Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

関西バンビー3の山散歩

6月26日 奈良県日出ヶ岳大台ヶ原
雨が上がることを信じて、雲が湧きたつドライブウェイを駐車場に向かいます。

4月以来の関西バンビー3。集まる回数は徐々に増えてきました。当初は前日の午後に向かう予定でしたが、大気が不安定で雷予報も発令されていたため、曇り後晴れの日曜に変更。午前中は前線の通過で雲の多い空模様という予報でしたが、出発時に雨雲レーダーを確認すれば、雨雲接近のマーク。予想よりも前線が北上したようで、雨の上がる予測時刻は11時。それでも予定通りに自宅を出発し、時折、雨脚が強まる中、駐車場にあるビジターセンターで雨宿りするか、駄目ならドライブで終わるかと余り気に掛けず車を走らせます。
 西や北の空は明るくなり始めたものの、向かう先はまだどんよりとした空模様。やがて窓を打つ雨は小粒となり、雨の上がる予測時刻も10時と早まりました。
 国道から県道に入ったところで、196の標識。先日向かったタイタン尾根の登山口90番ポストと同様、駐車場までの距離を示す数字です。ここから156番ポストの先にある「大台口隧道」までは旧国道であり、すれ違いに注意が必要な箇所も数ヶ所ありますが、そこから先は正しく山岳ドライブウェイ。連続するカーブの合間に、大峰山脈の鋭角峰「大普賢岳」や「行者還岳」が望め、また、眼下に望む谷には雲海のごとく雲が湧き起こり、無辺の広がりを感じさせます。
駐車場まで数㎞となったところで、ほぼ雨も上がり、木々からの滴が窓を濡らします。駐車場に着いてみると思った以上に車が停まっており、待機されていたのか、ちょうど動き始めた頃でした。
日出ヶ岳大台ヶ原一帯の最高峰。駐車場からの往復で目指す方やポスター等で紹介されている正木ヶ原に大蛇嵓、そして、最長ルートのシオカラ谷を経由して周回される方など、その方に合わせて色々な組み合わせが出来ます。また、野鳥を目的に訪ねる方も多く、望遠レンズを片手に登山者とは違う装いで歩いています。私たちは両方の目的で訪ねていますが、今日は雨上がりの山をゆっくりと散歩することが第一。駐車場から尾鷲辻を経由し、正木ヶ原、日出ヶ岳と周回するCT3時間の山散歩。
樹林帯から始まるこのルート。どの沢にもミソサザイが居るのではないかと思えるほど、森閑とした木々の間に響き渡ります。石橋の架かった沢で様子を窺っていると、段々と近付いてきて、遂には橋の下をくぐり抜けていきました。その一瞬の姿を何とか撮ることが出来たことより、今年初の目の前通過に大興奮です。所々で水溜りを避けながらも、尾鷲辻が近付くにつれて木漏れ日が森を照らし、薄青空も広がり始めました。
周回の交差点「尾鷲辻」。秋に利用する道を確認してから正木ヶ原へ向かいます。ここでも水溜りや雨に濡れた石に注意しながら進むと、次第に開放感のある森となり、至るところに枯れ木が広がる正木ヶ原に到着。正面には正木峠に向かう木道が笹原を横切り、大台ヶ原らしい景色となります。木階段から正木峠まではこのルート最大の見所。雨で心配された熊野灘の展望も、逆に洗い流されたかのように淀みのない景色。入り組んだ海岸線が熊野古道伊勢路と沿うようにして、志摩半島へ続いています。
途中にある展望ベンチで昼食タイム。日出ヶ岳山頂や正木峠で休息をとる方が多く、ここはお気に入りの休憩スポット。そして今日一番の青空が上空を通過し、私達を歓迎してくれました。
正木峠からいったん下って駐車場からの道と合流すれば、山頂へ続く最後の登り階段。幾度となく訪ねた山頂展望台も、関西バンビー3では初めてで、新鮮な世界へと変わります。再び、鳥の声を聞きながら歩き始めれば、あっという間に駐車場へと戻りました。
下山後は、奈良方面では定番となるお店でいつもの…(笑)


こんな景色に出逢えるのは 雨のお陰

しっとりとした森歩きは 今の季節にピッタリ

コゲラが 木々を飛び交っていました

雨の季節に 生き生きしています

一瞬の通過は 特急列車並…

大きな口から 発する「沢のメロディ」(トリミング処理)
緑深まる季節に 夏を感じます

木漏れ陽射す登山道を尾鷲辻へ

笹原を登れば 森が開けてきます

静かな 正木ヶ原展望台

トウヒの立ち枯れは 台風の影響

正木ヶ原を 雲が通り過ぎていきました

時代とともに 景色は移り変わります

正木峠に向かう メインストリート

昨年歩いた 尾鷲の稜線を眺めながらのランチタイム

貸し切りの展望台…関西バンビー3

主役の座は 立ち枯れから木階段へ …

笹原を抜ける風が 心地よかったです

振り返れば 大気が動く 夏の午後

志摩半島に英虞湾…伊勢路は続きます

シロヤシオの向こうには 本日の頂

枝葉の間に ゴジュウカラ

木々が 午後の陽射しから 守ります

小さな巨鳥…ミソサザイ

フルーツとタルトの共演に完敗した いつもの…(笑)

