8月20~21日 蓮華岳・針ノ木岳
初めてテントを担いで登った鹿島槍ヶ岳。その途中、柏原新道や稜線から眺めたピラミダルな山容。それが山行上「針ノ木岳」と僕の最初の出会い。あれから7年…ようやく訪ねることが出来ました。
8月20日 蓮華岳
針ノ木岳とは対照的に重量感のある山容を持つ「蓮華岳」。最近は七倉尾根や船窪小屋から眺めることが多かった山。針ノ木峠を境に異なった二つの山の登山起点は「立山黒部アルペンルート」の長野県側起点「扇沢」駅。
そこから第一目標「大沢小屋」へは、自然散策路のような森を歩き出し、何度か小さな沢を渡りながら針ノ木大雪渓がある大沢を目指します。「山を想えば人恋し…」の一節が有名な百瀬さん縁の小屋が「大沢小屋」だと知ったのは針ノ木小屋に着いてからのことでした。
雪の多かった昨シーズンと言えど、この時期になると雪渓を歩ける区間は30分もありません。と言うことで、巻道を歩く訳ですが、ロープや鎖を設置された箇所が数ケ所あり、特に、ノドと呼ばれる箇所の巻道は落石(人的)にも注意が必要でした。
しかし、核心部は峠直下、標識が見えてからのジグザグ登りでしょう。ここは体力ではなく、精神力が問われる登りとなります。
幕営後、蓮華岳を目指します。急な登りもほどなく終わり、山容通りの広い尾根道を歩くと、ポツンポツンとピンクの花が砂礫地に点在…コマクサでした。この時期、まだ咲いていることに驚きましたが、この後、山頂直下の群落には更に驚くことになります。
日本庭園のような稜線の先に山頂が望め、そこからは雲が織り成すモノクロの世界と華やかな高山植物の対比がとても印象的な道です。晴天の下、大展望の稜線を歩くのも夏山の醍醐味でしょうが、蓮華岳は墨絵のような落ち着いた雰囲気がとても似合う山だと思いました。
陽が沈み、月明かりのないテント場にボンヤリと浮かぶマイハウス。聞こえてくるのは小屋の発電機の音。それを子守唄とし深い眠りにつきました。
これから登る蓮華岳(左)と明日登る針ノ木岳(右奥)
ブナ林を抜けて 大沢小屋へ
雪渓取付地点までの巻き道
山で見るスターマイン…シモツケソウ
針ノ木大雪渓取付地点
雪渓に引かれた紅ガラを辿ります
雲が追いかけてきました
稜線が見えてきました…ノド
愛嬌がありますよね…ミヤマコゴメグサ
素晴らしい群落でした…ミヤマダイモンジソウ
あ~たまを 雲の う~えにだぁ~し…(笑)
採掘場のような核心部…ガンバ ガンバ
船窪小屋から蓮華岳につづく尾根筋…針ノ木峠
荷揚げのヘリが 下りていきました
明日登る針ノ木岳に 想いを寄せます
背後に聳える 剱岳 長次郎谷
前回歩いた立山連山(雄山・大汝山・富士ノ折立)
稜線がコマクサ色に染まる 蓮華岳
厳しい環境で際立つ この繊細な造形美
日本庭園のような先に待つ 蓮華岳山頂
高らかに音楽を奏でます…イワギキョウ
また楽しみながら 帰りましょう
谷間に響く 雲の協奏曲
北アルプスのランドタワー…槍ヶ岳見参
夕方 雲と光のドラマがありました
8月21日 針ノ木岳
前日夕方の予報は当初より悪くなっていたため、フライシートのファスナーを上げる時は「期待と不安」が交差します。あれ?思ったほど悪くなさそう…期待が不安を上回りました。昨日見ることが出来なかった鹿島槍ヶ岳が雲に浮かびます。特徴ある双耳峰の頂は山人生第3幕が開けた場所。
針ノ木岳も最初は急登から始まります。蓮華岳は横に登る感じですが、針ノ木岳は縦に登ります。
山容が異なれば花の植生も異なり、特に、ウサギギクやミヤマダイコンソウの黄色系が目立っていました。やがて、雲の切れ間から朝陽が顔を覗かせます。諦めていた僕にとって大切な1日の御来光。しばらく足が止まりました。
歩く分だけ山頂が近付いてきます。前回、稜線からご対面出来なかった剱岳の東面が見えてくると更に期待が膨らみます。ところが、山頂直下で黒部側から吹き上げる雲に稜線が覆われ始め、出発時刻を誤ったかと思いながら山頂へ。薄らと山頂標識越しに見える立山三山に剱岳。その時、淡いレースに包まれた山頂は、黒部湖から吹き上げてくる風と雲が繰り広げる舞台の特等席となりました。稜線は刻一刻と姿を変える雲の名脇役。爆発的なエネルギーが一瞬のうちに消えていく様はイリュージョン。晴天では決して見ることが出来ない光景に、ただただ山に感謝。素敵なプレゼントをありがとう。
前回歩いた立山連山やこの7年間に歩いた北アルプスの稜線を眺め、健康な身体に再び感謝。また1年、事故なき山行を誓います。これほど立ち去りがたい山頂は珍しく、バディに促されての下山となりました。
下山後は、夏の終わりをトロピカルにいつもの…(笑)
7年前を思い返す夜明け前…
今年は山で迎えた大切な日の朝
岩稜の向こうに岩稜…剱岳
イエローバンドと呼びましょうか?
今年はすでに30座を越えました
ビックウェーブが 北ア北部を襲います
針ノ木岳と言えばこの景色…黒部湖
見るもの全てが 雲の物語
僕の山の原点…白馬三山
7年かけて歩いてきた稜線…そして頂
そろそろ物語もエピローグです
高瀬湖を見ると思い出すのは「船窪小屋」
名残は尽きませんが 下山の時間です
朝露が溢れる ミネウスユキソウ
七倉岳と船窪小屋の青い屋根
雲海に向かって 下ります
大きくなりましたね…
シルバーグレーが素敵な チングルマ
上段のテント場には4張、下段は3張でした
気温は夏山でも 空は秋ですね
針ノ木小屋名物?(笑)… トイレの槍ヶ岳
次は 峠まで雪渓が続く時に 訪れてみたい
ここも核心部のひとつ 丸太橋
素晴らしいプレゼントをありがとう
今年もいい夏味でした…(笑)