Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

バリエーションルート (?_?) で おらが山

3月4日 三重県尼ヶ岳
12月中旬から続いた雪山。来週に控えたロング&ライト山行を前に、おらが山で最終調整。いつものルートを2周しようかと思いつつ、たまには、別ルートで行ってみようと登山口に向かったところ駐車地へ辿り着けず、「とにかく ここから」と地図アプリと睨めっこしながら出発しました^^;
檜林に入ると更に道は不明瞭。とりあえずは、U字溝に沿って進みました。些か不安な気持ちは拭えませんが、こんな時こそ冷静な行動と判断が必要であり、アプリで現在地と進行方向を確認しながら前進を続けます。後半は道なき道を慎重に選び、何とか林道に合流。いつも思いますが、岩稜帯のアルプスよりも、ある意味危険な近場の山の出来事です。
その後も慎重なルーファイは続き、やがていつものルートに合流をして、やっと一安心するのも束の間、尼ヶ岳名物「天にも続く階段」が始まりました ^^; 表道(僕の通称)より段数は格段に少ないのですが、本日の目的「心肺機能トレーニング」は達成することが出来ました。天使の囁きが聴こえそうな最後の階段を終えると、芝生広場の山頂に到着。前回は霞んで何も見えなかった展望も、今日は台高から松阪方面まで、ぐるり180度を超えていました。また、遠く鈴鹿の稜線が白く輝いて見えたのが、今日一番の嬉しい出来事です♪。
この尼ヶ岳、不思議なことにいつもどこかで1組の登山者とお会いするんですねぇ。そして今日は山頂で、トレランファミリーとご挨拶 (^^)
しばらくは1人で山頂からの展望を楽しみ、初めて歩く下山ルートへと向かいました。次こそは縦走の周回ルートをと思いながら冬枯れの林を激下り、そして階段…(笑) 伊賀富士とも呼ばれる尼ヶ岳はどのルートでも同じ傾斜なんですよね(^^) 1000m弱の山なので、そんな下りも長くは続かず、ほぼ平坦な人工林の山道に変わります。しかし、ここで落ちた枝による「カニばさみ」攻撃。危うく手を着きそうになること数度…。転倒して打ち所が悪く動けなくなった時のことを思うと「近所の山 侮れず」と山の安全十ヶ条(笑)が再び思い出されます。
峠から駐車地へ向かう際もいくつものルートが交差し、ひとつ間違えれば面倒なことになるため、再び、アプリの登場。本当は読図が良いのでしょうが、現実的はこれがベストチョイス。
下山後は、ソロ山行にも関わらず、普段と同じ数のいつもの…(笑)


観光名所の倶留尊山を背にして出発!

こんな感じの道を歩くこと15分

東海自然歩道…昭和の響きですね

林業が盛んなのでしょう 至るところで林道に出ます

フィトンチッドが見えそうな 植林地

まずは小手調べの 第1階段

最後は間隔と高低がランダムになる 第2階段

天使が見える 第3階段

山から眺める 我が町は いいもんです

秋の薄で有名な「倶留尊山」

霧氷で有名な「関西のマッターホルン 高見山

風力発電で有名な「関西の軽井沢 青山高原

伊勢湾の海岸線が微かに望めます

この世界を独り占め…「LOVE おらが山」

山頂に雪はありませんが…

初めてのルートから 山頂を振り返ります

大洞山の左肩には 奈良の娘と登った「三峰山」

意外に危なかった平坦な道

里では春の足音が 大きくなってきましたね

冷たいのが 美味しい季節になってきました

今冬もやっぱり御在所岳…ルート本谷

2月26日 三重県御在所岳
雪が豊富な今年の鈴鹿。2月に入り、藤原岳天狗岩、竜ヶ岳遠足尾根とスノーシューを楽しめるルートを歩いてきました。しかし、ここを歩かないとどうも落ち着かない主峰御在所岳「本谷~中道」周回ルート。今冬も訪ねることが出来ました。

