10月29日 三重県尼ヶ岳
山に1ヶ月以上入っていないのは、山を本格的に再開して以来、実に5年半振りでした。午前中、少し時間が出来たので、向かった先はおらが山「尼ヶ岳」。
自宅から30分で登山口まで行ける尼ヶ岳は別名「伊賀富士」と呼ばれ、駅に向かう時にはその端正な山容が望める伊賀盆地の最高峰(957m)です。
この山の特徴は5つの区間に分かれた階段ルートがあること。「天にも昇る階段」と言われる第4、第5階段は、一気に駆け上がるとそれこそ「昇天」してしまいそう・・・(笑)
三方が開けた山頂は室生火山群から僕が住む伊賀盆地に関西の軽井沢(笑)青山高原。そして、遠くは伊勢湾まで望むことが出来ますが、今日はあいにくの天候でどこを向いても同じ景色。そんな中、はてなblogの方が集まっている八ヶ岳に向かって手を振ってみました・・・(^_^)/~
市街地は晴れていたものの、住宅地から見た山頂は雲に隠れており、登頂してもそれは変わらずで今日はこの地域独特の山天気。しかし、久しぶりの山歩きは楽しく、身体の内側から深呼吸が出来た気がします。そして、近畿地方では木枯らし1号が吹いた今日、ここ「おらが山」に吹く風はまだ秋の匂いがしました。
下山ルートは富士見峠を経由する周回コース。階段ルートとは少し雰囲気の異なる尾根歩きが楽しめます。
自宅から登山口往復1時間、登り1時間、下りも1時間(笑) その時間以上に楽しめるのは、やはり「おらが山」。今日は山頂から自分に住む住宅地を眺めることは出来ませんでしたが、僕にはいつもの景色がはっきりと見えていました。それが「おらが山」。
僕にとって、大切にしたい山のひとつです。
下山後は、自宅でいつもの・・・。
山は隠れて見えていませんが Let's Go!
第2階段は準備運動みたいなものです
しばらくは植林地帯を登ります
第4階段から左手は広葉樹となります
明暗の境界線を登っていきます
いい感じの曲がり具合・・・(笑)
足元の踏み面ひとつひとつが 箱庭のようです
頭上では 衣替え真っ最中
第5階段へ続く レッドカーペット
第5階段は 落葉樹の美しい階段
箱庭が更に艶やかになります
景色を切り取れば そこは八ヶ岳の森
第5階段の終わりが近付くと 天使が見える・・・(笑)
開けた山頂は 風もよく通ります^^;
別ルートの下り初めも やはり階段です
階段脇に咲いていた リンドウ
真っ赤な実が 秋を印象付けますね
落ち葉のミルフィーユ
紅葉も綺麗ですが 落ち葉のパッチワークも素敵です
いつものも・・・秋色
約束の里帰り…船窪小屋再訪
9月25~26日 長野県船窪小屋
小屋開けの手伝いをしたのは新緑の葉が色濃くなってきた6月下旬。梅雨真っ只中にも関わらず、見事な青空の下、荷揚げヘリから降ろされる荷物を皆さんと仕分けしたのが、私達の夏山開きの日でもありました。あれから90日。山には再び冷たい風が吹き始め、緑濃かった葉も色付き始めたので、約束通りの里帰り.‥(^^)
9月25日
蝶ヶ岳から2週間。季節は着実に歩を進め、登山口の七倉山荘はひんやりとした空気に包まれています。ここから船窪小屋へと続く船窪新道(七倉尾根)は標高差140m毎に1~10の標識が立ち、この小さな案内板の声援に力を貰います。「天高く亅と言った秋の空は拝めませんが、まずは最初の第一歩…。3番ポストで最初の急登も一息。やがて樹間に槍ヶ岳も見え始めます。そして、美しい森と共に現れる鼻突八丁の梯子群。どこの急登もそうですが、核心部はこの急登を過ごしてからなんですよね(^^; 勢い込んで登ることなく、同じ気持ちで登るのが身体に優しい…。と言うことで、このルートの核心部は鼻突八丁終了から天狗の庭までと思います。
チングルマ街道と勝手に名付けたお花畑のトラバース道は秋の装い。本当に山の秋って早いですね。季節は山から駆け降りてくることが実感できます。稜線を跨ぐと針ノ木岳の荒々しい岩肌を借景に青い屋根が見えました。懐かしい笑顔まであと少し…。小屋前では山友が忙しなく登山者の応対をしていました。「鐘は自分で鳴らして~」「はいは~い(笑)」
一息ついた後、水汲みのお手伝い。途中、山友に教えてもらったビューポイントで黄色く染まる七倉岳を見上げ、頂から谷へと駆け降りる錦の織物に言葉を失いました。水場は山友と整備した時とは全く別物。山は生きてるため、それに合わせて整備をしなければならないそうです。本当、皆さんには頭が下がります。
今度はお母さんに出迎えの鐘を鳴らしてもらえました(^^) この後は美味しい夕食、小屋前テラスで夕暮れの一時、そしてランプの灯りが揺れるお茶会へと短い夜は更けました。
ポストに登山届を投函し 目指すはあの稜線!
