返って 男山からの稜線と石鎚山
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瓶ヶ森に続く 最後の一筋
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午後の光は一期一会
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石鎚山脈の稜線が彼方へと…女山頂上
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二千石原を二分する 駐車場への道
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雲が上がり始め マジックアワーの訪れ
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時間に合わせて 主役の登場です
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雲が湧いてこその 茜空
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再び 顔を出した夕陽は 蜜柑色
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時が見えそうな 今日の夕暮れ
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静かに そして長く続く 秋の黄昏
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夜の帳が マジックアワーの終焉
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小屋の灯りと星明り 瓶ヶ森には マイハウス

10月16日
最近の山行で、体力以外に回復したのが「気力」。2月の編笠山山行で消えかけていた灯火に、「欲」という酸素が送り込まれ、CT40分の瓶ヶ森女山)に向けて夜明け前山行。
5時前、テントから顔を覗かせば満天の星。予報では雲が湧き、西風が吹くとのことでしたが、雲海から昇る朝陽やモルゲンロートの石鎚山を想像し、オリオン座が照らす笹原の登山道を登り返します。
「ヘッデンの灯りだけで登るのはいつ以来だろう」と思いながら、まだ起ききれていない身体に気を配ります。中腹で星空撮影をしているグループを通り過ごしてからの登頂。慌てずに登っても20分弱で着いたのは、やはり、山に入り始めたからであり、もう少し頑張ってみようと更なる「欲」が高まります。
山麓の夜景と東の空に走る一筋の光明筋。しかしそれも束の間で、西風が雲を連れてきます。標高を下げた方が展望は良いのではと、男山を目指そうかと思いましたが、予定外の行動は事故の元と思い直し、一瞬の雲間に期待します。その後、雲のカーテンが開く度に漆黒の空が明けていく様子を感じます。ただそれを撮影しても、その空気感が出せないのは、自分の力量と諦めます。
今日の日の出時刻は6時過ぎ。この頃になると一向に雲が取れる気配はなく、西の空ではすでに太陽が昇ったことを教えてくれます。6時30分を下山時刻と決め、バディに連絡。少し下って振り返ってみると、やはりガスは稜線部のみ覆われていました。素晴らしい展望は昨日に満喫しており、これもまた新しい世界観。陽射しを受けない笹原は悠久の時を感じさせ、霧がかかった立木は晴れ間より風情があります。対面の石鎚山も暗い雲が稜線を覆い、その姿を望める雰囲気はありません。今日は冬曇りを思わせる空。モノトーンに染まった世界に紅葉した葉が映えます。
瓶ヶ森の周回ルートは、男山を先に登る左回りと女山を先にする右回りがあります。左回りは駐車場からの直登で始まり樹林帯からの男山登頂。右回りは瓶ヶ森をトラバースする道から笹原の女山直登。個人的感想としては、急坂を登りに利用するのが常套ルート。また、真正面に石鎚山を眺めながらの下りになる左回りがお薦めです。
午後遅く雨になるという予報でしたが、今にも降り出しそうな雲行きに、予定を早めて下山準備にかかります。天候次第で雰囲気の変わるテントライフ。「昨日があっての今日」です。
出発間際、細かい雨が降り始めたものの、降雨までには至らず。お世話になったキャンプ場にお礼を告げて出発。早くも周回をされてきた方やこれから瓶ヶ森に向かう方とそれぞれですが、天候に左右されることなく、この氷見二千石原の景色を満喫されていることでしょう。
岩峰「子持権現山」が間近に見えると駐車場。谷から沸き起こる雲が、修験の山らしい厳しさを醸し出します。半時間もかからずテントサイトに到着できるアクセスの良さは何度でも訪ねてみたい場所ですが、自宅からの距離を考えれば、次回の予定は立ちません。
雨の気配がなくなったため、駐車場でコーヒータイム。昨日の景色をオーバーラップしながら石鎚山を眺めていました。平日の昨日より駐車台数が少ないのは、やはり天気の影響でしょう。
この後、UFOラインの終着点「石鎚山登山口」に移動し、石鎚神社土小屋遥拝殿に参拝。そこに向かう途中で見た瓶ヶ森は、笹原の山頂部を残し、巨大なスプーンで掬い取ったような山体で「鎧を纏った女王」のように思えました。昨日、あの頂に立ち、こちらを眺めていた。ここでも思い出が重なりあって、この山域は更に近くなりました。
下山後は、眺めていた夜景の町でいつもの…。

