Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

夢叶う... Eigerとともに

6月28日~29日Grindelwald, Bern , Schweiz:Männlichen
天候に確信を持てないまま、1泊2日で隣国に向かいます。

6月28日
日本出国前、旅行の打ち合わせをする中で、候補に上がっていたスイス。友人の負担を考え、必ず行きたいとは言えない中で、友人が強く計画を進めてくれたのは、自分の顔に出ていたからかも知れません。しかし、計画を立てた週は、これまでと違って天候が不安定。その中でも、可能性のある2日間に賭けて、スイスはGrindelwaldに向かいました。
出発前、友人が利用したことのあるホテルに問い合わせをしましたが、要領を得ない部分があり、またGrindelwaldの予約率は90%を超えていることから、ホテル代金が高額になる可能性が出て来ました。そこで、26日まで天候の様子を見る事とし、29日の午前中は晴れ予報となったことから、40kmほど離れるもののHofstettenにある宿を予約しました。
友人宅からGrindelwaldまでは400km、約5時間。途中、オーストリアを通過し、スイスへ入国します。スイスはEU加盟国でないため、国境のゲートはありましたが、往復ともにパスポートチェックはありませんでした。
今回、スイス旅行で友人に伝えた希望は、・Eiger(アイガー)を見たいこと ・M社で買い物をしたいことの2点。その希望に加えて、友人は軽登山の計画を組み入れようとしてくれます。
自宅を出発する時に降っていた雨もスイス国内では高曇り。今回も変化に富んだ岩稜を車窓から眺め、そして、数多くの湖と滝を見ることが出来ました。まずはホテルに向かい、荷物を預けます。玄関横のプランターにエーデルワイスが植わっていたのは、さすがスイスです。
Grindelwald到着は12時。中心部の駐車場は満車のため、私達を降ろした友人は別の駐車場へと向かいました。ここに着く前、反対側の窓から初めて見たEiger 3,970m。そして、車を降りた場所からもその切り立った岩壁が視界を釘付けにします。
Grindelwald駅前からDorfstrasse (ドルフ通り)へ。バス乗り場を通り過ぎると正面にはEIGER+と書かれた円形の建物とMättenberg(メッテンベルク)3,104m。そして、その建物の左奥に日本で見慣れたお店の看板が見えています。
このM社グリンデルヴァルト店との関わりは10年前に遡ります。M社が主催し、大阪で開かれた「グリンデルヴァルトのゆうべ」。村長や観光局長のお話やチーズ、ワインの試飲。また、抽選会では4っ星ホテルの宿泊券が当たりましたが、到底行くことが出来ず、今回同伴している友人夫婦が利用しました。そして翌年の抽選会、特等(航空券付の別荘利用券)まであと5人に2人が残りましたが、惜しくも落選。他にも、グリンデルヴァルトのグッズをもらったり、会長直々にEiger登攀やこのお店の話を伺いました。そして今、その入口に立てたと思うと感慨深いものがあります。まず、目に入ったのは、元ミッテレギ小屋の扉とただ1枚しか残っていないという会長のEiger北壁登攀写真。Eigerを見た時と同様に、Grindelwaldに来たことを実感しました。購入するのは日本でも各地で販売しているご当地Tシャツ等の限定品。すでに、友人から頂いたTシャツは持っているものの、自分で購入したものは別物です。(ポイントを使用し、円安効果の恩恵を受けました)
友人も合流し、ドルフ通りを教会まで散策。その後は、車で1,228m(Grindelwaldは1,034m)にある駐車場へ移動し、Wetterhorn(ヴェッターホルン)3,692m、Klein Schreckhorn(クライネス シュレックホルン)3,494m の岩峰を見上げました。ここからもEigerは望めますが、北壁だけは雲に隠れて見えません。
夕食後、Brienzersee(ブリエンツ湖)の畔から見た景色や部屋のテラスから眺めた夕陽に染まる峰々は、Hofstettenに宿を取ったことで得られたもの。Grindelwaldだけでないスイスを感じられた初日でした。
昼食後、併設しているケーキ屋でいつもの…。


アルプス三大名花は なんちゃってコンプリートと言うことで…

紆余曲折の GrindelwaldとEiger

まずは 用事を済ませに行きます

来れたことが 未だに信じらない気持ちでした

限定品コーナー…反対側が レディース

自分1人では 来れなかったと思いながら … Eiger

上を目指すには 登山列車、ゴンドラ、人力…

旅行案内所のある建物

工事中の Dorfstrasse(ドルフ通り)を振り返ります

Wetterhorn(ヴェターホルン)3,701m はまだ頂を現しません

Glecksteinhütte SAC(グレックスタイン小屋)2,316m

氷河 Ischmeer(イシュメアー)の横には 幾本もの滝

メインストリート Dorfstrasse から Wetterhorn

工事中のため 歩行者天国になっていました

明日の天気を信じて…

Wetterhorn 3,692m、Mättenberg 3,104m、Kleines Fiescherhorn (クライネス フィッシャーホルン)3,895m、Eiger 3,970m