茸と苔のコラボレーション…(^^)
槍ヶ岳 ファーストショット!!
真っ赤もいいけど 色付き始めのグラデーションが好き
鼻付八丁名物「4連梯子」
右手に北葛岳の荒々しい岩肌.‥
空を含めた 極彩色の世界
小屋開け準備でお会いした取材クルーと再会
高瀬ダムは加藤文太郎さんと縁の場所
遠くに見えていた稜線が もう目の前に…
真っ赤な葉で 裏銀座の稜線も霞みます
10番ポストまであと僅かです
お土産満載のザックは 20kg(笑)
少し登って振り返ると 表銀座の稜線が…
緑がいいアクセントだと思う 山の秋
斜面が黄色く染まるのも 山の秋
七倉岳からの続く 錦秋の滝
見違えほど整備された 唯一の水源地・・・
山に打ち寄せる 黄色い波
手前に七倉山荘の灯り…遠くは大町市内
9月26日
厚い雲が覆う朝となりました。時折、小雨も交じります。しかし、槍から立山へ続く稜線に雲はかかっておらず、遠く小屋の灯りが揺れて見えました。小屋から少し上がった所からは、雲の切れ間に富士山と八ヶ岳、そして、大町の灯り。下界とここは数字で計れない距離を感じます。
鐘の音が何度か響き、それに合わせて「行ってらっしゃい亅の声。下山だけの私達は最後の客となり、囲炉裏端でお父さん、お母さん達と談笑。そんな時間はあっという間に過ぎ、お父さんが鳴らす鐘の音といつまでも手を振るお母さんに見送られ出発しました。
小屋が見えなくなる10番ポストで今の景色をしっかりと目に焼き付け、お二人がお元気で過ごされることをお祈りしました。
紅葉は一日でその色付きが変わると言います。昨日と光の加減が違うこともあり、今日の色は瞼の奥まで届きそうな深い色でした(^^)
雨で湿った梯子や木の根道を慎重に降りながら、交わす会話は楽しかった小屋の思い出話。半分を過ぎた辺りから雨に打たれはしたものの、深い森の梢が傘となってくれました。来年はこの森の落ち葉掻きで訪れようかなぁ…。
下山後は山友がお薦めのカフェで共にいつもの.‥(笑)
餓鬼岳の左肩に 小さく富士山が浮かんでいました
今夏行く予定だった五色ヶ原も色付いています
立山の斜面も秋の装い…白い建物は黒部アルペンルートの大観峰駅
小屋の窓からは 烏帽子岳から続く裏銀座の縦走路
囲炉裏端で 素敵な朝の時間
また来年 お元気な姿を見せてください~
陽射しを反射する様は まさに「宝石箱」
蓮華岳と北葛岳とも しばらくお別れです
七倉尾根の斜面も これから益々色付くことでしょう
季節外れのチングルマ
季節通りのチングルマ(穂)
ヤマハハコは蝶ヶ岳でも 咲いていました
シラタマノキの白い実が 真っ赤な絨毯に映えます
いつまでも眺めていたい道です
日本の山の秋は 世界に誇れる 色のグラデーション
七倉ダム周辺が色付くのは まだ少し先のことでしょう
山友が設置した通称「〇〇ベンチ」…〇〇はナイショ(笑)
この辺りは 紅葉が目立っていました
来年も美しい花を咲かせてね…オオヤマレンゲさん
安曇野の山友とは 山だけでなく 嗜好も一致…
最後に今日9月27日は御嶽噴火のあった日。この日は山で犠牲になった方全ての御冥福をお祈りしたいと思います。
小さい秋を見つけた…蝶ヶ岳
9月10~11日 長野県蝶槍(蝶ヶ岳)
蝶ヶ岳…この山を初めて登ってから40年近くになります。当時は自分が登った山よりも視界を超えて広がる槍穂高に熱い視線を送っていました。例え、稜線が雲に隠れていても…。あれから何度か頂きに立ち、今では旧知の間柄のような気持ちで登っている蝶ヶ岳。秋の始まりを感じる旧友に逢うため、三股に向かいました。
9月10日
これまで何度か計画を立てては雨で流れていた三股ルート。最後に登ったのは2014年5月。バディのフォロワーさんとのオフ会。この山行から安曇野の山友や色んな方との出逢いが始まったなぁと思い出しながら登っていきます。また、先日観た映画「ロングトレイル亅の影響か、いつにもましてテントライフが楽しみな気分…(*^^*)