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町は眠らない…西条市新居浜市
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昨日の黄昏と この暁の空は 続いている
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「春は、あけぼの…秋は、夕暮…」ですが 秋の曙も素敵です
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この後 山頂は 永遠のミルキーウェイ (笑)
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さて 昨日とは違う光で 戻りましょう
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朝の冷え切った空気とこの景色が 身体を浄化します
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振り返ってみれば 稜線を覆う ミルキーウェイ
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旧ヒュッテの右上が 第1キャンプ場
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今日は 石鎚山も 姿を現さないでしょう
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下界は 晴れる様子です
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快適な時間を過ごせた 第1キャンプ場でした
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昨日を振り返りながら 駐車場まで戻ります
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紅葉の見頃は 1週間先でしょうか
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明日向かう 遥か彼方の 松山市
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モミ、ツガ、ササ等々の立体的な世界でした…瓶ヶ森
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関西とは異なる 四国の山深さ
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畦地さんの世界が 至るところにあります
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遠くの石鎚山より 近くの子持権現山…(笑)
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UFOラインで土小屋へ…瓶ヶ森と子持権現山
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0番は 寒風山登山口…UFOライン 土小屋(石鎚スカイライン終点)
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汗を流して登った昨日が 嘘のよう…男山
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UFOラインから瓶ヶ森女山)を見上げます…吉野川源流の碑
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吉野川源流は 入り組んだ谷
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まだまだ続く核心部…UFOライン
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陽射しの秋を表現した いつもの…

