Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

2019夏山…小屋とテントの2本立て

8月5~6日 福島県会津駒ケ岳
8月7~8日 福島県燧ケ岳(俎嵓)

台風の進路と影響が読めず、出発前夜に山行計画の大幅な変更。準備不足が否めない中、まずは観光食べ歩きから始め(笑)、異様な隧道と真っ暗な酷道を抜けて登山口に向かいました。

8月5日
以前、名前にまつわる情報番組で紹介された桧枝岐(ひのえまた)村。山深いその土地をまさか訪ねるとは思ってもおらず、また、後で知ることになる村人と尾瀬との関わりや、村民だったバディのフォロワーさんとの出会いなど、今旅の「巡り合わせ」を感じました。
今日目指す「会津駒ケ岳」、通称「会津駒」。初めての山域だけでなく、福島県を訪ねるのも初めてです。会津駒周辺は草原のような稜線になっており、特に、中門岳に続く稜線は池塘が多く、天空の楽園とも言えます。そして、その山頂手前にある避難小屋を管理するご夫婦の人柄で人気のある「駒ノ小屋」。今回のツートップです。
会津駒の登山ルートは3つ。バスを利用する周回ルートもありますが、情報不足の私達は一般的な滝沢ルートの往復を計画しました。出発は夏山としては遅い6時。「東北の山」と言う勝手な印象で、1100m付近からの登り始めでも涼しいのではと思っていましたが、これは大誤算。後で管理人さんに尋ねると、今日の暑さは今夏一番で、風もなく、小屋周辺でも7時には暑かったそうです。
最初の急登で滝の大汗。そして、虻との戦い。登山道が整備されていたのは救いです。階段が現れ、広葉樹の日傘が途切れ始めると、右側に広がる草原の向こうに「会津駒」のシルエット。ベンチを過ぎると池塘が現れ始め、草原を2分する木道の先に三角屋根が覗いています。木道の脇にはイワイチョウやワタスゲにキンコウカ。湿原を代表する花が飾ります。最後に今年も当たり年だと言われるコバイケイソウの群落を抜けると空と会津駒を映す「駒ノ池」。小屋に到着です。
当初、中門岳は翌朝の涼しい時に向かうつもりでした。しかし、この暑さの中、小屋前で過ごすのは却って身体に悪そうで、まずは、会津駒を目指します。全国各地にある「○○駒ヶ岳」。ここは、残雪期に駒(馬)の形に見える雪形の現れることが山名の由来とされています。
出発してまもなく「ハクサンコザクラ」の群落。先月までは雪の下に埋もれていた大地から細い一本の茎を伸ばし、ピンクのハートを振りまいています。巻道との分岐点から一息で登頂。正直「えっ!ここ?」と思う、印象としては縦走途中にあるひとつのピーク的な山頂でした…あくまでも個人の意見。ところが、中門岳に向かって下り始めると、稜線の草原と大展望。やっぱり会津駒に登らねばなりません(笑)。
この後、中門岳まで続く池塘の見本市。周囲の山はアルプスにはない嫋やかな山容が続きます。山頂標識が立つ「中門池」に到着。そして再び「えっ!ここ?」。標識を見ると「この一帯を云う」と括弧書きされていました。木道は更に先へ続いており、小屋前で話を伺ったワタスゲへの道かと、まずはそこへ向かいます。途中、燧ケ岳を望む大小の浮島のある池塘があり、本日のベスト池塘に認定(笑)。
突き出た半島に弧を描くような木道が終着点。会津駒を望むベンチに腰を掛け、稜線を吹く風を受ければ、不思議と暑さは感じません。丁度、誰も居ない私達だけの世界。会津の山は微笑んでくれました。
ゆっくりと景色を眺めながら歩いていると、気付かぬ内に通り過ぎていく世界がここにありました。「楽園」。そんな言葉が本当に似合う素敵な場所です。
夕方、小屋前のベンチは自炊する人で賑わっています。普段、テント泊をする私達にとっては当たり前ですが、小屋前で全員が自炊する光景は新鮮でした。夕食後、赤く染まった雲は色を失くし、消灯後の空には星が瞬き始めます。涼を求めて外に出ると夏の大三角形に天の川。ひと際輝く木星は水面に輝きを映します。モリアオガエルのBGMが響く中、いつまでも見上げていたい時間でした。

