Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

八ケ岳東稜…ウルップソウを訪ねて

7月2日 長野県横岳(三叉峰)
ウルップソウ…本州では白馬岳、雪倉岳、硫黄岳(八ヶ岳)とここ横岳にのみ咲く紫色の花。花のガイド本を手にし、まずはその名前に惹かれ、次は、目立つ姿とその色。初めて出逢ったのは、開花時期が終わった8月上旬の白馬岳。雪田の縁に一株だけ咲いていました。ウルップソウより少し早く咲くツクモグサも白馬岳と横岳周辺のみ生育しており、どちらかと言うと、こちらの方が人気者。夏の花便りが聞こえ始めた八ヶ岳。大好きな杣添尾根で逢いに行きました。

先週、このブログで紹介された杣添尾根。曇り空の今日、6時過ぎに登山口に着いた時は3台の先客。雨雲レーダーで天候を確認しながら車中停滞をし、6時45分に出発しました。山麓の雑木林を進むと、時折、強風が駆け降ります。雲に隠れた稜線に不安を感じながらも「雨さえ降らねば…」と静かな八ヶ岳の森を登り始めます。苔たちは生き生きとし、ひと周りも大きくなった感じ。シラビソの森を歩いていると突然、甘い香りが漂い、また、我々の足音を打ち消すほどの囀りが森に響き渡ります。天からの潤いか森の潤いか…八ヶ岳東稜はこんな日が丁度いい。
冬道の分岐点から始まるダケカンバのトラバース道。山頂直下にあるハイマツの海へと続く並木道。残雪で遅れたバイケイソウとダケカンバの新芽が季節を春へと巻き戻します。冬道に合流するとハイマツの海。麓の町が明るく見えるのは、半年前、凍てつく寒さの中登った時と同じ。違うのは、今日は稜線まで登ること…。
三叉峰…雲と風が通りすぎる三叉路。今日は長袖を一枚羽織っても肌寒い、花冷えの日です^^; 展望は先週投稿した方にお任せし(笑)、今日の目的、夏花と対話をします。南八ヶ岳の岩稜帯を覆い隠す花の絨毯は、展望がなくても遜色はありません。
季節を感じる出来事は人それぞれお持ちでしょうが、僕にとって山に咲く花は、四季折々を感じることができる大切な存在。そんな夏の扉を開いてくれる門番が「ウルップソウ」です。
例え照り付ける陽射しがなくても、風が強くて長袖を羽織っても、今日が僕にとって「2017年の夏山開き」。
下山後は、いつものお店でいつもの…あぁ、八ヶ岳…(笑)

追記)杣添尾根の登山口に入ってすぐ木橋を渡ったところに、手摺の付いた金属製の階段があります。上から3段目の踏み板は片流れになっており、しかも、谷側へ傾いています。下山時(特に、雨に濡れた時)は手摺をしっかりと持ち、慎重に下りる必要があります。

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厚い雲が東稜を隠します
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冬 真っ赤だったケショウヤナギは 萌黄色
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杣添尾根の玄関口ですね
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足元の苔を楽しむのが 前半の楽しみ
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適度な標識が 静かな山歩きを守ります
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時間が止まったような世界観…ナルコユリ
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「苔の万歳三唱の図」…(笑)
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笠雲が 雪のようです
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冬道の分岐点…背景は 金峰山方面
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八ケ岳のコイワカガミは苔が似合う(^^)
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ダケカンバの並木道から東面
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この日 一番の視界…^^;
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杣添尾根冬ルートを振り返る…今冬こそ
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ハイマツで隠れん坊…キバナシャクナゲ
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これぞ 夏花! ミヤマシオガマ
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岩と共に生きる クモマナズナ
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リーフパイのような葉っぱ チョウノスケソウ
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花の競演が楽しめるのが 南八ケ岳の稜線
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曇り空でも光沢のある白.‥ハクサンイチゲ
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後ろ姿が素敵? ツクモグサ
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力強さと愛嬌を備え持つ ウルップソウが好き
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チョウノスケソウは花弁以外でも魅力的です
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バイケイソウを見ると 大峯奥駈道を思い出します
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八ケ岳東稜グラデーション
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本当は前日に食べたものを載せたかった いつもの…(笑)