このルートは当然上高地ルートより短く、安曇野からダイレクトに登れることもあり、山の人気と合わせて麓の駐車場は夜明け前には満車。しかし、長塀尾根に較べてトラバース系や梯子、階段、浮き石の多い悪路が続き、歩行の難易度としては随分高くなります。まめうち平の中間地点を過ぎてからの取付地点が蝶ヶ岳の登山口と思いましょう。しばらくは明るい樹林帯をひたすら登ります。第一ベンチで気合いを入れ直し、最終ベンチからは辛抱の時間を過ごし、大滝山分岐点で着いたも同然(笑)
常念岳が両手を拡げて出迎えてくれる中、小さく槍の穂先が見え始め、次第に大展望へ♪ そして、山と共に待っていたのは安曇野の山友(笑) 彼は今日、三股から常念岳経由で周回しています。蝶ヶ岳が取り持った人の縁。この頂きで逢うのは山の縁。
昼食を共にした山友は「じゃ、また明日」と言い残し下山。我々は今回の目的「蝶槍亅を目指します。瞑想の丘を過ぎた辺りで見事な草紅葉。秋色が展望を更に染め上げます。横尾分岐点からふた登りで蝶槍(2655m)…ちょっと感動…w。蝶槍の南側ピークに稜線から少し離れて三角点があり、岩には頂上の文字。ここは旧蝶ヶ岳ピーク(2664.3m)なんですよね。今のピーク(2677m)は長塀ノ頭から昇格?したものですが、小屋から近くになって登山者には都合が良くなりました(^^;
日暮れと共に気温も下がり(8℃)、茸蕎麦で暖を取ります。月明かりで星空は望めませんが、町とテントの灯りが目を楽しませてくれました。賑やかだけど、それを超える世界がここにはあるなぁと思いながら夜は更けて行きました。
進化を続ける(笑) ゴジラみたいな木に見送られ…
常念岳がお出迎え
雪山トレーニングのためとは言え この時期の27kg超えは辛かった(T-T)
長い道程の疲れを一気に忘れさせてくれます
何も言えねぇ…www
涸沢にも少し秋色が感じられます
それぞれがそれぞれの想いで見つめる
ランチタイム…イカ入りお寿司と具沢山味噌汁
おやつは中津川 秋の銘菓 くりきんとん
蝶槍まで 雲上の稜線散歩
小さい秋 小さい秋 小さい秋 見~つけた(笑)
見飽きることないの景色です
山も空も 秋色が漂います
蝶槍から大天井へと続く 常念山脈
安曇野の気流をしっかりと受け止める稜線
蝶ヶ岳の旧山頂です
蝶ヶ岳の特徴 二重山稜がはっきりと判ります
遠くの町の灯りが常念岳越しに…
安曇野の夜景はこんな様子
山に入ると月明かりの凄さを感じます
9月11日
3時頃から少しずつテン場は賑やかになり、4時に空を見上げると予想に反して星が瞬いています。「これはもしかして」と思って稜線に立つと、静かに槍穂高が浮かび上がっていました。小屋の灯りが安心感を与え、ヘッドランプの灯りには登山者の息遣いが聞こえてきそうです。「気を付けて登ってねぇ」無言のエールを送ります。東の空は雲海を映すかの如く低い雲が重なり、御来光は望めそうもありませんが、真っ白な世界を予想していただけに山に感謝です。
朝の気温は5℃。肌寒い風が少しだけ体温を奪い、それは夏山との別れを意味していることだと感じます。朝御飯を食べているとテントに陽が当たり始めたので慌てて稜線へ(稜線までは30秒w)朝陽に浮かぶ槍穂高の景色を頂きましたm(__)m 同じサイトで1泊を共にした皆さんは、常念岳、大滝山、徳沢と次のステージを目指して出発されました。下山だけの我々は遅立で蝶ヶ岳を後にします。またの再会を約束して♪
大滝山分岐点から樹林帯へ。時折、樹間から常念岳が顔を覗かせます。昨日、苦労した木の階段も下山時には安定した登山道となります。(濡れていなければですが…) やがて、等高線の間隔が広くなってきたと思える所まで下ると「まめうち平亅まではあと少し。一呼吸整えて最後の下りを迎え、一本道を曲がれば「ゴジラみたいな木」がお出迎え。あとは、気を緩めることなく三股までの森散歩。
終わってみれば、降雨にあうこともなく、蝶ヶ岳らしい展望と秋の始まり、そしてテントライフを楽しめた2日間でした。
下山後は、約束通り山友と合流し、お喋りの続きといつもの…(笑)
個性的な峰が連なる奇跡に感謝
東の空が少しだけ明るくなってきた頃 既にテン場は目覚めています
陽が射す所だけ染まる マジックアワー
朝御飯の出来上がり(^-^)v
夜明けとともに いざ 出発!