日本とは形状が違う ラック式

Grindelwald-Grund (グリンデルヴァルト-グルント)にあるWengernalpbahn(ヴェンゲルンアルプ鉄道)の車庫

列車は ここ(Grindelwald-Grund 駅)で スイッチバック(方向転換)

Suldenと同じ色をした Schwarze Lütschine(シュヴァルツェリュッツィーネ)は ライン川から北海へ

Eiger-Nordwand(北壁)は 刻一刻と変化していました

車体に描かれたのは 三大名花 チャボリンドウ

Oberer Grindelwaldgletscher(アッパーグリンデルヴァルト氷河)も後退中…

ここから先は 規制区間です

明日は 今日より いい姿を 魅せてください

ちょっと寄り道…Lauterbrunnen(ラウターブルンネン)にある Staubbachfall(シュタウプバッハの滝)

友人お薦め 本場スイスで チーズフォンデュ

素敵な 湖畔ドライブでした…Brienzersee

Grindelwaldでは 味わえない 景色だと思います…Hotel Alpenrose beim Ballenberg AG

色で決めた スイスのいつもの…(笑)

6月29日
朝、目覚めると同時に窓の外を見ます。夕陽に照らされていたSchwarzhorn(シュヴァルツホルン)2,928mの峰々は、朝陽を浴びて白く輝いています。今日はゴンドラでMännlichen(メンリヘン)まで向かい、そこから近くの頂(Männlichen)を往復。その後は、Grindelwaldへ下山しますが、どのルートを選択するのかは、その場で判断しようということになっています。
昨日と同じGrindelwald-Grundにある駐車場を予約しており、そこからGrindelwald Terminal(ゴンドラ乗り場)までは、歩いて5分程でした。青空を背景に聳え立るEiger。しかし、北壁にその陽射しは届きません。また、昨日は隠れていたWetterhornの頂は、光の霞に包まれながら、その全貌を魅せています。
この駅から出るゴンドラは2本ですが、乗り換えや乗り継ぎを含め、数種類のチケットが販売され、登山者を含む多くの観光客で賑わっていました。購入まで10分ほど待った後、ゴンドラに乗車。空中散歩の始まりです。やがて、前方にはEiger の右隣にMönch(メンヒ)4,107m、そして、アルプス3大名峰Jungfrau(ユングフラウ)4,158m のオーバーラント三山が続きます。途中、HOLENSTEIN駅を経由したゴンドラは、高度を更に上げ、眼下には一面に広がるお花畑と草原。その向こう、Grindelwaldの集落は光のカーテンとなった薄雲に包まれ、WetterhornやMättenbergは蜃気楼のように浮かんで見えます。
20分ほど乗車し、Männlichen 2,222m に到着。駅前には巨大な牛 (笑) と遊戯施設。そして、素敵なホテル。その向こうには、Eigerから続く、3,500m超えの稜線。単純な表現をすれば「思っていたとおりのアルプスの光景」がそこにありました。もはや、浮き足立つ気持ちを抑えきれません。
まずは、駅名と同じ名前のMännlichen(メンリッヘン) 2,343mを目指します。展望台のある頂はここからも見えており、草原の中、弧を描きながら一本の道が続いています。Männlichen Royal Walk と彫られたベンチが所々に置かれており、やがて、眼下に集落が見えてきます。その時、彼がLauterbrunnenと教えてくれました。よく見ると、Staubbachfallも小さく見えています。
歩き始めて30分。全周囲にアルプス展望が広がるMännlichenに登頂。今旅、初めてのピークです。
さて、ここでこれからのルートについて、話し合います。選択肢は、Grindelwaldへ戻るLieselotteweg、
KLEINE SCHEIDEGG(クライネ・シャイデック)に向かうPanoramaweg。KLEINE SCHEIDEGGは観光地であり混雑している可能性があるものの、ここから見る限り、ルート上は人影が少ないことから、まずはPanoramawegに決定。もし、人が多ければ、途中で分かれるRomantikwegから下山することになりました。Männlichen駅に戻り、ここから先、Eiger、Mönch、Jungfrau、そして、前衛峰 Tschuggen(チュッゲン)2,520mに向かって歩きます。道はTschuggenの南側、緩やかに下っているのが遠くに見えますが、しばらくは3名峰を正面にした、正しく、パノラマルートを楽しみます。歩き始めて40分、KLEINE SCHEIDEGGのホテルが見えました。しかし、ここから道は大きくカーブし、深い谷間へと迂回します。こんなことが数回続いた40分後、もうひとつの登山ターミナル KLEINE SCHEIDEGG 2,061mに到着です。
ここは自分にとって特別な場所。と言うのも、10年以上も前から夢で何度も訪ねている駅。はっきりここだと断言出来ませんが、状況はほぼ一致。いつも、線路上から駅舎を見て終わるだけの短い記憶ですが、正に、夢が叶った瞬間です。そして、その背中には、Eiger。これほどまでの幸福感を、山で味わったことはありません。
時刻は13時。前日の予報では、そろそろ崩れる頃。まだ青空は広がっているものの、北壁だけは目まぐるしく変化しています。13時15分 名残りは尽きませんが、KLEINE SCHEIDEGGを後にします。と言っても、Grindelwaldはまだ遠く、ここから先もEigerと共に歩く道。今度はMönch、Jungfrauの代わりに、WetterhornとMättenbergが前方に続きます。Eiger Trail(アイガートレイル)と言われるルートは、300m程上の道。ただし、起点となるAlpiglen(アルピグレン)はこのルートでも通ります。Tarilは間近に北壁を感じられるでしょうが、Eigerを望む点から言えば、少し離れたこのルートが適しているように思いました。Eigerにかかる雲が増え、全体的にも雲が目立つようになってきました。そろそろ、天候の下り坂。しかし、まだ道は下り坂とならず、緩やかな道が続きます。歩き始めて約1時間でAlpiglen 1,615mに到着。この頃には、Wetterhornにも雲がかかり、Eigerにかかる雲は黒くなり始め、すでに雨か雪が降っているかもしれません。雨具は持っているものの、出来れば使いたくないため、歩く速度が少し速まります。やがて、遠くに雷鳴、肌に冷たい風。いよいよ夕立がそこまで近付いてきました。午後3時前、牧草地の向こうにGrindelwaldの集落が見え、終盤の下り坂が始まりました。ただし、道は曲がりくねり、近付きそうでそうはならない駐車場。いよいよ雨の気配を感じた時、Schwarze Lütschine沿いとなり、雨脚の勢いが増してきたまさにその時、駐車場に到着。その後、山は雲に包まれ、地面を叩きつける激しい雨。本当に間一髪です。もし、KLEINE SCHEIDEGGで「いつもの…」をしていたらと考えると到底笑ってはおれません。
16時 昼食と夕食を兼ねた食事を済ませ、17時にGrindelwaldを出発。雨に濡れた車窓からのEigerが見納めでした。午後10時半に帰宅のため、いつものはなし。代わりに、Warstener BREWERS GOLD で乾杯。


