Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

花冷えのホーム…北の大地で「花と池と苔」

4月6日 三重県鈴ヶ岳
ホーム鈴鹿の北部は自宅からのアクセスが遠いため、ホームとは言え、さすがに出逢いが少なくなります。「蛭休み」を迎える前に、この季節ならではルートを計画し、先月20日に通行解除となった登山口に向かいました。

三重・滋賀・岐阜の県境、南北50kmに及ぶ鈴鹿山脈は、石灰岩花崗岩から成る地質により個性的な山容を生み出し、また、1000~1200mの標高でありながら、日本海側気候の影響を受け、雪山の魅力もあります。そんな数ある特徴のひとつとして、南と北に広がる頂上台地。南のイブネ・クラシに対して、ホーム 最高峰「御池岳(おいけだけ)」(1,247m)を中心とする北のテーブルランド。
これまでは御池岳の南東域を、これまた個性的なルート「T字尾根」を利用し、カルスト地形が織りなす独特の風景を楽しんでいました。今回は、北西域にある鈴北岳を中心に、福寿草やテーブルランドに点在する池を巡ります。
登山口は直近の鞍掛TN東口。滋賀県側は復旧工事により通行止めとなっており、三重県側からのみアクセスが可能です。8時前で駐車場(20台程度)はほぼ満車。登山ルートは鞍掛峠とコグルミ谷があり、御池岳に登らない私達は峠に向かった後、鞍掛尾根で北の大地を目指します。
20分ほどで鞍掛峠に到着。ここから山頂まで10mほどの西風がお供してくれました(笑)。ブナやシャラの樹林帯を抜けると、鈴北岳へ続く稜線を中心にして、北の大地が一望です。数日前に降った雪が山肌を飾っていますが、時折、その雪が解けて現れる足元の泥濘は、今後の山行に一抹の不安を与えます。
尾根の下降点が鈴北岳の山頂。ピークらしさを感じないなだらかな頂では、御池岳から続く頂上台地が波打つような景色を広げ、カルスト地形独特のドリーネ(凹地)やカレンフェルト(石灰岩石柱)も見られます。今日は黄砂の影響もあり、遠望は霞んでいます。鈴鹿最北部「霊仙山」越しに見える「伊吹山」が山座同定の限界でした。
頂上台地の縁に沿って残雪の林を鈴ヶ岳に向かいます。一旦、100mほど高度を下げますが、ヒルコバ(峠)へ下る最後の斜面が核心部でした。雪解けと共にぬかるんだ急斜面はこれまでの経験上、最高危険レベル ^^; そして、レンズ交換のため後ろ向きになった瞬間…。自分よりカメラを守るしか術はありませんでした…(笑)
さて、そんな苦難を乗り越えて鈴ケ岳の登返しを進んでいると、見事な福寿草の群生に出逢えます。最近まで雪が残っていた影響か、まだまだ蕾の個体もあり、もう少し楽しめそうです。福寿草を追いかけていく内に、鈴ヶ岳に登頂。予報通り、青空が広がり始める中、再び、核心部に向かって、ヒルコバへのプチ泥濘道を下ります(笑)
北岳に戻り、後半のルート「池めぐり」を始めます。日本庭園と名付けられた台地に苔の道。立体的な広がりは南の大地「イブネ」と趣が異なります。しばらくして登山道を一旦外れ、微かな踏み跡を辿ってのルーファイです。「西のボタンブチ」「夕日のテラス」を経由しながら訪ねる頂上台地。その縁に立つと絶壁とも言える樹林の斜面。一気に下降するテーブルランドを実感できます。林の中に顔を覗かせるカレンフェルトは苔に覆われ、春の陽気で乾いた輝きを見せています。
ドリーネに水が貯まることで出来た池は無数にあり、今回、目指したのは「丸池」「真ノ池」「元池」。しかし、最も印象に残った池は、予定していなかった池だと言うことは「人生あるある」です。
再び、登山道に戻り、3度目の鈴北岳を目指します。ルート本谷が「縦」への楽しみであれば、ここは「横」への楽しみ。ホーム鈴鹿の奥深さをあらためて感じる今日のルートでした。
下山後は、満開の桜をいつもので…。

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歩くのが楽しい…鈴北岳に続く「鞍掛尾根」
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この稜線は風の通り道…背景は「鈴ヶ岳」
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歩いてきた道を振り返ります
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北岳山頂…ここは鈴鹿の「双六岳」と命名
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御池岳(左端)から続く テーブルランド北西部
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カレンフェルト…何気ない光景にも答があります
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北にあるのが「鈴ヶ岳」…鈴北岳からの下り
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残雪と冬枯れ…眩しい稜線でした
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顔を覗かせ始めた春の使者…バイケイソウ
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今年は 良く出逢います…「福寿草
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春の四重奏…
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森のカレンフェルトは苔と共生
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落ち葉の中から お目覚めです
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春のグラデーション
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本日2 回目…鈴北岳へ向かいます
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ドリーネ(雪の部分)と最北「霊仙山」
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頂上大地の散歩道
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枯山水 鈴鹿バージョン
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日本庭園の名に恥じない景色です
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テーブルランド 春の守り人のよう…ヤマネコノメソウ
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T字尾根越しに 鈴鹿中央部…夕日のテラスより
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名前は必要ありません
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久しぶりに 自然の曲線美…(笑)
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春紅葉を見ながら 本日3回目となる 鈴北岳への道
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木洩れ日が似合う いつもの…(笑)