車で登る遠征山行…週末2day's

梅雨真っ只中の週末。こんな時は空模様を窺いながらショートコースで登り下り。山頂近くまで車で登って午前中に下山をし、午後からはドライブ観光の週末2day's。

6月24日 岐阜県三方岩岳
白山白川郷ホワイトロード(旧白山スーパー林道)を利用し、三方岩岳登山口へ。ここから山頂まで片道1時間ほどで登れます。今年開通40周年を迎えたホワイトロードは石川県白山市岐阜県白川村を結ぶ全長33.3㎞の有料道路。今回は世界遺産白川郷」からの片道利用で山行とドライブを楽しみました。
三方岩岳は飛騨岩(岐阜県側)、越中岩(富山県側)、加賀岩(石川県側)の岩壁が名前の由来になっており、ホワイトロードから見上げる山容も特徴のあるものでした。しかし、登山道に危険な箇所はなく、足元には「ゴゼンタチバナ」「ミツバオウレン」「マイヅルソウ」、見上げれば「タムシバ」「ナナカマド」の白い花が、駐車場からのホワイトロードを引き継ぎます。笈ヶ岳~大門山の特徴ある稜線を背に登ること一汗、石川県側の展望が開けた途端に本日のお目当て「白山」がやや霞み調に望めました。更に、緩やかに登ること一汗。少し開けた山頂に到着。全体に霞んでいるため、遠望はありませんが、先ほどの山に加え、籾糠山、猿ヶ馬場山の飛騨高地など全周囲の展望が楽しめました。
心地よい風に火照った身体を冷ました後、次なる課題に向け(笑)、山頂を後にしました。
下山後は、素敵なBGMとともに いつもの…(笑)

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ホワイトロードから見上げる三方岩岳
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駐車場脇に一輪 ハクサンチドリ
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夏の陽射しが似合う オオカメノキ
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ハート型の葉が可愛い マイヅルソウ
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定番中の定番 ゴゼンタチバナ
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ホワイティ三種(^^) マイヅルソウ・ゴゼンタチバナ・ツマトリソウ
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オシベが花火のような ツマトリソウ
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力強い木が 陽射しを和らげます
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清涼感が溢れるタムシバの白さ
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振り返ると 笈ヶ岳~大門山の稜線
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コイワカガミも最盛期を迎えていました
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これぞ鈴なり サラサドウダン
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山頂から ホワイトロードを眼下に…
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白山は やはり白かった
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これからが楽しみ マイヅルソウ
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落差86m…ふくべ大滝…ホワイトロードより
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日本の滝百選に選ばれた「姥ヶ滝」…ホワイトロードより
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世界遺産白川郷」…城跡展望台より
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飛騨りんごがずっしりのいつもの…美味(笑)

6月25日 富山県白木峰
標高1,596mでありながら、複雑な気象条件が影響し、草原のような山稜に池塘や湿原植物が広がる桃源郷…それが「白木峰」。10㎞ほどの林道を抜けた8合目登山口から山頂までは1時間程度。そこからは整備された木道を楽しみます。
移動性低気圧の通過と山行時刻を合わせて、霧雨状態の登山口を出発。山頂直下までは樹林帯のため、ミストの森を歩くようです。しかし、明け方までの雨で地面は濡れており、特に木の根や踏み石には注意が必要でした。今日も足元にはミツガシワやマイヅルソウが小さく揺れ、タニウツギのピンクがミストの森に一際光っていました。
樹林帯を抜けたところで雨も上がり、雫に頭を垂れたニッコウキスゲが数輪、出迎えてくれます。稜線から山頂までは数分。周囲は真っ白なベールに包まれていますが、日本海から能登半島が描かれた山頂案内板は、ここが富山県であることを示していました。
山頂から小屋の分岐点まで下ると、池塘を巡る木道の始まり。緩やかにアップダウンを繰り返しながら、湿原の一本道を進みます。ニッコウキスゲが満開になった時を想像し、薄紫色したギボウシの群生に日本庭園を感じ、透き通るような白いユキザサの花に目を奪われる。笹薮に覆われたこの稜線に木道を整備された先人に感謝をしながら先へ進むと、本日のお目当て「ワタスゲ」の登場。ミルキーウェイの世界に揺れる白い穂は、幻想的であり、童話の舞台に紛れ込んだ感じです。この天気だからこその景色がここにはありました。まさに「一期一会」です。
木道の終着点「浮島の池」。時折、自然界の創造主は見事な作品を私たちに披露してくれます。しばらくの時間、私たちだけでこの桃源郷を楽しめたのは、今回の遠征で最も印象に残る時間でした。次回は展望を楽しめる天候に訪れ、この素晴らしい日を、思い出したいと思います。
下山後は、雨に濡れる越中八尾を訪ね、本日最初の珈琲と一緒にいつもの…(笑)