梅雨の定番「お散歩稜線」

6月17日 奈良県大峯奥駈道 1486P
梅雨の晴れ間と平日休暇が重なり、定番ルートの駐車地へと向かいます。

梅雨を迎えると一気に山域が限られるバンビーズ。ホームは蛭休み。比良の沢沿いルートは安全確保で遠慮気味。さすがに八ヶ岳方面は日帰りでは厳しく、大峰・台高方面となります。そして、丁度この時期に花期を迎えるクサタチバナ。その群生地を訪ねるのが、梅雨の定番となりました。
群生地は大峯奥駈道の行者還岳から弥山方面に向かった1486ピーク付近。登山口は90番ポストが一般的となりました。このルート、地形図には記されていませんが、特に危険な個所もなくルートも明確であることから、廃トラックにちなんだ「タイタン尾根」ルートとして今では一般化されています。
このルートを知らなかった9年前は行者還TN西口から直登ルートの「シナの木分岐」経由で向かっていましたが、7年前に知ってからはずっと利用しています。花の開花時期に合わせて向かうため、訪ねる時期もほぼ同じで、気付けば2年ごとに訪ねていました。初めは行者還岳やその先の七曜岳まで歩いていましたが、ここ数年はクサタチバナの咲く1486Pが折り返し地点となっています。
登山口からのCTは90分。ゆっくり出発しても十分な時間がお気に入りのひとつでもあります。ところが駐車地の90番ポストでは、駐車車両が意外と多く、行者還TN通行止めの影響があるかもしれません。週末の混雑が予測されます。
鉄階段から始まるこのルート。一般的になったと言っても、特に案内表示はなく、この先、奥駈道に合流するまではテープやリボンが道しるべ。唯一、廃トラックの分岐点(通称、タイタン広場)には大きな案内板が建てられており、これも時の流れかと思いました。
低山アルアルで、登り始めは急登。しかし、それも長くは続きません。ハルゼミの鳴き声がサラウンドで響く中、青葉繁る森を通り抜ける風が滲んだ汗を心地よく衣替えさせます。門番と呼ぶ、今にも動き出しそうな樹形をした木を過ぎれば、傾斜は穏やかになり、静かな山行が更に歩く速度を緩め、森と一体化します。
まっすぐに天を衝くヒノキの巨木。途中から分かれた枝は、陽の当たる方向を指し、私達の知らない森の共生が行われていることでしょう。少しだけつづら折りで登れば、「森の主」が登場。頭上を覆う枝葉は、他を寄せ付けない存在感。刻み込まれた樹皮をそっと触り、その生命力を分けてもらいます。
ここからタイタン尾根と呼ぶ「清明ノ尾」まではほんの一息。尾根の名前にもなる廃トラックは、今日も私達を迎え入れ、かつて行き来した林道跡は、巨木が連なる素晴らしき並木道。その尾根道が裾を拡げ始めれば、最後の直登となり、笹原は奥駈道が近いことを教えてくれます。
奥駈道合流から群生地手前までは公園の散歩道と呼ぶ稜線歩き。大普賢ファミリーの起伏に富んだ稜線を眺めながら美しき曲線が続く道を進みます。ほぼ直角に曲がる箇所に立つ石の案内板。このルート、唯一の核心部でしょう。露出した石灰岩のトラバース道を慎重に通過すれば、クサタチバナの群生地が出迎えくれます。
まだ蕾が目立っており、満開まではもう少しと言ったところですが、十分に見応えはありました。
来た道を戻り、春や晩秋に幕営をする弥山を正面にして昼食。前回はここでアカゲラやビンズイ、ゴジュウカラの鳥達がやってきましたが、今日はハルゼミの声だけです。下り始めた時、森の奥から聞こえたミソサザイの姿を追いかけてみますが… 。
午後からは晴れ間が広がり、森に届く陽射しは気温を高めますが、頭上を覆う巨木の青葉が守ってくれます。往きとは逆の順序で現れるルート上の役者たちにお別れを告げ、最後の鉄階段を慎重に下りました。
下山後は、以前から気になっていたいつもの…(笑)


定番の登山口 通い始めて7年目の梅雨…(笑)

木道には 時の流れを感じます

この季節 必ず 触ってしまいます…リョウブ

平日とは言え 静かな森歩きが 続きます

昔は 覆い隠されていたのでしょうか…

ブナの森は 新緑から青葉へ

巨木ゾーンに入れば 序盤の後半戦

「森の主」は 健在でした

廃トラックが見つめる先は かつて走っていた道

今は 山人が 通う道

そして 悠久の時を感じる道

「一期一会の道」と名付けたい

笹原に続く 開かれた森

バンビーズにとって 弥山とここが 大峯奥駈道

見るからに「山」の字…鉄山

ハルゼミとともに 稜線散歩道

石灰岩と苔のコラボを過ぎれば ゴールは近い

主役の前に…ミゾホウズキ

まだまだ これからの…「クサタチバナ」

ここで出逢って 早や 9年の歳月

ヒメレンゲは 名脇役と言ったところでしょうか

昼食兼デザート…ガトーブルトンとカヌレ

午後の陽射しが 森を照らします

また 次の機会まで…森の主

完成された集合体で いつもの…(笑)

