Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

青きGW 静かなる東稜…横岳

4月29日 長野県横岳(奥ノ院)
初めて杣添尾根を訪ねたのが2年前の夏。2017年の初登りでは天候が回復せずに森林限界付近で撤退。そして夏、花を訪ねて再び稜線へ。初登りのリベンジで登ったX'mas山行はバディが途中撤退。今度こそはと登山口「海ノ口自然郷」へ向かいました。

GW2日目は昨日と同様、高気圧に覆われて登山日和の予報。この時期の2,500m超えは服装や装備に悩みます。特に、「観光地では夏日」と言った予報では、残雪期の稜線のイメージが薄れてしまいます。赤岳の予報は日中の最高気温8℃、風は北西4m、天気は晴れマークのみ。気温の感じ方は季節によって大きく変わるため、いつも気にするのは風速と向き。最高気温 8℃は関西では真冬の気温。しかし、この時期の8℃、無風、快晴は僕にとって快適気温のはず。よって、上はベースと半袖シャツ、下はベースと秋用パンツとし、靴はスカルパ トリオレ。ザックには、防寒対策としてフリースとソフトシェル、冬用グローブ、バラクラバに10本爪アイゼン等を持参しました。
登山口の駐車場は6時過ぎで5台。GWとは思えない閑散とした状態ですが、これは期待通りの結果です。林道から登山口に向かう途中で眺める杣添尾根上部から横岳の稜線。三叉峰直下は地面が露出しているのがはっきりと見えます。1週間ほど前に杣添尾根の山行レポを見た際、雪解けが進んでいるものの冬道を利用されていました。ただ、踏み抜きがひどい状態であったと書かれていたので、山友に教えていただいたワカンを持参しました。
2100mを超えたあたりから道に雪が出始め、やがて、一面の雪景色。当然、締っているはずもなく、肩幅から逸れると踏み抜いてしまう、ある意味「ナイフリッジ」状態です(笑)。それでも雪の上は歩きやすく、いつもより早く冬道分岐点に到着です。冬道に入り樹林帯を抜けると、遠く富士山を眺めながら、赤岳から硫黄岳へと続く稜線が青空を背に浮かび上がっていました。5度目となる杣添尾根。今日が一番の登山日和。最終目的地の横岳(奥ノ院)へ最後のS字尾根を登り詰めます。とは言え、結構ここから長く感じるのはいつものことであり、それも楽しいのが杣添尾根です。
途中、尾根ルートがブッシュに阻まれ、ダケカンバの山肌を巻きましたが、ここの通過が大変でした。最初は膝下ぐらいですが、やがて、太ももまで踏み抜いてしまい、しかも反対の足までも嵌まってしまう。つまり、腰から下が雪に埋もれてしまうこと度々…(^^; ワカンを付けておけば良かったと思うも、それは後の祭りでした。やっとの思いで尾根まで戻りましたが、「いやぁ~、参りました」の一言です。
雪ゾーンから夏道へ。そこから、最後の急登を踏ん張り、三叉峰に到着です。風もなく、暖かい陽射しに包まれた稜線は、これまでの杣添山行を振り返る余裕を生んでくれました。雲海を抜けた最初の山行や凍える寒さを感じた2017年新春。強風の稜線が夏山開きとなり、安曇野の山友と登ったX'mas山行。そして前回、バディと登った時のために残しておいた奥ノ院も、あと15分ほどで到着。1年8ケ月に渡った杣添尾根物語第一幕の完結です。
下山時、雪道と同時にワカンを装着。その効果は抜群で、安定した歩行を得る事ができ、来シーズン以降も活用したいと思います。冬道分岐点の手前で残りのパンを頬張りながら赤岳や杣添尾根を振り返ります。そして、前方に広がる山麓の高原ジオラマ。麓から見上げる尾根も良し、ここから眺める景色も良し。そして何より、静かな山行が楽しめる八ヶ岳東稜は我が家にとって大切な場所です。
「また、いつか登る日まで…」
冬道を後にする際に残してきた僕の言葉です。
下山後は、登山口近くのヒュッテでいつもの…(笑)

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中央が杣添尾根…楽しみな朝
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春紅葉に出迎えられ あの稜線を目指します
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登山口は 春の息吹を感じます
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八ケ岳の森は まだ雪道がつづきます
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雌雄で巣作りの準備…ウソ(雌)
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樹間に富士山が見える場所を 中間点と思いましょう
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青のグラデーション…山から山へ
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冬道の玄関口
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稜線直下は夏道…それでも 雪の杣添尾根
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今日は 奥ノ院まで 辿りつけそう
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GW後半 テント泊予定だった鳳凰三山
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赤岳東稜…このスカイラインは素晴らしい
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バディ 昨冬の折り返し地点を通過
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稜線を巻いて 登り返します
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踏み抜き地獄から 解放…夏道が恋しい…(笑)
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雪は無いけど…三叉峰
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奥ノ院への稜線にて 杣添尾根を振り返る
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2つの鉄梯子の間が 核心部でしょうか
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横岳(奥ノ院)から残雪の南八ヶ岳
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硫黄岳への縦走路…右下の岩稜が核心部
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感謝としばらくのお別れを告げます
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登りから付ければ良かった…^^;
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残雪のワカン…安定の歩行でした
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新緑の季節がもうそこまで…カラマツ
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花豆タルト…地元らしい いつもの…(笑)