先月の大雪で本谷上部は一時胸まで積雪があり、雪崩の危険性もあるため、様子を窺っていました。麓を通るたびに眺めていましたが、雪の多さは一目瞭然。落ち着いてきたとは言え、期待と気合十分で登山口を出発しました
昨年はノーアイゼンで登った本谷も、今年は登山口から雪。堰堤広場でアイゼンを装着して出発。しばらくは踏み抜きに注意をしながら、徒渉や岩登りが続きます。時々、スノーブリッジがあるため、横から覗くように確認したり…。最近はこのルートも一般化しつつあり、明確なトレースはありました。
いくつもの名も無き滝を通り過ごし、ひとつめの大滝「不動滝」に到着。高さはさほどなくとも、この滝の発する神秘的なオーラは僕を魅了し、鈴鹿の中で最も好きな滝です。
いつもと微妙に違うトレースを進みながら最初の二股へ。なんとここでデブリに遭遇。鈴鹿では初めての光景でしたが、傾斜地に一気に雪が積もるとどこでも発生するんだと、改めて思いました。
真っ赤なロープウェイが青空を横切る光景が近付くと大黒滝。小さな「氷の作品」群に目を楽しむことが出来ます。本谷ルートは二股があれば右へ進めば良い(1ヶ所は左股)のですが、この大黒滝を巻くルートは見過ごしやすいので注意が必要ですね。
いつもは藪漕ぎ風で支尾根を登るルートも、水路のような滑滝が雪に埋もれた谷を直登し、核心部の門番「ジョーズ岩(通称)」のお出迎え。門番も雪に埋もれ、初めて手を使わずに通過できました。
麓から見上げる一筋のラインがメインストリート。今はロープウェイの白い鉄塔越しに麓の町を眺めます。遠く白銀の山稜は霞んで見えませんが、今日は伊勢湾越しに知多半島の海岸線がはっきりと見えました。
一歩一歩の歩みが、そのまま高度を上げる気がします。大黒岩下部を通り過ごし、ロープウェイ「山上公園駅」直下が本谷の終了点。いつもは左側の斜面を登りますが、今日はそのまま直登し、大黒岩へ続く稜線へ。そして、そのまま樹々の間を抜けて、レストハウスが建つ山上公園に到着。御在所岳山頂はもう少し先ですが、最近、我々のピークはこのレストハウス(笑)
鈴鹿の槍「鎌ヶ岳」を眺めながら昼食を摂り、奇岩の続く中道ルートで下山。途中、竜ヶ岳や藤原岳など鈴鹿北部の山々を眺めていると「本当に素晴らしいホームだなぁ~」と惚れ直しました。
下山後は最近ちょっとお気に入りのお店でいつもの…(笑)

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麓から眺める 御在所岳とメインストリート
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しばらくは こんな感じで進みます
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本谷は この流れの源流を 探る山行
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雪深く 近くに立ち寄れなかった不動滝
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不動滝巻き道上部の 一本トラバース(笑)
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この辺りまで登ると 雪は落ち着いてきました
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左側の谷から流れ出たんですね…中央の岩にある矢印は左を指していますが、普段は右の林を進みます
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陽が当たり 大黒滝は輝いていました
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自然は不思議な造形作家です
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ここは 時間の流れが 止まったようです
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大黒滝の巻き道は ちょっと力技で…(笑)
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大黒滝の上部…普段は右の林を登りますが 今日は初めて左ルート
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先日のアイスクライミングの成果が試されます(^^)
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門番に出会うと 本谷も終盤へ
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さぁ メインストリートへ行きますか!
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見上げると この景色…
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振り返ると この展望
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林が近付くと 終了点になります
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いつもより高い位置から 振り返ります
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鈴鹿の槍「鎌ヶ岳」と海岸線
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春待ち遠しい 新芽かな
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藤原岳、竜ヶ岳、釈迦ヶ岳.‥LOVE SUZUKA
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中道は 見るだけでなく 岩にも触れます
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今年も登ったなぁと 振り返る場所
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2つが定番となりつつある いつもの…(笑)