空いた時間で おらが山

6月2日 三重県尼ヶ岳
通勤の車とすれ違いながら、いつもの駐車場に向かいます。

前日に予定が延期となり、急遽空いた平日の午前中。GW以来山に入っておらず、ここはお決まりのおらが山「尼ヶ岳」にトレーニング登山。ただし、今日はカメラ片手にのんびりとした気分で登ろうと思い、トレーニングになるかどうかは不明です。
今日も日中の気温は夏日となる予報。それでも自宅から30分走った登山口は少しひんやりとした空気感に包まれ、山の世界に入ることが出来ます。
しばらく続く林道を歩きながら、呼吸を合わせていきます。ミソサザイの声に迎えられ、その声を追いかけますが、一瞬姿を捉えるだけで、カメラに収めることは出来ません。続いては、頭上から降り注ぐオオルリの声。この木の先端部と思いながらも、繁みに隠れてその姿は見えません。
富士見峠ルートとの分岐になる橋を渡れば、登山道の始まり。ここからしばらくは、カッコーの声が響き渡ります。陽の届かない植樹帯では、「声はすれども姿は見えぬ」。気付かないまま近付けば、飛び去る姿を見るという繰り返し。声のする樹間を適当に撮った1枚に、枝に止まった姿が小さく写っていました。
そんな鳥達の声を楽しみながらゆっくりと歩いても、次第に感じる額の汗。そして、目の前に現れる階段。
このブログで最も登場するおらが山。そのおらが山の代名詞とも言える「天にも昇る階段」。標高957.6mの尼ヶ岳は、駐車場との標高差425mでありながらも、トレーニング登山となる中盤以降の階段区間。幾度となく歩いた道ですが、何故かいつも新鮮な気分でここを迎えます。
前回歩いたのは、昨年の10月。1年振りのバンビー3山行でした。その前は新緑が落ち着き始めた5月。今回は更に新緑が落ち着いたものの、針葉樹林の奥に見える広葉樹林の緑は「目に青葉 山ほととぎす 初鰹」の俳句を思い出します。話は逸れますが、自宅の裏山から「テッペン カケタカ」とホトトギスの声が聞こえ始め、梅雨の訪れを感じさせます。
いつもは一気に登る核心部、第4階段の途中で立ち止まってみれば、肺の中まで緑に染まりそうな森の勢いです。アルプスにはアルプスの、低山には低山の良さがあり、おらが山だとその気持ちは尚の事です。
息が乱れないまま最終第5階段。両側は広葉樹林となり、メインストリートに相応しい階段路。いつもは天使が見える山頂手前ですが、今日は、出会うことなく登頂。伊賀富士と称されるお椀状の山頂は、芝生広場のようであり、ここからの展望もまたこの山の代名詞です。
爽やかな風と青空。そして、下界の暑さを彷彿させる霞みがかった遠望。ウグイスに交じって小さく聞こえてくるのはホオジロの地鳴き。誰もいない山頂で体感できる山の世界と眺める我が町。ここは自分にとって大切な場所「おらが山」。
いつもとの変わらぬ景色を楽しみ、そしてまた、いつもと変わらぬ道で下山。ただ、核心部の階段は更に崩落が進み、下りる度に注意が必要になってきました。富士見峠から分岐したところで、いつもはすぐに飛び去るカケスが、まるで追い払うかのように後を付いてきます。また、いつも聞く濁声ではない声色の時もあり、子育て中だったのかも知れません。周回を終え、林道に戻れば、オオルリとミソサザイの声。写真に収められなくても、美しい声を聴けただけで感謝しなければと思いつつも、カメラを構える自分が居ました。
下山後は、自宅にていただくいつもの…。


このアプローチが 山と町の境界路

川音とともに ミソサザイの声

林に射しこむ光は 力の源

足元の案内板になってしまいました

マムシグサは 道咲案内人…第1階段

第2階段では 「群」でした

光に導かれた 第3階段

広葉樹と針葉樹の境界は 第4階段

振り返れば 緑の重なる景色

梅雨前のおらが山は 緑美しき山

広葉樹が迎える 第4階段終盤

ひっそりと出迎える 第5階段

木漏れ日が 休んでいけと 誘います

暑いと思う季節まで あと僅か…

緑を突っ切るメインストリート…第5階段

後半は トレーニング登山の本領発揮

何度歩いても 天まで続きそう

緩やかに迎える 山頂直下の階段が 好き

今日は 空が近いと 感じました

我が町を眺められる山は 有難い

高見山から俱留尊山 美しき稜線

遠くに霞む ダイトレ北部…大和葛城山二上山

小さな声の物語…ホオジロ

さて 帰ろう

手作り抹茶チーズで いつもの…(笑)

名峰's とともに…GWテントライフ

5月3~5日 長野県遠見尾根
前夜の予期せぬ事態に多少の不安を残しつつ、まだ桜の咲く道を駐車場に向かいます。

5月3日
以前から温めていた計画。雪の遠見尾根テントライフ。山行的には1泊2日で充分なところ、せっかくの白馬エリアで過ごすからには2泊はしたく、また、稜線上にある適地は風の影響を受けやすいため、天候の安定を条件と考えていました。そんなことで、機会に恵まれないまま数年を過ごし、ようやく訪れた2022GW。主稜線では風の影響を受けるものの、好天に恵まれる3日間。ついに、計画実行。
7時前、出発の起点となる「白馬五竜テレキャビン」登山者用Pに到着。乗車口には早くも数名のスキーヤー達が並んでいました。運行開始は8時15分。その頃には道路近くまで列が続く盛況振りです。今日は幕営地へ行くのみで、午前中に到着すれば良い私達は、並ぶことなく乗れるまで時間を過ごします。
標高差699mを約2kmで結ぶテレキャビンは、8分ほどで1,515m「アルプス平」へ連れていってくれます。建物のすぐ前はゲレンデ。BGMとともに歓声が響く白銀の世界。ここで初めて、五竜岳から白馬三山へと続く稜線がリフト越しに飛び込んできます。但し、高まる気分とは裏腹に大きなザックを担ぐ私達は完全にビジター状態でした。ここから少し下った先にある第1ペアリフトを利用すればゲレンデトップまで行けますが、ザックを背負った乗車に不安を覚えたため、ゲレンデ脇を歩くことから2022GW山行の始まり。
五竜岳に向かう主稜線は「遠見尾根」。白岳に向かって小、中、大、西の遠見山が連なり、小遠見と西遠見の標高差は261mですが、アップダウンを繰り返すことから累積標高は上がります。
展望を楽しむテントライフの私達は、中遠見で幕営。山頂を目指す方は、大遠見か西遠見まで行かれるため、GWとは言え、静かに過ごせると思っています。
再び、スキーヤー達に注意を払いながら、ゲレンデトップから林道に進めば、注意書きのあるゲート。ここから先は私達のホームゲレンデ。まずは樹林帯越しに見える雪の壁に臨みます。傾斜は発汗作用を促し、袖を捲ってみますが、次は日焼けの心配をしなければなりません。登り切ったところが遠見尾根。「見返り坂」の案内板に従って振り返れば、アルプス平と北信五岳から続く頚城山塊。そこから小遠見に向かっては短い急登の繰り返し。雪が揺るんでいることや両側が切れ落ちたやせ尾根に亀裂の入った雪庇。夏道区間では雪とともに地面の崩落や浮いている箇所もありました。周囲の景色に目を奪われて、ただトレースを追いかけるだけでは危ない世界です。
二ノ背 髪を過ぎれば鹿島槍が顔を覗かせ、小遠見山頂で展望の完成。最近降った雪のお陰で、五竜岳の雪形「武田菱」、長野県初の氷河「カクネ里雪渓」や稜線が化粧直しをしたかのようです。更に登り返しを繰り返し、2,037mの中遠見山に登頂。そして、通り過ぎた木立の中に「五竜鹿島槍展望荘」のオープンです。
設営後、最初の作業は水作り。雪を集め、溶かしてはろ過すること30分。これもGWテントライフ。昼食後の予定はなく、出入口を塞ぐような五竜岳の岩稜を寝転びながら眺め、ラジオから流れるFM局の音楽を聞き流します。ふらりとテント周辺を歩けば、北ア北部の名峰が屏風のように連なる光景に出逢えます。また、急峻な谷は一気に白馬の町へと駈け下り、標高差1,300mの俯瞰は生活を感じながらも別世界を体感できる場所。
夕方、五竜岳に陽が沈めば、目に見えるように気温が下降。定番の鍋料理で暖を取ります。期待していたマジックアワーは淡々と過ぎ、三日月の傾きと町の灯りがリンクします。時折、鹿島槍を抜けてくる風が大きくテントを揺らす中、GWテントライフ1日目は幕を閉じました。