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どんな世界が待っているのか…ワクワク、ドキドキ
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樹林帯の終盤で登場…ツマトリソウとアカモノ
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草原を抜ける風に 匂いを感じます…会津駒ヶ岳
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池塘の妖精 ワタスゲ 見ているだけで涼を感じます
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空に続く木道は 楽園へのプロムナード
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揺れる草原の波 あの小屋は灯台か…
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美しすぎる2000m…
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2019夏山 最初の到着点は「駒ノ池」
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池には 妖精が飛び回っていました
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ハートの五弁は もうひとつの妖精…ハクサンコザクラ
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夏の湿原を代表する白…イワイチョウ
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天国に一番近い花だと思う…
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至るところで 草原を飾っていました…コバイケイソウ
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高山植物の代表格…チングルマ
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ある意味 載せたくなる…会津駒の山頂標識
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中門岳はどれだろう…素晴らしき稜線
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遠望も楽しめます…至仏山から日光白根山
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これまで訪ねた山で 最高の池塘でした
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空が大地に降りてきます
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2019 盛夏 暑中お見舞い申し上げます…中門池
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虻退治の神(笑)…アキアカネ
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天国の一歩手前…それが楽園
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山バッチにも書いてありました…「だいたいこのあたり」
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様々な顔を魅せてくれます…駒ノ池
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会津の星空も 素敵でした

8月6日
東の空に赤く引かれた一文字。昨夜、天空に散りばめられた小さな瞬きは、新しい一日を前に、その灯を消そうとしています。この時間、東の空に現れる紅と藍をつなぐ青白い空間。やがてその世界は広がりを見せ、折り重なった雲の陰から生きる塊のような太陽がぼんやりと浮かび上がり、少しずつ丸味を帯びてきます。日中の暑さが嘘のようなひんやりとした風が頬を掠める夏の朝。特に山で迎える朝は、身体が軽くなったような気分になります。
昨夜の雨と夜露で濡れた草原は、黄金色に染まり始め、コバイケイソウの花穂に朝陽が照らします。山で迎える朝は正しく「一期一会」。派手さはないけど、心の奥深くに届く光でした。この出会いに感謝したい。
中門岳往復のCTは約3時間。下山時の気温上昇を考慮すれば、昨日に登っていて良かったと思いますし、推奨します。
部屋に戻って荷物の整理をしていると、一晩共に過ごした方の半分はすでに出発されていました。
「夏の早立ち」の原則。いや、鉄則ですね。
朝食の準備をしていると、夜明け前、中門岳に向かっていった方が戻ってこられました。その中のおひとりは、夕食前に山話をしていた方です。その方から、他の2人は本来私達が行く予定だった小屋に先週泊まったとお聞きしていましたので、次回に向けて、小屋の混雑状況などの情報収集。そのグループは「キリンテ」に下山するらしく、「周回されては?」と声を掛けていただきましたが、そこは笑顔で誤魔化しました(笑)
管理人さん作のアートが取り巻く三角屋根の小さな山小屋。定員28名、完全予約制で布団1人1枚確保は、私達にとって安心して泊まれるシステム。下山した後、地元の方に伺うと今の管理人さんになってから予約も取りにくい、人気の小屋になったとのこと。その話が納得できるほど、飾り気のない素敵なご夫婦でした。そして、この山は地元の方をはじめ、大勢の方が見守っていることをすごく感じました。
「山文化」
これまで登ってきたアルプスや八ヶ岳とは、一線を画すような世界。
登山口に戻り、小屋泊からテント泊へと再パッキング。気持ちも新たにしたいところですが、もう少し、余韻を楽しみます。
下山後、小屋のTシャツを着ていると「駒ノ小屋に行ってきたの」と何人もの方から声を掛けられました。「山」に行ってきたのではなく、「小屋」に行ってきたのと尋ねる村の人々。ここでも管理人さんの人柄が窺えます。
そして、昔は特別な日にしか食べてはいけない(御法度)と言い渡しがあったことから名前がついた「はっとう」でいつもの…(笑)