今日も 目覚めた 槍穂高連峰
涸沢岳も含めて穂高四人衆と呼びたい…。
大好きな霞沢岳の稜線越しに 御嶽・乗鞍・焼岳
雲海を眺めながら ここでも出発!
雲海の架け橋が 八ヶ岳へと続きます
朝陽が力を出し始めた頃
富士山と甲斐駒ヶ岳
僕の中で 蝶ヶ岳と常念岳は表裏一体
登山道脇にも秋色を見つけることが出来ます
秋と言えば 茸ですよね~
こちらは見た通りの毒茸.‥ハナホウキタケ
こちらは愛嬌者のホコリタケ.‥只今、固く口を閉ざしてますが.‥(^^)
記念のツーショット(笑)
吊り橋を渡ると 林道まではもう一息
今月の一皿は 洋梨2種で頂きます
来年こそは!と思いを込めて…
8月28日 富山県称名滝
今夏、立山~五色ケ原の予定を頸城に変更したため、立山三山だけでもと思い計画しましたが、台風の影響でまたもや…(T-T) 今年は立山に呼ばれていると思ったのになぁ~。
と言う訳で、2泊3日の北陸三県食べ歩き旅に変更(^^) さすがに、それをアップする訳にはいかず、山に関係する初日の富山県版をアップさせていただきますm(__)m
立山駅前の登山者用駐車場で前泊をし、早朝の称名滝へ。称名平の駐車場から鋪装道を歩くこと約30分で到着です。オロロ(吸血大アブ。盆の頃から発生し、彼岸の頃までは要注意)には遭遇しませんでしたが、道脇の樹木にスズメバチの巣があり、通行には注意が必要でした。
称名橋では水飛沫と風が舞い、距離はあるもののその迫力は相当なもの。雨の影響かハンノキ滝やソー メン滝も出現し、称名滝と合わせて見事なパフォーマンスを魅せてくれました。滝見台へ上がると称名滝を真正面から捉えることが出来ます。
帰り道、本当ならあの弥陀ヶ原大地を高原バスに乗って室堂に行ってるはずなのにと、遂、思ってしまいますが、こればかりは縁なのでね(^^)
その後、立山博物館で立山曼陀羅や自然を学び、劔岳で発見された錫杖も見ることが出来ました(^-^)v また、博物館隣の雄山神社を参拝し、来年こそは登頂出来るようお願い(^人^)
立山を離れ、予定していたお店は定休日でしたが、負けじといつもの…(笑)
悪城の壁が緑に輝いていました
称名滝(左)とハンノキ滝(右)
日本一の落差 四段の称名滝
称名川に沿って駐車場へ戻ります
立山博物館では 自然と文化を学べます 必見!
雄山神社は映画 点の記のロケ地。測量隊が出会うシーンです
芦峅若宮は立山参拝する前に詣った社だそうです
H21年まで劔岳山頂にあった祠
教算坊(元宿坊)に展示されていた立山曼陀羅
岩峅寺にも雄山神社(前立社壇)があります
映画では富山駅となった 岩峅寺駅。構内にはロケ風景のパネルが多数飾られていました
明日への糧…明日への序章(笑)?