時代を巡る 登城ハイキング

10月9日 奈良県高取山
山麓の和菓子店に寄り、出発点の観光駐車場を目指します。

標高583.6mの高取山に建てられた高取城。奈良と吉野を結ぶこの地にその抑えとした役割を持ち、南北朝時代に造られています。幾多の変遷を経て、大小の天守閣を持つまでになりましたが、明治初期に廃城が決定し、今では石垣が残るのみとなっています。
元々城に興味があり、現存12天守を見てきましたが、城跡に興味を持ち始めたのは40代後半になってから。今では遺された石垣から当時を想像することが楽しみになっています。
この高取城跡の存在は随分と前から知っていたものの、山麓の街道までしか訪ねておらず、城跡には縁がありませんでした。今回、登るにあたって調べたところ、「日本三大山城」のひとつと呼ばれており、他の二城はすでに登城していた「美濃岩村城」「備中松山城」。自宅から最も近い城が最後とは、物事アルアルです。また、行くことを決めた後、読んでいる短編集に高取城が舞台となっている話が出てきて、今回の山行に縁を感じます。
高取城大手筋に続く旧城下町の通りは「土佐街道」と呼ばれ、松ノ門や長屋門などの遺構を通り過ごし、人工林の急坂に迎えられてから、大手筋の入口にあたる第一の城門「黒門跡」となります (以下、跡は省略)。この辺りは「別所廓」と呼ばれ、最初の要であったと思います。そこを過ぎれば「七曲り」。各地の登山道でも〇〇曲りはありますが、ここでは防御と攻撃の意味合いが含まれています。次のポイントは「一升坂」。緩やかに真っすぐの道が林の中へと消えていきます。
踊り場のように少し広くなったところにあるのが「猿石」。アニメ映画に出てくる結界石のように思えました。そして、すぐに二ノ門となり、ここから時間が一気に遡ります。
三ノ門手前にある国見櫓への分岐点。石垣に気を取られていると通り過ぎてしまうことでしょう。この場所からは大和三山や河内へ続く街道など大和を一望出来る、正に「国見の地」。天守閣よりも展望が良い場所でした。
元来た道に戻り、この後も続く門跡の石垣。折れ曲がりながら続く道を歩く気分は、天守へ登城する武士か商人か敵方か…。
そして全ての道がここに続く「大手門」。その石垣だけで当時の迫力が伝わってきます。
広くなった二ノ丸から見える太鼓櫓と新櫓の石垣。やっと大手門を抜けたと思った矢先の石垣に戦意喪失の私です。ところが、次に現れる本丸の高石垣に比べれば半分程度のもので、正に本丸の石垣が「最後の砦」と言ったところでしょう。天守閣に三等三角点が設置され、登城とあわてせて高取山に登頂。
この頃、奈良の娘と呼ぶ山友が山麓土佐街道を訪ねており、約1年振りの再会には至りませんでしたが、ここでも高取城との縁を感じました。
重機のない時代にこれらの石垣に加え、天守、櫓、門などの建築を行い、加えて、急峻な山の上に建てる。当時の人々の暮らしを思わずにはおれません。栄華な部分とその影。シダや苔等の草に覆われ、崩落している箇所も多くみられた石垣は「つわものどもがゆめのあと」の世界です。
数多く登ってきた山城の中で、この高取城の防御力は素人の自分から見ても強固に感じ、道中の幟に書かれた「日本最強の城」を強く思いました。下城は壺阪口から五百羅漢を経て、西国三十三所第6番札所の南法華寺(壺阪寺)から土佐街道へ。壺阪寺を結ぶ帰り道は、格子窓の旧家が続き、土佐街道とは違う雰囲気でした。
山行と城跡巡りを同時に楽しめた今回の高取山。観光パンフを読み返せば、訪ねていない場所もあり、次回は高取城だけを訪ねることになるでしょう。ただ、今日のような10月とは思えない陽射しの日ではなく、冬から新緑の季節に時代を遡ってみたいと思います。
下山後は、イタリア地方菓子の専門店でいつもの…。

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本日の周回ルート…「健康のまち」らしく15時には ラジオ体操が流れてきました
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長屋門…旧藩主の住居になっています
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番組で選ばれた冠…日本最強の城
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何気に急坂だった 序盤の林道
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曲がった先には また 曲り道…七曲り
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所々に設置された案内図に 一息つきます
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おらが山の階段とは 背景が異なります…一升坂
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当初は石垣となる運命…猿石
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今も樹々の緑を映す 水堀跡
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彼方の敵をここから見張っていたのでしょうか…国見櫓
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城奥深く 入ってきた感じがします…宇陀門
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行軍する武士のように…トリカブト
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歴史に「もしも」はありませんが…
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見上げる石垣は 城代屋敷のもの
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ここで天守を仰ぎ見たことでしょう…二ノ丸
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右から訪ねた順になっています
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天守の高石垣は12m…一番槍はこれを登る
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高石垣の縁に立ち 当時を振り返る
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今日のピークは 天守の石垣を越えたところ
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地元のお菓子を 本丸でいただく
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城主も 遠く大峯の峰々を 眺めたことでしょう
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時が流れても 天守から二ノ丸を見下ろことは同じ
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10月の空とは思えないことが 印象的でした
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大手門を抜け 壺阪口へ向かいます
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石岩に彫り込めた五百羅漢は 壷阪寺の奥の院
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低山の宿命は 照り付ける陽射し
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約30年振りの壷阪寺は 通り過ぎるだけ
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漆喰と格子の旧家が続きます
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新しい世界を望めた いつもの…

