Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

地元の山で 冬トレーニング

12月16日 三重県大洞山
平日の静かな朝、急坂の集落を抜けて駐車場に向かいます。

住宅地を下る道から見えるのは、おらが山と呼ぶ伊賀富士「尼ヶ岳」。そのすぐ右隣に頂を覗かせるのが「大洞山」。尼ヶ岳とともに室生火山群に属する死火山。雄岳(1,013m)と雌岳(984.8m)から成り、地形図では三角点のある雌岳が大洞山と記されています。山麓にある金峯山寺真福院を訪れる修験者が持つ法螺貝に似ていることから大洞山と名付けられたそうですが、住宅地からは尼ヶ岳と同様、円錐形に見えます。この山が賑わうのは春。とは言っても、それは山麓。真福院の参道にある桜並木は「三多気の桜」として、国の名勝地に指定されています。
地元から眺めれば、すぐ隣にある山も、アクセスが異なれば時間は倍となり、訪ねてみようと思いながら数年が経ちました。ようやく冬らしい寒波が列島を覆った平日の休み。軽く山散歩ができればと思っての登山開始です。
真福院へは参拝したことがあり、山門に登る石段に聳え立つケヤキとスギは圧倒的な力を私達に与え、誰もが手を添えたくなります。山門を抜ければ、静かな佇まいを見せる本堂が山の斜面を利用した高台に建ち、まずは安全登山を祈願。
地元低山アルアルの急坂林道で始まり、東海自然歩道の案内板が建つ分岐点に到着。ちなみに東海自然歩道とは、八王子と箕面を結ぶ全長1,697.2mの自然歩道です。そこからは登山道らしくなり、冬枯れの緩やかハイキングルートの様相が続き、再び、林道と合流した箇所が大洞山登山口。ここから、このルートの代名詞、石段の急登が続く人工林を進みます。上空を過ぎる風の唸り声を聞きながら、石段区間を何度か過ぎ、広葉樹が見えてくると山頂稜線。左側にはいつも西側から眺める倶留尊山、古光山の山並が続き、右側には尼ヶ岳や微かに伊勢湾の海岸線が望めます。
思ったとおりの強風は10mを超え、体感気温は⁻5℃程度。今シーズン 初バラクラバです。前方には地元の町並がこれから向かう雄岳越しに望め、また、眼下に広がる集落は正に巨大ジオラマ。低山の楽しみが溢れる山頂ですが、風に押されるようにして後にします。50mほど下がってからの登り返し。雌岳が壁となっているのか、風の受ける回数が減りました。ススキの穂が揺れる先に山頂標識が見え、本日の2座目に登頂です。この角度で見る尼ヶ岳は初めてで、とても新鮮です。本家の富士山と同様、円錐形でありながらも見る位置によって表情を変える姿は「伊賀富士」の名に相応しいものです。
次の目的地は折り返し地点の「倉骨峠」。雌岳は石段の直登でしたが、雄岳の下りは乾燥道の急降下でした。林道と交差する倉骨峠の手前に帰りの分岐点があるにも関わらず、林道が並走した地点から再び登り返し。地図を確認するとP894 四ノ峰の存在を忘れていました ^^; 四ノ峰を過ぎ、何となく道がざわついていると思いつつ、分岐点がないまま林道に合流。再び、地図を確認すると尾根をそのまま直進したようで、このまま林道経由で倉骨峠を目指すことにしました。
正規のルートに戻り分岐点からは本日もうひとつの目的「苔むした石畳」。目の前に現れた光景は、石畳だけでなく、火山活動で噴出した大洞石に苔がつき、そこだけが苔色に染まったように見えました。それが2㎞近くに及ぶトラバース道に点在します。苔で有名な北八の森と雰囲気は全く異なりますが、人工と自然が交じり合った独自の苔世界がここにはありました。
大洞山登山と東海自然歩道を利用した周回コース。本日すれ違った登山者はゼロで、意外とこれは珍しく、これまでに1回しかありません。そんな静かな山行でしたが、冬の風を思い出させてくれたことから、トレーニングにはなったと思います。
下山後は、帰宅途中にある地元のお店でいつもの… (笑)


まずは 老木の門を抜けて

序盤の階段は まさに 準備運動

さて 始まり 始まり...

人工林をひたすら 登り続けます

ぽっかりと空いた 見返り広場

西側に広がる 曽爾の峰々…山頂稜線

木々越しの雄岳…見た目よりも近い

南西方向には 伊勢の槍「局ヶ岳(つぼねがたけ)」

山頂手前はススキの散歩道でした

おらが山を眼下に見る 雄岳山頂

歩いた分だけ 俱留尊山が後方に

そして前方には 地元の町…

今冬 初の霜柱

乾燥した登山道は 滑りやすかった

縦走感がある 「四ノ峰」の文字

前半とは打って変わって 苔むした石畳

古人は どのように行き来していたのでしょうか

この時期だから望める 大洞山(雌岳)

時々 賑わっていました

正に 苔の絨毯 … 歴史を感じます

冬枯れの森は 苔とともに…

そして 私達は おらが山とともに…

人工林を迎えれば 山行も終盤

帰り道 西側から見上げる 大洞山

冬の午後 早くも影が伸びる中で いつもの…(笑)