八ヶ岳東稜…雲を抜けて
8月14日 長野県横岳(三叉峰)
この時期の日帰り登山は出来そうでできない…。暑さ、虫、アクセス等々。1時間余りの協議(笑)の結果、目指した場所は南八ヶ岳の横岳を杣添尾根で辿るコース。訪ねる人も少なく、お盆休みでも静かな山行が出来るのではと思い、別荘地の奥にある登山口に向かいました。
横岳は標高2,829m、八ヶ岳では赤岳に次ぐ標高です。横岳と言う山頂標識はありますが、標識が立つ奥ノ院を始め、無名峰、石尊峰、鉾岳、日ノ岳など岩峰の総称であり、北八ヶ岳の横岳とは随分と山容が異なります。今回登る杣添尾根は八ヶ岳の東麓、海ノ口から三叉峰の稜線まで一気に突き上げる尾根。赤岳の県界尾根、真教寺尾根の東稜3兄弟のひとつです(^^)
駐車場からしばらくは別荘地内の遊歩道を進みます。しかし、そこは既に八ヶ岳の森。本格的な登山道に入ると、それは更に色濃くなり、鳥の囀りに合わせて苔達の囁きも次第に大きくなってきます。尾根らしい両側が傾斜地となった箇所もありますが、全体的には広い針葉樹の森をひたすら登り続けます。東面にも関わらず朝陽は雲に遮られ森には届きません。お陰で朝の冷たい空気を一杯吸いながらの山行が続きました。標高2450m辺りから頭上に空間が見え始め、雲が流れ踊る光景が…。きっと、雲海の海面なのでしょう。ダケカンバの美しいトラバース道を抜け、三叉峰の岩峰が樹間に顔を覗かせたかと思うと、森林限界を超え、青空を背にハイマツの大海原が広がっていました。振り返ってみれば、荒々しい雲海が視界いっぱいに波立ち、登ってきた尾根はその波に飲み込まれるように沈み込んでいきます。
ハイマツの海を泳ぐこと30分。赤岳と硫黄岳を結ぶ南八ヶ岳メインストリートのほぼ中間点に上陸(笑)普段、通り過ぎていた岩峰を登ると、ピークを示す棒がありました(^^) 初めは姿を現さなかった赤岳も阿弥陀岳や南アの峰々と共に挨拶程度ですが顔を覗かせてくれました。写真でしか見たことのなかった夏の赤岳。秋を思わせる風を感じながらもその姿は「盛夏」。余りの心地良さに気が付けば1時間近く経っていました。
メインストリートを往来する人は多いものの、杣添尾根を利用する人は少なく、当初の思惑通りに静かな山行が出来ました。人によっては最後まで展望のない道と思われるかも知れません。しかし、美濃戸から入山しても同様のこと。移り変わる植生を楽しみながら、やがて大展望が待つ稜線に辿るこのルートは、ここで紹介するも、そっとしておいて欲しいルートです^_^;
下山後は、自宅の反対方向に車を走らせ、いつもの…(笑)
別荘地の遊歩道沿いに咲く キバナノヤマオダマキ
八ヶ岳のギンリョウソウは苔から顔を出す(^^)
八ヶ岳の森は「キノコ」の宝石箱やぁ~(古)
刻一刻と姿を変えていた…雲海の断面
八ヶ岳らしくないダケカンバの並木道
ハイマツの大海原…このピークが横岳の稜線って信じられますか?
いつかは県界尾根と真教寺尾根で赤岳へ…
ハイマツの緑が赤岳を包む
北斎の「富嶽三十六景」風の図…(笑)
コケモモかな?