1年振りのバンビー3…おらが山へ

10月2日 三重県尼ヶ岳
台風一過の青空の下、いつもの駐車場に向かいます。

トレーニングに限らず、何かの節目にも登る機会が多いおらが山「尼ヶ岳」。先月、バンビー4の一人でもある安曇野の山友と蝶ヶ岳で10ヶ月振りの再会を果たし、今回はもう一人のメンバーである京都の山友と11ヶ月振りの約束。そして、再会の山行をおらが山としました。
最近は1人で登ることが多かったおらが山。今年は5月以来の2回目。バディは約5年振りの尼ヶ岳になります。そして、安曇野の山友とは何回か登っていましたが、京都の山友は初めてです。ただ、階段が多い山であることは、私達の山行から知っていました。
さて、先月の蝶ヶ岳登山で、体力の低下を感じたことから、月2回はおらが山へ登りたいと思っていた矢先、今回の山行となりました。やはり、おらが山との縁を感じます。
自宅を出発したのは10時過ぎ。それでも間に合うのがこの山の良いところ。30分程で登山口駐車場に到着し、11時前に出発。ゆっくりと登っても、お昼過ぎには登頂できることでしょう。
1人や安曇野の山友と登る時とは違い、今日は通常歩行。階段登山に向けての準備運動になる林道歩きを丁寧に進みます。ミソサザイが囀る分岐点の橋。今日は川音が聞こえるだけです。針葉樹に囲まれた林道は光が届きにくく、橋の上はひんやりと空気に包まれていました。
バディのザックは、昨日買ったばかりの新品。10年前に購入したザックのメインストラップが何と前回の山行で切れてしまいました。ここでも感じるおらが山との縁。
左右に笹が広がる一本道をゆっくりと高度を上げ、最初のベンチを過ぎた先に見えるは、第1階段。
尼ヶ岳へのルートは、よく利用する高尾登山口のほか、南に位置する大洞山を縦走する真福院(三多気)口、西側の美杉町から富士見峠経由で向かう太郎生口等、その山容から伊賀富士と呼ばれるように、登山道が四方から山頂に伸びています。
2段に分かれた第1階段を過ぎれば、すぐに第2階段。階段区間に入れば、前半の緩やかな登りから打って変わっての直登が山頂まで続きます。ただ、階段が高度をかせぎ、一気に山頂へ駈け上ることから、辛さがあるものの、気付けば山頂となるのもこのルートの特徴。
高尾登山口から山頂へはこのルートの他、富士見峠経由があり、周回するのが一般的。富士見峠経由では第1から第3階段が省略できることになることから、上りに利用される方もいますが、下りに急な階段を利用する方がリスクは高いと思われます。
支尾根にのる第3階段を過ぎれば、広葉樹が見え始め、登山道が明るくなり、最長第4階段が目の前に現れます。緩く始まるこの階段は、次第に傾斜が増し、振り返れば直滑降で滑ることが出来ないことを知ります。右側の針葉樹が広葉樹に代わっていることに気付けないほど階段に集中すれば、救いのベンチが並ぶ終了点。今日はここで息を整え、最終区間の「天使が見える」第5階段に向かいます。
陽射しを一杯受けた山頂広場には、先客が2名。少し霞みながらも、伊勢湾越しに知多半島鈴鹿南部、青山高原に室生火山群。そして、地元の町並。この景色を山友に紹介出来て良かったと思える今日の天気です。木陰で休めば、吹く風はすっかり秋。行楽日和の下、時間を埋めていくバンビー3。この調子で行けば、バンビー4が揃う日もそう遠くはないかも知れない。
薄が揺れる先には霧氷で有名な三峰山は次の季節に登る山。自宅から簡単に登れる山が数多くある土地に生活を構えたのは、偶然ではなく必然かもしれません。そして、おらが山の素晴らしさを山友と一緒に感じ、貸し切りとなった山頂を存分に楽しみ下山の途につきました。
下山後は、山友が知らない地元の名店をテイクアウトしていつもの…。

