Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

夏の終わりに 北八の森

9月5日 長野県 ニュウ
遠く雲上に浮かぶ峰々を眺めながら、2,000mを超える駐車場を目指します。

予定していた夏山山行はすべて天候に阻まれ、今回、爺ケ岳へのテント山行を計画するも台風の影響で予定を組めず、北八の森山行としました。天候の読める日までは、高見石や雨池を候補地としていましたが、晴れ予報に「ニュウ」決定。ここは、20数年間封印し4年前に解禁した我が家にとって曰く付きの場所。まだ見ぬ天狗岳の展望を目指します。
2年振りの麦草峠駐車場。平日だと8時を過ぎていても余裕があります。麦草ヒュッテ前ではワレモコウやリンドウが咲き、アキノキリンソウと共に夏の終わりを告げています。
まずは白駒池までの準備運動。林床を覆う苔は、薄暗いコメツガやトウヒの森でも輝いて見え、樹間を貫く陽光でエメラルドを散りばめたように見えます。ひんやりとした朝の空気を身体いっぱいに吸い込むと、久し振りに感じる北八の世界。この森は普段の山行で感じることの出来ない特別なものです。頭上が広がる「白駒の奥庭」。初めて訪ねた時と比べると、岩が目立たなくなってきており、ゆっくりとした木々の成長を感じます。
観光駐車場からの道と合流すれば、あとひと登り。道は変われども、周囲の森は変わりません。悠久の時を感じる北八の森です。
水草が揺れる白駒池と対岸の景色。秋を感じるにはまだ早いものの、夏が過ぎていったことは五感に届きます。池畔を左回りで進めば、ニュウへの分岐点。朝霧で濡れた木道は滑りやすく、傾斜があれば尚のこと注意が必要でした。少し下った先にあるのが「白駒湿原」。紅葉の美しい場所。ちょうど、2羽のホシガラスがトウヒの実を夢中で突いています。そして、背後に感じた視線の主は1頭の雌鹿。甲高い声と共に、森の奥へと走り去っていきました。
ニュウを封印した理由は泥濘んだ道。当時はまだ登山道の情報も多くなく、大雨の中、天狗岳からの帰り道にて選んだルートは登り返しや水溜の多かった往路「高見石方面」ではなく、平坦が続くニュウ方面でした。
雨は落ち着き、雷の恐怖からは解放されたものの、視界を遮るフードにルートロスをしないか、新たな緊張感に襲われながらの山行が続きます。ようやく白駒池が近付いてきたと思える平坦地の先に待っていたのは、泥濘と水没の道。心が折れた時間です。
そして今回、道は泥濘んでいたものの、長年の間に迂回路が出来ていました。
至るところで目にする色とりどりのキノコ。苔の世界に新たな感動を呼びます。町はまだ残暑厳しくとも、森は確実に移ろいでいます。バディは稜線への中間地点を過ぎた辺りで足元に異変を感じ、靴を見ると、ソール剥がれ。山行前に点検をしていたものの、話に聞くとおり、突然それは起こりました。剥がれたのは踵部分であったことから、歩くことは出来、そのまま山頂を目指します。
中山への分岐点が稜線。稜線の向こうには青空が広がっていることを期待しましたが、それは次回へのお楽しみ…(-_-;)。天狗岳も前回同様姿を隠していますが、雲の動きがあるので、やがて姿を現すことでしょう。まずはソール対応をしなければなりません。歩いているうちに剥がれはひどくなり、中央部分も欠損していました。前方部分は結束バンドと予備紐、踵部分は接着剤で補修をしましたが、結局、踵部分も予備紐で固定しました。
そして、天狗岳。何とか東西の天狗岳頂を見ることができ、目的達成。次第に登山者も増え、少し下った場所から天狗岳を眺めながらのランチタイムは、久しく感じていない「山を味わった時間」でした。
下山後は、オーストリアの風を感じられるいつもの …(笑)


いつもは通り過ぎる「日向木場展望台」にて

花の付き方が特徴的でした…ツクバトリカブト

もう終わりですね…ハクサンフウロ

苔の森は 生命の集合体

白駒池に続く道は 北八のプロローグ

その立ち姿に 思わず 足を止めます

人通りのない遊歩道は 平日の特権

これはこれで美しいと思う

命を繋ぐ 白駒池

針葉樹と広葉樹のコラボレーション そして 手前の水草が好き

作業される方に 感謝です

この青空が 続きますように…

森を二分する 木道は 湿原への道

朝御飯中にお邪魔しました…ホシガラス

通称「ネバーエンディング ストリート」…

巨岩が道を覆う 「にゅうの森」

パックリと広げた 踵のお口…^^;

さて 稜線の向こうは如何に…

靴のトラブルと共に とりあえず 登頂

トンボも夏の終わりを教えてくれます

稲子岳山体崩壊越しに天狗岳…見られて良かった

残暑厳しい ランチタイムでした (笑)

これにて下山開始

今日は 周回せずに 戻ります

池畔から ニュウは 見えませんでした

最後まで 目を楽しませる 北八の森

補修キットを外せば このとおり

久しぶりのお店で 大満足した いつもの…(笑)