キリッとした男前…風に向かって立つ イワヒバリ
いつも歩いている北沢(右)と南沢(左)
ベタな構図(笑)ですが やはり南八ヶ岳と言えばこれですね
打ち寄せる波が停止したような岩峰
I LOVE 黒戸尾根
雲海に浮かぶ島…御嶽山
岩の隙間に コバノコゴメグサ の群落
雲海に沈み込む杣添尾根
ゴゼンタチバナ もそろそろお別れの季節
こんな岩峰なら登ってみたい…しかも 双耳峰(笑)
池塘に行くなら…KUBIKI
7月31日~8月2日 新潟県妙高山・火打山
立山・五色ヶ原を計画していた夏山山行。前日に天候が不安定なことを知り行先変更の判断。晴れ間の見える新潟県妙高市頸城山塊の妙高山・火打山を訪ねることにしました。
火打山は17年前に家族で日帰り登山をした山。往復20km。小学生の娘には少しハードでしたが、今となってはお互いに良い思い出話。ちなみに、その前々日は大雨の御嶽山行^^;
池塘の畔で幕営をし、アルプスや八ヶ岳とは違う世界を歩ければ、たとえ展望がなくても楽しめるはずと登山口の笹ヶ峰に向かいました。
7月31日 笹ヶ峰~高谷池ヒュッテ
2ヶ月振りのテント装備は両肩に心地よいプレッシャーを与えてくれます。本格的な登りが始まる黒沢橋までは木道が整備され、一定のテンポでコツコツと木道を叩く足音は心地よく森に響き、緩やかな傾斜は準備運動になります。当時は倒木を橋代りにしていた黒沢も今はりっぱな橋が架かっています。十二曲りを登り終えてから富士見平(妙高方面への分岐点)までが本日の核心部。前日までの雨で道はぬかるみ思うように歩けません。富士見平からヒュッテまではトラバース気味で単調な道。ここもぬかるんでなければ一気に歩き通せますが、今日はスローペースでした。途中で火打山を望める場所があり、当然ながら山肌に雪はなく、夏の終わりか?という第一印象でした。
幕営後に火打山を目指す予定でしたが、山頂は雲に隠れ、結構な暑さであったことから最終日に変更し、周辺散策としました。前回、ハクサンコザクラやアオノツガザクラなど賑やかだった天狗の庭への木道はすでに秋への装いが始まっており、気の早いナナカマドは赤く染まっていました。と、ここでオコジョと初対面。残念ながらその俊敏な動きを写真に収めることは出来ませんでした。
幕営地の高谷池(こうやいけ)は昨年12月 CNNのウェブ特集にて「日本の最も美しい場所31選」に選ばれました。少し高台から池の全容を見下ろすと、幾何学的模様の池塘と三角屋根のヒュッテがとても印象的です。
夕方、周囲を覆っていた雲は晴れ、日没にあわせて空は紅に染まり、やがて満天の星が瞬き始めました。いつものように一人星空を眺めていると、宇宙に居るような錯覚に陥り、静かな時間がゆっくりと過ぎていきました。
森の中の高速道…ただし、スリップ注意です
本当に12回曲がりますW
池塘の多さが一目瞭然
火打山と幕営地のヒュッテが小さく見えています
泥濘を和らげる オヤマノリンドウとアキノキリンソウの花々
周囲の景色とは対照的な三角屋根
この日は10張程度でした
テントの水場に咲く シナノオトギリ
アキノキリンソウ が真っ盛りでした
池塘には白い花(シラネニンジン)が似合いますよね
2000mを超えているとは思えない…
前回はフワラーロードであった木道はすでに夏の終わり・・・
何とも優しい景色に 心が和みます
イワイチョウの草紅葉が始まっています(写っている花は シラネニンジン)
このブログで教えていただいたパスタソースを使ったマッシュポテト。メインは ばら(ちらし)寿司です。
夕陽を浴びて 黄金色に輝いています
いつもの夕暮れとは 一味違う 池塘の畔…
焼山の噴煙も 黄金色に浮かび上がります
今宵のデザートはアップルパイ・・・なお、焼いている訳ではありません(笑)
夏の天の川は 蠍座が よく似合う
8月1日 高谷池ヒュッテ⇔妙高山
心配された空模様も大丈夫な様子。樹間に見える北ア方面は雲が多く、計画変更は今のところ吉と出ています。妙高山はカルデラの外輪山と中央火口丘の溶岩ドームからなる標高2,454mの成層火山。ヒュッテから妙高山へは茶臼山、大倉乗越と2つのピークを越えていかねばならないため、コースタイム以上に疲れるルートとも言えます。所々切れ落ちている樹林帯から茶臼山を過ぎると、眼下には黒沢池とその源流である広大な湿原が現れます。「素晴らしい眺め」の一言。そして一気に高度を下げ黒沢池ヒュッテへ。ここも幕営が出来ますが、張数は僅かでした。ここから大倉乗越への登りは外輪山への登り。つまり、妙高山本体に登るためには登った分だけ下らなければなりません。メンタルが試されますね(笑)
