5月14日 三重県青岳
直前まで花便りを確認しながら、2年振りの駐車場に向かいます。
桜の開花から梅雨入り予報まで、今年は色々なことが早く訪れ、今日の最高気温は27度の夏日予報。まだ暑さに身体が慣れておらず、また、山行回数も少ないため、熱中症に注意を払いながらの出発です。出発点となる朝明駐車場は平日とは言え、思った以上の駐車台数で、週末は駐車場に収まりきれないと係員の方が話していた3年前が思い出されます。ここを起点に向かう山は、釈迦ヶ岳、国見岳、ハライド。これらを中尾根、根の平峠や羽鳥峰峠等を経由し、それぞれが描く山行計画を立てます。
私達はシロヤシオとシャクナゲを求め、3年前の4月に訪ねたブナ清水を経由して国見岳を目指すことにしました。
ブナ清水とは朝明川の源流で、平成初期の地図には載っていないものの、現在は地形図にも掲載され、分岐点には案内表示もある一般ルートです。私達は根の平峠の直下からきのこ岩に向かう登りルートでしか歩いたことはありませんが、確かな踏み跡が続いています。
まずは林道歩きから始まる今日のルート。バディはこの時点で汗が流れ落ちます。朝明川にかかる橋を渡って森に入ると、幾分、涼しくなりますが、まだ身体が暑さに慣れてきません。渡渉を繰り返しつつ、根の平峠に向かうと、お目当ての花達が出迎えてくれます。濃淡様々なイワカガミにシロヤシオ、ミツバツツジにレンゲツツジ。このほか、オオルリを始めとした野鳥の囀りや蛙の合唱が身体に染み渡ります。
分岐点までは、かつて伊勢国と近江国と結んだ道「千草街道」。その視点で歩けば、先日訪ねた熊野古道伊勢路の石畳とは異なる趣を感じます。分岐点で一休みをしていると、陽が陰り始め、暑さも幾分慣れてきました。ここからは街道を離れ、朝明川に沿ってブナ清水を目指します。ここで様相は一変し、緩やかにせり上がった円形大劇場の花道を歩くような感覚になります。足元には朝明川の清流、頭上には幾重にも重なる新緑の樹々。
「楽園」という言葉がぴったりの場所。
イワカガミの群落、孤高のシャクナゲ、迸る水飛沫。静と動が調和する世界に響く特徴ある囀りの主は「ミソサザイ」。通称「ミソッチ」(笑)。短い尾羽をピンと立てた姿勢は、見る者全てを癒してくれます。
再び円形劇場の様相になると苔と葉に覆われた2枚の巨岩、朝明川の源流「ブナ清水」に到着です。しかしここは、単にルート上の通過点。案内表示の名前はこの場所ですが、このルートの良さはここだけにあらず、まだまだ続きます。
新緑の向こうに空が見え始めると尾根が近付いてきたことになります。楽しかった伊勢谷を離れ、県境尾根から延びる支尾根「青岳・ハライド登山道」に入り、次のポイント「きのこ岩」に向かいます。その手前、少し入ったところにある展望岩。僕がホーム随一の展望地と思う場所。眼下に広がる伊勢谷の向こうには、釈迦ヶ岳へと延びる県境尾根越しのホーム北部山稜。そして、視線を移せば奥座敷「イブネ」や雨乞岳の中部山稜。3年前に訪ねた時はまだ芽吹いていなかった伊勢谷の樹々は、今回、視界に収まらない新緑のグラデーションを僕に見せてくれました。正に楽園を望む展望地です。
お目当ての花に大好きなミソッチとの遭遇。何よりこの楽園を楽しめたことで今日の山行は終わったも同然。後は、どこで引き返すのかとなります。当初から「国見岳」の手前にある「青岳」が引き返しポイントであり、ある意味予定通りとなりました。そこからは山麓や伊勢湾、遠くは知多半島に志摩半島が望め、また、通過山頂であることから訪ねる人も少なく、ゆっくりと展望を楽しみながら昼食を取ることが出来ました。…但し、お箸を忘れましたが…(笑) そろそろホームは蛭休み。暑さ対策をして登れる山を探さねば…。
下山後は、チェックをしていた初見のお店でいつもの…。
今日はこの川の源流を再訪
新緑のサンシェードが 街道を覆う
好みの色が分かれます…イワカガミ
古の商人が行き交い 賑やかだったのでしょうか
新緑の陰に隠れて咲いています…シロヤシオ
さて 楽園へと参りましょう
清流の音を止める 紅一点 …シャクナゲ
山の滴が 清流となり 川になります
ブナ林を映すかのごとく 苔の巨岩
美しい囀りは 楽園のBGM…ミソサザイ(トリミング処理)
ブナ清水の手前 あちらこちらで群落…イワカガミ
ブナ清水を過ぎれば こちらが登場…フデリンドウ
いつも微笑んでいるように見える…シロヤシオ
伊勢谷から県境尾根 そして ホーム滋賀県側の峰々
きのこ岩の向こうには ホームの重鎮「雨乞岳」…僕はトラバースせずに岩の上へ…
県境尾根と釈迦ヶ岳 そしてホーム北部の峰々…きのこ岩にて
伊勢湾へ下るホーム三重県側…青岳にて
ここから あの頂まで15分 でも 頂に興味はない…国見岳
国見尾根の2大看板…ゆるぎ岩(左)と天狗岩
現地調達のお箸で「いただきます」
今年は これ(5月限定カラー w)を被って歩けました
雨乞岳の右 あの杉峠へと千草街道は続きます
根の平峠が近付くと 美しい林の一本道でした
最後まで 楽しませくれます…根の平峠にて
山笑う 季節は あっという間に 初夏へと…
左から 御在所岳・国見岳・青岳
暑さを忘れさせる 濃厚ないつもの…(笑)