Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

ルートミス…ノートレースのホーム

1月22日 三重県庵座谷
ホームの峰々が赤く染まる様子を見ながら、駐車場に向かいます。

庵座谷。鈴鹿7の1座「釈迦ヶ岳」の破線ルート。私達にとっては、ホーム鈴鹿の冬季5ルートのひとつ。今冬は降雪が多く、山レポを見ても、このルートを利用している方は見かけず、ノートレースになると覚悟した上で入山です。ノートレースは7年前にも経験済で、この時は「行けるところまで行こう」と言う気持ちでしたが、今回は出来れば登頂をしたいと強い気持ちを思って出発です。
意外にも駐車場から登山道へはトレースがありましたが、やはり一般的な尾根ルートへと続き、庵座谷へは真っ白な世界が待っています。渡渉地点から道は森の中へと入り、ここからルーファイの世界です。ただし、所々、ピンクテープがあり、これまでの経験上、ルートを誤ることはありません。丁度、ルート上には鹿と思われる足跡が続いており、動物も歩きやすいところを歩くようです。
予定通りの時間で「庵座の滝展望地」に到着。ここからしばらく続くトラバース道は、左側が急崖となっているため、注意が必要になります。トレースがなければ、どこを歩けば良いのか判断に迷うことでしょう。このトラバース道の最後は谷を下って、滝の巻き道へと続きます。ここもトレースがなければ、迷いやすい分岐点になります。無雪期は落石に注意が必要な巻き道も、今は、自分が落ちないよう注意が必要。3点支持と足元の確認を繰り返し、次から次へと現れる課題に対処します。
雪をかき分ける作業が続く今回の山行。ウール手袋では限界で、防水性の高い青いグローブがその威力を発揮しました。
滝を巻き終え、7年前に撤退した河原に到着。ここから三段の滝までは急坂がなく、沈み込みを安定させようとワカンを装着。歩き始めたところ、さほど効果を感じず、最後の登りがあるにも関わらず装着したことに疑問を持っていたバディの判断が正しかったようで、判断が鈍り始めたようです。この後、ルートが読めず、地図を確認。次第に時間も気になり始めます。
三段の滝を前にし、バディにも疲れが見え始め、山行の計画変更が迫られました。時刻は11時30分。このままでは登頂は14時近くになり、当初の県境尾根周回は無理。下山ルートを尾根に変更したとしても、トレースの状況が不明であり、これまで利用したこともないため、時間が読めません。結局、三段の滝を登った先にある分岐点から尾根を目指し、トレースの状況で判断すると言うことで出発。…ところが、ここで致命的なルートミス。別の谷に入り込んでしまいました。何か雰囲気が違うと感じながらも、これまで以上の傾斜が続く雪面を登り続けます。詰めた後、ルートが見当たらず、どこかで間違えたかとブッシュを越え、隣にあった谷を本ルートだと思い、更に登り始めます。(2回目の間違い点。ここで元に戻るべきでした。)気を抜けば滑落しかねない雪面を三点支持と草木に助けられながら、ひたすら上を目指す私達。結局、谷を詰めた先にあった風景から道誤りに気付き、地図で確認したところ、県境尾根の猫岳に向かっていることがわかりました。経験的に考えれば、ここがルートであるはずがなく、何故登ってしまったのか。帰る途中に考えたところ、その谷は広く、登った先には陽が当たっており、日陰になっていた正規ルートより目立っていたこと。まだ昼前にも関わらず、下山ルートの時間を気にしていたこと。そして、これが全ての根源なのでしょうが、疲れていたこと。
ここから先のルートについて相談。あの登りを下降することのリスクからこのまま前進しようとする自分と三段の滝まで戻ることを譲らないバディ。結局、最大限の注意をして下降。途中、人の声がし、私達のトレースを追いかけてきた2人組に状況を説明し、戻っていただきました。
何とか無事に戻り、あらためて正規ルートを確認すれば、「何故間違ったのか」しか思い浮かびません。この往復に費やした力があったのなら、登頂が出来たかも知れないと悔やまれますが、山が私達に示したのは「登頂よりもこの時間」だったということでしょう。
遭難のきっかけは「道迷い」だと聞きます。「道迷い→無理なルート→滑落」。今回のケースは、正しくパターンに陥りかけ、遭難と紙一重だったように思えます。
先ほどの2人組は下山したようで、ここから先にトレースはなく、私達もこれ以上進むことは出来ないため、昼食休憩後に下山開始。時刻は13時30分。空腹を忘れるほど集中したのは久し振りのことでした。
下山後は、全身疲労感と精神的疲労感を癒すため、複数形でいつもの…(笑)

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初登りした竜ヶ岳からの釈迦ヶ岳
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ここから先は 私達の世界
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先行者がルートを 切り開きます
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振り返れば 思いのほか トレースが出来ています
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まだ 余裕のある バンビーズ
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山と谷の境界線を引いていきます
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ここからが 正念場の「庵座の滝展望地」
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しばらくは 気の抜けない トラバース道
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直登区間に入りました…巻き道
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遠く ハライドが見守るなか 山行が続きます
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雪崩ないでねと 思いながら 速やかに通過
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7年前の撤退地点を 白銀の世界で通過
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次第に世界が 狭くなります
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今回のターニングポイント…三段の滝
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誘われて…間違い沢
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沢の終了点は アイスガーデン
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ルートだけでなく 精神がロスしていた時間帯…
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この沢を登りきることが 目的になっていました…
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本日の最高地点854m付近から 釈迦ヶ岳最高点
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踏み跡を利用し 安全に降りれました
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本来のルートは 滝のすぐ左側…何度も通っていたのに…
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1組往復分増量した 帰り道
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普通の世界まで あともう少し
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駐車場手前で 癒しの出迎え…ジョウビタキ(雌)
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「柔よく剛を制す」いつもの…ナンノコッチャ