Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

改元のGW…雷鳥沢 テントライフ

4月29日~5月3日 富山県雷鳥沢野営場
「平成」から「令和」に改元される2019GW。天候不順は覚悟の上で、約2年振りとなる立山駅に向かいました。

4月29日
雷鳥沢野営場は立山黒部アルペンルート「室堂」から約1時間。「室堂」へは長野県側は「扇沢」、富山県側はここ「立山駅」が起点となります。GWの立山と言えば「雪の大谷」。それをお目当てに、駅前は早朝から大勢の方が列を作ります。発売開始時刻の1時間前に並びましたが、ケーブルカーは2便の6時10分発。(後で知りましたが、当日往復券は9時には完売。また、この日は、両県側から合わせて12000人が室堂に来られたそうです)GW期間中は5時30分から営業されている駅構内のレンタルショップにて予約していた「ビーコン」を受け取り、いよいよ出発です。
高原バスに乗車すると、着いたも同然(笑)。車窓に広がる残雪の高さと比例するかのように、気分は高揚します。立山杉、滝見台、弥陀ヶ原。大日連山に薬師岳、最後は劔岳立山。そして、雪の大谷を過ぎると、室堂に到着です。
50分で1500mの高度を上げるため、ゆっくりと支度を始めます。緩やかなアップダウンを進む1時間の歩行。それでも高山病にかかれば回復は困難。ここは焦らずに暖機運転。
今回は4泊5日のテントライフ。13回分の食料に冬装備。5日の長丁場と思いカメラは一眼とミラーレスの2台。で、総重量は35kgとなり記録更新 (^_^;)
室堂BTから一歩外に踏み出ると、眩い雪景色の向こうには、浄土山から別山へと続く立山三山にひょっこりと半身が覗く劔岳。そして、鋭角なスカイラインを誇る奥大日岳。前日は、思ってもみなかったこの展望にまずは感謝。高山植物が周囲を飾っていた前回と違い、まだ雪に埋もれたみくりが池を過ぎるとエンマ台。そこから雷鳥荘に向けて下り始めた時、すれ違ったのは白い鳥。雷鳥です。これまでにもGW期間中に北穂沢や蝶ヶ岳、燕岳で見かけていますが、その山域に応じた積雪で羽が生え変わっており、冬毛一色は初めてです。登り返して後を追った苦労が報われました(笑)
夏、雷鳥荘を過ぎれば石畳の階段が野営場へと続きます。今は自由なルート選び。我々はダイレクトに野営場へ下る直滑降ルートを取りました。既に100張ほどありましたが、涸沢と比べれば、随分と空いている印象です。
この時期のテント設営はたて穴を掘ったり、見事な防風壁を作ったりと様々。今回は経験上、何もしないで大丈夫と判断し、整地の済んだところを5日間お借りすることにしました。昼食にもまだ早い時間で設営が完了。まだ、十分に山行の出来る時間はありますが、雷鳥沢 テントライフを楽しむには、貴重な晴れ間をここで過ごすのも、贅沢なことでしょう。
午後からは高曇りとなり、天候の下り坂を肌で感じながら、1/5は過ぎていきました。


前日 呉羽PAから望む 劔岳から立山三山

珍しい荷台付きのケーブルカー・・・助かります

滝見台より 称名滝(左)とハンノキ滝(右)…高原バス車中より

高原バスは左側に座るのがお薦め…劔岳

室堂BTの内と外は別世界…立山(雄山)と浄土山

別山から劔岳を 望めるのだろうか…

標高では劣りますが その容姿は負けていません…奥大日岳

ヘルメットはザックの上に取り付けています(笑)

雪面に立山が映り込みそうな天気…みくりが池

何を想い 何を見つめているのか…

山頂には数名の姿 雪面にはトレースとシュプール・・・劔岳

夏よりも広がりを感じました

自然と人工の雪紋が織りなす陰影

微妙なアップダウンが 雷鳥荘まで続きます

立山上空に巨大な日暈(ひがさ) 天気が崩れるサイン…^^;

多い? 少ない? 雷鳥沢野営場

丁度 我々のテントに合う台座がありました

今回のお供…右から ビーコン・捜索ヘリサービス発信機・御守り

これから5日間 テントライフを楽しみましょう

五目寿司と鍋風汁が 初日の夕餉

4月30日
「平成」最後の朝は今にも雨が降り出しそうな空。それでも辛うじて稜線を眺めることが出来、テントライフに花を添えてくれます。今回、提出した山行計画では、今日、明日が停滞。2日が奥大日岳、3日が別山です。天候は2日が午後から晴れ、3日は晴れ予報。しかし、昨日の室堂における人出を考えれば、最終日の山行は見直しが求められます。
そんなことを思いながら、ラジオから流れる音楽と平成の出来事を振り返っていると、その人工的な音に混じって、時折、聞こえてくる「ガァ~ォ~」と言う雷鳥(雄)の声。すぐ近くで鳴いているようにも聞こえますが、意外とよく通る声で、周囲のハイマツに居るのか姿は見えません。
おやつタイムが過ぎた頃、薄日が射し始め、それに伴って山肌に陰影が躍り始めます。ここと同じように周囲を3000m峰に囲まれている涸沢と比較してしまいますが、涸沢が直線的なシルエットであれば、ここは曲線的。僕の大好きな「自然の曲線美」の宝庫です(笑) そして、涸沢と決定的な違いが、懐の奥深さのような峰々との距離感。以前は涸沢派でしたが、今は、雷鳥沢派。
平成最後の食事は、中華丼と野菜汁。娘の成長と共に過ごした平成時代。娘も独立した今は、改元も時代の流れかと思いつつ、午後8時消灯…。


