Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

関西冬山始動…精霊の森へ

12月16日 奈良県 明神平
初めて雪の核心部を通り抜けて精霊の森へ続く駐車地に向かいました。

今冬一番の寒波に見舞われた関西。平地でも初雪の便りが届きました。山間部では雪が積もり、霧氷も咲き誇ります。比良、鈴鹿、大峰。我が家から2時間圏内全てで冬山を楽しめそうです。しかし、冬型気圧配置が続き、風と雪の舞う厳しい予報。青空が見込めず展望も楽しめないとすれば、目指すは、精霊の森「台高山脈のオアシス・明神平」に決定です。
ここは駐車地へ続く林道が凍結すると進めなくなる車が続出するため、積雪のない時に訪ねていました。
今回は雪になると予想し、先週冬用タイヤに交換。それでも予想より早く集落を過ぎた辺りから白くなり始めると、4WDとは言え、落枝とあわせて注意が必要でした。
駐車地には先行車2台、バイク1台の計3組。雪が降ってきたため、ザックカバーとアウター。また、しばらく続く林道が凍結している可能性もあることから、チェーンスパイクを装着しての出発。気温は-1℃。
歩き始めてすぐにテント装備の方とすれ違い、残り2組。普段なら登らない天候ですが、ここはこの空模様だからこそ楽しめる世界があるため、久しぶりに履く冬靴の重さも期待と雪景色で苦になりません。
林道から登山道に入り、すぐに現れる第1、第2徒渉点。この時期は水量が少なくチェーンスパイクを付けていても難なく通過。それよりも、うっすらと積もった雪が岩や木の根を覆い隠し、序盤はそちらに注意が必要でした。
第3、第4徒渉点を通過し、明神滝が望める明神谷の入り口に到着。少し道から逸れてみれば、円形ステージを思わす明神谷は、滝から流れ落ちる水音と足元を流れる川音が重なりあい、霧氷と氷の芸術が見事な演出をしていました。やがて巨大な氷柱となるツララを右手に、ここからは巻くようにして高度を上げ、木橋を渡ればいよいよ精霊の森に入ります。
上空を流れる風の音は森の声。いつもは明神平で感じる風が、時折、谷を吹き上がり、北の国へと世界を変えます。しかし、それは一時のことで、その殆どは「動」を感じない森を歩きます。四郷川源流域を前に1名の方とすれ違い、もう1名は別ルートで下山したとお聞きしました。これでここから先は我々2人の世界になります。
水場の手前、植林帯で防風対策。関西圏では最高レベルの防寒対策を講じ、明神平の風に向けてミルキーウェイを進みます。取り替えたばかりの手袋は、ザックの中で冷えきっており、指先がジンジンするため、手袋の中で握りしめ、体温で指先を解します。冬山感覚に気分は高揚します。
精霊の声は一段と近付き、谷からの吹上も直に感じるようになれば、いよいよ、明神平への二股に到着。森を抜ける前、ミルキーウェイに浮かぶ シンボルツリー「孤高の貴婦人」とご対面。その美しく、凛とした姿に畏敬の念を抱き、しばし佇みます。そして、ミルキーな世界に包まれた「風の明神平」。粉砂糖をまぶしたような凍てつく小屋は見る者に冷気を送り、閉ざされた展望はこの世の果てを思わせ、これより先は立ち入ってはならない。そんなメッセージを感じます。風は10mを超え、体感温度は推定-15℃。ここは関西・奈良の1,323m。寒さからではなく、久しぶりの冬山に痺れました(笑)
長居は無用であるため、風を楽しんだ後は、再び、精霊の森へと戻り、帰途につきます。
一瞬、視界が開け水墨画の屏風絵が目の前に広がる展望は、精霊からの贈り物。そして、駐車場手前の林道で現れたブルーアイは、今日も見守られていたことを感じた出来事です。ただ、別ルートで下山した方の車が停まっていたことは唯一の気掛かりでした。
下山後は、町家を利用した盆栽カフェが、冷えた身体を温めるいつもの…(笑)

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いよいよ森への旅が始まります
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しばらくは四郷川沿いの道…第2渡渉地点
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油断禁物の 薄っすらと積もった「石の道」
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明神谷は 高低差十分の巨大劇場
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やがて 巨大な氷柱へと 成長することでしょう
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時折見せる 色を失せた世界は 美しい
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この橋を渡れば 山が変わり 世界も変わる
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今 このベンチは 座れない…
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こんな日は 何か楽しい 気分になります
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つづら折りを重ね 精霊の森に近付きます
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ミルキーウェイでも 微妙に光の変化があります
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冬の小川は 静かに流れる 黒い帯
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空が広がれば 明神平まで あとわずか…
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ミルキーウェイの谷は 精霊の森
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ここは 精霊の森 真っ只中…
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明神平への入口…まっすぐも 明神平(笑)
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ランドマークの小屋とともに…「孤高の貴婦人」
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今日も美しいミルキーウェイ…
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風の方向と強さを 体現してみました(笑)
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また 次の機会まで…
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いきなり全開でした…関西の冬山
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心地良い風の叫びは 冬山日和
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どこまでも続く精霊の森は 光があれば 現れない
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とは言え 次は 光溢れる 森をお届けしたい…(笑)
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晴れた日は あの稜線から 明神平を目指します
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林道を前に いつもほっとする瞬間
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ブルーアイ…冬山の守り主
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季節は秋へと戻って いつもの…(笑)