雪と氷の2日間.‥長野遠征

遠征とは言うものの、今年に入って4回目の長野県。今回はソフトとハードに冬山を楽しむ2日間となりました。

2月19日 長野県雨池
1月下旬から毎週雪山が続いており、2日目の行動を考えて、初日はゆるーくスノーシューを楽しめるコースを計画。あとは空模様と相談して、以前、このブログで紹介されていた北八ヶ岳の雨池に決定。起点となる坪庭まで歩いて登れば2時間のところ、ロープウェイを利用すると約7分で雪山の世界へ。10時前に山麓駅に到着。天気に恵まれ、すでにボーダーやハイカーで大賑わい。人の列は正面玄関まで伸びており、30分待ちで乗車出来ました。南八ヶ岳から南アルプスの名峰を眺めながら標高差約500mを一気に稼ぐと山頂駅「坪庭」に到着です。今冬初めて見る「スノーモンスター風」の景色に心が弾みます。
時刻は11時前。雨池往復は2時間半。この好天と景色をゆっくり楽しんでも時間は充分です。
縞枯山荘への道を辿ると、山は静けさを取り戻し、雨池峠から樹林帯を下ると浅間山から荒船山群馬県の山稜が樹上に浮かび上がります。林道まで下ると樹々に雪化粧はなくなりますが、平坦な道は北八の森を歩くスノーシューハイクにぴったりですね。さらに分岐点を下ると樹間に雪原が見え始め、雨池に到着です。
池の周囲に沿って少し歩いた日当たりの良い場所で昼食。しばらくして2組の方が到着しましたが、こちらに来る様子はなく貸切状態が続きます。ここには頬を刺すような風はなく、陽だまりで昼寝をする猫のように、時には寝そべりながら空を眺めたり、雪原の向こうに広がる森を眺めたりと、快晴であるが故の贅沢な昼食タイムでした。
帰り道、林道から雨池峠への登り返しもスノーシューのリフター機能を利用すればさほど苦にならず、景色を楽しんでいる内に気が付けば平坦な道になってきました。薪の匂いが漂う小屋を過ごし、坪庭周遊道まで戻ってくると、あちらこちらから人の声が聞こえてきます。皆さん、それぞれの雪山を楽しまれています。
「近い将来、冬山と言えば、こんなスノーシューハイクに限られるのだろうなぁ…」と思いながら、全周囲パノラマ展望のロープウェイで春の陽気が漂う山麓駅に戻りました。
下山後は、お決まりのお店でいつもの…(笑)


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標高とともに 気分も上昇(^^)
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ここまでは 観光客の方でもOKです
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さて 軽くスノーハイクと行きますか
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伸び上がるような霧氷たち
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モンスターたちに 吸い込まれそうな雰囲気
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きらきらと光る 雪の斜面
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トレースと太陽があれば 雪山の難度は下がります
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ここから見る山荘が 僕は好きです
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雪だからと言って どこでも歩いて良いとは限りません
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時折 風が我々を追い抜いていきます
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縞枯現象は 東面でも見られます
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林道…このあと スノーモービルが2台通過しました
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りっぱなシラビソ?の林を抜けると…
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雨池に到着です
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雨池ダッシュ…身体の硬い僕はこれが限界…(笑)
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静かで 気持ちの良い場所です
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見上げると 昼間の星が降ってきます
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今年の冬は よくトレースを作ります
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ダケカンバの幹も 個性豊かな表情です
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名残霧氷が ガラス細工のように 輝きます
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水蒸気がはっきりと…浅間山
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美しい森を振り返ります
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ディーゼルエンジンより 薪の匂い
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南八ヶ岳の名峰たち…あの稜線から2ヶ月
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チーズが香るのいつもの・・・