平成最後の朝は高曇り…

幾筋もの雪崩跡…

雷鳥沢ヒュッテの物資運搬車…除雪車と共同作業

雷鳥沢ヒュッテの帰り道

昨日は無かった雄山直下の雪崩跡…そして 縁を進む 3人のBC達

夕方 思いも寄らぬ陽射し… テントライフの面白さ

斜光は 斜面を躍らせます

忽然と現れる白き峰 晴れ間にない感動

まるで大海原に浮かぶ 島のようでした

平成最後の晩餐

5月1日
霧に包まれた「令和」時代の幕開け。空と地上の境がなくなり、まさしく、立山曼荼羅観、極楽浄土へと続く世界になりました。但し、こんな日は気温が下がらず、ある意味、テントライフは快適になります。
夏にはさほど感じませんが、今回は雷鳥の鳴き声が全方位から聞こえてきます。まさしく、雷鳥沢野営場の名のとおりです。そして、今日もラジオから流れる音楽とお喋り。時代は「令和」に変わりましたが、ここでの生活は何ひとつ変わりません(笑)
今日の予定は、山行以外ではここ雷鳥沢のメインイベント「源泉かけ流し温泉」。行き先は、小高い丘に建つ(笑)「雷鳥沢ヒュッテ」。雨雲マップとにらめっこしながら、出発の時を待ちます。夏場は大勢の登山者で賑わっている温泉も、今日は数人だけ。身体を動かしてはいない中での入浴は、先に心が温まります。
ヒュッテからの帰り道、緩んだ雪に足を滑らせながら奥大日岳へ続くトラバース道を見れば、斜面の変色が進んでいました。また、登山道ではないものの雄山や真砂岳直下の谷には幾筋もの雪崩の跡があります。トラバース道が苦手なバディにとって、この状況で奥大日岳へ向かうのは危険と判断し、明日の行き先は別山に変更。最終日の3日はアルペンルートの混雑を考慮し、晴れマークひとつの予報ですが、撤収のみとしました。
雨が上がった雷鳥沢の夜。藍色の空に銀嶺がぼんやりと浮かび上がります。明日は冬型に戻り、明け方にかけて降雪の模様。「別山からの剱岳」。それを願って3回目の夜。


「令和」最初の朝…真っ白(笑)

小雨になったので 雷鳥沢ヒュッテへ

この扉の手前には 卓球台がありました

雨も上がり 再び 高曇りの立山

ゼブラ模様になってしまった 奥大日岳への稜線

この時期の雪質は 日々 変化します

「令和」最初の晩餐(笑)

明日の朝は降雪予報…束の間の時間

GWテントライフならではの 蒼い立山

明日は あの頂に 立てるのだろうか…

5月2日
水滴が氷結し、テントの外張りが白く染まった朝。周囲の様子はそれ以上に白一色。予報通りと思いつつ、午後からの回復に合わせた出発時刻の9時が迫ってきます。しかし、霙は止むことがなく、稜線も隠れたまま時は過ぎ、結局、出発したのは10時でした。
深夜からの降雪は山肌を塗り直したかのように白く染め、寒気は雪面を凍らせます。アイゼンの爪が確実に雪を刺すと同時に、聞こえてくる心地よい音。忘れかけていた雪山の感覚が蘇りました。
夏道は雷鳥沢右側の尾根を剣御前小屋に向けて伸びていますが、残雪期の今は左側の尾根を直登し、奥大日岳から続く稜線に合流後、別山乗越(剣御前小屋)、そして、別山へと向かいます。
野営場を過ぎ称名川へ下る地点で、テントサイトから見る景色とは異なる圧倒的な雪景色。一面に広がる真っ白な雪稜の向こうに黒く聳える岩稜。その稜線を激しく雲が流れ、風の強さを物語っています。
前回、稜線から眺めた室堂から雷鳥沢野営場。白と緑の織り成す嫋やかな光景が印象的でした。今日は稜線を境にし、空と大地のシンメトリー。そして、広大なスクリーンに繰り広げられる曼荼羅マッピング。昨日までの停滞を忘れさせます。
雷鳥沢から登り出し、やがて、左に大きく弧を描いて、尾根に上がります。まだそれほど登っていないのに、雷鳥沢野営場が遥か下方に見えるのは、北穂沢でも感じました。ここからはほぼ一直線に稜線を目指しますが、小屋が小さく見えるだけで稜線は雪壁の向こうに隠れています。ただひたすら目の前にある斜面と向き合い、一歩一歩を踏み出します。冬道は自然と直登になり、傾斜はきつくなりますが、良く締まった足元は平坦であり、夏道よりも歩きやすく感じます。もし、昨日までの腐れ雪であれば、大変な苦労を強いられることでしょう。
奥大日岳が真横に見える頃、青空に雲が占める割合が増えてきました。時折、突風が氷の粒を巻き上げ、通り過ぎていきます。3度目の急登を終えるとハイマツが顔を出す稜線に出ました。稜線の向こうには剣御前でしょうか、岩と雪の殿堂「劔岳」に続く道…と、ここで猛烈な突風に襲われます。時間にして30秒~1分ほどでしょうか、一向に衰えを見せない20m程の風が、登山者の動きを止めます。その後も、断続的に突風が吹き、立ち上がるタイミングが判りません。このままじっとしていると体力と体温を奪われるだけであり、また、これから続く稜線をこの風の中進むのはどうなのか、進退の判断が求められます。先行した他のパーティの方の動きを見ていると、この場所が突風の抜ける地点ではないかと思い、また、天候の悪化はなく、小屋にて休息が取れると判断し、躊躇するバディを促して山行再開です。(結局、10分以上停滞) 少し横移動した後、稜線に上がれば、予想通り突風は治まっていましたが、両側が切れ落ちた稜線の通過が待っており、まだまだ神経戦は続きます。風の衰えが感じられない小屋前でバディは寒さを訴え始め、別山へ続く稜線歩きは無理と判断し、剣御前小屋を今日のピークとしました。
小屋で昼食を取りながら、青空の回復を待ちます。しかし、一向にその気配はなく、午後1時30分に下山開始。バディと相談をし、稜線を下り切るまではロープ確保をすることにしました。
強風から解放された山歩きは、再び、落ち着きを取り戻し、GWとは思えない静かな山行となり、暖かな陽射しで明るさと賑いを取り戻した野営場に無事帰還。
夕方、雲ひとつない空が広がり、その後は落日と共に染まる立山が山行の終焉を飾ってくれます。そして、4回目の夜にて初めて満天の星が広がる下、最後の消灯…。