大倉乗越からは火口原湖の長助池を眺めることが出来、この下りからカルデラ内となります。ロープが設置された急坂から緑と花の競演が続くトラーバース道を緩やかに下って行きます。そして、長助池分岐から再び300mの登り返し。山頂直下までは樹林帯の急登が続きます。しかし、中腹辺りからはヒメシャジンの大株など高山植物に助けられ、やがて視界が広がると稜線に立てます。妙高山は北峰と南峰にわかれ最高点は南峰ですが、一等三角点や山頂標識があるのは北峰です。雲間に明日登る火打山、そして反対側では野尻湖など下界が望めたものの、すぐに雲海の下に隠れてしまいました。妙高大神が祀られる南峰は大きな岩がゴロゴロ。また、テントウムシより少し小さな甲虫が大量発生しており、それには閉口しました。
平日とは言え、北アに較べると訪れる人も随分少なく、静かな山行を楽しめました。
高谷池の手前で「雨音がするけど沢の音かな?」と話をしていると、やがてポツリポツリと雨のゾーンへ入っていき、しばしヒュッテで雨宿り。雨が上がれば、お約束通りの虹が東の空を飾ります。昨日よりも幕数は増えていましたが、今宵も静かな夜を過ごせました。
朝陽を浴びて 薄桃色に光る焼山
火打山に見送られ 妙高山を目指します
甲子園何個分? 黒沢大湿原。後ろの山が 妙高山です
綿毛の競演 ワタスゲとチングルマ
草丈が低く 直立するのが特徴の ミョウコウトリカブト
自然のイタズラか? 人の手か? サンカヨウの実がジャストミート
遂に本丸 中央火口丘が迫ってきました
悠久の賜物「長助池」
オニシモツケの群落…朝陽に映え見事でした
息を呑むほど美しかった ヒメシャジンの大株
北峰の大岩に立つと 外輪山とカルデラの様子がわかります。奥は火打山。
南峰の大岩に立つと 中央火口丘の傾斜がわかります
多分 ここが最高地点?(笑)
夏の雲海は 眩しいですねぇ~
開いている姿は初めてかもしれない…トウヤクリンドウ
同じ黄色でも微妙に印象が異なる ハクサンオミナエシ
黒沢池ヒュッテでのワンショット。頬から喉にかけての緋色が特徴の鳥「ウソ」
ハクサンコザクラ…黒沢池ヒュッテ近くに群落がありました
今夜は チキンのタイカレー(グリーン)、サンラータン。そして、タラコ風味のマッシュポテト。
「Over the Rainbow」
8月2日 火打山~笹ヶ峰
今日の天気予報は曇りのち雨。そして雷注意…^^; 5時にテントを出発した時は焼山の噴煙と共に火打山が見えていました。焼山は現在、噴火警戒レベル1、山頂から半径1km以内は立入規制をしています。そのため、万が一のことを考え、ヘルメットを持参して火打山に向かいました。オコジョが現れないかと期待するも現実はそう甘くないですよね。天狗の庭を前に木道は大きく迂回するような形で設置されています。途中、ワタスゲの穂が揺れる池塘に「逆さ火打」が映り、今回の池塘を巡る山行のフィナーレを飾ってくれます。それでも「前回はあの茶色の山肌に雪が残っていたのになぁ~」と少し贅沢な注文…。登山道が崩壊、転落の危険があることから、数ヶ所新しく道が付けられていました。また、数年前に整備された階段が崩壊から地面を守っていました。お花畑を抜けて稜線に立つ頃には辺りはミルキーウェイの世界へ。しかし、山頂直下の登りにかかると山の神の息吹か、レースのカーテンから浮かび上がるようにして、天狗の庭や妙高山が現れました。
クルマユリの橙とウサギギクの黄、そしてシラネニンジンの白。そこを過ぎれば、2,462mの山頂です。本日一番乗りのおまけも付いていました。山頂からは日本海の海岸線や白馬岳から続く栂海新道の山嶺。天狗の庭から高谷池へと続く池塘、そして三角屋根と我が青いテント。歩いてきた道を振り返るのは、良いもんですねぇ~。帰り道、地元の高校生か40名ほどの団体とすれ違い。挨拶を交わすのは大変でしたが(笑)、地元の山に親しむことは大切なことだと思いますね。生命溢れる山歩きを通じて、何かを感じ取って欲しいとオジサンは思います(^^)