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夏の夜明け前を飾る…紅一文字
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賑やかだったベンチは 束の間の休息…
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妖精の語りが 聞こえてきそうな 朝のひと時
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山陰にならず良かった…
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日光方面の峰々
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桧枝岐村の人々に 陽が届くのは あともう少し
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小さな太陽に飾られて…コバイケイソウ
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この道は いつか来た道♪…そんな道
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管理人さんアート…その1
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管理人さんアート…その2
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私達がお世話になったベニサラドウダンの間…駒ノ池側
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部屋の窓から 会津駒ヶ岳と駒ノ池
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明日は あの頂を超えていこう…燧ケ岳
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花が咲いていると ほっとします…イワオトギリ
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明日は あの峰から こちらを眺めるのか…
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振り返って…小屋と会津
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光の道筋に誘われて あの樹林帯へ…
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この道を 再び歩くことは あるのだろうか…
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そろそろ池塘とも お別れです
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アザミを見ると 8月の山って言う感じです
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昨日よりはマシ でも 陽射しは厳しい
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木陰の駐車場…再パッキングには 助かりました
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こんなポスターを見ると…尾瀬桧枝岐温泉観光協会
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桧枝岐村と言えば「裁ちそば」…岩魚の天ぷら付
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ちょっと癖になりそうな特産品で いつもの…(笑)

8月7日
私達の世代は尾瀬と言えば「夏が来れば思い出す…♪」の歌詞で有名な「夏の思い出」。しかし、関西方面から容易に行ける場所ではなく、知っている情報は限られています。
登山口は「御池」。そこから燧ケ岳を登って、尾瀬沼畔(沼尻平)に下り、尾瀬沼キャンプ場を目指します。
駐車場から木道の敷かれた登山道に入ると、水芭蕉の葉が生い茂る湿地が現れ、尾瀬らしい雰囲気から始まりますが、すぐに急登となります。
最初のポイントは「広沢田代」。「田代」で検索すると「田」「水田」となっています。池塘が広がる様子を水田に見立てているのか、本当に田んぼとして利用していたのか、尾瀬には「○○田代」と呼ばれる場所が沢山あります。
2つ目のポイントは「熊沢田代」。ここは前日に、紹介パンフで掲載されているのを見て、「何と素敵な木道だろう」と思った場所です。すり鉢状となった湿原に2つの大池。その真ん中に敷かれた木道は「山を歩く」と言うイメージから遠い世界だと思いました。訪ねてみれば、木道が自然に溶け込んで一体となった景観。童話や絵本に出てくるような夢を感じさせる景色でした。
下った分だけ登り返して樹林帯。何度か小さな沢を渡り、ぽっかりと口を開けたような涸沢を過ぎると8合目。急登とトラバースを繰り返し、あっという間の9合目。そして、視界を遮る広葉樹が忽然と消えると、三角点と石の祠が建つ「俎嵓」(2,346m)です。燧ケ岳は双耳峰。すぐ隣には山頂標識の立つ東北地方の最高峰「柴安嵓」(2,356m)。往復のCTは40分。私達の燧ケ岳は「俎嵓」です(笑)。
眼下には森に浮かぶ「尾瀬沼」。そして、柴安嵓の肩越しには「至仏山」と山麓へ続く広大な尾瀬ケ原。こうして俯瞰すれば、尾瀬全体の位置関係が立体的にわかります。
あまりの気持ち良さについ長居をしてしまい、その間に雲の様子が変わってきました。ここから沼尻平までゴロゴロ岩の急坂「ナデッ窪」ルートと緩やかな「長英新道」がありました。尾瀬沼畔を歩きたく、また、新道は時間がかかると思ってこちらを選択しましたが、大半の方が新道を進んでおり、その理由は後程判明します。
尾瀬沼を眺めながら大きな岩が点在する道を下ります。スキーで言う直滑降の道。先ほどまで居た俎嵓が梢に隠れると、尾瀬沼も同様に見えなくなり、続いて、登りでは感じなかった「暑さ」が纏わりついてきました。加えて、近付いてくる雷雨の気配。雨が降る前に沼尻平へと思いますが、テント装備で転倒すれば、取返しのつかない事態が予測され、暑さでぼうっとする中、「ここは集中」と言い聞かせます。
長かった樹林帯を抜けた先には、山頂から眺めていた湿原の木道。世界が変わった瞬間です。上空は黒っぽい雲に覆われ始め、畔の木道に入ってしばらくすると、ついに雨が降り始めました。この後、キャンプ場へは木道が続くであろうと、合羽ではなく傘対応と判断。やがて、雷が鳴り始め、雨粒の大きさも変わってきました。それでも大きな木が傘となり、さほど雨の影響は感じません。しばらく上空で響いていた雷にも慣れ始め、雨の勢いが弱くなり始めた時、視線の片隅に閃光。続いて、全身を震わせる雷鳴。対岸に落雷です。
「自分達には落ちない」。ただ、それを信じて歩き続けます。何人かの観光客の方が大きな木の下で雨宿りをしていましたが、足早に通り過ぎると、私達に付いて行動される方も居ました。その後も雷鳴は続きますが雨脚が強くなってきたため、落雷は大丈夫だろうと根拠のない自信を持ちましたが、バディは生きた心地がしなかったそうです。そして、キャンプ場直前の湿地帯。身を隠すものがない木道が200m程続きます。さすがに一瞬躊躇しましたが、いつ止むかもしれないこの雨をここで待つ方が危険と思い、振り返るバディには前進を伝えます。相変わらず、上空に響く雷鳴。しかも半ばまで来た時、猛烈な風が吹き始め、横殴りの雨が全身を打ち付けた時は言葉になりません。時間にして2分ほどですが、今までにない恐怖を感じました。
建物群に入り、最初にあったのが屋内にベンチのある公衆トイレ。ようやく、恐怖からの脱出です。下っていた時の暑さが嘘のように濡れた身体は冷えを呼びます。私達は対策を講じていますが、「夏の低体温症」と言う最悪のシナリオが頭を過ります。小降りになり、ビジターセンターへ移動し、展示物を見ながら雨が止むのを待ちます。そして、ここで「尾瀬」と「桧枝岐村」の関わりを知り、バラバラだったピースがひとつの絵になりました。
尾瀬沼キャンプ場は完全予約制の28サイト。適当な間隔で区画されたデッキスペースが、森の奥へと続いています。再び、降り始めた雨も、テント内で一息つく頃には上がり、お決まりの虹の出現。快適だった燧ケ岳までの道のりから、ナデッ窪のような急転直下の出来事。ゆっくりと過ごすはずだったテントライフは、次回に持ち越しされました。
今日は旧暦の七夕。雲間に彦星と織姫星が現れ、今年の2回目の再会を楽しんだことでしょう。