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最初の15分は 急登が続きます
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アカモノの葉が 雨に光っています
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少し寒そうな ウラジオヨウラク
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梅雨らしい色合い…ギボウシ
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色の濃淡が楽しめました タニウツギ
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山頂へ続く木道は 不思議の国への道か?
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この花が満開になると夏ですね ニッコウキスゲ
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白木峰は ここにあります
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池塘への玄関口
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丸まった葉が特徴の イワイチョウ
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雨に濡れ いつもより下向き加減の コイワカガミ
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名前の通りの花穂 ワタスゲ
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ミルキーな世界だからこそ 映えます
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白いベールが取れた日に 再訪を誓う…
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池塘とワタスゲとミルキーウェイ…梅雨の絶景トライアングル(笑)
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今日のニッコウキスゲは まだ脇役です
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アザミ…これも咲くと夏ですね
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ユキザサの花は 白い線香花火のようです
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唯一花芽が出ていました コバイケイソウ
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浮島の池…素晴らしいの一言
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池の周りに咲くワタズゲは 天使のようです
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今日の出会いに感謝
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今年のお初 チングルマ
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雨が降らねば 梅雨の山行も 良いものです
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遠征終了間際にしてようやくいつもの…(笑)

梅雨の晴れ間…紅美人を訪ねて

6月9日 奈良県学能堂山
先週梅雨入りをした関西地方。自宅近くの山で「ベニバナヤマシャクヤク」が見頃を迎えていることを知り、奈良県側から入山。
「学能堂山」は三重県奈良県の県境にある山で三重県では「岳の洞山」と書きます。かつて山頂付近に学問の神様・文殊菩薩を祀られていたのが山名の由来らしく、登山道では「学能堂」と案内されていました。
登山口は霧氷で有名な三峰山登山口の手前、自宅から40分程で到着。しばらく林道でウォーミングアップした後、植林地の登山道を進みます。倒木の多い沢筋はまるで障害物レースのようですが、次第に急登へと変わります。三峰山北尾根と合流する「コスマ峠」から山頂まで「白土山」「東俣山」の2つのピークを越える縦走路となり、「学能堂山」を含め、これらピークは地形図に記載がない、言わば、無名山(笑)
木漏れ日が照らす登山道は思ったより蒸し暑くなく、急登も汗をかくことなく登りきれます。なだらか山頂へ続く最後の急登も、半ばを過ぎると視界を遮るものがなくなり、全周囲の展望。そんな中、挨拶代わりに一輪のベニバナヤマシャクヤクが出迎えてくれました。
山頂手前の東側斜面に見頃を迎えたベニバナヤマシャクヤクが広がっており、緑の中からすっと立ち上がり、風に揺れるその姿は正しく「紅美人」。
山頂ではおらが山の「尼ヶ岳」や室生火山群の名峰たち、ピラミダルな高見山に三峰山から局ヶ岳へと続く縦走路。県境尾根に相応しく、三重県奈良県の山々が一望です。霞みがかかっていたものの、思わぬ山頂からの展望を楽しみながら一杯の時間。自宅を出て2時間半で味わえる至福の場所となりました。
山は名前ではなく、ピークでもなく、高さでもない。「山に登らせてもらっている幸せ」をあらためて感じた山行でした。
下山後は、いったん自宅に戻ってリセットしてから、いつもの…(笑)

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ヤマボウシが初夏の光を照らします
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清涼感たっぷり…ウツギの白い花
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林道の終点 ここから登山道へ
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林床の葉が 鏡のように光ります
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新緑の季節から梅雨の晴れ間へ…三峰山
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展望地から望む 学能堂山
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最後の一咲でした モチツヅジ
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木陰に一咲 レンゲツツジ
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最後の登りを振り返れば…
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ベニバナヤマシャクヤクとは初めまして…
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咲く間際の姿も 愛らしい
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立てば芍薬とは このことか…
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花脈が美しく浮かび上がっていました
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もう少し 花を楽しめそうです
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関西のマッターホルン 霧氷で有名な「高見山
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伊勢の名峰「局ヶ岳」は南伊勢の槍ヶ岳
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おらが山「尼ヶ岳」と大洞山(左)
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山名が異なるのは 地元の方に愛されている証
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西側に広がる 山のグラデーション
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室生火山群からおらが山…中央は自宅方面
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美しき木漏れ日の道
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林床に浮かぶ フタリシズカ
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フタリシズカに呼ばれて出会えました…エビネ
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ヒメシャラのベンチは 一人掛け(^^)
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初物のチェリーで いつもの…(笑)

バンビー4の週末山行

6月3日 奈良県若草山
バンビー4…お揃いの鹿の尻皮を持つ山友のチーム名 (笑) 山行と呼べるものではないけれど…。ここはケーキレポの場ではないけれど…。「山友」と過ごした週末レポ(^^)