ようやく 出発の時を迎えました

この広い世界に さぁ 出発!

激しく踊る 雷鳥

称名川を登り返して 雷鳥沢野営場

まずは あの尾根を目指して 進みます

一息ついて振り返れば あんなに小さくなりました

急登ですが アイゼンが良く効いて 登りやすい

突風の稜線…倒れ込んで回避するBCの方

今回の核心部…風がポイントですね

左側の足元は このようになっています

核心部(手前の稜線)を振り返ります…

乗越は風が強まります…剣御前小屋

別山に登れば 帰りの体力が…」は バディの弁

「また 来るがいい~」は 剱岳の弁

山の事故は 下山が多いので…

右側の景色…劔御前方面でしょうか

左側の景色…雷鳥沢から室堂 そして 薬師岳

「一の越山荘」の向こうには 北アの盟主「槍ヶ岳

足で雪を払っていました…(トリミング加工済)

GWなのに この静けさ…登頂より有難い(笑)

雪庇のメッカ 奥大日岳への稜線

機会があれば 歩いてみたい

称名川が 近付いてきました

ゼブラは ホワイトホース になりました

今日の道(左の稜線)を 振り返ります

後光とともに 陰影が美しい 奥大日岳

救助でなければよいですが…長野県警ヘリ

雷鳥沢野営場ならではの 景色だと思います

アーベントロート…正しく 赤く染まる夕刻

満天の星が 雪稜を 灯します

5月3日
深夜、テントから顔を覗かせると期待通りの星空。(この時期の天の川は3時頃が撮影に適しています。)
テントサイトから少し離れてヘッデンの灯りを消すと、そこは小宇宙の世界。別山方面に向かう登山者の灯りが揺れ動く頭上には、過去(浄土山)と未来(別山)を繋ぐ架け橋「天の川」。いつもは町の灯りが写り込む星空写真。それが別山方面に限れば漆黒の世界となり、正しく、その向こうにある地獄(劔岳)へと続く立山曼荼羅。風のない静かな夜は、いつまでも星空を見上げていたくなります。
朝、テントサイトは一番の賑いを見せていました。BC、登山、テントライフ組…、それぞれが快晴の立山ライフを楽しんでいるようです。真砂岳別山の中間から太陽が顔を覗かせ、野営場は一気に輝きを増します。
奥大日岳から始まる野営場を取り巻くスタンド。もう何度、見上げたことでしょうか。決して天候に恵まれた5日間ではなかったけれど、テントライフを楽しむことは出来た5日間でした。
「平成」から「令和」へと改元された思い出と共に、この5日間は我々の記憶に留まります。
食料分約3kgが軽くなったとは言え、雷鳥荘へと続く急登は、本日の核心部。緩み始めた雪面を攻略しながら、雷鳥沢野営場に別れを告げました。
やがて、稜線の陰から顔を覗き始めた「劔岳」。別山にて向き合える日を楽しみに、また、来ようと思う今回のテントライフ。明日からの好天予報に室堂から雷鳥沢に向かう大勢の方々。今日は賑やかなテントサイトになることでしょう。
みくりが池辺りまで戻ってくると、観光客の姿が増え、下界に近付いてきたことを実感します。そして、室堂BTはGW真っ盛りの賑いで、遭難しそうになりました(笑)
4泊5日のテントライフは7年振り。ここ雷鳥沢野営場は、これからの我々にとって、最適な場所になることを確信した5日間でした。
下山後は、あらかじめチェックしておいたお店でいつもの…(笑)