さて どんなテントライフが 待っているのでしょうか

五竜岳 ファーストショット…左端に小さく「地蔵の頭」

武田菱を見れて良かった…ゲレンデトップ

遠見尾根へは 空に登っていく気持ちで

言葉通りにしました…見返り坂

遠見尾根の始まり

次のポイントはここ「一ノ背 髪」

次のポイント「二ノ背 髪」は 写真ほど遠くありません

小遠見山までで 一番の急登区間

ようやく 小遠見山が 近付いてきました

小遠見山から少し下がって…

五竜岳」名前の由来…武田菱(ショセツアリマス)

初めてのテント泊は 鹿島槍ヶ岳南峰…(写真は北峰)

ここから先は 正しく 五竜岳に続く道

残雪期の展望を楽しむ 「ルート遠見尾根」

注意一秒 怪我一生

倒れるのなら 絶対に左側

中遠見山の一等地を頂きました

大遠見山へ向かうトレースと今回のツートップ

数年待ってた このテントライフ…五竜岳唐松岳

白岳に 五竜岳の影を落とす

山荘のスケールをあらためて 感じました

定番中の定番…極め鍋 (笑)

夜の帳が 白馬三山に向かいます

あの町を初めて訪ねたのは 高校1年の夏

5月4日
深夜1時過ぎ。まだ風の音が聞こえてきます。フライシートのファスナーを上げれば満天の星々。ただし、稜線上とは言え、町が近いために天の川の流れは薄墨色。月はすでに沈み、山を照らすものはないはずですが、星の灯りか町の明かりか、はっきりと浮かび上がる雪稜。
目が覚めて時計を見れば日の出時刻間近。慌てて外に出ると、半分ほど顔を覗かせた太陽。これまでにも数多く御来光を拝してきましたが、今日は濃い黄身がとろりとこぼれそうになる艶っぽい系。
北側180度は遮るものがない中遠見山。朝のグラデーションは一期一会です。日没と違いゆっくりとした時間が流れる日の出。次第に力強さを増すものの、山肌を染めることはありませんでした。
すでに白岳に向かう登山者の姿が確認できました。今朝は風が強く、武田菱上部では雪煙が巻きあがっている様子を見て取れ、皆さんの無事下山を願います。予想通り、昨夜の幕営は私達の他に、ソロの方1名。その方は「遠いよねぇ~」と話し、ピークを目指して出発されました。
小遠見から先、西遠見までは、近付いてくる五竜岳鹿島槍の南峰が見える程度で、展望に大きな変化はありません。全周囲の展望を楽しめる遠見尾根ならではことでしょう。私達のように展望を楽しむ者にとっては、どれだけ五竜岳に近付くのかと言うことになると思います。
とりあえず、西遠見山を目的とし歩き始めますが、状況に応じて、引き返し地点を決めるつもりです。8時20分、快晴の下、まだ風の勢力が続く中、出発。まずは、鞍部まで70mの下降。五竜岳に向かって続く遠見尾根に飛び込んでいくような気持ちです。テントサイトから大遠見山へのトレースを確認しており、雪庇の状況も頭に入れておきます。時折襲う15m前後の風は、長い息遣いであり、バディは身体を支えなければならない状況が続きます。万が一、倒された状況が悪ければ、滑落の危険性を含んでいます。2日に起きた身体の不調を完全に拭えていないバディ。お互いに何も話しませんが、今日のピークは大遠見山であると思いながら、山行を続けます。
途中、ピークを目指して発たれたソロの方とすれ違います。登頂経験はお持ちのようですが、無理なき山行には賛成です。
鹿島槍の南峰が見え始め、やがて、吊り尾根が双耳峰であることを示し、五竜岳の山容がぐんぐんとせり上がってきた雪原が大遠見山。山頂標識があろうと思われる場所にトレースは立ち寄らず、西遠見山方面へと続いています。その雪原で五竜岳を背にした写真を撮ってから帰ろうと、準備を始めた矢先、突風と共に言いようもない音がし、振り返れば、床面を私達に向けたテント2張が、今にも飛んでいきそうな勢いで風を受けていました。
真っ二つに折れて舞う竹ペグのロープを掴み、ちょうど手の届くところにあったストックをペグ代わりに埋め、もう1張へ。こちらは融雪によりペグが抜けたようで、1本を掴んで設置。ひとまず対応を終えた時、持ち主の方が引き返して来られ、状況を説明。大事に至らず良かったです。
武田菱と双耳峰の鹿島槍ヶ岳。これを眺めることが、今回の目的であったため、西遠見山でなく、ここ大遠見山でも大満足。そして、この2峰に限らず、爺ヶ岳唐松岳、白馬三山から続く雲の上の坂道「小蓮華山」。振り返れば、頚城山塊に北信五岳。浅間山八ヶ岳方面は春霞でしたが、この素晴らしい展望を昨日から満喫していること自体に感謝です。長年待っていた機会を上手く利用出来たと思います。
10時過ぎ、テントに戻り、2日目のテントライフが始まりました。常に五竜岳を眺め、立ち上がっては鹿島槍ヶ岳を望む。そして、山の原点「白馬三山」とともに過ごすテントライフは何よりも感慨深いものでした。
すでにソロの方は下山され、日帰り登山やテント装備の方は昨日より多かったものの、午後からは再び静寂の世界。やがて風も収まり、昨日と同じような時間が繰り返されます。
いくつかの峰を季節ごとに感じ、こうして何もしない贅沢さを味わえる今。いつまでこのザックを担いで歩けるのかは、もうしばらく考えないでおこうと思います。
今日も町の明かりが揺れ、人々の息遣いが聞こえる中、2日目の夜は過ぎていきました。


