Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

盛者必衰の理をあらはす…天女花

7月10日 奈良県八経ヶ岳

国の天然記念物に指定されている「天川村のオオヤマレンゲ自生地」。天女の羽衣を表すのか、清楚なこの白い花を中国語で書くと「天女花」。ちょうど見頃を迎えた時に訪ねて来られた千葉県の山友をご案内して、近畿最高峰「八経ケ岳」に向かいました。

タイタン尾根登山口?90番ポストから先は夜間(午後6時~午前6時)の通行規制がされていました。6時開門と同時に通過し、登山口の行者還トンネル東口へは一番乗り。管理人さんから不安定な空模様であるが故の心得を得てから、2年3ヶ月振りの入山となりました。まずは大峯奥駈道の稜線を目指します。今日は安定している午前中に下山開始をしたく、谷コースは利用せず、往復共に尾根コースとしました。
曇り空とは言え、そこは関西の7月。朝露のような汗が全身を覆います^^; 稜線の奥駈道に立つと風の便りを受けてクールダウン。そこからしばらくは、時折、陽が射す苔の林を進みます。やがて、バイケイソウが咲く九十九折の登りが始まり、第二展望地を過ぎれば弥山小屋まであと僅か。上空には青空が見え隠れしてきました。
この青空を大切にしたく、まずは自生地へと「八経ケ岳」に向かいます。一旦下った後、苔の大海原を見ながら登り返すと出迎える鹿除けネットが自生地の玄関口。
背の丈を超える中を縫うようにして進みます。オオヤマレンゲは花びらが散るのではなく、その白い花弁全体が茶色に染まっていきます。そのため、満開のままドライフラワーのようになった花やこれから咲こうとする純白の花弁。そして、やや緑かかった固い蕾などがひとつの株に混在する様子に僕は、平家物語の冒頭を思い起こします。
天女の舞をたっぷりと楽しんだ後は最後のひと登りで1915m 近畿最高峰「八経ヶ岳」に登頂です♪今日の空模様は、熊野から吉野へと続く奥駈道を見渡すことは出来ませんが、今、歩いてきた奥駈道を振り返ることは出来ました(^^)
小屋に戻った後、弥山山頂にお詣り。そして最後にいつもテントを張る場所でランチタイム。天女花の白さに負けじと今度は緑の絨毯が食事をする手を止めます。
11時45分 下山開始。とその時、大粒の雨が ザァー…。トイレの軒下をお借りし、雨具の準備をしてから出発。助かりました(^^)
時々、雷鳴が響く中、道は小川から沢になり、沼地は池となり、段差のある箇所では滝となっています。雨によって一瞬で姿を変える森を見ることが出来ました。
第56番靡 石休宿跡で修験者の装いをした集団とすれ違いました。靡で彼らが吹く法螺貝の音は雨で霞んだ森を貫き、般若心経の読経が梢を揺らします。少し離れた場所で窺っていた私達までが浄化された思いです。
読経が終わる頃には雨も上がり、更に綺麗に洗われた緑を楽しみながらの下山となりました。
下山後は、温泉、夕食、お見送り準備と言うことで、いつものは、ひと休み…(笑)

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梅雨と言えば 紫陽花でしょうね
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ハートのエースは出ているでしょうか?
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笹原が広がると まもなく奥駈道に合流
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山という漢字はこれが手本?…鉄山
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昨夜の雨を受けて 瑞々しい苔たち
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シダ類の波が そよ風を緑に染めます
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この時期 意外と花が少ない奥駈道…バイケイソウ
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この辺りの森歩きが 身体と心にやさしい
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大木の幹に育ってます…オトギリソウ
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我々の周りを飛び回っていました…ルリビタキ?
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立ち枯れと三角錐八経ヶ岳のイメージ
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誰の寝床になるのでしょうか…
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そんな見つめられると手が止まる…オオヤマレンゲ
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次の主役が 出番を待ちます
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外側3枚は花弁ではなく「がく片」…創造主に感謝
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熊野へ続く道は…黄泉への道ではありません(^^)
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弥山小屋とトンボ
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天女が舞う 花道
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何を語るのか…天女花
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苔の大海原の向こうには 人が入ってはいけない世界…
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新芽と呼べばよいのでしょうか?
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いつもより緑が映える テントサイト
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この時間は 大切にしたいと思います
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時には こんな山行も いとをかし
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前夜 自宅にて いつもの…(笑)