未来へつなぐ 天の架け橋…

今日も誰かが 別山 を目指します

初めて 朝日を 拝むことが出来ました

テントから顔を覗かせば この景色

「いつまでも居れるなぁ…」は 隣の方の弁…同感

真砂岳直下の稜線を登っておられます

「次回も よろしくお願いします」と 別山に…

今日の核心部…緩いルートで 雷鳥荘に向かいます

別山」から「雷鳥沢野営場」…今日だと登頂できたな…

地獄谷からの風が 一瞬 視界を曇らせます

この広い世界が 堪らなく素敵でした

次は 別山でお会いしましょう

みくりが池の畔は 融雪が進んでいました

前衛峰の変化も 見どころのひとつでしょう

この時期は 雪庇でなくても 崩落するのですね

「雪の大谷」出口付近…バス通りも歩くことが出来ます

5日間のテントライフ…ここまで来ると「あぁ ヤレヤレ」

「雪の大谷」…意外と短い…(笑)

午後からは 普通の観光者…立山限定グッズ

柑橘系とチョコが マイブームの いつもの…(笑)

伊勢の霊峰にて 春の円遊…

4月13日 三重県堀坂山
花の便りを探しながら目に留まったのは、名前だけは知っていた地元・三重の山。いつもは「食」をテーマに訪ねる(笑) 松阪市へ向かいました。

堀坂山(ほっさかさん:757m)は局ヶ岳(つぼねがたけ:1,029m)、白猪山(しらいざん:819m)と共に「伊勢三山」と呼ばれ、また「伊勢富士」の別名もあります。山頂に富士権現が祀られる等、古くから信仰の山として親しまれ、又、堀坂峠までは車で入れることから、気軽に山歩きを楽しめます。この他にも、森林公園と峠を境にした観音岳を結ぶ周回の「雲母」「尾根」コースや観音岳の稜線に伸びる「創造の森」「野鳥の森」の2コースがあります。
そして今日、私達が辿るのは、沢の小川沿いに続く古道「いにしえ街道」で峠に向かい、そこから、堀坂山へ。再び、峠に戻り、観音岳に向かって尾根ルートで下山。この時期ならではの「花道」ルートとしました。
山麓の森林公園からしばらくは県道を歩きます。山肌を飾るヤマザクラと新緑のグラデーション。春ならではの息吹を感じながら見上げると堀坂山の頂。30分ほどで県道と別れ、「国学の四大人」の一人、本居信長が明和9年に通ったとされる旧登山道へ進みます。
今回のお目当て「シロバナネコノメソウ」を初め、小さな春を満喫しながら峠に到着。堀坂大権現の鳥居をくぐると堀坂山への直登が始まります。山頂までは1町(109m)毎に標識があり、10町の標識には文字の横に「残り80m」と書かれていました。
急登や木の根道に岩稜帯…(笑)。しかし、全体を通して柔らかな地面はとても歩きやすい道です。針葉樹から広葉樹へと移り、視界が開けてくると堀坂山に登頂。
伊勢三山は、伊勢湾を行く船からは航行の目印とされ「伊勢の三星」とも呼ばれていました。その名の通り、伊勢湾に沿って広がる街並や伊勢三山からおらが山「尼ヶ岳」へと続く西の展望。伊勢湾を守る山らしい見事な眺望です。
さて、次の目的地は「観音岳」。峠まで300mほど下って150mほどの登り返し。峠から観音岳は15町と36m。距離は1.5倍ですが、標高差は半分です。
先ほどまで居た堀坂山が谷の向こうに見えるとなだらかな稜線散歩が楽しめます。足元にはスミレの「花合唱」。そして、対岸の稜線から麓へと続くヤマザクラ は「春の滝」。水飛沫の代わりに花弁が舞っていることでしょう。
突き出た感じの観音岳山頂からは松阪市街や伊勢湾が更に迫り、森林公園から堀坂山へ続く稜線をつなげると、このルートは馬蹄形になっていることが判ります。
山頂の東側に咲く「ヒカゲツツジ」。この花も今回のお目当てでしたが、来週頃が見頃のようで、ほとんどがまだ蕾でした。それでもアセビやツバキ、レンゲツヅシと言ったこの時期ならでは花を愛でながら、散り始めた桜を名残惜しむ人々で賑わう森林公園に下山。
機会があれば、また、訪ねたいと思うほど、様々な要素がコンパクトにまとまった良いルートでした。
下山後は、本来のテーマに戻って、いつもの…(笑)