時間の流れが 目に見える 山の夜明け

今朝の鹿島槍は 灰桜

柔らかな 朝の時間を感じる 幸せ

無事の下山をお祈り申し上げます

遠見尾根とは対照的な 八方尾根

両手を広げて 待ってくれているように見えました

大遠見山に向かう ストレート区間

風の影響を受けながら 登り続けます

振り返って 中遠見山

山頂直下に4名2組の姿が 確認できます

私達のトレースは ここで充分

寄せ付けない力が ここまで届きます

ザックにも 武田菱?

大遠見山直下の雪原

この展望に満足の バンビーズ

鹿島槍の代名詞でしょう…双耳峰

3年振りの残雪期北アルプス…痺れました

さぁ 帰って テントライフを楽しみましょう

何故か ここは 夏道になっていました

初めての白馬三山とバディは 同じ夏

中遠見山から見た「五竜鹿島槍展望荘」

今回 2度目の 水作り

早くも 2日目の 陽が沈みます

マジックアワーは 浅緋色で 幕を閉じました

午後8時 西遠見山付近に 2名の登山者

5月5日
今日も1時過ぎに星空撮影。昨日は風の影響があったものの、今は無風。昨日の反省点を踏まえて、撮影を行います。何枚かの撮影を終え、再び ケルン越しに天の川を狙った時、シャッター音とともに真横一文字に走る光芒。流星だと解っていても、横に流れるのを初めて見たため、一瞬の間がありました。その間、わずか2秒。消える直前、輝きを増した流星は、その残像と驚きを与えてくれました。下山後、写真を娘に送ると「みずがめ座η(エータ)流星群」だろうとの返事でした。
風のない星降る夜。いつまでもこうして居たいと思う時間。あと数時間もすれば陽がまた昇り、GWテントライフも終わりを告げます。
今日は夜明け前のグラデーションに間に合いました。「曙」と呼び「ほのぼのと夜が明ける時間帯」を見るのが好き。町は早くも目覚め始め、水の張られた田んぼは鏡のように白く照り返しています。
残雪期、白馬エリアで過ごすテントライフは7年振り。前回は栂池高原から入り、白馬大池で3泊。白馬岳の登頂と雪倉岳から朝日岳、栂海新道へと続くなだらかな稜線、オレンジ色に染まった夕暮れが印象に残っています。
そして2022年。荒々しい岩稜が醸し出す近くて遠い世界。良く無事にここまで登山を続けてこられたものだと振り返ります。
今日の朝陽も山肌を染めることがないまま、青空を染め上げていきます。引き続き、風は穏やかで、山行日和とも言えそうですが、雪の緩みが心配され、時折、「どーん」と言った崩落の音が聞こえてきます。
下山後に安曇野の山友と昼食する予定を交わしていることから、8時30分には出発したく、いつもより短い最終日のテントライフ。
片付けをしていると早くも下山者が横を通り過ぎていきます。五竜岳を目指した西遠見山組でしょう。登頂されたかどうかは知る由もありませんが、きっと、素敵なGWだったことに違いありません。
テントを撤収すれば、まるで台座のようにその部分が盛り上がっています。3日間でおおよそ10cmは融雪が進んだと思われます。予定通りの時間に出発。下界の最高気温は27℃と初夏の陽気で、すでにここまで届いています。
何度目の登頂か判らない中遠見で、過ごした時間を振り返ります。北アルプス北部の名峰を十二分目に焼き付けたと思っていても、名残は尽きません。幸いにも小遠見までは続くこの展望。まるで出発した列車の窓から見送る人に別れを告げるかのように、少しずつ離れていく遠見尾根の帰り道。
小遠見まですれ違う人は居らず、各地で賑わいを見せているのが嘘のような静けさ。本日の核心部「二ノ背 髪」を過ぎたところの下り坂は慎重に通過しました。緩んだ雪は思わぬところで足を取られ、転倒→滑落→遭難→救助とならないよう集中を切らさずに歩きます。「一ノ背 髪」を過ぎれば広い尾根を下るようになり、遭難リスクは緩みます。そして、最後の見返り坂を一気に下れば、ゲレンデトップへと続く林道歩き。流れるBGMは山行の終わりを告げるラストソング。
初日より随分と減った感じのするゲレンデですが、それでも衝突されないよう滑走者の間隙を縫って通過し、アルプス平駅に到着。アイゼンを外したところで9割方山行は終了。初日、リフト越しに眺めた五竜岳にさえ高まった気持ちは、今では平常心を保っており、どちらかと言えば「小さくなったなぁ」と言う感想。
多少、風の影響を受けたものの、青空に恵まれた2022GWテントライフ。階段を上った先にあるテレキャビン乗車口では立ち止まることなく入っていきました。
最後に「素晴らしい3日間に感謝」。
下山後は、満腹になりすぎ、地区公園ベンチで山友と過ごす3時間。そして帰宅後に、久しぶりに寄ったお店で買った季節ものでいつもの…(笑)。