2月20日 長野県善五郎の滝
前日の快晴が嘘のような曇天の朝。予報では一日中、雨と風の「荒天」。読みは同じでも昨日の「好天」とは正反対ですね。今日は山友のガイドで人生初のアイスクライミングをするため、乗鞍高原へと向かいます。
待ち合わせ場所では雨が降っていましたが雪に変わることを期待してまずは現地へ向かうことにしました。上高地に向かう国道から乗鞍高原の分岐点を過ぎても雨。しかも、かなりの降雨量。「2月なのに雨か…」と思いつつ、昨年も暖冬の影響で計画を中止したことから、不安が少しよぎります。鈴蘭を過ぎ、ようやく雨は雪に変わり、山友ガイドの「これなら大丈夫です」の声に表情が明るくなりました。
駐車場から林を抜けて、「善五郎の滝」を見下ろす場所へ。写真で見てはいたものの、その迫力に少し圧倒されそうになりました。滝に到着すると、先ほど感じた迫力よりも「今からこれを登るんだ」と言う期待感が上回り、降りしきる雪もさほど気にはなりませんでした。
先行者1組2名。しかし、我々が予定しているルートとは別ルートだったので、お互い干渉することなくクライミングを楽しめそうです。
まずは、確保用ロープの設置に山友がリードクライミング。久しくビレイヤーをしていなかったので、最初は少し緊張しながら山友の動作を目で追いました。準備が整い山友の「さぁ、どうぞ」でクライミング開始。
数度の人工壁と外岩を1回経験しているとは言え、初めてのアイスクライミング。山友のアックスを落とさないように注意しながら…それより自分を落とさないようにせねば…(笑)、見よう見まねで登攀を続けます。両手に持つアックスは何とか使えますが、アイゼンの前爪のみに身体を委ねるのは難しかったですね。あと岩場と較べて足を休める場所が少なく、また、登ってみると下から見るよりも傾斜が急だなぁと感じました。
金曜日に痛めた右肩の痛みもそっちのけ(笑)で最高点へ。力と少しの経験で到達した初登でした。
雪はやがて霙となり、アウターはビショ濡れ状態になってきたため、撤収。僕は2回半、バディは1回半の登攀でしたが、満足のいく経験でしたね。
冬に限らず、山はその広大なフィールドを生かして、様々なジャンルで楽しむことが出来ます。今回の経験もそのひとつでした。機会があれば、来シーズンもお願いしますと山友に告げ、いつもの場所へ…。

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展望台から見た 善五郎の滝
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登攀地点から見上げた 善五郎の滝
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右端の入門ルート ロングバージョンを登ります
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今月中旬に崩落した 左側ルート
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先行者はショートルートから登られていました
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まずは 山友ガイドが登攀のお手本
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見るより 実践あるのみ(笑)
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基本は岩登りと同じだそうです
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ここまで登ると イメージ通りに進めます
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懸垂下降で 下りはピャア~(^^)
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当然 バディも初挑戦
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果敢に攻めて 登っていきます
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階段状に見えますが 実際はほぼ真っ直ぐな感じ…
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人と較べると 氷瀑の大きがわかりますね
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脱力感たっぷりの 懸垂下降…(笑)
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気合いだけ十分の 2登目
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足元を覗けば こんな感じです
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アックスを見上げれば こんな感じです
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もし振り返れば こんな感じです(笑)
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バディの2登目…足場の状態がよくわかると思います
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崩落したルートは 常に水の音が聞こえるそうです
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そろそろ潮時の 3登目…^^;
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来シーズンは青空の下で 登りましょう
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最後に振り返って 善五郎の滝…
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火照った身体を 冷やしてくれる いつもの…

鈴鹿の羊に逢いたくて…冬

2月15日 三重県竜ヶ岳
鈴鹿7Mt.のひとつ竜ヶ岳。「鈴鹿の女王」と僕が呼ぶこの山は、シロヤシオが咲く5月になると、草原に群れる羊のような光景を眺められることで人気があります。頂上へはいくつものルートがありますが、その中で、草原の稜線歩きを存分に楽しめる遠足尾根が僕のお気に入り。そして、冬。ここは鈴鹿随一のスノーハイキングコースとなります。以前から機会が合えばと思っていましたが、ようやく、その時がやってきました。