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久しぶりのテント泊山行…気を引き締めます
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緑のトンネル 一歩一歩 確実に…
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道端を 飾ります…キンコウカ
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尾瀬の世界に 一歩近付いた感じです
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広沢田代越しに 会津駒ヶ岳
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木道が現れると 次の田代は近い…正面は 燧ケ岳
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こんな木道の世界は 見たことがない
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山行中の池塘は 心と身体のオアシス
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8合目から…熊沢田代
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池塘の母…尾瀬沼
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いつの日か 訪ねてみたい…尾瀬ヶ原至仏山
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会津駒ヶ岳に向かって…駒ノ小屋限定Tシャツ
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山頂は 自分で決めればよいと思う
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ナデッ窪ルート から ミノブチ岳を見上げます
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朝日岳以来の再会…ヒオウギアヤメ
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尾瀬沼に向かって 直滑降…
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この開放感は 視界だけでなく 精神的にも…
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夢の中へ バディが消えていく…
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対岸は青空…こちらは 雨
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夏の夕方の風物詩に 花を添えて
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今日の青空は 身に沁みます
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畔のテラスから…燧ケ岳
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尾瀬沼って いいなぁ…と思った時間
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こんな構図の日本画を 見たことがあったような…
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尾瀬沼の夜も 蛙のBGMが響いていました