奈良公園の東、新春の夜空を焦がす山焼きが有名な若草山。標高342m、その山容から別名「三笠山」とも言います。ルートは南・北登山道、ドライブウェイ駐車場、春日山遊歩道の4ルート。今日は北側登山道から入山し、登頂後は南側登山道を利用する一部周回ルート。南北登山道のルート上には三笠山の名前のとおり、一重目、二重目、三重目と案内があり、最も標高が高いのは鶯塚古墳となっています。
夏を思わせる陽射しも木陰に入るとひんやりとした天然クーラー。茶屋が建つ一重目から奈良市内や金剛葛城、生駒の峰々が広がり、その後は芝生の斜面を直登気味に進みます。振り返れば、興福寺五重ノ塔や東大寺大仏殿など古都を代表する建造物がジオラマのように見える贅沢な展望。そして時折、鹿が草を啄ばむ姿はいかにも奈良らしい光景です。
山頂では道中で買った奈良名物「柿の葉すし」を鹿に見つからないように食べ(笑)、次の目的へと山頂を後にしました。
若草山は登る対象ではなく、いつも見ているだけでしたが、気候の良い時季には、奈良散策コースとしてお勧めできる素敵な場所でした。下山後は春日大社を参拝し、自宅で夕食。弾む会話は深夜まで続きます。翌日は琵琶湖湖西地域でいつものを中心に散策ドライブ…(笑)

追記)本当は比良山系でテント泊をする計画が いつの間にか…(大笑)

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人気店は モーニングケーキがお勧め
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奈良観光に この餅は外せません
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緑の芝が東大寺まで続きそう
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若草山…北側登山道はこの階段から始まります
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南北登山道の分岐点 一重目
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興福寺の五重ノ塔を見ると 結構 歩いたなぁと思えます
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次の目標 二重目の稜線を望みます
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ゲレンデを直登する感じで 二重目へ…
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東大寺大仏殿の向こうには 平城京跡が広がります
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二重目からの展望が良かったかなぁ…個人の意見です(笑)
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大仏殿と鹿…奈良を代表するツーショット(^^)
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山頂直下から二重目…この稜線までが東大寺の境内
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旧東京タワーの先端から眺めている感じですね
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古墳の上に立つのは 申し訳なく思いました
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どの魚が お好みですか?
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春日山原始林…緑のグラテーションが素敵でした
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これぞ バンビー4.‥(笑)
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一重目までは 南ルートの方が近いと感じました
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テントで過ごす夜も良いけれど 自宅は落ち着きますね
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下山後のいつものは…夜食気味(笑)
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2日目も モーニングケーキから…
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バナナがメインのケーキですが 一言では語れない
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八幡カステラは 口の中で溶けてしまいます
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バウムクーヘンが有名なお店…ショコラクーヘンは ここだけ(^^)v

新緑の木漏れ日…山芍薬を訪ねる

5月21日 奈良県笙の窟

先週の伊吹山北尾根に続く「山芍薬山行」。今回は奈良県大峯山系を訪ねました。
登山口は国道から分岐した林道の脇。ここから「水簾の滝」がある和佐又山~大普賢岳~七曜岳周回ルートまで、破線ルートになります。
合流地点までは水太谷と呼ばれる美しい沢筋を緩やかに登り始めます。このルートを訪ねる人は少なく、沢の音と鳥の囀りが新緑の林に響き渡ります。破線ルートのため、案内はなく、ビニール紐が目印となっています。また、周回の一般ルートでも、ざれた細いトラバース道や鎖、ロープを使った岩場等、入山される場合は準備と注意が必要です。一旦離れた沢の音が大きくなってくると水簾の滝に到着。滝の上部は無双洞と呼ばれる史跡ですが、今回は立ち寄らずに進みます。
植林地を抜けるとそこは新緑の林。その明暗にまずは驚きを覚えます。トラバース道は細く、足元が崩れる箇所もあるため、新緑ばかり眺めていると大怪我をしてしまいます。それでもゆったりと歩ける時には、肺の中が緑色に染まるのではないかと言うほどの新緑を楽しみます。周回ルートの難所、鎖場の急登では石を落とさないよう注意しなければなりません。丁寧な足運びが求められます。残念ながら、山芍薬の群生地は既に花期を過ぎており、来シーズンへの持ち越しとなりました(同日、すぐ隣の和佐又山周辺を訪ねた山友は満開だったようです)
和佐又ヒュッテの分岐点からは再び登りとなり、気温の上昇と共に身体の火照りが増します。いよいよ夏山の足音が聞こえてきた感じですね。
日本岳のコル直下で岩窟群の始まり。折り返し地点の「笙の窟」は大峯修験道の霊地七十五靡(なびき)のひとつ。役行者を始め多くの行者が修行した霊地として有名で、大普賢岳から延びる尾根のひとつ、日本岳の南岩壁に開口する自然岩窟となっています。この他、「指弾窟」「朝日窟」「鷲ノ窟」の岩窟があります。これらの岩窟を眺めていると、先人の山に対する思いを垣間見ることができます。
今回は同じ道を戻るルート。再び、新緑の海を泳ぐように下山を開始しましたが、転倒、滑落、落石には登り以上に注意が必要でした。
破線ルートでは、前回、道迷いをした箇所にビニール紐が張られていました。尾根筋の下り道、直角に曲がる箇所は注意をしていても気付きにくいものです。静かな 山行と引き換えに背負うリスク。再び、肝に銘じました。
下山後は、大峯方面に登ると立ち寄る、和と洋のコラボレーションでいつもの…(笑)