f:id:Regulus0821:20190414131651j:plain
ヤマザクラの美しさに触れられる 山ヤの喜び
f:id:Regulus0821:20190414131724j:plain
ようやく 気付けました…シロバナネコノメソウ
f:id:Regulus0821:20190414131757j:plain
以前は気付いても 撮らなかったなぁ…コガネネコノメソウ
f:id:Regulus0821:20190414131829j:plain
古道は ネコノメソウ通り…ボタンネコノメソウ
f:id:Regulus0821:20190414131901j:plain
清楚な佇まいでした…ミヤマハコベ
f:id:Regulus0821:20190414131934j:plain
森林公園~峠⇔堀坂山~観音岳~森林公園…古道は載っていませんが 350m付近に分岐点
f:id:Regulus0821:20190414132036j:plain
信仰の山である証…大日如来坐像
f:id:Regulus0821:20190414132119j:plain
春霞み 日本の四季です…堀坂山山頂より
f:id:Regulus0821:20190414132201j:plain
白猪山(左端)、局ヶ岳(中央奥)、三峰山(右奥)
f:id:Regulus0821:20190414132243j:plain
おらが山(右端)方面を眺めます
f:id:Regulus0821:20190414132322j:plain
巻き道ルートでは通り過ごします…おなご観音
f:id:Regulus0821:20190414132401j:plain
春の雪洞…ダンコウバイ
f:id:Regulus0821:20190414132453j:plain
春の吊燈籠…キブシ
f:id:Regulus0821:20190414132530j:plain
春の音楽隊…コゲラ
f:id:Regulus0821:20190414132613j:plain
巨本と出逢うと 何か嬉しい…ヤマザクラ
f:id:Regulus0821:20190414132644j:plain
この後 山頂は大賑わい…と言っても10人程度(笑)
f:id:Regulus0821:20190414132732j:plain
この景色を見るために 観音岳に登っても良いと思う
f:id:Regulus0821:20190414132810j:plain
昼下がりの尾根道…アシビ
f:id:Regulus0821:20190414132841j:plain
名前通りではありませんが(笑)…ヒカゲツツジ
f:id:Regulus0821:20190414132912j:plain
冬から春へ…ツバキ
f:id:Regulus0821:20190414132951j:plain
この花を見ると 春が来た気分になる…ミツバツツジ
f:id:Regulus0821:20190414133023j:plain
ウグイス色の鳥は メジロです…メッチャ トリミング加工(笑)
f:id:Regulus0821:20190414133041j:plain
麓と山の桜が共演していました
f:id:Regulus0821:20190414133118j:plain
停泊中の「花筏」…森林公園
f:id:Regulus0821:20190414133159j:plain
松阪は牛だけではないことを いつもので…(笑)

花冷えのホーム…北の大地で「花と池と苔」

4月6日 三重県鈴ヶ岳
ホーム鈴鹿の北部は自宅からのアクセスが遠いため、ホームとは言え、さすがに出逢いが少なくなります。「蛭休み」を迎える前に、この季節ならではルートを計画し、先月20日に通行解除となった登山口に向かいました。

三重・滋賀・岐阜の県境、南北50kmに及ぶ鈴鹿山脈は、石灰岩花崗岩から成る地質により個性的な山容を生み出し、また、1000~1200mの標高でありながら、日本海側気候の影響を受け、雪山の魅力もあります。そんな数ある特徴のひとつとして、南と北に広がる頂上台地。南のイブネ・クラシに対して、ホーム 最高峰「御池岳(おいけだけ)」(1,247m)を中心とする北のテーブルランド。
これまでは御池岳の南東域を、これまた個性的なルート「T字尾根」を利用し、カルスト地形が織りなす独特の風景を楽しんでいました。今回は、北西域にある鈴北岳を中心に、福寿草やテーブルランドに点在する池を巡ります。
登山口は直近の鞍掛TN東口。滋賀県側は復旧工事により通行止めとなっており、三重県側からのみアクセスが可能です。8時前で駐車場(20台程度)はほぼ満車。登山ルートは鞍掛峠とコグルミ谷があり、御池岳に登らない私達は峠に向かった後、鞍掛尾根で北の大地を目指します。
20分ほどで鞍掛峠に到着。ここから山頂まで10mほどの西風がお供してくれました(笑)。ブナやシャラの樹林帯を抜けると、鈴北岳へ続く稜線を中心にして、北の大地が一望です。数日前に降った雪が山肌を飾っていますが、時折、その雪が解けて現れる足元の泥濘は、今後の山行に一抹の不安を与えます。
尾根の下降点が鈴北岳の山頂。ピークらしさを感じないなだらかな頂では、御池岳から続く頂上台地が波打つような景色を広げ、カルスト地形独特のドリーネ(凹地)やカレンフェルト(石灰岩石柱)も見られます。今日は黄砂の影響もあり、遠望は霞んでいます。鈴鹿最北部「霊仙山」越しに見える「伊吹山」が山座同定の限界でした。
頂上台地の縁に沿って残雪の林を鈴ヶ岳に向かいます。一旦、100mほど高度を下げますが、ヒルコバ(峠)へ下る最後の斜面が核心部でした。雪解けと共にぬかるんだ急斜面はこれまでの経験上、最高危険レベル ^^; そして、レンズ交換のため後ろ向きになった瞬間…。自分よりカメラを守るしか術はありませんでした…(笑)
さて、そんな苦難を乗り越えて鈴ケ岳の登返しを進んでいると、見事な福寿草の群生に出逢えます。最近まで雪が残っていた影響か、まだまだ蕾の個体もあり、もう少し楽しめそうです。福寿草を追いかけていく内に、鈴ヶ岳に登頂。予報通り、青空が広がり始める中、再び、核心部に向かって、ヒルコバへのプチ泥濘道を下ります(笑)
北岳に戻り、後半のルート「池めぐり」を始めます。日本庭園と名付けられた台地に苔の道。立体的な広がりは南の大地「イブネ」と趣が異なります。しばらくして登山道を一旦外れ、微かな踏み跡を辿ってのルーファイです。「西のボタンブチ」「夕日のテラス」を経由しながら訪ねる頂上台地。その縁に立つと絶壁とも言える樹林の斜面。一気に下降するテーブルランドを実感できます。林の中に顔を覗かせるカレンフェルトは苔に覆われ、春の陽気で乾いた輝きを見せています。
ドリーネに水が貯まることで出来た池は無数にあり、今回、目指したのは「丸池」「真ノ池」「元池」。しかし、最も印象に残った池は、予定していなかった池だと言うことは「人生あるある」です。
再び、登山道に戻り、3度目の鈴北岳を目指します。ルート本谷が「縦」への楽しみであれば、ここは「横」への楽しみ。ホーム鈴鹿の奥深さをあらためて感じる今日のルートでした。
下山後は、満開の桜をいつもので…。

