Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

GW後半はテントライフとグリーンスマイル …弥山

5月4~5日 奈良県弥山
予定していた鳳凰三山は早々と中止し、1泊の山行計画に変更。GW前半の候補地であった奈良県大峰山系の弥山に向かいました。

5月4日
弥山登山口駐車場へは、国道309号線で西の天川村か、東の上北山村から向かいます。毎年、12月から4月まで通行止めとなり、テント泊山行は通行止め解除にあわせて計画をしていました。そのため、小屋開け前の静かなテントライフを楽しめる訳ですが、それ相応の装備が求められます。今回はGWまっ只中。人気の山が故、どんな状況なのか想像もできません。5時前に家を出発し、駐車場に着いたのが6時半過ぎ。すでに第1駐車場は満車で、初めて第2駐車場に停めました。(ここも7割以上は埋まっていたと思います)
テント泊山行は昨秋以来の7ヶ月振り。普段通り、自炊用の水(5リットル)を担ぎ、冬用シュラフに食材そのほか諸々…計量は28kg(カメラは除く)。一抹の不安はありますが、良く知っているルートなのでペース配分に注意をすれば大丈夫でしょう。
登山口は奥駈道ではなく、まず、「奥駈出合」の稜線を目指します。天気予報では午後から回復するも、稜線では北西の風が強いとのこと。また、急激な天候の変化に加え、この山域は雹、落雷に注意が必要です。いつもは汗を拭いながら登る尾根道も、寒気の影響で冷たい風が吹き、アウターを着て登る登山者が多く見られました。(我々は長袖シャツ)
風は出合で更に強くなり、休憩時にはフリースを羽織ります。ここから聖宝ノ宿跡までは緩いアップダウンが続く稜線歩き。12月、見事な霧氷を見せてくれた奥駈道は、新緑の準備を始め出したブナ林と緑豊かなバイケイソウの道となっていました。空模様が怪しくなってきたなと思っていると、コツン、コツンと白い玉が空から降ってきました。霰です。すぐに止みましたが、平地と違い山は怖い場所だとあらためて感じる出来事です。
再び、登り坂となり、第2展望台を過ぎた何度目かの階段で小屋の三角屋根が見えると、「肩の荷が下りた」と思えます。途中、テント装備の方が抜いて行かれましたが、国見八方覗のテントサイトは一番乗り。そして、今日も霧氷のトウヒが出迎えてくれました。
昼食の準備をしていると、「居たぁ~」の声。前日に山友、通称「奈良の娘」から「テント宅を訪問しようかな~」と連絡があったのでした。彼女とは初登り以来の4ヶ月振り。積る話で夕食タイムまで一気に過ぎていきました(笑) 
夕食後、夕陽とマジックアワーを期待して、いつもの場所へ。期待通りに空は澄み渡り、先ほどまでの時間が嘘のように、静まり返った時間を過ごす3人です。一番星、二番星…。町に明かりが灯るように、夜空に星が瞬き始めました✨
弥山小屋のテントサイトは小屋付近と国見八方覗の2ヶ所。さすがにGW、所狭しにテントが張られていましたが、20時頃には上空を流れる風の音が聞こえるだけ。その後、テントサイトの音と言えば、星空を撮りに行く僕の足音だけだったように思います…。

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世界遺産…我々は関係のない世界観
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この道から始まる 我々の世界観
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新緑に浮かびあがります…石楠花
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冬枯れの林に 春の芽吹き
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1300年以上の古道…奥駈道
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バイケイソウの緑が 林床を染めます
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予報通りに 霰が降ってきました
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通り過ぎてしまいそうな 道端のスミレ
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霧氷の白と春紅葉の紅
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尾根と谷 そして幾重もの稜線 ここは神々の世界
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いつもほっとする 小屋の三角屋根
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12月とは趣が異なる 5月の霧氷
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時折 青空ホールが上空を通過します
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まさしく 粉砂糖を振った感じ…(笑)
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今回は見るだけの近畿最高峰「八経ヶ岳
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次の霧氷まで いろんな山行があるでしょう
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この景色ほど 温かくはない 今日の弥山
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風になびく 今月限定のヘアーキャップ
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苔の丘に 散りばめた白いベル
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何度訪れても素晴らしい 苔のテントサイト
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日没前に 夕食としましょう
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陽射しが 優しくなってきました
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普賢岳へとつづく奥駈道…大好きな景色
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幽玄の世界が 近付いてきました
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ここで見る夕陽は 特別な思いが 甦ります
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先人はここで何を思い 何を祈ったのでしょうか
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マジックアワーに宵の明星が灯る
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親子テントサイト(笑) から宵の明星
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今夜も宇宙を感じることが出来ました
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大台ケ原から月の出…右上は木星