大町方面とミルキーウェイ

ケルンを貫く 流星

午前2時15分 ここは 小さな宇宙になりました

夜明けまで あと30分…静かな世界でした

曙が 白馬三山を 浮かび上がらせます

全ての音が止まったように感じました

この時間を過ごせる テントライフの幸せ

2022GW 最後の朝を迎えました

残雪期の朝は いつまでも 共に過ごせる

昨日よりは染まって見えました

しっかりと 目に焼き付けました

テントライフ 最後の食事も 五竜岳とともに

感謝を込めて 乾杯

今日 5月5日は「こどもの日」

白馬岳の雪形「代掻き馬」は 初めて見たかも知れない

展望荘は閉店 跡に残るは 台座とベンチ

何10回となく見た展望でした

下山とは 少しずつ 展望から お別れすること

ゲレンデトップは まだ向こう側

町に向かって降りる 遠見尾根

五竜岳の展望としては ここで お別れです

2日前を思い出しながら 遠見尾根を下ります

再び ビジターの世界へ

安曇野から眺めた 2022GW

残雪期の山に見えなくもない いつもの…(笑)

関西バンビー3の春 フラワーロードを登る

4月23日 滋賀県寒風
9年振りに雪のない駐車場へと向かいます。

「寒風(さむかぜ)」。聞くからにして寒そうな場所は、滋賀県高島市にある全長80kmに及ぶ「中央分水嶺・高島トレイル」の序盤、マキノの山に属する標高840mの頂。山頂とは言え、トレイル上にある「赤坂山」や「大谷山」をつなぐ通過点的な存在。そして、これらの出発点はマキノ高原キャンプ場になります。
「赤坂山」は花の百名山として人気が高く、ここから出発する大勢の登山者が向かいます。そして、ルートに高島トレイルを計画すると、寒風が含まれ、右回りか左回りかを選択することになります。また、人混みを避ける場合は、大谷山を目指し、この場合もほとんどの方が寒風を経由します。
こんな寒風ですが、近年、目的地とすることが多い我が家です。10年前の6月、初めてここを訪ね、寒風・赤坂山を周回し、次の年は大谷山経由で寒風・赤坂山周回をしましたが、以降、雪のシーズンしか訪ねておらず、最初は周回や大谷山を目指したものの、ここ数年は寒風から眺める山麓や琵琶湖の展望で満足しています。
バンビー3で登るのは、昨年10月のおらが山以来。今日の予報は曇り空ですが、前回の吉野山と同様、目的が「花」のため、さほど気にはしていません。
9時現地集合。駐車場はキャンプ場を利用する方で賑わっていました。冬、ソリや雪遊びをするゲレンデ跡には大小様々なテントが立ち並び、まるでテントの見本市です。それを横目にまずはゲレンデトップを目指します。見納めと思った先週の吉野桜。キャンプ場内を流れるヨキトギ川沿いの八重桜が満開を迎えていました。
冬。スノーシューを履いて向かえば、最初の核心部になるゲレンデ直登。あちらこちらにワラビの新芽が顔を覗かせる中、汗が一気に噴き出します。
今日のお目当ては「トキワイカリソウ」「カタクリ」「トクワカソウ」。まずは「トキワイカリソウ」が出迎えてくれました。花の形が和船の錨に似ていることに由来するイカリソウ。自生しているのを見るのは初めてです。釣り下がった花が下向きに咲くため、しゃがみ込んでのご対面となります。オダマキを平たくしたような花の形は何度も足を止めさせます。
続いての登場は春の妖精と呼ばれる「カタクリ」。曇り空のため、花の開き具合を心配していましが、杞憂に終わりました。トキワイカリソウは標高500m付近で姿を消しましたが、450m付近から寒風までその短い地上での生活を私達に届けくれました。
最後の「トクワカソウ」はまだ時期が早いようで、2ヶ所で出逢えました。ホームで見るイワウチワの亜種。大柄でピンクの花は春の使者に相応しく、湖北の山をますます飾っていくことでしょう。
この他にも、ピンクのグラデーション「オオイワカガミ」やキランソウ属、数種のスミレ等、何かしらの花が続く寒風への道。花の他にも、シジュウカラやヒガラ、エナガ、オオルリ、コゲラなど野鳥の囀りが響き、春まだ浅い湖北の低山を彩る小さな存在は、大きな喜びを与えてくれました。
霞みながらも寒風からの展望とともにランチタイム。腰を上げた時には、日本海から漂う雲に、高島トレイルが姿を消し始めていました。新緑が美しい森を愛でながらの下山。この時期にのみ感じられる、若葉が照らす森。何気ない世界がとても愛おしく感じます。
山間の集落を眺められるゲレンデトップ。このルートの好きな場所のひとつですが、朝、見本市と化したキャンプ場はシーズン真っ只中の海水浴場かと見紛うばかりの光景に、思わず、苦笑い。
下山後は、古民家をリノベーションされた癒しのカフェでいつもの…(笑)


