忘れものを受け取りに…赤岳
12月25~26日 長野県赤岳
今年1月、赤岳登頂を目指して行者小屋へ向かいましたが、バディが未明に体調を崩して撤退。新たな危機管理を学びました。そしてX’masの日、「サミット・プッシュ」の忘れものを受け取りに、再び、同じ道を歩きます。
12月25日
まだ真っ暗な美濃戸口、ヘッドライトの灯りを頼りに歩き始めます。時折、横を通る4WD車。この路面なら走れるかも…いやいや油断禁物。やがて空は白み始め、美濃戸で阿弥陀岳とご対面。白き岩肌は麓から見ても神々しい。今回はニューアイテムとしてチェーンスパイクを持参。行者小屋までノーアイゼンで歩けなくもないですが、その安定と歩きやすさは予想以上のものでした。 行者小屋に近付いても空模様は高曇り。背中には青空が見えていたため、とにかく信じて歩きます。
小屋の営業は年末年始のみ。それでも着いた時には20張りほどあったでしょうか。皆さんは撤収準備の真最中、我々は逸る気持ちを押さえながらテントを設営。やがて、硫黄岳上空の青空が横岳へと広がってきました。移動性高気圧が八ヶ岳を通過している瞬間です(笑) チェーンスパイクをアイゼンに代え、ヘルメットにハーネス、ピッケル、確保用ロープ。サブザックにはツェルトなどのエマージェンシーグッズ等など。登山モードにギアチェンジをし、サミット・プッシュ!
眩しいほど白く輝く阿弥陀岳を右手に文三郎尾根へ取りつきます。霧氷の華やかさに目を奪われつつ、目指すは赤岳の頂上。マムート階段はその一部を露出しており、その横や上を登ります。この辺りから、白の鎧を纏った横岳から硫黄岳へと続く稜線に足が止まります。高度を上げるにつれ、北八の名峰たちが顔を覗かせ、眼下には八ヶ岳の森から諏訪盆地。遠くには中央アルプスから北アルプスの白き孤島。
中岳との分岐点。権現岳から編笠山、そして、南アルプスの展望が加わります。通常、ここから風が強くなりますが、今日は微風です。しかし、陽射しと風の温度差はやはり冬山。体温調節に神経を使います。分岐点を通過する度に道は厳しくなりますが、鎖が出ていたので安心感はありました。登山道はクラストしている箇所はなく、良く締まった残雪期状態。確実なアイゼン歩行を続ければ滑落しそうな場面もありません。雪面に刺すピッケルが鳴く音と呼吸をあわせ、ただ、上を目指します。
主稜にのり、雲に浮かぶ富士山や八ヶ岳東麓にご対面出来ると、山頂まであと一息。どこまでも続く空が出迎えてくれる中、2899m 赤岳に登頂。冬山の中心がここにあると錯覚する展望です。今年1月に撤退したのは、今日と言う日のためだったんだと思いました。
貸切の山頂から小屋に移動し、岩陰で寝ころびながら昼食。微風とは言え体温は目に見えるように下がり始めたため、バディを確保し、今回の核心部だと思っている展望荘への下りに取り掛かりました。斜面は日陰となっており、歩き始めると雪質の良さがすぐに判りました。それでも集中を切らすことなく営業中の展望荘に到着。人が生活する匂いになぜか安心しました。顔面氷結のお地蔵様にお礼を告げ、地蔵尾根へ。ナイフリッジは発達しておらず、ここでも安定した雪道を小屋まで下っていきました。
天候と雪質と体調。雪山に必要なもうひとつの三点確保。今日は見事に噛み合いました(^-^)v
この景色を見ると 肩の荷が軽くなります
赤岳 X'masバージョン (^^)
墨絵の世界にテントが映えます
氷結した大同心を初めて拝めました
さてと 行きますか(^^)/
白黒の世界に明暗という グラデーション
流れるような美しさに強固な砦
夏道(階段)より歩きやすい冬道
まだ陽の当たらない岩場は怖いほど美しい
重量感ある阿弥陀岳とキリッとした中岳
一歩一歩 確実に…
マムート階段を振り返る 足長おじさんw
文三郎尾根分岐からは 新たな展望が参加
ここから見上げる赤岳は大迫力です
トレースは明確 でも油断しないことです
鎖は頼り切らないことが大切だと思います
これぞ 南八ヶ岳稜線からの景色
この空に無意味は言葉は要らない
山頂から僕が眺めた八ヶ岳を 御裾分け(笑)
風があると怖い 赤岳山荘に向かう稜線
さて 赤岳展望荘へ下りますか…
振り返れば 赤岳と富士山
これから下る 地蔵尾根の稜線
地蔵尾根から見る赤岳は 主峰らしい貫禄
樹氷越しに見る赤岳は ただただ 美しい
右手を向けばこの景色…尾根歩きは贅沢だぁ~
行者小屋に戻ると 赤岳が光っていました
夕刻 横岳は赤く燃えてくれました
豚骨味噌味のお鍋で ほっかほか
寒いけど 星降る夜は 見逃せません(^^)
12月26日
朝の気温は-12℃。夕べは-10℃だったので、さほど下がった感じはなく、逆に、寒さが幾分緩んだ感じ…(笑)テント内には稜線を吹く風の音が聞こえており、顔を覗かせると、予報通りの高曇り空。昨日の眩しかった世界から白と黒の墨絵の世界へ様変わりです。そんな中、赤岳を目指すのかテント前を登山者が通りがかり、「おはようございます。行ってらっしゃい」の声援を贈ります。
昨夜、ここでテントを張ったのは5張りの7名。ちなみに、トイレは2ケ所開放されており、水場はテント場沿いの小川を阿弥陀岳方面に1分ほど歩いたところにありました。まだ、滔々と流れていますが、これからはどうなのでしょうか?
ゆっくりと片付けながらの撤収。この時間もまたテント泊の楽しみ。「次は阿弥陀岳かなぁ~」と思いつつ、今しばらくはこの感動に浸りたいと思っています。
下山後は、仕事で諏訪に来ていた山友といつもの…(笑)
いかにも寒そうでしょう (^_^;)
日~月の山行は 静かで良かったです
一段と 凍れる音楽を奏でる横岳
見事なターンでした(笑)
赤岳の肩から 貴重な陽射し
無言の別れを告げます…今日はいつもの黒い大同心
霧氷は厳しい山行の クールダウン効果があります
美濃戸まで戻ると ある意味「別世界」です
最後は八ヶ岳の冬枯れ道を歩きます
一日遅れて メリークリスマス♬