Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

梅雨の定番「お散歩稜線」

6月17日 奈良県大峯奥駈道 1486P
梅雨の晴れ間と平日休暇が重なり、定番ルートの駐車地へと向かいます。

梅雨を迎えると一気に山域が限られるバンビーズ。ホームは蛭休み。比良の沢沿いルートは安全確保で遠慮気味。さすがに八ヶ岳方面は日帰りでは厳しく、大峰・台高方面となります。そして、丁度この時期に花期を迎えるクサタチバナ。その群生地を訪ねるのが、梅雨の定番となりました。
群生地は大峯奥駈道の行者還岳から弥山方面に向かった1486ピーク付近。登山口は90番ポストが一般的となりました。このルート、地形図には記されていませんが、特に危険な個所もなくルートも明確であることから、廃トラックにちなんだ「タイタン尾根」ルートとして今では一般化されています。
このルートを知らなかった9年前は行者還TN西口から直登ルートの「シナの木分岐」経由で向かっていましたが、7年前に知ってからはずっと利用しています。花の開花時期に合わせて向かうため、訪ねる時期もほぼ同じで、気付けば2年ごとに訪ねていました。初めは行者還岳やその先の七曜岳まで歩いていましたが、ここ数年はクサタチバナの咲く1486Pが折り返し地点となっています。
登山口からのCTは90分。ゆっくり出発しても十分な時間がお気に入りのひとつでもあります。ところが駐車地の90番ポストでは、駐車車両が意外と多く、行者還TN通行止めの影響があるかもしれません。週末の混雑が予測されます。
鉄階段から始まるこのルート。一般的になったと言っても、特に案内表示はなく、この先、奥駈道に合流するまではテープやリボンが道しるべ。唯一、廃トラックの分岐点(通称、タイタン広場)には大きな案内板が建てられており、これも時の流れかと思いました。
低山アルアルで、登り始めは急登。しかし、それも長くは続きません。ハルゼミの鳴き声がサラウンドで響く中、青葉繁る森を通り抜ける風が滲んだ汗を心地よく衣替えさせます。門番と呼ぶ、今にも動き出しそうな樹形をした木を過ぎれば、傾斜は穏やかになり、静かな山行が更に歩く速度を緩め、森と一体化します。
まっすぐに天を衝くヒノキの巨木。途中から分かれた枝は、陽の当たる方向を指し、私達の知らない森の共生が行われていることでしょう。少しだけつづら折りで登れば、「森の主」が登場。頭上を覆う枝葉は、他を寄せ付けない存在感。刻み込まれた樹皮をそっと触り、その生命力を分けてもらいます。
ここからタイタン尾根と呼ぶ「清明ノ尾」まではほんの一息。尾根の名前にもなる廃トラックは、今日も私達を迎え入れ、かつて行き来した林道跡は、巨木が連なる素晴らしき並木道。その尾根道が裾を拡げ始めれば、最後の直登となり、笹原は奥駈道が近いことを教えてくれます。
奥駈道合流から群生地手前までは公園の散歩道と呼ぶ稜線歩き。大普賢ファミリーの起伏に富んだ稜線を眺めながら美しき曲線が続く道を進みます。ほぼ直角に曲がる箇所に立つ石の案内板。このルート、唯一の核心部でしょう。露出した石灰岩のトラバース道を慎重に通過すれば、クサタチバナの群生地が出迎えくれます。
まだ蕾が目立っており、満開まではもう少しと言ったところですが、十分に見応えはありました。
来た道を戻り、春や晩秋に幕営をする弥山を正面にして昼食。前回はここでアカゲラやビンズイ、ゴジュウカラの鳥達がやってきましたが、今日はハルゼミの声だけです。下り始めた時、森の奥から聞こえたミソサザイの姿を追いかけてみますが… 。
午後からは晴れ間が広がり、森に届く陽射しは気温を高めますが、頭上を覆う巨木の青葉が守ってくれます。往きとは逆の順序で現れるルート上の役者たちにお別れを告げ、最後の鉄階段を慎重に下りました。
下山後は、以前から気になっていたいつもの…(笑)


定番の登山口 通い始めて7年目の梅雨…(笑)

木道には 時の流れを感じます

この季節 必ず 触ってしまいます…リョウブ

平日とは言え 静かな森歩きが 続きます

昔は 覆い隠されていたのでしょうか…

ブナの森は 新緑から青葉へ

巨木ゾーンに入れば 序盤の後半戦

「森の主」は 健在でした

廃トラックが見つめる先は かつて走っていた道

今は 山人が 通う道

そして 悠久の時を感じる道

「一期一会の道」と名付けたい

笹原に続く 開かれた森

バンビーズにとって 弥山とここが 大峯奥駈道

見るからに「山」の字…鉄山

ハルゼミとともに 稜線散歩道

石灰岩と苔のコラボを過ぎれば ゴールは近い

主役の前に…ミゾホウズキ

まだまだ これからの…「クサタチバナ」

ここで出逢って 早や 9年の歳月

ヒメレンゲは 名脇役と言ったところでしょうか

昼食兼デザート…ガトーブルトンとカヌレ

午後の陽射しが 森を照らします

また 次の機会まで…森の主

完成された集合体で いつもの…(笑)