黄色いヒメレンゲが 爽やかに出迎えてくれました

群生していました フタリシズカ…これは蕾です

水辺にも育つのですね…マムシグサ

夏日の今日 清涼感たっぷり「水簾の滝」

ルートから少し逸れて…クマガイソウ

正面から見ると 愛嬌たっぷり(笑)

正面の岩場を新緑に向かって登ります

石を落さないよう 細心の注意が必要です

この花を見ると 船窪小屋を思い出す…ユキザサ

どこまでも続く 新緑の林

木漏れ日の道を 新緑とともに…

眼前に広がる 新緑の海

秋の思い出が 春の芽吹きと 競演

一歩遅かりし…山芍薬の群生地

新緑のサンドイッチ道…(^^)

少し標高を上げると 出逢えました.‥山芍薬

今日の折り返し点 大峰山系ならではの場所

笙の窟は 日本岳南岩壁にあります

熊野から吉野へ続く大峰奥駈道…八経ヶ岳(近畿最高峰)と弥山

クライマーのような花…ヒカゲツツジ

石清水とは このことか…笙の窟

木々の力強さを感じるのも この季節

紅一点に 蝶も立ち寄りますね…ヤマツツジ

前回は完売だった 洋のいつもの…

大峰に登る時は予約する 和のいつもの…

伊吹山北尾根…花街道をゆく

5月14日 滋賀県御座峰
花の山として有名な伊吹山はドライブウェイが山頂直下まで通じていることもあって、花のシーズンを迎えるこれからは、登山者や観光客で賑わいをみせます。そのドライブウェイの途中から北に伸びる1000m級の尾根。通称「北尾根」。お目当ての花を求めて、北尾根の北玄関「国見峠」へと向かいました。

北尾根はドライブウェイの静馬ヶ原、山麓の笹叉、そして滋賀県岐阜県を結ぶ林道の国見峠。と大きく3つの登山口があります。今回は国見峠から御座峰の往復とし、落石が多く見られる林道を通って登山口の駐車場へ。
登山口からしばらくは北尾根の支稜を登ります。傾斜がきつくなり、足元にヒトリシズカやボタンネコノメソウが目立ち始めると、花街道の始まり。あいにく前日の雨が影響して、石や木の根に注意をしながら歩かなければなりません。ロープが張られたトラバース道を過ぎると視界は広がり北尾根主稜となります。そこから本日の折り返し地点「御座峰」まで、国見岳、大禿山と2つのピークを越えていきます。
相変わらず、登山道は転倒注意状態が続きますが、足の踏み場に困るほど小さな草花が更に歩を緩めます。ハクサンハタザオ、イチリンソウ、ニリンソウ、ヤマブキ、イワカガミ…。見たことのない花も数多くありました。ピークを結ぶ鞍部では、北尾根の向こうに伊吹山が望め、雲が湧き立つ景色に夏のアルプス縦走を思い起させます♪
瑞々しい新緑の木々と岩や木の根に生えた深い苔の緑。そして、オモチャ箱をひっくり返したように咲く花々。鶯やシジュウカラの囀りが心地よい風とともに耳をくすぐります。お目当ての花と出逢わないまま御座峰に到着。展望のない山頂ですが、これまで歩いてきた道で展望は十分でした(^^)
同じ道でも往きと帰りで視線は変わります。下り道で気付かなかったことが、登り道で気付くことはままあること。「このあたりかな」と思しき場所で若葉を見つけ、更に、周辺に気を配りながら歩いていると林床に浮かぶような蕾を見つけることが出来ました。これにて、本日の目的達成(^-^)v
その後も花々を愛でながらの山行は続き、あっと言う間に最初のピーク「国見岳」に到着。本日の核心部を慎重にやり過ごし、花街道は終着点となりました。
御座峰からの帰路、数十名の登山者とすれ違い、花街道を守るには、まず、個々の力だと思いました。
下山後は、伊吹山のようなプリンが揺れる いつもの…。