平日の朝8時前、駐車場には数台の車が停まっているだけでした。山麓では晴れ間が見えたものの鈴鹿の稜線は雲に覆われており、予報通りにはいかない予感。林道から遠足尾根の登山路へ。しばらくは杉林の直登が続きます。空模様は高曇り。山頂は雲の中。稜線の風が穏やかであることを願うだけです。先行者の4人グループで見覚えのある顔があり、挨拶を交わすと、やはりザックを買った店主ご夫婦でした。先日の藤原岳に続く、地元の山らしい出来事ですね。
遠足尾根の分岐点にてスノーシューを装着。ツボ足だと膝上ぐらいまで嵌まる箇所もあります。今年は鈴鹿を初め、関西の山は雪が豊富です。稜線の雪は落ち着きを見せ、先週末の山行のようなラッセルはありません。スノーシューが最も得意とする状況でした。やがて視界は広がり、山頂へ続く遠足尾根の全貌を望める場所に出ます。残念ながら山頂は姿を消したままですが、黄色く光る伊勢湾を眺めての山行は、いかにも鈴鹿らしい光景です。アセビやシロヤシオの林を抜け、いくつかのアップダウンを繰り返し、急坂を直登すると金山尾根に合流。ここまでのトレースは山スキーの方1名。それも時折、消えています。山頂直下、周囲がベールに包まれた瞬間があり、ルーファイの大切さと怖さを身をもって体験できました。最後の登り坂、後ろを振り返れば、羊の群れが望めるはずですが、今日は姿を隠している時間が長かったですね。
山頂は時折15mほどの突風が吹く冷凍庫状態(笑) 三角点にタッチにし、昼食場所を求めて、下山の途につきました。結局、前回と同じ場所で昼食をとっていると、雲の流れに合わせて、まるで生き物のような陽射しが稜線から谷に抜けていきました。そして、女王様の登場。こんな筋書も良いもんです。しばし、目の前に繰り広げられるショータイムに一喜一憂をしながら昼食を終え、遠足を終えた小学生の気分(笑)で来た道を戻り始めました。
下山後は、有名パティシエの作品でいつもの.‥(笑)

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杉林の急登も 影絵が楽しませてくれます
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広角レンズで撮ったような谷筋
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モノクロで撮ったような尾根筋…(^^)
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振り返れば 遠くに伊勢湾と工業地帯
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立木から右側は雪庇です
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これぞ 冬の遠足尾根
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先日登った藤原岳も 稜線は見えません
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こんな日だからこそ この景色が生かされます
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遠足尾根を振り返ります
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何を語っているのでしょうか…
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5月になれば 白い花を魅せてくれることでしょう
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今は冬毛の 羊たち…
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忽然と現れた 山頂への道しるべ
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羊の放牧地も 今日は霞みがちでした
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空模様より 風が登頂のポイントです
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標高1099.6m。ここは三重県です。
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向こうの山肌には陽が射してきました
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竜ヶ岳山頂上空にも 青空が見え始めます
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霧氷に囲まれた ランチタイム
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スポットライトを浴びたような 子羊ちゃん(^^)
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帰り道も楽しい 遠足尾根
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美しすぎる山稜は 女王の名に相応しいと思います
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山スキー3名、スノーシュー4名、ワカン1名のトレースが続きます
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女王様 次回は青空の下で お会いしましょう
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ここでも美しすぎる いつものたち…(笑)

大雪警報発令中…バンビー4と奈良の娘

2月11日 滋賀県蛇谷ヶ峰
大雪警報発令中の湖北。地元の方の話では一晩で1mの積雪だったそうです。名物「鯖寿司」を食べるため、山仲間「バンビー4」に奈良の娘が加わって、雪の琵琶湖畔に集まりました。

