Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

初めての鹿児島・宮崎 山行

11月12日 鹿児島県高千穂峰
まだ薄暗い中、カーブの続く道を標高を上げながら、駐車場に向かいます。

10日の朝、フェリーで宮崎県に入港し、その日の夕刻、人生初となる鹿児島県へ。昨日はランドマーク「桜島」を眺め、今尚、白煙を上げるその姿に、畏怖の念を抱かずにはおれませんでした。
そして、今日登る「高千穂峰」も活火山。霧島連山と呼ばれる一帯の第2峰で1,573m。すぐ隣には、2011年1月 300年振りにマグマ噴火した新燃(しんもえ)岳があり、その北西には、噴火警戒レベル2 火口周辺規制がされている硫黄山と、正に「霧島火山群」と言われる山塊です。
鹿児島県と宮崎県に跨る「高千穂峰」。今回は鹿児島県側の高千穂河原から御鉢を目指し、宮崎県側の霧島神宮・元宮を経由して山頂に向かいます。
事前に調べた情報では、特に危険な箇所はないものの、火山特有のザレて沈み込む道があることから、登山靴を準備。また、噴火警戒レベル1とは言え、御鉢は活火山であることからヘルメットを持参しました。当初、平日の13日に登る予定でしたが、冬型の気圧配置が強まることから予定を変更し、また、週末ということで登り始めの時間を繰り上げました。
まだ明け切らない駐車場では支度をする登山者の姿を多く見かけ、この山の人気を推し量ります。登山者は駐車場にある登山口ではなく、鳥居をくぐり抜けていきます。地図で再度確認すると「古宮址」を経由しているようです。「古宮址」とは、霧島神宮があった場所。元々の背門丘(元宮)から高千穂河原(古宮)に移転した訳ですが、ここでも噴火の影響を受け、1715年に現在の地に再建されました。
私達も鳥居をくぐり抜け、参道を進みます。砂利道から始まる山行は珍しく、「天孫降臨神話」の地、高千穂峰らしい出発です。「天孫降臨神籬斎場(ひもろぎさいじょう)」と書かれた先、2段高くなった鳥居越しに、高千穂峰を仰ぎ見れば、「襟を正す」ように、厳粛な気持ちになります。
そこからしばらくは樹林帯。石畳の敷かれた道はやがて噴火の痕跡、噴石が多く見られ、進んでいくほど大きくなっていきます。
「もし今、噴火したどうすべきか」
多くの教訓から、下山するまでその考えは消えませんでした。
樹林帯を抜けた先が森林限界。ただし、これまで見た森林限界とは様子が異なります。立ちはだかるかの如く、ゴツゴツとした不規則な岩が一直線に稜線へと続いています。ここは「山」ではなく「火山」です。所々に目印が書かれ、それを追いかけます。何より、浮石を落とさぬよう細心の注意を払いました。自分が加害者にも、被害者にもなる緊張感を持って登り終えた先には、ぽっかりと空いた御鉢が現れます。赤茶けた地層や黒々とした岩稜帯。そして、今は枯草となったミヤマキリシマの群落。時折、硫黄臭が漂うため、先を急ぎます。
今日の空模様は「猫の目」。青空が広がったかと思えば、雲に包まれます。御鉢と高千穂峰の間が「背門丘(せとを)」。石造りの鳥居と小さな祠、そして「霧島神宮元宮之記」と記された石柱がありました。ここから山頂まで標高差165m 。登っていると、またもや雲に包まれ始めたかと思えば、青空が広がる。神々の悪戯に翻弄されているような気分の中、天逆鉾が突き立つ高千穂峰に登頂。坂本龍馬が引き抜いたとされる逆鉾を中心に、ぐるりと一周すれば、朝陽に輝く神々しいまでの雲海。古人が自然に神々を崇拝した気持ちを汲み取れた気がします。
いつものは 下山3日後に 四万十川沿いで… (笑)


鹿児島と言えば「桜島」… 間近で見れば火山島でした

社殿のない神域 それでも 心は 引き締まります

これが 火山の恐ろしさ

火山式森林限界… ここからは別世界

霞みながらも 錦江湾桜島

赤茶けた登山道に 黄色のマークが 目立ちます

御鉢の淵から ようやくの朝陽

影御鉢が 中岳に 映ります

不毛の大地に ミヤマキリシマが覆う… 御鉢

新燃岳韓国岳へと一直線に並ぶ「霧島火山群

馬の背越えと呼ばれる御鉢の淵… 前方は 高千穂峰

御鉢の全景… 白っぽいのは 新燃岳噴火の痕跡か?

正に 神隠し…

背門丘から御鉢を振り返ります… ここは 宮崎県

「西暦 540年に神殿を造営」と記されています… 霧島神宮・元宮

晴れることを一念に 最後の登り

「一念天に通ず」

ここが 山岳信仰(霧島六所権現)の舞台

今日は 霧島の語源となった「霧に浮かぶ島」

長居は無用です

内側のみならず 外側も荒々しい… 御鉢(火常峰)

平坦な箇所でも 注意が必要な 馬の背越え

ミヤマキリシマが咲く頃は 色艶やかなことでしょう

この赤茶けた場所は 真新しく感じます

午前10時30分 何かの競技を見ているようでした

暖冬の忘れ物でしょうか…ミヤマキリシマ

元々 高千穂峰が 信仰対象… 霧島神宮

仁王さまが出迎える 霧島岑(きりしまみね)神社(夷守神社を合祀)

神武天皇が誕生した地に創建されたと言われる 狭野(さの)神社

高千穂峰山頂を飛地境内とし 拝殿には雌雄一対の龍柱… 霧島東神社

高千穂峰を映す 火口湖… 御池

翌日は 冬型の気圧配置となり初雪… えびの展望台から「硫黄山韓国岳

韓国岳から高千穂峰へと「霧島連山」… 十文字展望所

見所満載の東霧島(つまきりしま)神社… これで「霧島六所権現」

三者三様で いつもの…(笑)