f:id:Regulus0821:20190407132133j:plain
歩くのが楽しい…鈴北岳に続く「鞍掛尾根」
f:id:Regulus0821:20190407132203j:plain
この稜線は風の通り道…背景は「鈴ヶ岳」
f:id:Regulus0821:20190407132233j:plain
歩いてきた道を振り返ります
f:id:Regulus0821:20190407132259j:plain
北岳山頂…ここは鈴鹿の「双六岳」と命名
f:id:Regulus0821:20190407132328j:plain
御池岳(左端)から続く テーブルランド北西部
f:id:Regulus0821:20190407132403j:plain
カレンフェルト…何気ない光景にも答があります
f:id:Regulus0821:20190407132430j:plain
北にあるのが「鈴ヶ岳」…鈴北岳からの下り
f:id:Regulus0821:20190407132458j:plain
残雪と冬枯れ…眩しい稜線でした
f:id:Regulus0821:20190407132528j:plain
顔を覗かせ始めた春の使者…バイケイソウ
f:id:Regulus0821:20190407132556j:plain
今年は 良く出逢います…「福寿草
f:id:Regulus0821:20190407132623j:plain
春の四重奏…
f:id:Regulus0821:20190407132652j:plain
森のカレンフェルトは苔と共生
f:id:Regulus0821:20190407132724j:plain
落ち葉の中から お目覚めです
f:id:Regulus0821:20190407142853j:plain
春のグラデーション
f:id:Regulus0821:20190407132841j:plain
本日2 回目…鈴北岳へ向かいます
f:id:Regulus0821:20190407132914j:plain
ドリーネ(雪の部分)と最北「霊仙山」
f:id:Regulus0821:20190407132944j:plain
頂上大地の散歩道
f:id:Regulus0821:20190407133017j:plain
枯山水 鈴鹿バージョン
f:id:Regulus0821:20190407133044j:plain
日本庭園の名に恥じない景色です
f:id:Regulus0821:20190407133111j:plain
テーブルランド 春の守り人のよう…ヤマネコノメソウ
f:id:Regulus0821:20190407133142j:plain
T字尾根越しに 鈴鹿中央部…夕日のテラスより
f:id:Regulus0821:20190407133434j:plain
名前は必要ありません
f:id:Regulus0821:20190407133218j:plain
久しぶりに 自然の曲線美…(笑)
f:id:Regulus0821:20190407133249j:plain
春紅葉を見ながら 本日3回目となる 鈴北岳への道
f:id:Regulus0821:20190407133330j:plain
木洩れ日が似合う いつもの…(笑)

早春の絨毯と残雪の展望

3月26日 岐阜県鳩吹山
各地から届き始めた花便り。早春の花便りに誘われて、展望の低山に向かいます。

「春の妖精」と呼ばれるカタクリ。落葉広葉樹の明るい林床に薄紫色した特徴ある花を咲かせます。発芽してから花を咲かせるまで7~8年を要し、開花期間は2週間ほど。5月、山行途中で群生地を見つけることがあっても、一面紫に染まる場所は限られます。
今回、岐阜県可児市にある大群生地が見頃を迎えたことを知り、また、そこを登山口とする鳩吹山は、片道40分程度で素晴らしい展望だと言うことで、ハイキング気分での山行です。
平日の午前10時前、最寄りの駐車場はまだ余裕がありました。「カタクリまつり」の幟に誘導され、遊歩道を進んでいくと、鳩吹山の斜面一帯が薄紫へと変化していきます。まだ陽の当たらない林床の花は閉じており、その姿は眠っているように静かで、寝息さえ聞こえてきそうな感じです。更に進み、朝の陽射しを一杯浴び始めた場所では、すでに目覚めた花やこれから身体を伸ばして起きようとしている花まで、我々日常生活における朝の光景を眺めているようでした。
聞こえ来た常連さんのお話では、今年の花は大きく、また、ここ数日が見頃のピークかな。と言うことで、「いい日に来られたんだ」と小さな幸せ…。
そして、少し道を戻って鳩吹山登山口(カタクリ口)からハイキング登山の開始です。ところが、いざ登ってみると、滑りやすい地表に結構な急登が続く油断大敵のルートで「低山あるある」の出来事です。
気温上昇とともに薄らと滲んでくる汗。それでも、風が吹けば心地よく感じられる季節になってきました。第一展望台(小天神休憩舎)を過ぎると、地表に現れる筋状の岩。そこは直登と巻道のルートがありました。上りは直登ルートを利用しましたが、落石の危険性も高く、登山者が増えてくる頃には巻道ルートを利用した方が安全だと思いました。
僅かばかりの登り返しが2回。左に大天神休憩舎を見ながら先を急ぐと、開けた場所が現れました。標高313m、登頂です。
山頂の北側が開けており、可児市街を蛇行しながら縫うように流れる木曽川。そして、市街地を囲むように連なる山々の向こうには、まだまだ白い中央アルプスと御嶽山乗鞍岳、そして、穂高の峰々も見えました。また、最初は乗鞍岳かと思った更に白い峰は加賀の名峰「白山」。ホーム鈴鹿で見る山容とは比べ物にならない迫力がありました。
大天神休憩舎に戻り、展望を楽しみながら下山後の昼食場所を検索。周囲ではヤマガラが忙しなく飛び移っており、自然豊かな環境を手軽に楽しめることに羨ましい気持ちです。地元の小学生から高齢者のグループまで老若男女、皆それぞれのスタイルで登って来られ、すれ違い待ちが続く下山路でしたが、距離が短いだけ一向に気になりませんでした。
再び、群生地を訪ねて、朝より強い光を浴びて活気づいたカタクリに別れを告げ、次の目的地へと移動しました。
下山後は、お気に入りのお店が定休日(平日あるある)のため、少し北上してからいつもの…(笑)