新緑の並木道を抜けるのは 記憶に残っていない

予定外の陽射しを受けて 出発

グリーンシーズンにも トレースはあります

記念すべき ファーストショット…トキワイカリソウ

草陰にひっそりと 咲いていました…

白いスミレはあまり見かけません…

ニシキゴロモかキランソウかは 区別出来ません

妖精が躍って見える…シロバナニシキゴロモ

薄いピンク系がお気に入り…オオイワカガミ

繊細な造形美に 見惚れてしまいます

里山に圧倒的な存在感…カタクリ

霞んではいても ここからの景色に ほっと一息

3連の競い咲き…トクワカソウ

新緑の森に吹く風は「爽やか」

オオイワカガミは この大きな葉っぱが特徴です

曇り空でも咲いていたハートのエンジェル「ミヤマカタバミ」

大谷山への一本道は ホーム「竜ヶ岳」のよう…

溝道からの脱出 そして 道が作られる…

所々に シャーベットゾーン

この区間は歩いています…高島トレイル

ここ数年は 文字盤だけを 見ていました

こんな感じです…2021年2月

徐々に 元の生活へと バンビー3

足元注意…花は無くとも 1枚葉には 未来の花が

相変わらず 飛び回っていました…ヒガラ

良い思い出を ありがとう

今日こそ 桜の見納めでしょう…

大きめのマグカップとともに いつもの…(笑)

新緑に向けて…なごり桜

4月16日 奈良県吉野山(青根ヶ峰)

時折、雨雲が通過する下、登山としては5年半ぶりの駐車場に向かいます。

吉野と言えば、桜。「一目千本」と言われる桜は、山麓の下千本から始まり、中千本、上千本へと続きます。そして、最後を飾るのが奥千本。14日に満開を迎えた週末、大勢の観光客で賑わうことは予想されますが、吉野山最高峰「青根ヶ峰」経由で向かうことにしました。
吉野山と言う名前の山はなく、大峰山脈へと続くこの山域の総称。前回、青根ヶ峰経由で奥千本エリアに向かったのは11月。楓の紅葉が見頃を迎え、深まる秋の佇まいを見せている時です。
登山口は奥千本の東に位置する「あきつの小野公園」。枝垂れ桜や八重桜に見送られての出発です。青根ヶ峰へは、地形図に示された「音無川沿いルート」と示されていない「尾根ルート」があります。共に、青根ヶ峰近くの舗装道路手前で合流し、前回同様、「尾根ルート」を利用しました。
登山口から数分で到着する「蜻蛉の滝」までは観光気分で散策できます。しかし、ここから上の尾根ルートは地図に示されていないことが納得する難路、悪路が続きます。特に、地面や岩が湿っている時には最大限の注意が必要です。その区間を過ぎれば、P668.5へ続く直登となり、1時間ほどで稜線に沿った歩きやすい道へとなります。しばらくは植樹帯の薄暗い道で、初めて視界が開けた場所からは、大滝ダムの堤体と木々を映したダム湖、前方には金剛・葛城のダイヤモンドトレール北部稜線と大阪市内の高層ビルが霞んで見えました。
地形図に示された川沿いルートでは展望のないまま青根ヶ峰へ続くため、少しのリスクを背負ってでも、尾根ルートを選択しました。ただし、今回の山行で少しのリスクが大きな事故へ続く予感がしたため、次に計画があるとすれば、川沿いルートになることでしょう。また、この山域には土壌の関係か時期的なものか花は少なく、ちらほらとスミレが顔を覗かせる程度です。その代わり、至るところでシダ植物が新芽を伸ばしていました。川沿いルートであれば、また異なる生態系が楽しめるかもしれません。
川沿いルートと合流すれば、山麓から続く車道となり、鉄階段が目の前に現れます。ここも地形図に示されていませんが、急坂を登り終えた先にある858.1m 青根ヶ峰に続く道です。
特に視界もなく、吉野山最高峰に登頂しただけの頂。そのまま通過し、奥千本エリアの金峯神社に向かって下れば、結界地蔵が見守る「従是女人結界」石碑の建つ大峯奥駈道になります。
この辺りまで来ると「奥千本」の桜を目当てにした観光客が散策の足を延ばしてきた姿を見るようになります。平成23年から奥千本再生事業として始まったとされる桜の植樹。今私達が見る「一目千本」の始まりを実感するとともに急斜面一杯に広がる若木1本1本を植樹するその労力に感服です。
金峯神社方面ではなく、西行庵へ。奥千本を楽しまれる観光客が一気に増えてきました。また、私達は観光客の経路とは逆回りをしているようで、斜面に作られた細い道では対抗待ちする時間が増えました。
昨日の天候で満開を迎えた桜の花は散り急ぎ、ピンク色に地面を染めていきます。山桜は少し離れて見る方が美しく思え、谷を境にした西行庵の桜色が印象的でした。
30年振り西行庵。まだ幼かった娘の手を引いて歩いた道が目の前に蘇ります。当時の桜はりっぱに成長し、植樹された桜もその後を継ぐことでしょう。
大峯奥駈道まで戻り、未来の奥千本と金剛・葛城山系を望みながらの昼食。桜の花びらが舞うランチタイムは、新緑の季節を迎える「なごり桜」。
下山後は、お気に入りのお店でいつもの…(笑)