これ以上ない Grindelwaldの朝

一気に Eigergletscher 2,320m まで... Eiger Express

ターミナルで映されていた 案内表示

Männlichen までは 片道 CHF 32.-... Männlichenbahn

ゴンドラから Mönch と Tschuggen

ゴンドラを降りれば この展望 ... Männlichen

The Royal View を目指して 出発

Sulden とは 比較できない この展望

こうした 案内表示が所々にありました

王冠の展望台(The Royal View)が待つ Royal Walk

Männlichen 2,343m から 振り返ります

Wengen の下に Lauterbrunnen そして Drättehorn(ドレッテホルン) 2,793m

Jungfrau からの BernerAlps

まさに 気高き道 Royal Walk

KLEINE SCHEIDEGGに向けて... Panoramaweg

Männlichen から Wetterhorn、Mättenberg まで

距離はあっても 感覚としては これぐらいの大きさ

Alpenrose の赤が 緑に映えました

どこまでも歩きたくなる世界

登山鉄道にAiger Express そして Jungfraujoch Sphinx展望台

今日という日は 一生の思い出

標高 3,591m Top of Europe... Jungfraujoch Sphinx展望台

何気ないところに 素敵な景色…KLEINE SCHEIDEGG

Jungfraujoch からの 下り列車

ここで いつも目が覚めます(笑)

KLEINE SCHEIDEGG…様々な人が交差する山のターミナル

Grindelwald発 KLEINE SCHEIDEGG行き

自転車用のコースで Grindelwaldに戻ります

アイガー北壁の記録…6番目に 1969 Japanerroute とあります

午後2時 Eiger は その姿を隠そうとしています

登山列車が Eigerの下を 通り過ぎていきました

午後3時10分 2時間前の姿は もうありません

「雨よ もう少し 待ってて頂戴」と願いながら…

レストランのランチョンマットは 地図になっています

最後は再び 姿を現した Eiger…感謝の2日間でした