f:id:Regulus0821:20190327220038j:plain
本日のルート…遊歩道とは 言い難いと思います
f:id:Regulus0821:20190327220113j:plain
初めて出逢ったのは 八ヶ岳でした
f:id:Regulus0821:20190327220144j:plain
賑やかな話し声が 聞こえてきそう…
f:id:Regulus0821:20190327220332j:plain
透き通る花びらは 色彩の魔術師
f:id:Regulus0821:20190327220404j:plain
レンゲ畑の言葉があるなら ここは「カタクリ農園」
f:id:Regulus0821:20190327220434j:plain
花びらの中に 桜を見つけました
f:id:Regulus0821:20190327220507j:plain
まだまだ 静かな林床…下山後が楽しみ
f:id:Regulus0821:20190327220541j:plain
登り始めからの急登…一応 遊歩道です(笑)
f:id:Regulus0821:20190327220620j:plain
今日のジオラマは 手に取るような近さ
f:id:Regulus0821:20190327220658j:plain
蝶が舞う季節になりました…写真は舞ってませんが(笑)
f:id:Regulus0821:20190327220732j:plain
路傍の菫は 春山行の友
f:id:Regulus0821:20190327220807j:plain
アセビの白は 初夏をも連想させます
f:id:Regulus0821:20190327220840j:plain
意外と急な階段…「低山あるある」
f:id:Regulus0821:20190327220913j:plain
シキミの花は 葉を映したような白色
f:id:Regulus0821:20190327220948j:plain
赤い岩稜帯は 直登ルートで…
f:id:Regulus0821:20190327221022j:plain
最近は 青空が似合う バンビース(笑)
f:id:Regulus0821:20190327221055j:plain
313.5m…町を俯瞰するには 丁度良い標高かも
f:id:Regulus0821:20190327221136j:plain
数年前まで 川下りが行われていた 木曽川
f:id:Regulus0821:20190327221212j:plain
右から 御嶽山乗鞍岳・小さく穂高岳
f:id:Regulus0821:20190327221252j:plain
左から 白山・奥大日岳・鷲ヶ岳
f:id:Regulus0821:20190327221326j:plain
白山から御嶽山まで望める 313mの頂
f:id:Regulus0821:20190327221357j:plain
静かな林床も お目覚めのようです
f:id:Regulus0821:20190327221431j:plain
春の灯りは 次の花達へと 引き継がれていきます
f:id:Regulus0821:20190327221501j:plain
今年は 堪能しました…感謝
f:id:Regulus0821:20190327221533j:plain
まだまだ堪能させてください…いつもので…(笑)