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華やかな登山口…あきつの小野公園
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登山道から螺旋階段を降りて…蜻蛉の滝
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スリップ注意区間
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滑落注意区間
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連続階段注意区間
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スミレに目が届けば 安全区間
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構造物を見れば 現在位置が把握できます
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二上山の向こうには ビル群と六甲山系
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生命力溢れる 春の植物
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20cm 高くなり 現在の標高は 858.1m
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金剛・葛城~生駒…大阪と奈良の県境 
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山では 散った桜も 美しい
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新緑と花びらの共演が 吉野の桜
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空を覆う見事さも 吉野の桜
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曇天に ピンクの絨毯が 淡く光っていました
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桜の高低差を楽しむ 吉野の千本桜
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春が散り そしてまた 新しい春が来る
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30年後はどうなっているのでしょうか
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吉野には 桜とともに 杉もあります
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過去から未来へつなぐ 奥千本桜
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見頃になるときは 次の世代でしょう
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桜に続く 新緑の季節が やってきました
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今日も 尖っています 関西のマッターホルン…高見山
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今日で 桜も見納めか
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桜色よりも少しだけ濃い いつもの…(笑)

ホームに届く 春の足音

3月29日 三重県草木
今日を逃せば1年先になるため、普段であれば登らない空模様の下、駐車場に向かいます。

昨年末から2月中旬までは毎週登っていたものの、その後は、天気と休みが合わず、3月最終週を迎えました。「草木」とは、ホーム鈴鹿の北部「藤原岳」から南東に伸びる孫太尾根にある834mの頂。以前は破線ルートにもなっていなかった道は、竜ヶ岳の遠足尾根同様、今では一般ルートとして紹介されています。
その理由は花。藤原岳は花の山として有名で、特に、早春に咲く福寿草を求めて多く登山者が訪れます。また、福寿草以外にも、多くの早春花が咲き、週末にはとても訪ねる気持ちが起こりません。
稜線は雲に隠れ、午後には所により雨が降る予報の冷たい平日。7時過ぎの駐車地には、すでに数台の県外ナンバーが停まっていました。
藤原岳までのCTは4時間15分。往復だと7時間35分と、気安く歩けるわけではないこのルート。今回、私達は花が目的であり、その中間地点になる「草木」までとしました。レポを確認すれば、福寿草は山頂直下に咲いているようでしたが、今回の対象ではなく、草木までに咲いている一株と出逢えればと思います。
植林帯から始まった道はやがて常緑樹へと移り変わり、足元には春の使者「スミレ」が姿を現します。低山にありがちな「登り始め急登」を過ぎ、尾根にのれば、準備運動終了と言ったところでしょうか。樹々越しに覗く両側の景色。視界が開ければ、青川溪谷を境にし、竜ヶ岳遠足尾根が雲に溶け込んでいきます。足元には石灰岩が露出し始め、そこだけ切り取ればアルペンムードが高まります。そして、振り返れば、ホームの森から続く山麓の田園風景と伊勢湾。ホームらしい展望が待っています。
山麓から藤原岳山頂へと続く孫太尾根。近年、人気が高まっていることは知っていましたが、それは花だけでなく、この好展望もひとつなんだと判りました。一般的な大貝戸ルートは、ほぼ樹林帯の展望がない道を歩きます。アップダウンがあり、距離が長くなっても、このルートを利用されるのでしょう。
その人気の高さを支えるのが、よく整備された登山道。随所に設置された案内板に加え、自然石を巧みに配し、階段状になった登山道。どなたが整備に携わっているのか不明ですが、見事でした。ここを利用される方は、花や展望だけでなく、整備される方の気持ちも気付かれていることでしょう。
何度かの展望地と樹林帯を繰り返し、お目当ての花「セツブンソウ」が出てくると650m丸山に登頂です。
すでにセツブンソウのピークは過ぎたそうですが、それでもまだあちらこちらに、ちょっと下向きに咲く姿と出逢えます。この他にも、ミスミソウやヒロハノアマナとお目当て花が姿を見せてくれます。ただ予想通りに、曇り空の今日は花の開きが悪く、ヒロハノアマナは閉じたままでした。
花の群生地は丸山であったため、当初はここを折り返し地点とも思いましたが、時間的にはもう少し余裕があるため、先の草木へと向かいます。ここまでもそうでしたが、小ピークには巻き道があります。ただし、丸山から先は花を求めて尾根ルートを歩きました。目指す草木も巻き道があり、特に展望や花のない草木は巻き道で通過される方が多いことでしょう。下山時、巻き道を通りましたが、谷側は急斜面で山頂まで登った帰り道では、注意が必要だと感じました。
根っ子の陰に咲く福寿草とも出逢い、宝探しのような山行目的は達成。まだ出逢っていない花もありますが、それは来年、晴天の時まで楽しみにとっておきます。草木からの下山時、多くの登山者とすれ違い、やはり、平日に限られると確信しました。
下山後は、冷えた身体を暖めるいつもの…(笑)

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山麓から望む孫太尾根…ほぼ中央が「草木」
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大貝戸ルートとは異なる登山道「孫太尾根」
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遠足尾根の雪もまばらになりました
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今日は 空と海の境界がありません
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青川溪谷の向こうには県境尾根
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石灰岩に囲まれて 丸山を目指します
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山に春がやってきたと思う花…タチツボスミレ
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名前とは違い 豊かな芳香…コショウノキ
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登山道整備されている方に感謝です
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これも お馴染みの早春花…ネコノメソウ
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新緑のような花部…オニシバリ
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丸山山頂が近いことを告げる花…セツブンソウ
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見頃は過ぎても まだまだ存在感はありました
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ひっそりと 清楚に咲く花…ミスミソウ
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丸山を過ぎれば アセビの森
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小さな小さな春の物語…ミスミソウ
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足元に注意しながら…セリバオウレン
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唯一 出逢えた株でした…フクジュソウ
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苔と共に春を告げます
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今年の積雪量を物語っていました
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標高点834mが 草木山頂…左は巻き道
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採取場は孫太尾根にも 迫っています
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とりあえず撮影して調べました…カテンソウ
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今日一番の開き…ヒロハノアマナ
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汁・餅・小豆 それぞれが主張していた いつもの…