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近くて遠かった山友と歩く 歩き慣れた道
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さぁ 始まりました…第1階段
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待ち受けているのは 第2階段
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綺麗な弧を描くのは 第3階段
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灯りが見えれば 終わりは近い 第4階段
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その前に 一休み…
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最後に天使が笑うのは 第5階段
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天にも昇るとは 良く言ったもの…
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「天使が見えた」とは 山友の弁
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最後のハードルは 本当に高い
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伊勢湾が見える おらが山の素敵な展望
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まずは地元の山で バンビー3
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手作り「栗のマフィン」が 食後のデザート
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おらが山の シンボルツリーを 初めて気付く…
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そして 柿の木があったことにも…
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大洞山からの縦走も いつか歩いてみたい
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昼間でも お月見気分は 味わえます
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地元を眺めながら 再び 階段路へ
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こちらのハードルは 高過ぎました…
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山には 秋色が 散りばめられています
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里より 一足早い 山の秋
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第4階段相当を振り返れば…
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この橋もおらが山の一部です
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準備運動の道は クールダウンの道でもあります
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再会を祝して いつもの…

あの日から7年…そして 8年振りの登頂

9月24日 長野県御嶽山(剣ヶ峰)
「大人の肝試し」的な道を抜け、2年振りの登山口に向かいます。

私達にとって御嶽山は日帰りで3,000mに登れることや危険な岩稜がないことから家族登山、夏山登山の高地トレーニングに暑熱順化として唯一無二の山でした。また、雪山を始めてからは、残雪期の北穂高に向けてや3月に3,000mを踏める山として、その存在は常にありました。ルートは最短「田の原登山口」。ここは登山のみならず、散策や星空観望でも思い出深い場所です。
田の原ルートはハイマツに荒涼とした風景が印象深く、雑誌やテレビで御嶽山の美しい紅葉を知った時は意外に感じ、その時初めて、黒沢口ルートを意識しました。それが、2014年9月初旬。
そして、2014年9月27日。その日は、山友8名と常念岳でオフ会をしており、夕食時に知ることとなります。ほぼ同時に、自分の知人から安否を確認する電話が2件。翌日、横通岳から見た槍穂のモルゲンロートと東の空へ真っすぐにたなびく噴煙を見た時の得も言われぬ恐怖心は、生涯忘れることができないでしょう。
当事者でない自分にとって、いつの日か登頂することが亡くなった方の慰霊になると思い続け、2016年4月 濁河温泉から飛騨頂上。2017年7月 同じく濁河から継子岳周回。2017年10月 今回と同様、中ノ湯から開田頂上。少しずつ剣ヶ峰に近付きます。
2018年9月に数日間、規制が緩和され、剣ヶ峰まで登れるようになりました。初年度は自分のような者が登る資格はないと思っていたのと、前年、開田頂上から賽の河原を抜けた時に眺めた剣ヶ峰や稜線から見た田の原登山口、また、二ノ池の変わりようを目の当たりにし、自分の想像を超える思いに引っ張られそうで、しばらくは登頂できないと感じました。
ようやく登頂への気持ちを強く持ち、天候が許せば、それは山が迎えていることと思い、まだ薄暗い中ノ湯登山口を出発しました。
中ノ湯登山口の標高は1,820m。田の原より360m低く、剣ヶ峰3,067mとの差は1,247m。CTも1時間程長くなっています。また、御岳ロープウェイを利用して、7合目の飯森高原から登ることも可能ですが、運行時間の都合上、出発時刻が遅くなります。
このルート、そのロープウェイからの合流点「行場山荘」までの階段コース。8合目「女人堂」までの広葉樹コース。9合目「石室山荘」までの展望コースと分かれ、最後に剣ヶ峰に続く規制緩和トラバース。
山天予報では昼前には雲が上がってくるとのことで、予定より出発を早め、結果的に功を奏しました。金剛堂へ続く直線では、秋への衣替えが始まり、樹林帯を抜けたと同時に眼前一杯に広がる御嶽山の岩稜は、このルートのハイライト。小屋前の広場からは、笠ヶ岳乗鞍岳、槍穂高に、先日、登った蝶ヶ岳の北アルプス。続いて、八ヶ岳から中央アルプス越しの南アルプス。(なお、もう少し先にある場所からの方が遮られることなく一望できます)
御嶽山の岩稜から下る紅葉の滝は、まだ色付き始めた頃ですが、それは4年前に対面済。今回は登頂が目的です。とは言え、「山は頂にあらず、道にあり」。その道程を味わいながら、ともすれば、あの日の状況に引っ張られそうになる思いを押し留めます。
背の高いハイマツ帯を抜ければ、遮るものがない世界。近くて遠い小屋は見えますが、女人堂から見えていた剣ヶ峰は岩稜の向こう側。振り返れば、木曽谷から遥か彼方に思えるアルプスの峰々。高度を上げることで槍穂高は継子岳の裾野に隠れ、中央アルプスに隠れていた富士山が姿を現します。その展望と共に覚明堂で呼吸を整え、前回、二ノ池から来た際にはロープが張られていた規制区域に入ります。変わり果てた二ノ池を見ながら前方には剣ヶ峰に続く最後の階段。聞こえてくるのは時折吹く風と石を踏む足音。田の原ルートの最終関門「王滝山頂」から八丁ダルミ。前回より冷静な自分が景色を追いかけます。
写真で見てきたシェルターと慰霊碑。正直な気持ちで合掌。
7年の歳月を経て、8年振りに登頂した剣ヶ峰。景色や時代が変わっても、山は変わらず。あの日の出来事には、登頂者それぞれが思いをお持ちでしょう。自分は安全登山を続けることが、山で亡くなった方への慰霊。そして、安全登山とは山の選択であり、今の自分を知ること。登山口では山頂の滞在時間を短くするようアナウンスされていました。幾分危険が和らいだとは言え、忘れてはならないことだと思います。
登頂出来た思いと共に下山を始め、中ノ湯ルートはこれにて完結。これで御嶽山への一区切りになりました。ただ、本当に帰ってきたことになるのは、田の原ルートからの登頂だと思い、静かにその日を待ちます。
下山後は、定番のものでいつもの…。