下山時、ヒュッテを出発して間もなく雨が降ってきたため、レインウェアを着用。しかし、この新調したレインウェアは雨を呼ぶのか、毎回のように着用をしています…^^; 雨はすぐに上がったもののまさかの雷鳴。午前中に雷が鳴るなんて…。中腹以降は再び雨も降り出しましたが、樹林帯のためさほど気になりませんでした。でも雷鳴が響く度に「高校生たちは大丈夫かなぁ。稜線からは下りたかなぁ~」と思いながら、笹ヶ峰まで休憩する余裕もなく歩き通しました。
当初の予定より1泊早く下山したため、翌日は苗場山に日帰り山行をしようと思いましたが、どうも天候が不安定なため、躊躇なく食べ歩き観光に変更。そして、その前にいつもの・・・(笑)
最終日の朝 いよいよ火打山を目指します
ワタズゲが揺れる 天狗の庭に火打山が姿を映す
番いのホシガラスが嘴で ハイマツの実をバトンリレーしていました
白い幕が上がった光景に しばし足が止まりました
ウサギギクとクルマユリがゴール間近を告げています
何気に影ツーショット(笑)
ここからでも迫力がありました
白馬岳~雪倉岳~朝日岳…長いんだよねぇ~
天狗の庭から高谷池に続く木道。そして、小さくマイテント。
ミヤマシシウド?は 浮かぶ池塘のようです
山頂直下のお花畑にお別れを告げ 下山開始
まずは 眼下に広がる 天狗の庭を目指します
マルバダケブキの群落は 夏にぴったりな感じ
ひっそりと咲いていた ヤマオダマキ
ヤマハハコとヒメシャジンの涼しげなコラボ(^^)
池塘にくっきりと 逆さ火打
池塘の天使 ワタスゲ
高谷池が一望できるベンチから・・・何度見ても飽きない景色
雨の中 火打山が最後のお別れを告げてくれました
暑い夏はアイスたっぷりのパフェが素敵…(^^)v
北八の夏…苔祭り開催中
7月17日 長野県北八ヶ岳(長野遠征2日目)
天候の優れない週末は梅雨が最も似合う山域の北八ヶ岳へ。八ヶ岳縦走路にて空白地帯となっていた麦草峠から坪庭間を周回してきました。
初めて麦草峠を訪ねたのは20年近く前になります。晩秋の曇り空。とても寒かったことと森がとても綺麗だった記憶…。偶然か必然か、ここを訪ねる時は曇り空が多く、今日もそれは当てはまる(笑)
しかし今日はいつもと反対の北に向けて出発。最初のピークは茶臼山。そして、北八を代表する縞枯山へと続きます。所々、展望台(登山道から少し逸れます)がありますが今日は何処を見ても同じ景色(^^; その代わり、森を歩くと鳥達の合唱に苔が踊っているような賑わいです。その迫力はΓ夏祭り!」♪
さほど高低差のない縦走路ですが、石がゴロゴロとした道が続き(しかも頂上直下は急坂)、意外と手こずる道でした(^^;
雨池峠の交差点。ここからは足元を気にせず歩ける道。今までが地道としたら、高速道路みたいなもの…。そして、いつもはロープウェイで訪ねる坪庭に到着。天候と視界が悪いにも関わらず、駅前は大勢の観光客(登山者も含む)で賑わってました。さすが連休ですね(^^) そして、皆さん寒そうにダウン等のアウターを着ている中、半袖姿の我々でした…(笑)
帰りは全行程トラバース道。その1/3程度の森林浴展望台までは木道が整備されていましたが、濡れている木道は最大限の注意が必要でした(^^; 途中から小雨が舞い、更に緑と霧が濃くなってきます。五辻を過ぎた辺りから道幅が大通り並みに広くなり、とても開放的な森となりました。ここが今回一番のお気に入りかな? 国道を横切った後、50m程の登り返しとなり良く整備された道をヒュッテまで戻りました。
坪庭の喧騒が嘘のような静けさの中、北八の森を散策できるこのルート。決して、晴天時には歩かないで下さいね(^-^)v
下山後は売り切れ御免のお店でいつもの…(笑)
ルート全体図。茶臼山~縞枯山~坪庭~五辻~オノダチの森~駒鳥の池
茶水池の畔に咲く バイケイソウ
如何にも 北八ヶ岳の森
喜びの舞を熱演中?(笑)
目に痛いほどの緑が 森を照らす
北八の森越しに 天狗岳方面
森の妖精が昼寝をしていそうな世界
見過しそうな 小さな世界があちこちに…
茶臼山からの下り 一本筋が通ってます(^^)
時々 森が晴れると 縞枯山
山頂は展望がありません
登山道も展望はありません(笑)
良いねぇ~この曲がり具合は…(^-^)v
その一滴が やがて大海原へ
突如出現した交差点…横断歩道はありません(^^)
木立の間から縞枯山荘の三角屋根
森林浴展望台へ続く木道…油断大敵(^^;
この道を歩けたことに感謝m(__)m
今は静かな駒鳥の池。その囀りが響くのは早朝かな?
ラスト2個をget! 今日一番の収穫か?(笑)