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木漏れ日が 清々しい初夏を思わせます
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タチツボスミレも そろそろ終わりの季節
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最近のお気に入り ボタンネコノメソウ と今日も遭遇
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ヤマネコノメソウとは 初めまして…
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賑やかだけど ヒトリシズカ
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おっとりとした雰囲気が好き ニリンソウ
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光り輝く 緑の海を泳ぐ 曲線美(^^)
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至るところに スズシロ の愛くるしい姿
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林床を埋め尽くすほどのルイヨウボタン
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ひっそりと隠れて…ホソバアマナ
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小さい花だけど存在感 タチイヌノフグリ
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稜線に向こうに 伊吹山
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繊細な美しさ ハクサンハタザオ
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綺麗な黄色に特徴ある名前 ウマノアシガタ
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伊吹山北尾根にも外来種か?
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上向き加減が良い感じ フデリンドウ
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春の七草の親戚?(笑) ミヤマハコベ
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この花の色は名前通りです ヤマブキ
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洋風な佇まい ツツジの仲間 ウスギヨウラク
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見過ごしそうに咲いていました イワカガミ
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ハシリドコロ…猛毒です 手を触れないように
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これも花なんですね…ウリハダカエデ
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気持ちの良い稜線を引き返します
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楊枝の原料になります クロモジ
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今にも飛びかかってきそうな(笑) チゴユリ
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本日のお目当て…山芍薬
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遠くからでも一目瞭然 イチリンソウ
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もう一株 咲いていました
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エビネ でしょうか
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エンレイソウも この時季の役者ですね
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新緑が美しい(笑)いつもの…

GWは天国で幕営し「雪山讃歌 ♪」

5/4~6 長野県徳沢・涸沢
厳しい山行を終えた後、真っ直ぐ上高地に向かわず、徳沢で一夜を過ごして気分をリセットする。そんなことから、我々はΓ徳沢天国」と呼んでいます♪

5月4日 上高地~徳沢
今年の残雪期、雪が落ち着いていない気がして、早々にピーク山行を取りやめ、徳沢天国をベースに涸沢を楽しむことにしました。
今回のメンバーは前回のテント泊山行と同様、京都の山友。徳沢でご一緒するのは3回目となりますが、さてさて、今回はどんな山行となるのやら…。
上高地でモーニングケーキ」だけを確認し、時間や場所は決めていませんでしたが、5HORN のオープン10分前、河童橋上で逢えたのは、約束していたかのようです(^^)
その後、常連 安曇野の山友も別の山行で上高地を通過するため待っていましたが、時間が合わず、順延(笑)となりました。
初夏を思わせる陽射しも、小梨平に入ると和らぎます。山肌を覆う残雪はこれまでにない程で、1月下旬、ソリを引いてノートレースの雪上を歩いたことが思い出されます。今日はフキノトウが道の両側を飾り、まだまだ小さなニリンソウの若葉が森を覆い始めています。GWと言うこともあって、登山者や観光客がそれぞれの目的地を目指し、登山者もヘルメットにピッケル持参組からBC組、徳沢天国組 とこの時期ならでは光景ですね。
上高地から徳沢までは6.6km。梓川に沿って明神岳を大きく迂回するように進みます。冬、真っ赤な小枝が印象的なケショウヤナギは、この時期もひときわ光彩を放っており、白い幹と織りなす模様の景観は「春の紅葉」。
梓川河川敷からネコヤナギの木を右へ折れると、徳沢に到着。新緑には程遠いここまでの道が、一気に色鮮やかなテントの花咲く道となります。
氷壁の宿と言われる「徳沢園」。新田次郎さんの「孤高の人」と同様に井上靖さんの小説「氷壁」は、衝撃を与えた作品でした。また、昭和の初期、この辺りは牧場だったそうですが、観光客の増加に伴う閉鎖によって、奥上高地に素晴らしいテント場が出来上がり、今日我々の憩いの場となっています。
徳沢を目的地としゆっくりテントライフを楽しむも良し、ここをベースに蝶ヶ岳や涸沢、槍沢の日帰り山行を楽しむも良し、槍・穂高の下山時、その余韻に浸る一夜を過ごすも良し。徳沢は全てを受け入れてくれる、正しく「天国」です♪
今回、我々の目的は、涸沢山行と徳沢ディナー。初日は、パンチェッタと茸のクリームソースパスタ(チーズ添え)と鶏ササミのカラアゲにパン3種。風もない穏やかな夕方、オープンテラスで頂きました!(^^)! その時、バディのフォロワーさんが徳沢に居ることが判り、キョロキョロしていると、20mほど先で張っているのを発見。しばし、5人で談笑していましたが、そのすぐ向こうに、このBolgで繋がっている方が居るとは…。