5月5日
この時期、天の川の見頃は午前3時。しかし、今夜の月歳18、天の川との距離も近いため、観望は無理だと思いながらも一応アラームをセット。フライシートのファスナーを上げると、やはり見事な月夜でした(笑)
続いて、朝4時。テントサイトは出発準備で賑やかになってきました。本日、奈良県の日の出時刻は、5時3分。準備をしてテントを出たのが、娘とほぼ同時。バディはまだ起きておらず、いつもの場所へは2人で向かいました。相変わらず冷たい風は吹いていますが、日の出前の凛とした空気が寒さを忘れさせます。しばらくすると、バディがやって来て、無事親子3人で御来光を眺めることになりました(^^)
昨夜、月が出たところより北側から御来光。地平線近くは薄く雲がかかっていたため、昇ってくると言うより、朧げな太陽が次第に浮き出てくる感じでした。やがて勢いを増してくる紅の光は、見ている我々にも届き、同時に苔や木々を照らし始めます。修験道の修業場として開かれた大峯奥駈道。その時代から毎日繰り返される夜明け。立ち枯れのトウヒは時代の中でどう移り変わっていくのでしょう。アルプスでは感じることのない朝を、ここではいつも迎えます。
テントサイトに戻ると、すでに数組が出発をしていました。GWで賑やかだったテントサイトは、早くもいつもの静けさを取り戻しています。青と緑が織り成す世界を眺めながら朝食タイム。ここではのんびりとした時間を過ごすことを大切にしていますが、下山の時は訪れます。最後に弥山神社にお参りをし、安全祈願をしてから小屋を後にしました。
見事な五月晴れが広がる中、早くも登山者がやってきます。さすがGWですね。いったい何時に家を出ているのでしょうか。その後も、次から次へと登って来られ、待機時間が嵩んできますが、12時までに下山すればと余裕綽々です。鳥の囀りに姿を求め、枝を飛び移る姿に一喜一憂。また、昨日と打って変わって燦々と陽が降り注ぐ林床にはバイケイソウが一面に広がり、まさにグリーンロード。3人で会話を弾ませながら、自然と笑みがこぼれます。
奥駈出合で娘と別れ、我々は石楠花が待つ尾根道を下ります。昨日は薄曇りであったため、1日で新緑が進んだのではと思えるほど、谷を飾る新緑は眩しく思えました。
「近くて良い山」
そんな言葉がピッタリな今回の山行でした。
下山後は、暑い日にピッタリないつもの…(笑)

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夜明け前 大普賢岳から大台ケ原
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こんな御来光もあるんだ…
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遠く法螺貝の音が 聞こえてきそうな夜明け
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神々から 命の灯
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大地を染める朝は 一期一会
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五月晴れ そんな言葉が自然と浮かびます
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賑やかっだテントサイトも このとおり
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弥山の魅力(一部w)が詰まった1枚
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稲村ヶ岳から大普賢岳を一望…秘密の場所から
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同じく一望…一般ルートから…(笑)
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下山前 母子で眺める大峯奥駈道
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お気に入りのいつもの場所で 娘がパチリ
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12月 霧氷に染まった尾根道…手前の尾根が下山路
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この辺りが新緑に染まるのは あと少し先
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奥駈道の縁を飾ります...ワチガイソウ
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枝から枝へと忙しそうです...ヒガラ
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見つめる先には 何があるのでしょう…ゴジュウカラ
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「聖宝ノ宿跡」手前の大岩に…ミツバツツジ
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唯一咲いているのを発見…ミヤマカタバミ
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5月 奥駈道はグリーンロードになります
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陽光をいっぱい受けて 青空に映えていました
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ゆっくり歩いても 奥駈道…
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巣作りの準備中です…ヒガラ
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着物リメイクような 石楠花の蕾
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緑の谷を過ぎれば 終わりも近い
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新緑の谷に 石楠花が浮かび上がります
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せせらぎの音が 尾根道の終了ベル
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再び この道を歩く日まで…
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大峰の新緑がもっとも美しいと思う 我が家です
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地元に出来たお店で いつもの…(笑)