Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

夏山に向けて…山散歩

7月24日 奈良県大台ヶ原
夏山の暑さ対策のため、少しでも身体を慣らそうと、昼下がりの駐車場に向かいました。

昨年も伊吹山の後に行った大台ヶ原。今年もその順番となりました。
梅雨明けの4連休。各地の山は大勢の登山者で賑わっているようです。関西の山もご多分に漏れませんが、私達の計画には、この暑さの中、登ることはありません。とは言え、夏山を控えて暑さに慣れることも必要なことから、夕立情報を確認した上で、午後からの山散歩としました。
ドライブウェイを利用し、起点となる1,580mの駐車場。車の気温計は22℃と下界より10℃以上低く、湿度も低いことから、体感温度は更に下がります。また、薄雲が陽射しを遮り、暑さ対策になるのかどうかと思いつつ、最近は歩いていない東大台地区の西側周回ルートを歩き始めました。
大台ヶ原は今年のGW以来。最近、ここを訪ねる目的は、山散歩の他に「鳥見」。ミソサザイ、ヒガラ、ゴジュウカラ。そして、オオルリ、ウグイスに続く、日本三鳴鳥の「コマドリ」。この森を貫く天からの声の主を求めて、何度か訪ねていますが、未だ、姿を現してはもらえません。
元々、鳥見の情報は少なく、自分達で見つけるしかありません。今回、西側周回を選んだ理由も、状況確認が理由のひとつです。
駐車場から向かう最初の目的地「シオカラ谷吊橋」。150mほどを一気に下ります。小石が点在するため注意は必要ですが、登山道はよく整備されています。時間は14時を過ぎているため、最高峰「日出ヶ岳」から周回してきた登山者の方が最後の登り返しに踏ん張っている姿を見かけます。大台ヶ原は何度も訪ねていますが、この登り返しを避けるため、初めて訪ねて以来12年振りの訪問となりました。但し、今回は下り利用ですが…。
シオカラ谷を流れるのは東ノ川上流。この川は北山川、熊野川へと流れ、最後は太平洋へと続いています。止まることなく、大海原へ続く流れは、自然の連続性を感じます。
次のポイントは、大台ヶ原を紹介するポスター等で必ず登場する「大蛇嵓(だいじゃぐら)」。シオカラ谷との標高差は180m。シャクナゲトンネルを抜け、ゆっくりと高度を上げていきます。笹原になると三叉路。右に進めば「大蛇嵓」。下り坂の岩場先端にある鎖の先は800mの断崖絶壁。大台ヶ原No.1の人気スポットです。すぐ右側にある蒸籠嵓(せいろぐら)を眺めれば、今、自分が立っている状況が想像できると思います。そして、その蒸籠嵓に向かって声を張れば、「山彦」が谷を返します。樹木の霊が応えた声と考え「木霊(こだま)」と呼ぶこともあります。古の人は今のように「ヤッホー」と楽しむのではなく、もっと神聖視されたものでしょう。
最後のポイントは「牛石ヶ原」。次の分岐点「尾鷲辻」まではなだらかな道が続き、その途中にある笹原の開けた場所。東大台周回コースの場合はちょうど昼休憩の場所となります。魔物を封じ込めた伝説も残っている巨大な牛石や神武天皇像など、写真スポットも盛り沢山。特に、トウヒの立ち枯れは大台ヶ原の代名詞とも言える風景でしょう。緑の笹原に立つ、あるいは横たわるトウヒの白き幹。かつて、苔が覆う見事な森だったことは、この幹から想像するしかありません。
最近利用する中道との合流点「尾鷲辻」。ここから周回コースは高度を上げ、正木峠から日出ヶ岳へと向かいます。今日は中道で駐車場に戻ります。等高線と沿うようにして続く中道ですが、時折吹く、ひんやりとした風がとても心地よく、木漏れ日も暑さを感じません。
結局、暑さ対策にはならなかったかも知れない今日の山散歩。でも、「コマドリ」の姿を初めて見ることが出来、大きな収穫があった山散歩でありました。
時間的なことから下山後ではなく、山行中にいつもの…(笑)

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今日のルート…シオカラ谷~大蛇嵓~牛石ヶ原~中道
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森を繋ぐ シオカラ谷吊橋
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この先は 太平洋に続く道
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本日の最高地点を過ぎれば 「大蛇嵓」分岐点
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同じ県でも 公園の鹿と同じ ではありません
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遠く大峯を望む 岩の一本道
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関西人なら ポスターで見たことがあるのでは…大蛇嵓
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今は あの突端の丸い岩に 立っている状況でしょう…蒸籠嵓
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人が居ないと 安全だと思います
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日本の滝 100選 「中ノ滝」を遠望…大蛇嵓
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岩場に咲く 白い花火
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こちらも 岩場の畔でひっそりと…コヨメナ?
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大蛇嵓からの展望は 落差だけでは ありません
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木々の間から ギィギィと … カケス (トリミング処理)
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午後遅くの光は 深い緑になりました…牛石ヶ原
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かつてここが森であった 証たち
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光は苔を奪い 笹を増やし 鹿を呼びますが…これも自然
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午後スタートは 静かな山行を楽しめました
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木漏れ日の中道は 夏と思えぬ 爽やかな道
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何を思うか しばし 佇んでいました…アカゲラ
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西陽で 白が際立っていました…駐車場から正木峠方面
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幽玄の峰 大峯山脈…ドライブウェイから
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ようやく お逢いできました…コマドリ
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時間が止まった 15分間でした …(トリミング処理)
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地元の銘菓で 山行中にいつもの…(笑)