当初の予定ではマキノ高原近くの大谷山へ行く予定でしたが、雪の影響で道路事情が悪く、到着が遅くなったために行先を蛇谷ヶ峰へ変更して、青空が見え始めた駐車場を出発。
除雪の行き届いた林道を進むこと10分。除雪された雪の壁を乗り越えたところから、本当のラッセル山行が始まりました。今回のメンバーの中で安曇野の山友は山岳会所属のガイドレベル。ワカンを履いて果敢にラッセルをされ、我々に道を開きます。2番手のスノーシューはトレースを平らにし、3番手からは整地係(^^) 今日のように、深い新雪ではワカンの方がスノーシューよりリズミカルでした。
腰辺りまでの新雪は想像以上に進みません。それでも時折、青空と太陽が雪を纏った木々を照らし、目を休ませてくれます。林道から夏道への分岐点を通り過ごしてしまい、尾根に乗るため斜面に取りつきました。ここまでも山岳会のラッセルを目の当たりにし勉強させていただきましたが、この時ばかりは感嘆の声が皆から上がりましたね。尾根にあがっても新雪の勢いは衰えず(笑)、想像通り登頂は諦め、11時30分頃を折り返し時間と決めました。夏道から離れ尾根上を歩く冬道のルート取り。そのルート取りも山岳会仕込みで教わります。そんなこんなで直登を登りきった小さなピークを本日の到達点としました。主稜線に続く支尾根にある小さなピークは、決して展望が良いとは言えませんが、新雪の厳しさや雪山の勉強が出来たことで、とても有意義な山行となりました。
トレースが完成した帰り道、往きの苦労が嘘のように歩けるのは、今年の山行で実証済。雪不足だと言われた今シーズンも今年の山行(5回)すべてにノートーレス区間がありました(^^)
下山後は集まりの目的「鯖寿司」を食べながら、楽しい山行を振り返り、お口直しにいつもの・・・(笑)

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関西とは思えない この雪景色
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送迎バスが雪に埋もれそう…
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木々の雪が落ちると 朝陽を受け 宝石のようです
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うっすらと トレース跡が続きます
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ラッセル隊長 奮闘中!
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スノーシュー部隊が トレースを整地します
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思いも寄らぬ 陽射しに感謝
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青空が見えると 気分が軽くなります
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あの陽射しを受けるまで 先頭交代
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これぞ プロの技 (^^)/
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尾根に上がっても 腰ラッセルは続きます
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奈良の娘が先頭へ…2番手は隊長さん
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この急登を登りきれば 折り返し地点
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「きりたんぽ」状態のストック
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Vサインをしているのが 判りますか?
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今日の山頂にて.‥さぁ、帰ろう(^^)/
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至るところで落雪…直撃すると大変なことになりそう…
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やはりやってしまいました…トリプルダイブ
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綺麗なトレースから見上げた空
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いつものは 和洋折衷で頂きました

陽気に誘われて…ホーム鈴鹿でスノーハイク

2月4日 三重県藤原岳天狗岩
ホームと言いながらも、すっかりご無沙汰の鈴鹿。北部では先月のドカ雪がまだ楽しめそうなので、スノーシューを背負って、花の名山「藤原岳」は大貝戸登山口に向かいました。
登山口に雪はなくとも、中腹辺りから雪を楽しめるのが「鈴鹿の冬」。今日も4合目を過ぎたあたりから雪景色となりました。冬枯れの道は太陽が隅々まで照らし、暖かいを通り越して暑いぐらいです ^^;それでもチェーンスパイクを装着していると、スウーっと冷えを感じるのはやはり2月ですね。時折、ショートカットをしながら高度を稼ぎ、8合目の広場に到着。ここで杉林から自然林になりますが、ここから藤原山荘(避難小屋)直前までが急坂の続く、本ルート核心部。ここまで頑張りすぎると、せっかくの景色を楽しめなくなるのでご注意を…(^^)
山荘手前でスノーシューに履き替え、頂上ルートから離れます。目指す「天狗岩」は藤原岳から北西に延びる稜線上に突き出た断崖絶壁のビューポイント。そこまではカルスト台地の頂稜雪原を思い思いのトレースを引いて楽しむ、正に、スノーシューハイクの王道です。深いところでは40㎝ほど沈み込みますが、先週の上高地とは真逆のお気楽ハイク。時折、駆け出したくなる気分です。(下りでは走ったりしますが…)
遠くに、御嶽、乗鞍岳などの北アルプスから中央、南アルプスに白山。近くは、伊吹山に霊仙山の両横綱から主峰御在所岳。後ろは陽光煌めく伊勢湾。足元を見つめれば、兎や鹿の足跡が「お先に!」と言っているようです。
ここで単独行の男性と挨拶を交わすと、去年も鹿皮を付けたグループを鈴鹿で見かけたとのこと。何と、2月に山友と登った釈迦ヶ岳ですれ違った方でした。
天狗岩では当初登る予定だった竜ヶ岳から続く遠足尾根や伊勢湾を背景に綺麗な三角錐藤原岳。頂上展望台と較べて訪れる人も少なく、我ながらナイスな山行計画でした。
藤原山荘までの帰り道。往きとは違う新たなトレースを引き、素晴らしき木々の影絵と出会い、8合目への急坂では波乗り気分で急降下。最後までスノーシューの醍醐味を堪能した山行でした。
下山後は、地元産の果物でいつもの…(笑)

