Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

最後の山散歩は…高山湖

7月7日 Ehrwald, Tirol, Österreich:Seebebsee
車で国境を通過するのは、今日で最後と思いながら、駐車場に向かいます。

ドイツ入国39日目。いよいよ来週は本当の出国日。一昨日、Kroatienから戻りましたが、彼の休暇中に最後の山散歩を計画してもらい、オーストリアはチロル州MiemingerKette(ミーミング山脈)のCoburger Hütte(コーブルガー・ヒュッテ)1,920mに向かうこととしました。
小屋の近くには、Drachensee(ドラッヘン湖)、途中には高山湖のSeebensee(ゼーベン湖)があり、ドイツ最高峰 Zugspitze(ツークシュピッツェ山)2,962mも望めます。
オーストリアに入国するのは4回目。国境と言っても、日本で言う県境のようなものなので、気付けばオーストリアだと言うこともあります。起点となるEhrwald(エールヴァルト)へは約100km 1時間半ほど。混雑を避けるため、早朝に出発するのは、いつものことでした。途中、Zugspitzeが連なるヴェッターシュタイン山地や槍の穂先をそのまま成長させたような岩峰を車窓から望み、標高1,050m程に広がる目的の駐車場に到着。ここからEhrwalder Almbahn(ゴンドラ)を利用すれば、標高1,500m Ehrwalder Almまで上ることは出来ますが、今日は往復人力です。
まず目に引くのは、巨大な岩塊とも言えるZugspitze山塊。その頂上は東側にあるため、ここからは見えませんが、森の中、突如として現れたような山容は「塊」そのものです。「CG合成じゃないの?」と思える景色は、世界に多くあるのでしょう。
天使の梯子が掛けられた森の一本道をゆっくりと歩き始めます。大型車両が時々通る林道を歩くこと1時間。森を抜け、待望の視界が広がります。左側にZugspitze、前方から右側へは、Hole Munde(ホーエ・ムンデ)2,662mからSonnenspitze(ゾンネンシュピッツェ)2,416mまで続く岩稜線。標高が低いこともあって、雪は解け、険しい岩稜が朝陽の陰影でより一層際立って見えます。SuldenやGrindelwald、過去に行ったDolomitenとも異なる展望。そしてここから、息をのむ景色の連続です。
冬にはスキー場となる草原。今は高山植物が咲き、放牧された牛が寝そべっています。長閑な景色の向こうに広がる荒々しい世界。ここでも特別だと思える景色が日常風景になっています。
Ehrwalder Almを過ぎると道は大きく右へと弧を描き、再び、森へと入ります。これまで歩いた道がそうであるように、時々、案内表示は立っていますが、時間表示は殆どありません。ただ次々と変化する景色に、時間という概念は存在しません。幅の広い、よく整備された道を進みますが、これは自転車用で歩行者用は別にあると教えてくれました。車窓から見た「成長した槍の穂先」を正面に捉え、徐々に近付いていきます。森を抜けると、Seebenalm(ゼーベンアム)の建物が見えてきました。ここで、登山道と合流するため、登山者の数が一気に増えます。背後には美しいZugspitzeの姿。前方はSonnenspitzeの岩峰。右側は柔和な稜線を遠くに望み、左側は対照的とも言える岩壁。そしてそれらを覆う青空は、最後の山歩きに相応しい背景となって、写真に色を与えてくれます。
小さな滝が続く小川の横、少しだけ傾斜のついた岩のトラバース道を進んだ先、エメラルドグリーンのグラデーション。Seebensee(ゼーベン湖)1,657mに到着。歩き始めて3時間15分でした。
水面の向こう、Drachenkopf(ドラゴンズヘッド)2,303mを前衛に Grünstein(グリュンシュタイン)2,661mから Schartenkopf(シャルテンコプフ)2,332mの連なりは、この旅、唯一無二の景色であり、日帰りでこの景色が楽しめることにも、この地域の奥深さを感じます。時間的なこともあり、予定していたCoburger Hütteは取りやめ、ここをピークとしました。
往復6時間の山行。標高差は600mですが、それを感じさせない緩やかな登山道が続いていました。また、Ehrwalder Almに戻り、Seebenseeの辺りを見渡せば、歩いた以上の高度感と距離を感じます。
旅行も含め、天気予報を確認して計画していますが、これほど天候に恵まれたのは感謝しかありません。また、奇しくも今回の山行はドイツ、イタリア、スイス、オーストリアと分かれ、それぞれに個性のある、そしてまた、比較出来ない山行でした。ただ、どこにも共通していたのは「頂上を目指していないこと」。これは、今後の私達にとって、大切な課題です。また、彼曰く「次はいつ来るのか」の問いも、ひとつの課題です。
山行は最後でも、 まだまだ続くいつもの…(笑)


朝陽の森から スタートです

刻一刻と 迫る 岩稜線

前方から右後方まで このパノラマ

そして 左後方へは この展望

ゲレンデのある Grubigstein(グルービッヒシュタイン)2,230mとその後方 Gartner Wand(ガートナーワンド)2,377m

横たわる迫力は 共々… Zugspitze と ハイランド牛

ツイン 槍の穂先 … こんな光景が よくある世界

右下がり から 右上がり へと変化する地層

至るところにある 巨大な 蟻塚

公園のお散歩ですか? (笑)

小屋(Seebenalm)が 見えてきました

Seebenalm 標高1,575m のオアシスです

Seebenalm を振り返れば …

ここで 自転車道(右)から歩行者道(左)へ

景色に目を奪われ 唯一の核心部

徐々に見えてくる期待が 最高潮の瞬間

Grünstein(グリュンシュタイン)2,661m から Sonnenspitze(ゾンネンシュピッツェ)2,416m

「こんな景色は スイス だけじゃないんや」が 正直な感想 (笑)

少し歩いて…

今回の山旅4ケ国 共通項は「牛」でした

「モー 最高!」…シツレイシマシタ

Seebensee から 始まる 新しい 命

時間があれば あのベンチで…

日本で言う 涸沢 みたいな もんですね

帰り道…下の道は 往路の自転車道

「あそこまで 歩いたのか」は 帰りの弁… Ehrwalder Alm

Seebensee の 小川から Seebenbachfall(ゼーベンバッハ滝)

Ehrwalder Almbahn にあった 幟

帰り道 その1…中央の△が Sonnenspitze

帰り道 その2… 何とか撮影成功

これぞ ドイツのケーキ で いつもの…(笑)