Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

アートなハイキング 最終章

10月29日 奈良県洞川温泉
アートなハイクを完結すべく、3年振りになる修験道の麓へ向かいます。

「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館」。奈良県南・東部に位置する奥大和の3つのエリアで開催され、残るは天川エリア。このエリアのテーマは「水」。修験道の祖・役行者が開いた修験道発祥の地「山上ヶ岳」。その登山口には女人結界門があり、今なお女人禁制を続ける山域。その麓に位置する天川村洞川温泉を流れる山上川は村内で「天ノ川」と名前を変え、やがて熊野川となり、太平洋へと続きます。また、昭和の時代にタイムスリップしたような温泉街は、夕暮れになれば提灯が灯り、誰もがノスタルジックな気分になることでしょう。そんな自然と文化に溢れたこのエリアに、現代アートがどのように生きるのか、期待が膨らみます。
今日は駐車場の都合により、出発点に向かうことから始まりました。と言うことで、最初の作品が実は最後の作品になります。「杓文字」と名付けられた作品。その背景には、この村が生きてきた証がありました。温泉街を歩いていると目に付くのは「陀羅尼助」と書かれた看板。修験者の秘薬とされた和漢薬であり、胃腸の調子が悪い場合の万能薬とされ、私もよくお世話になりました。
そして、出発点。今日も「千本のひげ根」が待っています。この3週で随分と秋は深まり、色付いた木々が山肌を飾ります。特に次の作品がある「龍泉寺」境内は、水行場の楓が色付き、水面にも映していました。
これまでの曽爾、吉野エリアの経験で作品の展示方法は学んできましたが、ここでも2つ探せず、次へ進むと、プレートだけで作品が見当たらず、QRコードで作品を紹介するデジタル系。何かすっきりしない気分で迎えた洞川自然研究路にある天川で一番長いつり橋「かりがね橋」。全長120m、高さ50mからの景色に雲散霧消しました。次の作品はQRコードで音楽を流すデジタル系。これも今風の表現なのでしょう。
コースは探求路から山上川沿いへと移り、世界観も一変します。「行場」として開いた洞窟や澄み切った水面。正に、自然と芸術を体験する祭典MIND TRAIL。河原で休憩をしていると、背後から聞こえる鳥の声。振り返ってみれば「カワガラス」。捕食しているのか、勢いよく流れる川を物ともせず、時々、飛び込んでは再び姿を現していました。
湧水群のひとつ「ごろごろ水」の採水場を頭上に臨む橋を渡った所がルート唯一の交差点。本来ならば、直進して女人結界門へと進み、山上川の右岸から「かじかの滝」を経由しここへ戻ってきます。今日は時間の都合上、滝付近の作品はここから往復し、その先の作品へは車で向かうことにします。
スリップ注意の看板が建つかじかの滝への道。川面に立っているかのように間近に見ることが出来るこの滝は、ますます色付いてくることでしょう。折り返し地点は、杉林に立つ鏡に書かれた「人」の文字。文字と共に映し出される天川の自然と私達。過去と今と未来をつなぐ作品に思えました。一旦、駐車場に戻って、車移動で訪ねた最後の作品は「水」。苔むした木道に置かれた作品は、この地らしくとても清らかで、水の生み出す力強さも感じました。
もうひと作品、全てのエリアにあるのが総合プロデューサーが展示するJIKUシリーズ。天空に放つ光の作品は午後5時に点灯。それまでの時間を過ごしていた時、最初に見つけられなかった作品はパフォーマンスで、その内のひとつが4時から行われることを知りました。Dragon Ashで活動してきたソロダンサーと天川で活動している和太鼓龍王が叩き踊るという内容。会場となるのは「龍泉寺八大龍王堂」。山に響く和太鼓の演奏から始まったパフォーマンスは、文字を使った表現者の作品を纏いながら舞い踊り続けます。「八大龍王尊」を前に繰り広げられる舞いと和太鼓の演奏は作品名「竜と龍の対話」そのものでした。
その余韻も冷めやらぬ夕暮れ時。温泉街を浮かび上がらせる提灯はこの地域全てが作品になったよう。その上空を一筋の光が放たれ、見上げる人々が光を通じて対話を始めることを望まれているそうです。
今回初めて全てのエリアを巡り、感じ、そして知った奥大和。この光は未来に続く力を可視化したように感じ、また来年、この芸術祭を楽しめればと思いながら、天川村を後にしました。
昼食後、隣村で買った人気の草餅が いつもの…。


創業500年のお宿…洞川温泉

使ったことはありませんが 心は同じです

現代アートとともに 天川の自然と歴史…MIND TRAIL

吊り橋は 奥大和の文化なのかも知れない

彼方には 山上ヶ岳…本日のピーク「大原山展望台」

自力で脱出困難 ^^; … 記憶のハンモック

科学えほん「じぶん」のはなし 等がありました…森の中の図書館 1

不自然のなかに自然を感じました

ようやく写真に…カワガラス

また来年…MIND TRAIL

厳かな世界…蝙蝠(こうもり)の岩屋

天川エリアのテーマは「水」

大峯山系を象徴する景色が ここにもあります

今回 一番の大作 「記憶のハンモック」

森に落ちるは「迷彩の滝行」

流れ落ちる姿が 美しい…かじかの滝

森の中の図書館の原点でしょうか…

これが MIND TRAIL の好きなところ

天川の自然を あらためて 感じた場所でした

人と作品が記憶する「千本のひげ根」

帰り道…車道からもインパクトがありました

大峯奥駈道が呼んでいます

自分のなかで 今回の最高傑作かも知れない…作品名「水」

色々な思いが 広がりました…

この景色はおまけみたいなもの…龍泉寺

真っすぐに伸びる光の軸に 力を感じました

変わらないのは自然だけでない いつもの…(笑)