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朝陽に輝く常念坊…菜の花が安曇野の春を飾ります
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アルピコ交通のバスを見るだけで 高揚します(笑)
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1月とは違う表情の焼岳…やっぱり 男前です
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雪解け水が 更に 梓川を透き通らせます
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新緑も良いが GWの上高地と言えば このグラデーション
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3日分3人前の食糧と食器で 今回も30kg(^_^;)
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モーニングいつもの…(笑)
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額縁のような景色を 静かに眺めるのは この時間に限ります
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小梨平キャンプ場から見る 吊尾根が好き
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ここから見る焼岳は 男前に磨きがかかる(^^)/
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学生時代に泊まった明神館…部屋の小窓からは明神岳と流星
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視線の先にあるものは…?
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どっしりとした安定感 明神岳前穂高岳
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ここまで来ると 着いたも同然です
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まずは 昼食後の一杯…これぞ徳沢テントライフ
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道から逸れて 霞沢岳と梓川河川敷
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大天井岳の滑らかで綺麗な稜線
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残雪と春紅葉
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ネコヤナギを見ると GWの上高地に来た感満載(^^)
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穂高が見守る 徳沢天国
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あの林床を ニリンソウの白い花が埋め尽くすまで あと少し
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クリームソースのパスタは 茹で汁の有効利用で お手軽でした
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フォロワーさん(真ん中の男性)夫婦のテントへご挨拶
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徳沢に 夜の帳が下ります
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明日も良い天気になりそうです

5月5日 徳沢⇔涸沢
賑やかなコマドリの声が響き渡る徳沢の朝。フライシートのファスナーを下して見上げると、まだ、眠っている前穂高岳。テントサイトは山へ向かう人、撤収準備をする人、寛いでいる人と千差万別。
朝陽が最初に当たる前穂高岳の岩稜。今日は静かに闘志を燃やす色でした。サブザックを背負いフォロワーさんに挨拶をして、まずは横尾に向かいます。徳沢~横尾間は3.8km。ほぼ平坦ですが、所々に雪が残っていました。横尾大橋を渡ってしばらく行くと道は雪に覆われます。今回、足回りの装備は、ベースに冬用パンツ、靴は冬靴。アイゼンは持参せずにチェーンスパイクのみ。前日、北穂高に登った山友からは「涸沢だと冬用パンツは不要ですよ」と教えていただきましたが、ここは自己責任の判断で着用しました。しかし、上は半袖Tシャツ。朝、同じく山友に「上下のバランスが変でしょう」と笑われましたが.‥^^; (当然、ザックには冬用のアウター他が入っています)
GWの涸沢は3年振り。前回、北穂高岳登頂を目指して、涸沢で幕営をしました。白銀の峰々が淡いピンク色に染まる朝、松涛岩までダイレクトに登る北穂沢に向かった日を今も鮮明に覚えています。
その時と比べて、やはり雪は多く、幾度とあるトラバースには注意が必要でした。屏風岩の大岩壁を回り込みながら進むと、最初の休憩ポイント「本谷橋付近」に到着です。登る人、下る人。乗り換え駅のように休憩されています。
ここから涸沢へは沢に沿った冬道となります。過去2回は雪面に亀裂が入り山寄りを歩いていましたが、今日はど真ん中を進みます。それでも、2か所ほどクレパスのように口を開けている箇所がありましたので、今後は更に注意が必要ですね。5分ほど歩いたところで、前日、涸沢で幕営していた山友とジャストミート。その内、1名は六甲全縦を歩いた横浜の山友。しばしの談笑後、再会を約束して別れました。
本谷出合で左俣へ。トレースは明確な一本ラインがありますが、基本、どこを歩いてもOKです。緩んでいるトレースより、外れた方が歩きやすい場合もあります。雪道では臨機応変の歩き方が必要ですね。
薄雲に隠れた青空は、次第にその姿を現し、夏道との合流地点付近では、真っ青な五月晴れが帰ってきました。そして、そこから涸沢パラダイスの始まりでもあります。
穂高北尾根から少しずつ視界が開け始めるのが、このルートの特徴。テント装備で疲れた身体には、その展望が力の源にもなります。今日は軽量サブザック。決して、軽快とは言えませんが、全周囲の展望を楽しみながら、涸沢ヒュッテを目指します。ヒュッテの目印、鯉のぼりが見えると…ここから長いんですよねぇ(笑) ヒュッテ直下の直登を登り出すと、地平線から朝陽が覗くかのようにテントが見え始め、今年は雛壇になった涸沢テント村に到着です。
明日の天候が下り坂の予報のためか、テント村に空きは多く、ヒュッテのテラスもすぐに座ることが出来ました。風はなく、靴を脱いで上がっても寒くはありません。と言うより、裸足になりました(笑)
穂高から北穂高まで3000m級の峰々に囲まれた涸沢は「登山者の揺りかご」。ただそこに居るだけで、気持ちが安らいできます。そんな気分を「ドーン」と言う雪崩の発生音が邪魔をします。何度か続いて聞こえましたが、周囲を見渡しても雪崩の現象は確認できません。報道されている以上に雪崩があること、そして巻き込まれた人がいることを、ここでお知らせしない訳にはいきません。
「このままここで眠りたい」と思う前に、テラスに根付いた腰を上げ(笑)、テント村を少し散策してから涸沢と峰々に別れを告げます。京都の山友は12本アイゼン、バディはチェーンスパイク、僕は無装着。それぞれの判断で最良と思われる準備をしてから下山開始。そして、荷物が軽すぎて直下の坂を走りながら駆け降りた私です…。
徳沢に戻ると、安曇野の山友が待っていてくれました。2ヶ月半振りにバンビー4の集合です(^^)v 安曇野の山友とは小雨降る3年前の今日、テントの内と外を境に初めてお会いしました。あれから、ほぼ毎月のように会っている変な関係…(笑) そして山友は下山後の再会を約束して、足早に上高地へ向かっていきました。
昨日より風が冷たかったため、今日の夕食はテント内。チーズ入りハンバーグのカレーライスにサラミ、シーチキン、オリーブ入りマッシュポテトとカボチャのスープ。上空を流れる風の音に天候の下り坂を感じながらの夕食となりました。
夜半、空を見上げると、雲の切れ間に星が瞬いています。「テント撤収まで雨が持ってくれればいいのになぁ…」と思いながら、再び、シュラフに潜った私です。