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4年振りのご対面…女人堂
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秋の空に羽ばたく雲
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左端に剣ヶ峰…今日は登頂させていただきます
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落葉も進んでいました
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女人堂から5分…俗世と御神域の境界
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至るところで感じます…御嶽信仰
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ハイマツの一本道は 結構 長く感じます
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「自らの魂のふるさと」
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紅葉の滝が見頃を迎えるまで もう少し
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独立峰「御嶽山」らしい展望
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あの尾根の向こうに田の原ルート そして 三笠山直下の登山口
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登ることで 季節が 変わります
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剣ヶ峰に向けて 最後の一息…覚明堂霊神場
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剣ヶ峰へ続く道は感無量…規制区域内
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荒涼とした景色と信仰は 以前と変わらず
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様々な思いがよぎる 10数分間
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災害だけでなく 安全登山の礎になります
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この階段は 小6の娘と登った思い出とあり
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最後に登ったのは 2014年7月17日
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現場に立つ大切さを 感じます
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田の原登山口と八丁ダルミ…いつの日か
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6年前 継子岳で誓った 登頂を達成 … 二の池
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いつの日か 高山植物も帰ってくることでしょう…一の池
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一の池お鉢回りからの二の池…2013年7月24日
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今日は 文太郎さんと 同行二人
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無事下山が 私達の努め
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俗世まで戻ってきました…金剛童子
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今年も 賑やかなひと時を迎えることでしょう
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感謝の気持ちで 下山再開
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秋風で 撮影後は車内で食べた いつもの…