Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

関西雪山「比良の主峰は 曇り時々晴れ」

1月23日 滋賀県武奈ヶ岳
武奈ヶ岳西南稜は、関西冬山屈指のルート。その人気ルートをゆっくり楽しむには、やはり平日に限り、トンネルを抜けると雪国だった国道を登山口に向かって走りました。

滋賀県琵琶湖の西に連なる比良山地。その主峰「武奈ヶ岳(1,214m)」へのルートは、稜線を境にし、東西にわかれます。この時期はトレースの付いた西側「坊村」からの御殿山ルートの利用が多く、我々もこのルートのメインストリート「西南稜」を目指して、予想通りにまばらな駐車場を出発しました。
昨年11月、冬山山行を前に台風被害の偵察を行ったこのルート。整備状況に変化はなく、また、冬でも支障なく歩けます。ただ、雪のない地面は柔らかくなっており、下山時の泥濘は容易に想像が出来ました。登山道の周囲に雪は残るものの、先週の山行でスノーシューを付けた650m付近でようやく雪を踏めるようになり、心地良い音とともに土からの解放です。
急登を前にした窪地で2組の方が軽アイゼンの準備をされていましたが、我々はそのまま斜面に取りつき、稜線に上がったところでスノーシューを装着。実は前回の山行が記憶に残っていたため、スノーシューとしましたが、トレースが落ち着いている場合、軽アイゼンの方が歩きやすいと思います。また、軽アイゼンは手前の窪地で付ける方が楽に登れます。ただせっかくなので、ショートカットで新たなトレースを引いたりして、スノーシューの特性を生かします。
半分ほど雪に埋もれた標識。夏道と冬道の分岐点です。トラバースの続く夏道方面に踏み跡はなく「雪と格闘したい方」にとっては、ピッタリな道かもしれません。当然、我々は冬道へと進路を取り、前回の折り返し地点、御殿山に向かいます。
予報では「晴れ時々曇り」でしたが、福井県の予報は「曇り」。案の定、登山口で見えていた木洩れ日は、今は灰色の雲に隠されています。麓は晴れても稜線は曇る。This is HIRA-TENKI.(笑)
トレースが明確だとスノーシューはかえって時間を要します。予定時刻を過ぎての御殿山到着となりましたが、この遅れが後ほど、功を奏します。
どんよりとした曇り空でも、主峰へと続く西南稜が見えていれば感謝です。一面の霧氷、流れる雲間から射す陽がその山肌を波打つように移ろぐ、本当に素晴らしき光景です。
ワサビ峠まで一旦下り、西南稜に向けて登り返している途中、雲が切れ、青空が雪の斜面とデュエットします。そして、登り詰めた先には雪庇群。それらを横目で見ながら「風広場」と僕が呼ぶ、直下の雪原へ。以前、谷からの吹き上げを不意に受け、初めて風で身体が浮き、5mほど飛ばされた場所。今日は予報通りに穏やかで、また、南風であることからか、先週よりも寒さを感じません。
風が描く雪紋を楽しみながら最後の登りを終え、霧氷と雪庇に挟まれた一本道。ここで初めて頂上が現れますが、なんと、ミルキーウェイに包まれ始めています。時間の遅れが先週と同様の結末を迎えたのかと思いながら登頂。写真を撮り、スノーシューからチェーンスパイクに履き替えて下山しようとした時、視界が元に戻り始めました。さすがに山麓の琵琶湖までは晴れませんが、琵琶湖側からのルート「コヤマノ岳」や堂満岳、そして打見山等の南比良の峰々。頂らしい景色を戴きました。
琵琶湖側から登頂されたガッツな方と少し言葉を交わして山頂を後にし、少しでも風を避けれる昼食場所を探します。そして雪庇ゾーンに差し掛かった時、稜線に眩い光が帰ってきました。モノトーンだった霧氷の林は輝く林になり、雪原は宝石を散りばめたかのようになったかと思えば、再び元の色へと戻る。そんなショータイムがしばらく続き、やがて上空には青空の通り道が切り開かれます。登山者のほとんどはすでに下山し、この素晴らしき稜線に人影はありません。動くものは上空を流れる雲と山肌の影。今日の山行はこの時にあわせて行われたと思える出来事でした。西南稜を御殿山まで戻り、S字カーブに別れと再会の約束を告げ、核心部の泥濘に向かうバンビースです(^-^;
下山後は、自宅近くにて夕食とデザートタイムでいつもの…(笑)

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日本昔ばなし的風景の登山口
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陽の射す回数が減ってきました
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今日も出現 ブルーアイ
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冬はこの稜線歩きに訪れるようなもの
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こんな日は 霧氷日和ですね
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スノーシューらしい トレースを引きます
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切り取れば 快晴の稜線歩き
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振り返れば南比良の稜線と比良空
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素晴らしきS字カーブの西南稜
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雪庇が物語る 比良の風
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天国と地獄…その差は紙一重の「風広場」
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「どうなってるの?(笑)」…バンビーズ
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惚れ惚れする 関西雪山道
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この雪庇に向こうには…
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美しき霧氷の一本道
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「やっと来ましたぁ~」
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美しきかな 光の稜線
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光のシャワーが 近付いてきます
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雪紋は ホーム鈴鹿より比良が綺麗
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波の向こうに 霧氷の山「コヤマノ岳」
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歩いてきた道を振り返れば 足が止まります
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先程登った山と一緒なのか?と思えます
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比良らしい稜線の光景
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本日最後の直登…御殿山に向けて
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西南稜分岐点「御殿山」…4枚目の写真と較べると霧氷の変化が判ります
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西南稜を思い出しながら いつもの…(笑)