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徳沢で見るモルゲンロート.‥安定の景色
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遠くから霞沢岳も見守っています
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厳しくも美しい 前穂高北尾根
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横尾は槍と穂高の分岐点
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前穂北尾根の終了点…屏風岩
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山友2人に見送られて 涸沢へ…
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北穂高岳を眼前に 本谷出合まで
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涸沢に入ると 前穂高北尾根が迫ります
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やがて 吊尾根から奥穂高岳
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白銀の世界を 進みます
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鯉のぼりが見えると 涸沢岳も一望できます
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最後に登場 北穂高岳
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振り返ると屏風岩に 遠くは大天井岳から横通岳
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これぞ 残雪の涸沢圏谷
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奥穂高岳稜線の雪庇…雪崩の源
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涸沢ヒュッテと言えば 鯉のぼり
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山と言えば この飲み物(笑)
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テラスからはこの景色…ただしこれは ほんの一部
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山もデカけりゃ 雲もデカい(笑)
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雲の影が 涸沢を踊ります
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小屋関係者の方が見事なBCを披露
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涸沢Tシャツに誓って 再会を約束します(^^)
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徳沢だからこそ 出来ることもある
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減ったとは言え まだまだ賑やかな 徳沢天国
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時折 上弦の月が 天国を照らします

5月6日 徳沢~上高地
今日もコマドリの囀りがテントを揺らします。朝の定例行事、フライシートのファスナーを下して空を見上げます。雲間に青空は見えましたが、雨の匂いがします。そして、稜線を吹く風の気配。8時出発の予定をしていましたが、朝食後に撤収開始と変更しました。
朝食は五目寿司とお味噌汁。酢飯はまだ起きぬ食欲を一気に高めてくれます。荷物の整理をしているとフライシートを打つ雨音。「あれぇ~、もう降ってきたのぉ?」と思いましたが、すぐに止んでくれました。更に撤収準備の速度を上げ、テントを収納した段階で再び、ポツリポツリと降ってきました。このことで、躊躇なく雨仕様で出発できるため「中途半端に途中で降られるよりは良かったね」とポジティブな意見交換。
2日間お世話になった徳沢天国に別れを告げ、一路、上高地を目指します。道端に咲く植物は、2日前よりも青々としており、一気に新緑へと向かう勢いを感じました。その後も、雨は降ったり止んだりの繰り返し。すれ違う登山者は、これから何処へ目指すのか気になって仕方がありません。昨日、稜線へ登った登山者も同様。今日、稜線は暴風に見舞われる予報のため、無事、下山を祈らずにはいられません。そして、登らない選択肢を登山計画に含めて欲しい。と思います。
河童橋穂高の稜線は厚い雲に覆われ、一昨日の景色と較べるとまるで違う場所に来たようです。それでも、僕にとっての上高地は聖地の玄関口であることに変わらず、この場所に立てる喜びを隠せません。次回訪ねるのは、夏か冬になるのか今は判りませんが、微笑んで出迎えて欲しいものです。
下山後は、バンビー4が再び揃って、いつもの…(笑)

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今夜の主役「木星」…5月7日は月と大接近
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稜線の雲の中は 天国と真逆であろう…
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最後にもう一度 振り返ってしまいます
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ニリンソウの若葉が 一気に芽吹きました
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静かに歩けるのは 雨の日の特権
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ハシリドコロの新芽は 野菜のよう…ただし 有毒(^-^;
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明神岳にも再会を誓います
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次第に空が近付いて来ました
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流石の河童橋も ひっそりとしています
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雨の日だからこその風景も ここにはあります
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また 逢う日まで「上高地
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アズミン(安曇野の住民)に連れられ いつもの…(笑)