Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

2017初歩き.‥八ヶ岳東稜

1月4日 長野県杣添尾根

昨夏、杣添尾根で三叉峰(横岳)に登った際、このルートは冬でも登れるのではと思って色々と調べ、冬道ルートを2017年初歩きの道としました。

初歩きは3、4日のどちらか。両日ともに冬型気圧配置で麓は晴れ模様ですが、南八ヶ岳稜線は雲の湧く風が流れこむ予報。しかも稜線は15m以上の風が吹く冬山モード。あわよくば、横岳山頂標識をと思っていましたが、「今日は杣添尾根の冬道ルートを歩けるところまでだな」と、突風に枝を揺らす海ノ口登山口を出発しました。
登山口に入ると大きな石にうっすらと積もった雪。チェーンスパイクの威力が発揮される道でした。しばらくは…、と言うよりこのルートの8割近くは樹林帯。上空に広がる青空、森に射し込む陽光は「ダイヤモンドダスト」を樹間に浮かび上がらせます。急登とは言えない登り坂が続く杣添尾根前半。ここは慎重に歩き出したいところです。少し平坦になっては登り坂を何度か繰り返し、中間地点の標識を通過。稜線にかかる雲の傘下に入り、気温は二段ぐらい下がった気がしました。進行左手の県界尾根を見ながら現在位置の目途を立て、冬道ルートに向けて装備の準備。ヘルメットにゴーグル、バラクラバ、アイゼンに予備小物。行動食を口にし、ピッケル片手に出発。しかし、全ての事をこの一回の休憩で終わらそうとしたため、時間がかかり過ぎてしまいました。樹林帯の無風とは言え、気温は-10℃。ここまで温めた身体を冷やすことになり、筋肉は初期化。当たり前のことが、何故か出来ないこともある…教訓です。
八ケ岳東面は小屋がないことからか、西面に較べて登山者は多くありません。そのため、明確だった踏み跡が薄くなり、所々、トレースも消えかかってきました。それでも赤テープは適度にあり、夏に歩いていることもあって不安はありませんでした。夏、ダケカンバの緑が美しかった冬道の分岐点と思われる場所に到着。トレースはありませんが、小動物の足跡が進路を指しています。
小さな坂を登り切ると、杣添尾根の冬道出発点に立ちました。ここから三叉峰まで続く一本道。今日はその半分程度しか確認できません。トレースは消えていましたが、細尾根であるため、迷うことはありません。ただ、見えない踏み跡を外すと、膝上ぐらいまで沈みます。左側は急峻な場所もあり、滑落するなら右側へと意識しながらルートをとりました。
10日前に登った赤岳や南八ヶ岳の稜線は雲に隠れ、登頂を拒んでいるかのようです。振り返れば、陽の当たった高原が見渡せ、尚の事、寒さが身に沁みます。そして、その山麓から稜線を眺める人の様子が思い浮かびます。
ピッケルを支点に急坂を登り終え、森林限界をほぼ越えたところを本日の「折り返し地点」としました。
山は戦いの場ではなく勝ち負けはありません。山頂を踏めたとしても、それは山が我々を受け入れてくれただけと僕は思っています。海外では攻撃や征服を表す「アタック」と言う山言葉を使わなくなったそうです。
展望がなくても歩きたい尾根を楽しめた今回の山行は、次に繋がるものとなり、満足のいくものとなりました。
下山後は時間がなかったので、近所でいつもの…ムリヤリ(笑)

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3日 河口湖畔にて 新年を想う…
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登山口に向かう途中 杣添尾根(真ん中)が望めました
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冬に紅を点す ケショウヤナギ
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樹林帯ならではのお楽しみ
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冬だけの新芽が 伸びています
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先を行くのは どちら様?
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この景色を見れば 今日は帰っても良いんです
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でも もうちょっと尾根を歩こうかな(笑)
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夏は雲を抜けて上がってきた杣添尾根
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県界尾根の到達点も雲の中…
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振り返れば バディがいる…(古)
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晴れていれば 撮れない一枚
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ダケカンバの霧氷が モノトーンに映えます
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ここから先は 次のお楽しみに…
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霧氷が踊っているようです
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久しぶりに寒いと感じました (^-^;
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何となく お正月らしい写真でしょう?
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陽に照らされた麓を見て何を思う(笑)
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エッジの効いた曲線美
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まるで 光を当てたような 輝きでした
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麓から杣添尾根が綺麗に見えました
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実は 登る前にも いつもの・・・(笑)