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朝陽に照らされる藤原岳…いい一日の予感
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中腹を過ぎれば このボリューム
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8合目の急坂に向かいます
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冬枯れの林に明暗が浮かびます
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9合目の林を楽しむには 心と体力に余裕を…
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さて 自分の道を作りますか
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頂上展望台へは ハイウェイが開通しています
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こちらは 計画中のようです…(笑)
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風の道は 雪面に表情を与えます
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伊吹山…大勢の方が歓声を上げていることでしょう
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養老山地、岐阜市内越しに北アルプス
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この景色に出会えて「ありがとう(^^)/」
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静かな息遣いが 足跡から伝わります
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久々に バンビーズ登場(笑)
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来年こそは 遠足尾根から竜ヶ岳へ
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名残霧氷…
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素晴らしい光景があれば ピークは無用
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このトレースも すぐに元通りになるでしょう
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I LOVE スノーシュー
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下ってきた林を振り返ります
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午後の陽射しは 銀嶺をさらに浮かび上がらせます
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「白山」は名前のとおり 純白の山嶺
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楽しさを体で表現してみました ^^;
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そろそろお別れの時間です
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ここでも目に眩しい輝きでした

冬・静寂の上高地...テントライフ

1/28~29 長野県徳沢
2泊3日の予定で横尾から蝶ヶ岳を目指そうと入山しましたが、雪深く横尾まで辿り着けずに徳沢で幕営をし下山。束の間の陽気から厳冬期へと戻ろうとする2日間でした。

1月28日
冬の上高地は3年振り3度目。相性が良いのかいつも晴天に恵まれています。朝の気温は-4℃。この時期の上高地としては、春先の陽気と言っても過言ではないでしょう。昨年開通した上高地トンネルのお陰で125mほど短縮。距離よりも雪崩ゾーンを回避できるのが助かります。吊尾根が見えたところで、今回のニューアイテム「ソリ」の登場。ここから目的地の横尾までは標高差100m、約15kmの水平移動なので、30kg超えザックの運搬手段として取り入れました。
大正池ホテルから先の車道は一人分の踏み跡のみ。トレースとして利用するには寂し過ぎました。帝国ホテル前でスノーシューを履き、誰も居ないバスターミナル前を横切って河童橋へ到着。小梨平を少し入ると踏み跡はなくなり、一瞬、心が折れそうになりますが、青空に勇気を与えてもらい、真綿の世界へ踏み込みました。
真っ白な林床に落とす樹々の影。青空を衝く明神岳。聞こえてくるのは自分たちの息遣いと雪を踏む音。しばらく歩くと明神からの登山者。お互いのトレースをお礼と共に交換しました。そして、明神。再び、トレースはなくなり、これはゴール横尾まで続くことを意味します。ここからも明るい冬の林から覗く明神岳前穂高岳の白き岩峰。梓川沿いを染めるケショウヤナギの美しさに助けられ、一歩一歩トレースをつなげます。深い所ではスノーシューが膝下まで沈む時もあり、夏道であれば1時間もかからない明神・徳沢間も今日は倍近くかかります。この調子で進めば横尾到着は4時近くになるため、徳沢泊に変更すると共に、蝶ヶ岳登山は断念しました。
緑がまぶしい徳沢のテント場は立ち入るのが申し訳ないほどの清らかさ。6月、ニリンソウの花が白く染める森の奥からは童話の主人公たちの囁きが聞こえてきそうです。前穂北尾根が眺められる場所で幕営。荷物を整理した後は、水作りタイム。45リットルの袋に詰めた雪からは6リットルの水が出来ました。
夕食後、ようやく一息ついて天気をチェックすると、30日は雨混じりの雪となり、午後からは急速に気温低下の予報。冬の雨は致命傷になりかねないので、即、29日下山を決定。無理をせずに徳沢泊としたことが功を奏しました。