8月8日
夜明け前、霧が漂う尾瀬沼。柔らかに波打つ霧は、刻一刻と夜明けに向かってその姿を変えていきます。尾瀬沼越しに見える燧ケ岳。昨日、その頂きに居たことが遠い記憶のように思えるほど、崇高でこの尾瀬沼一帯と隔絶された世界に思えます。標高以上に高く思えるその姿。
東の空が赤く染まり始め、尾瀬沼に朝の気配が訪れました。やがて、うっすらと山頂部がオレンジ色に染まり、裾野へと広がりを見せます。中腹に漂う雲は赤く染まり、命の炎を灯したようです。また、新しい一日の始まりです。
昨日、ナデッ窪ではなく長英新道で下りていればどうなったのか。雷雨の中、歩くことはなかったのか。しかし、テントで雷雨を過ごすのか…、それとも結局、トイレに避難するのか…。「たられば」を語っても意味はなく、山行中に起きる数々の分岐をどう選択するかで、いとも簡単に惨事に見舞われることを、昨日の出来事は示しています。ただ、結果的に大事に至らなかったのは、選択は間違っていなかった訳ですが、一歩間違えれば生死に関わる事態になった訳で「運があった」と、この言葉でしか片付けられません。ただ、昨日の受付時に尾瀬沼ヒュッテの方が、「長英新道は展望がなく、ナデッ窪は景色が良かったでしょう」。単純明快な答えに救われています。
今日も厳しい陽射しが照り付け、濡れたザックは湯気が出ているのではないかと思える勢いで乾いていきます。コオニユリ等の花がいっぱい咲いていると思いながらも足早に通り過ぎた木道。強烈な風を見舞った分岐点。
「夏が来れば 思い出す ♪」…ほんと、一生忘れられない…「はるかな尾瀬 とおい空 ♪」
帰り道は大江湿原を抜けて、沼山峠に向かい、シャトルバスで御池に戻ります。CTは65分。その半分は湿原ハイクとなります。コバキボウシ、オゼミズギク、ツリガネニンジン。イメージとして尾瀬らしい景色が続く中、今回の山行を惜しむように、ゆっくりとした歩調で進みます。
ビジターセンターで紹介されていましたが、新政府軍と会津藩との戦い(戊辰戦争)の中、この大江湿原には5つの防塁を築いたそうです。(戦闘には利用されず)今や誰もがハイキングとして歩いているこの木道は、「会津沼田街道」として多くの歴史が踏み固められた道です。近年では、尾瀬沼畔に車道を通す計画が自然保護運動の高まりで中止されるなど、美しい自然の背景には、学ばなければならない歴史があります。
前方からすれ違う多くの方は、ヒュッテ周辺で作業されている工事関係者の方々。所謂、通勤途中の方です。観光客の姿も見受けられ、中には革靴の方も居られます。今日も天候は不安定。雷雨の時間は昨日より早まりそうな予報。初めて訪ねた尾瀬は、観光地でありながら「山」である要素が強く残っていると感じました。同じく大勢の観光客が訪れる上高地と比べものにならないほど「山」です。特に、印象付けたのが、ほぼ全域が「圏外」であること。緊急時は小屋に頼ることになりますが、小屋まで辿り着かねばなりません。圏外の是非を問うのではなく、圏外の事実を知って尾瀬には入らなければならないと思います。
湿原から樹林帯に入り展望地を過ぎると、後は下り坂。キャンプ場から続いていた木道は、沼山峠直前で途切れ、最後は石の階段となります。1泊2日の2本立て。久しぶりに「山行」を感じた4日間でした。
下山後は、600km以上運転しなければならず、シャトルバスの出発までの時間を有効活用していつもの…(笑)

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深夜 とりあえず 空を見上げてみます
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人っ気のない尾瀬…贅沢な時間です
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尾瀬沼のシンボルツリ-…三本カラマツ
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雲が無ければ 空は焼けない
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空気と風が見える 尾瀬沼の朝
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今日も出逢えて幸せです…燧ケ岳
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僕は尾瀬ヶ原より尾瀬沼の方が 合っているかも…
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雲上の頂に 最大限の敬意を表します
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白駒池との違いは 奥行でしょうか…
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夜も良いけど 朝も素敵な 尾瀬沼でした
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尾瀬沼ヒュッテ前から…
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初めてのデッキ…ここも完全予約制…1人800円
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今回 この奥は未知の世界
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何とか 逆さ燧ケ岳を 頂きました
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しっかりと 記憶のページに残します
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さて 大江湿原を通って 帰りましょう
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尾瀬の冠 初対面の「オゼミズギク」
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お世話になりました アキアカネ…と ワレモコウ
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今年は当たり年だそうでう…コバギボウシ
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恐怖の2分帯…尾瀬沼を振り返ります
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華やかな彩りと緑のグラデーション…大江湿原
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防塁のあった時代は どんな景色だったのだろう…
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尾瀬一帯で何km整備されているのでしょう…最後の木道歩き
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森を貫くハイウェイ…会津・沼田街道
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下界へ戻るために いつもの…(笑)