厳冬期東稜へ再び…横岳
12月24日 長野県三叉峰(横岳)
今年の登り初めに途中撤退をした杣添尾根。昨年と同様、「登頂」と言う忘れ物を取りに、今年3度目の登山口に向かいました。
出発前日、安曇野の山友から「ご一緒させて」の連絡があり、いつもより賑やかな山行になりそうです。クリスマス・イブの朝、登山口の路面は「ホワイトクリスマス」。 本格的な登山道までは、別荘地内の凍結したアスファルト路の箇所があり、チェーンスパイクを付けての出発。
凸凹のある登山道は雪のお陰で均され、とても歩きやすくなります。小気味よい雪を踏む音が森に続き、響くは我々の話し声。杣添尾根は急登が続くわけではありませんが、平地も少ない。その為、歩き始めると身体はすぐに暖まり、アウターを脱ぎ、ウールのベースとシャツ1枚。パンツはウールとハードシェルの上下2レイヤーです。
今日(午前)の稜線予報は気温 ‐6℃、風は10m。午後から風は強くなり、天候も下り坂。午前中には折り返すので、時々、晴れ間が覗く、高曇りと言った感じでしょうか。
杣添尾根は8割程度が樹林帯。冬道は樹林帯を抜けるのが夏道より早いですが、東面にあたるため、冬の風を直接受けるのは稜線に立ってからになります。それでも、時折上空を過ぎる風の音に油断は出来ません。
雲海に浮かぶ富士山が樹間に見え始めた頃、バディが不調のため、撤退宣言。2人なら中止にするところですが、登頂組が複数になること、不調は病的なものではなく1人で行動しても経験上危険性は少ないことから別行動としました。しばらくして、2組のパーティとすれ違い、他人を頼っては駄目ですが、正直、少しの安心感…。
冬道を目前にし、アイゼン、アウター、バラクラバ等、登頂に向けての準備を整えます。小高くなった冬道最初のピーク。高曇りの寒々しい空を背に、主峰「赤岳」は静かに出迎えてくれました。夏、ハイマツの緑と赤茶けた山肌が印象的な主峰。雪を纏えば、その白さから岩稜は黒々とした深みを増し、強固な鎧のように見えます。視覚的にこれから向かう三叉峰の方が大きく見えますが、標高を上げるにつれ、赤岳がせり出すように天を貫きます。
1月、撤退した地点を通過。前回は雲に隠れた標識も今日はハッキリと見え、マラソンの折り返しポールのようです。稜線直下は夏道に戻って、ジグザグ登りとなりました。この道が雪に埋もれて直登になると、ここが核心部だなぁと再確認。バディと登る次に繋げます。今季初のアイゼンにいつもより足取りは重く、ようやくと言った感じで稜線に立ち、山友と固い握手を交わします。そして、そこで待ち受けた風は…。時々、10m程度の突風が吹く程度で、冬山としては好条件と言えます。稜線から一段高くなった岩のピーク、そこが三叉峰。そこからは、360度の展望が待っています。丁度、雲間から陽が射し、阿弥陀岳の稜線に陰影をつくります。遠くに南から中央、北と屏風のようなアルプスを初め、振り返れば、登ってきた杣添尾根が麓へ一直線に伸びています。視線を上げれば、浅間山に遠くは谷川岳方面が霞んで見えました。
三叉峰から奥ノ院への稜線はバディと登頂した時のために取って置き、1人待つ登山口に向けて、急降下…と言いたいですが、安全登山で下りました。
下山後はロッジのカフェスペースで皆揃っていつもの…(笑)
あの稜線に続く杣添尾根に 心が躍ります
静かな森歩きが このルートの良さ
またこの場所に戻れただけで感激です
高曇りの赤岳は 更に神々しい姿に見えます
東稜は富士山とともに登ります
いつかは登ってみたい山…金峰山
やはり富士山は眺める山だ…(笑)
昨年の思い出が甦ります
山の出会いは「一期一会」…今年は今年の赤岳
ここから先は バディの思いと共に登ります
振り返れば 思った以上に長く見える 冬道ルート
山友が説明してくれる 阿弥陀岳バリエーションルート
赤岳のスカイラインは この位置がお気に入り
奥ノ院と頸城山塊…この稜線は次回のお楽しみ
冬の北アルプス 槍穂高連峰…蝶ヶ岳から眺めたい
八ヶ岳から眺める中央アルプスって 実は好きなんです
綺麗な曲線美…中岳
10mの風が見えますか?
今日の山行に 感謝を込めて…
来年はどんな山行が待っているのだろう
杣添尾根を下る山友…この後 誰にも会いませんでした
時折 渦を巻いて 雪煙が通り過ぎていきます
この先は 行き止まり…視界が悪い時は注意です
またいつか…三叉峰(左)と奥ノ院(右)
今年も山とともに メリークリスマス!