12月27日 三重県御在所岳
晴れ予報を前日に知り、2シーズン振りの駐車場に向かいました。
先週のマキノ高原がバンビーズとしての登り納めになると思っていましたが、急遽、晴れマークと雪の状況が確認できたことで、1年10ヶ月振りにホーム鈴鹿、冬の定期便「本谷↗ 中道↘」を計画し、慌ててアイゼンの手入れをします。
駐車場に向かう車窓から見える本谷メインストリート。真っ白な1本の筋とは言えませんが、12月としては久し振りの景色ではないでしょうか。道端にはまだ雪が残る駐車場への道。ルート上にどの程度雪が残っているのか気になります。
10数台が停まる8時前の駐車場。数組の方が準備中でした。今年2月の東天狗岳以来となるヘルメット、アイゼン、ピッケルの3点セット。ここ数年、関西周辺の雪山はチェーンスパイクが多く、今シーズンは雪に期待が持てそうです。
本谷の入り口は「山の家」前。楽しみが緊張を上回る中、焦らないように自分を戒めます。ルート本谷は御在所岳一ノ谷をスカイラインから大国岩直下まで歩くコース。大小数々の滝や変化する川筋を全身運動でやり過ごしながら、最後はロープウェイ直下のメインストリートへ向かうバリエーションルートです。
堰堤広場におりると踝程度の雪。ここに雪があるとアイゼンを付けるのがマイルール。雪の状況でコースが変化する冬の本谷。今シーズンは雪と岩のミックスでスタートです。
広場を染めていた雪も樹林帯に入ると岩が目立ちます。岩間のトレースには何人かが歩いた形跡がありますが、それに頼ると歩けなくなるため、都度ルーファイをし、歩きやすい自分のルートを探します。最も、ルートが選択できるのは序盤だけで、やがて、歩ける箇所は限られてきます。
左岸の巻き道を過ぎると、いよいよ本谷ワールド。覆い被さった枝葉はなくなり、沢筋が開け、幾筋もの滝が現れます。それを横目にアイゼンの前爪を岩にかけて登る短い緊張と解放感の連続。本谷に戻ってきたことを実感できます。
前回、ここを訪ねたのは2019年2月。山友を案内しての山行でしたが、その日は雨上がりで雪も今より少なく、アイゼンも不要。ただ、濡れた岩と踏み抜きの雪に注意が必要な状況でした。それに対して今回は、薄くもなく厚くもない着雪で、ピッケルが大活躍。又、手掛かりが少なくバディが登りにくそうであれば、躊躇なくスリングで補助する機会が何度かありました。これまでの経験に頼ることなく、現状を理解した対応力は今後一層重要になってきます。
二股を右に進めば白い鉄塔が見え、赤いゴンドラが遊園地の乗り物にように愛嬌を振りまく上空。視線を戻せば谷が狭くなり、いよいよ終盤に差し掛かった現実に引き戻されます。ほとばしる水飛沫の大黒滝を過ぎれば最後の二股。ここは広い斜面となった左股に進んでしまうことが多い分岐点。ポイントは沢筋から離れないこと。大黒滝を巻くように鎖場を過ぎ、「側溝滝」と僕が呼ぶ、浸食した岩を滑り落ちる滝が現れます。この巻道が力業の必要な個所で、次に現れるジョーズ岩への関門と言ったところでしょうか。
ジョーズ岩。今回、数年前に設置された鎖が無ければ、水に打たれての穴くぐり。岩寄りに鎖を導いた後、それを利用したバディはいつものように登り終えました。しかしここは「後悔先に立たず」の場所で、スリングを利用した簡易ハーネスを付け、ロープで確保した上で鎖場にかかるかどうか、判断に迷うところです。
メインストリートを登るにつれ、雪質は目に見えて良くなり、小さな粒が堆積するパウダー状態。恒例(笑)のゴンドラ手振りを楽しみながら、一歩一歩の積み重ねで本谷終了点に到達。最後の難関、大黒岩への直登はロープの力を借り、ピッケルとアイゼンの補助で通過。ここまで来れば一般道に合流し、ひとまず一息つけます。山上公園ではソリ遊びをする親子連れで賑わいをみせ、霧氷目当ての観光客も大勢訪れています。そんな中、ピッケルをぶら下げ、ヘルメットにアイゼン。そして、袖を捲った姿の私たちは奇異に映ったことでしょう。
絶好の登山日和の中、雪の本谷を楽しめたことは、いろんな出来事があった2020年の登り納めとしては最高でした。来年も可能な限りで山を楽しめればと思います。
下山後は、久し振りに訪ねた御在所岳とセットのお店でいつもの…(笑)
朝陽に染まる 御在所岳と本谷メインストリート
冬季閉鎖中の鈴鹿スカイラインからの御在所岳
思った以上に雪が残っていました…堰堤広場
これぞ本谷序盤…ルートは直進あるのみ(笑)
ほど良い緊張感が バリエーションの好きなところ
ミスター本谷「不動滝」…いつ見ても神秘的
巨大な岩が点在するのも 本谷ワールド
トレース(右岸)を振り返ります…歩きやすくなってきました
力業その1…160cm以上あれば難なく通過
力業その2…大黒滝の巻き道は岩とのミックス
力業その3…側溝滝の巻き道は 一番のロング直登
青空がお似合いの 門番「ジョーズ岩」
近年は ジョーズ岩の鎖に 助けられています
本谷メインストリートの別名は「手振り街道」(笑)
S34 建設 高さ61mの6号支柱は日本一(当時は世界一)
アイスガーデン…上から見ますか? 下から見ますか?
歩きやすいが この辺りは 30度を超える斜度
登山日和は 景色に余裕を与えてくれます
陽の届かぬ メインストリートも そろそろ終盤
最後の関門…大国岩への登り
締まった雪は 気持ちよく登れました
大国岩より…右端が「富士見岩」
何とか通行可能でした…右側はアウト!
本日のピーク「展望レストラン ナチュール」
ようやく青空の雪景色と 出逢えました
鈴鹿の奥座敷「イブネ」の奥に比良山地「打見山」
ホーム北部へと続く 雪景色のグラデーション
精霊の居ないここは 輝く霧氷がお似合いです
名物「御在所カレーラーメン」と屏風絵「鎌ヶ岳」
本日のピークから大国岩(右端)
富士見岩から鎌ヶ岳・大国岩・本谷メインストリート
一般道「中道」…8合目岩峰手前の鎖場
中道のメイン「キレット」…鎖場は岩の裏側
キレット上部から見る 鎌ヶ岳と白鉄塔がお気に入り
いつもの場所で いつもの振り返り…LOVE HONTANI
いつかは ゴンドラから眺める日が来るのだろう
素晴らしき主峰「御在所岳」に感謝
往きと帰りでは景色が異なる 鈴鹿スカイライン
ホーム鈴鹿の冬は 始まったばかり
時間を戻して…雪を連想させる生クリームで いつもの…(笑)