Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

関西の冬…精霊の森 再び

12月4日 奈良県明神平
関西の峰々も初雪や霧氷の便りが届き始め、素敵な貴方と再会すべく、晩秋の林道を走ります。

今年2月、暖冬の影響で林道が凍結せず、初めて訪ねた冬の明神平。結界を思わす霧と時間さえ止めてしまいそうな霧氷の木々。精霊に見守られながらの山行は、厳冬期ならではの出逢いがありました。
2019-20の冬を迎えるにあたり、天気予報の晴れマークに少し期待しつつ、その反面、前回の雰囲気と再会してみたい複雑な気持ちで出発です。
駐車地へ向かう大又林道は、台風の影響か枝葉に覆われた個所も多く、道路状況から慎重な運転が求められます。いつものようにすれ違う車はなく、駐車地に着くと、先行車は他府県ナンバー(自分も他府県ですが…)の2台でした。
落ち葉で染まった林道歩きがしばらく続き、秋から冬への移り変わりが終焉したことを感じます。陥没した林道を過ぎたところで1組の先行者を抜き、やがて道は本格的な登山道となります。
明神平へは大きく3つの区間にわかれます。まずは、駐車地から登山道までの林道歩き。そして、四郷川沿いの明神谷歩き。続いて、山の懐深くに入っていく精霊の道。
登山道に入るとすぐに現れる第1徒渉地点。駐車地に向かう林道から見える景勝地「七壷八滝」の水量がいつもより多く感じたので、少し心配をしていましたが、普段通りの水量で難なく渡れることが出来、まずは一安心。
核心部としては、やはり徒渉の続く大又川沿いの谷歩きでしょう。ロープの張られた徒渉は3ヶ所ですが、それよりも、ゴロゴロとした岩が露出しており、名も無き大小の滝に目を奪われていると転倒につながりかねません。
途中、テント泊装備の方が「上は吹雪でした」と言われ、思わず笑みを浮かべるバンビーズ…(笑)そして、駐車地の車は3台。引き算でここから先は私達の世界になります。
冬枯れの明るい森は視界が広がります。グリーンシーズンではお目にかかれない、何層にも分かれて落ちる明神滝の全景が木々の間からはっきりと見えます。
「キケン」と書かれた桟道を過ぎ、つづら折りにかかると、精霊の世界が近付いてきたことを感じます。前回も書きましたが、ここから「山が変わります」。霧に包まれた森に響く風の音。それはまるで息吹に聞こえます。
郷川源流域からショートカットで植林地を登れば水場。ここから明神平に向かう森は、ホーム鈴鹿では感じることの出来ない、正しく「精霊の森」。
今回の目的は前回同様「桧塚奥峰」でしたが、今日も明神平を折り返し地点とします。下界は晴れても山深い台高の空は、なかなか青くなりません。頂の展望を楽しむ訳ではない明神平では、この白く視界の利かない世界も白銀煌めく晴天下の霧氷に匹敵するぐらいの感動があります。
その明神平を前に服装を整えます。アウター、手袋、バラクラバ…。風への対策は怠れません。
境界線とも言える木々を抜けると僕にとってのシンボルツリーに出迎えられ、その再会を喜びます。意外にも風は更に上空を流れており、少し拍子抜けした感はありますが助かりました。
1,323m。町はようやく冬らしくなってきたと言うのに、ここは別世界。ひとつ間違えれば、簡単に精霊は魂を吸い取っていく世界です。そんな世界と久しぶりに聞く「冬の風音」。今シーズンも始まった冬山山行に気持ちを入れ替えるバンビーズです。
目には見えない世界が感じられる場所。それが今日みたいな日。でも、晴天の時に訪ねたいと思う邪心も捨てきれません。いつか精霊が許せば、そんな世界を紹介してみたいと思います。
下山後は、タルトのカフェでいつもの…(笑)

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落ち葉道は 冬への道先案内人
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明神谷への関所…第1徒渉点
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クロスロープを頼りに…第2徒渉点
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自力で渡れる…第4徒渉点
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苔と冬枯れの共演…明神谷
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小梢を洗う 明神滝
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この世と異なる世界が ここにあります
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折り返す度に近付く 精霊の森
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郷川は歩幅程度になりました…源流域
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驕りや欲とは 無縁の世界観
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やがてこの道は ミルキーウェイとなります
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頭上を覆う 白き精霊
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誰かが見つめています
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静かに見守る 黒き精霊
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いつも心がざわめく 境界線
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出迎えてもらっている…そんな瞬間です
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ランドマーク的な存在…「あしび山荘(非公開)」
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今日もここまでが許された世界
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貴方と再会できて 良かったです
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ミルキーウェイは 天にも続きます
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色を失くした明神平は 美しい
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また 会える日まで…
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精霊たちに見守られながら 下山します
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色を取り戻して 人間界へ
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こんな日の精神を暖める いつもの…(笑)