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全てはここから始まります
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朝靄の立つ大正池
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車道から木々の合間に焼岳
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バスターミナルの駐車場も一面銀世界
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力強い梓川の流れ
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吊尾根と対峙する焼岳は男前
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ソリのトレースは3本ライン
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明神岳穂高岳にない孤高を感じます
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ここから先は 私達の道
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冬の風物詩 ケショウヤナギの並木が雪に映える
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また撮ってしまう(笑) エッジの曲線美
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さて 貴方ならどう引きますか?
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明神・徳沢の中間点「古池」
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河原沿いに出ると 徳沢まであと僅か
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貸切の徳沢テントサイト
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トイレまでのトレースから前穂高岳
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今日のトレースは 一歩の重みが違いました
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斜光に照らされる 神々の頂
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夜の帳が 徳沢に訪れる
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星の明かりが見守る マイハウス

1月30日
静かな一夜が明け、テントから顔を覗かせると、そこだけ時間が止まったような前穂高北尾根。やがて東の空が赤く染まり、その光は岩峰に命を灯します。その最も高い頂には一筋の雪煙。その稜線の世界を思えば、まさしくここは「徳沢天国」。朝食の用意をしていると一人の登山者がテントの前を通過していきました。長塀山の方に踏み跡は続いていましたので、蝶ヶ岳を目指されたのだと思います。無事下山を願う限りです。
やがて朝陽は上高地側から射し込んできます。日陰にあったマイハウスにも潮が満ちていく感じで陽が当たり始めました。「生きていること」を感じる冬の朝です。
暖かい陽射しを受けながら片付けをします。当初の目的は達せませんが、充足感に溢れた撤収です。梓川の畔に出て大天井岳方面を見るとレンズ雲。荒天の兆しにこの判断は正解だったと確信しました。昨日、我々が引いたトレースは森の中に綺麗な道筋を引いていました。そして、同じ行程とは思えないほど、快適に進むことができます。以前にも書いたことがありますが、雪道のトレースは高速道路。それを最初に引いた方の努力と感謝の気持ちは忘れないで欲しいと思います。
夏道と同じコースタイムで明神に到着。徳沢を出発した際には青空だった空もその半分を雲が覆い始めてきました。そして河童橋に着く頃には、山稜と空が一体化。予報通りの高曇りとなっていました。
河童橋の畔では10数人のスノーハイカー達。それでも夏の喧騒が嘘のような静けさです。温かい紅茶を飲み、河童橋を出発。車道を歩いていくと、そこにも一本のライン。我々が引いた道だと思うと何か嬉しくなってきます。
昨日とは打って変わった大正池穂高連峰。どちらの景色も厳冬期であり、優劣をつけることは出来ません。明日はきっと更に厳しい表情を見せるのだろうと思いながら、現実への境界線、釜トンネルへ入りました。
下山後は、春の香りを気持ちに込めていつもの・・・(笑)

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贅沢な 朝のひととき
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黄金色に目覚める峰々
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雪煙は…神の息吹なのか
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地上の煙は…生活の匂い(笑)
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目に痛いほどの 銀世界
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小屋へと続く 新しい踏み跡
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徳沢テントサイトを二分する踏み跡
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大天井岳上空にレンズ雲…
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白一面の梓川畔と霞沢岳
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大きく両手を広げている明神岳から前穂北尾根
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一往復するだけで 見事なトレースが出来上がり
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兎のトレースとの交差点
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明神岳の背後に迫る白い雲
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紅一点.‥ひとりぼっちの河童橋
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眺めるは 男前の焼岳
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振り返れば 色をなくした 上高地
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大正池の畔から見る焼岳が大好き
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まもなく吊尾根もその姿を隠すことでしょう
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穂高よ さらば~」と口ずさみます
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無事の下山を祝って 安曇野にて…