2人で初登頂…展望の山は 春近し

3月24日 大阪府岩湧山
2人が生まれ育った大阪。この地の山とは縁がなく、初めて2人で登頂すべく、奈良、和歌山を経て、登山口に向かいました。

昨年12月、ダイヤモンドトレール南部を縦走した際に通過した岩湧山。ルート上、唯一と言ってもよい展望の山で、標高898mから眺める景色は、山行の疲れを忘れさせ、今でもダイトレの思い出と共にあります。
登山口はダイトレ上の東西、紀見峠と滝畑。そして、今回利用するのは、岩湧の森を起点とする「岩湧七ツ道」と呼ばれるルートが整備された河内長野市側から入山。
七ツ道は、ルートの特徴から「すぎこだち」「きゅうざか」「いわわき」「いにしえ」「ぎょうじゃ」「みはらし」「おちば」とあり、今回は、「いにしえ」「きゅうざか」「ダイトレ」「いわわき」「みはらし」の周回コースとしました。
今回の核心部となったのは、駐車場までのアクセス(笑)。登山道のような車道に対向が困難な道幅が続きます。そして、第6まで整備された駐車場の内、下山口に近い第2駐車場から出発です。すぐに車道から離れて「いにしえの道」へ。沢の向こうには「ぎょうじゃの道」が見えています。今日は寒の戻りで冷え込んでいますが、地表ではシダ類の新芽が重い頭を上げるかの如く、今まさに起きようとしています。また、木々の枝にも新芽が綻び始め、春の足音が大きくなってきたことがわかります。
岩湧寺に参拝した後、「きゅうざかの道」へ。その名のとおり、平坦な箇所が少なく、段差のある階段が続く山頂への最短ルート。期待していた道端に咲く早春の花との出逢いはなく、逆に僅かばかりの降雪の名残が冬の終焉を告げていました。
稜線への最後の階段を登り、見覚えのあるベンチと標識。ダイトレルート、東峰に到着です。ここから道は少し下りとなり、視界が開放されると金色の野に敷かれた一本の階段。山頂に向かって最後の登りが始まります。一歩一歩登るにつれて広がる景色。朝、登山口に向かう車窓から見えた金剛・葛城の稜線は雲に隠れていましたが、前回と同様、ダイトレの全ルートが一望です。関西国際空港から続く大阪ベイエリアとダイトレルートに囲まれた大阪平野。遠くは、淡路島と今日、奈良の娘が大会に参加している六甲山。そして、微かに明石大橋の白い橋脚。まさに、生きているジオラマです。
青空とともに出迎えた風は冷たく、しばし、展望を楽しんだ後は風の当たらない場所まで下って昼食。
「寒くても展望を見ながらの食事をする」よりも「暖かい場所でゆっくり食事をする」バンビースです。
食後、登り返して双眼鏡で大阪を俯瞰。肉眼とは違う「小さな視界の大きな世界」を楽しみました。
下山路は「いわわきの道」から「みはらしの道」。その分岐点までの10数分、ダイトレルートを歩きます。踏み固められた道は歩きやすく、行き交う人々の話声が、木立を縫って聞こえてきそうな雰囲気です。きゅうざかの道ほどではなくても、結構な段差が続く下山路。そして、何度か現れる登り返し。「低山 あるあるです(笑)」
下山後は、山で感じ得なかった春を感じにいつもの…(笑)

f:id:Regulus0821:20190325221236j:plain
七ツ道の案内図…何故か 「おちば」だけが小道
f:id:Regulus0821:20190325221307j:plain
参道を思わせる 石畳の「いにしえの道」
f:id:Regulus0821:20190325221354j:plain
ミツマタの花…終わりを迎えていました
f:id:Regulus0821:20190325221432j:plain
本堂の前に 紅白梅の木
f:id:Regulus0821:20190325221500j:plain
安全登山を祈願します
f:id:Regulus0821:20190326063140j:plain
この日 黄金の山は 紅蓮の山になります
f:id:Regulus0821:20190325221645j:plain
ダイヤモンドトレールの文字に 親しみを覚えます
f:id:Regulus0821:20190325221712j:plain
ダイトレ でなくても 階段が沢山ありますね
f:id:Regulus0821:20190325221740j:plain
名残雪…関西で見ることは もうないでしょう
f:id:Regulus0821:20190325221810j:plain
3ヶ月半振りの 再会です
f:id:Regulus0821:20190325221836j:plain
暖かな日射し 足取りも 軽くなります
f:id:Regulus0821:20190325225333j:plain
道は 空へと続く 展望の山
f:id:Regulus0821:20190325221918j:plain
ダイトレルートを あらためて 眺めてみる
f:id:Regulus0821:20190325221941j:plain
360度の大展望…良い山です
f:id:Regulus0821:20190325222012j:plain
完全復旧へ…空港連絡橋
f:id:Regulus0821:20190325222041j:plain
河内のシンボルタワー…大平和記念塔
f:id:Regulus0821:20190325222110j:plain
ダイトレの終起点「施福寺
f:id:Regulus0821:20190325222148j:plain
あの頂から歩いてきた ダイトレ南部の稜線
f:id:Regulus0821:20190325222219j:plain
生まれ育った町を眺める バンビース
f:id:Regulus0821:20190325222243j:plain
三角点のあるピークは 静かな頂
f:id:Regulus0821:20190325222309j:plain
やはり 撮ってしまいます…(笑)
f:id:Regulus0821:20190325222332j:plain
木洩れ日のダイヤモンド・トレール
f:id:Regulus0821:20190325222357j:plain
振り返って仰ぎ見る 金色の頂
f:id:Regulus0821:20190325222424j:plain
やっと 春に出逢えました
f:id:Regulus0821:20190325222449j:plain
山が華やかになるのも あと少し…(笑)

ホームからの花だより 靴を履きかえて…

3月9日 三重県入道ヶ岳
春を告げる花だよりに誘われて、ホーム鈴鹿はセブンマウンテンのひとつに向かいます。

セブンマウンテンの中で最も標高が低く(906m)、南部にある「入道ヶ岳」は、山麓に建つ椿大神社(つばきおおかみやしろ)の御神体であり、山頂には鳥居、その奥には「奥の宮」の祠が祭られています。地元では「入道さん」と親しまれているこの山、笹原の広がる稜線付近は遮るものがなく、「風の山」としても有名です。この山は6年振りであり、このブロクでは初登場になります。
椿大神社からのルートは大きく3つ。北尾根、二本松尾根、井戸谷。この他にも、宮妻峡や小岐須渓谷を起点としたルートがあります。
今日は、春を告げる花「福寿草」と逢いにセンターラインの「井戸谷」ルートから北尾根の周回としました。このルートは樹林帯・沢沿い・笹原と変化に富み、稜線直下の笹原登りは、伊勢平野を眼下に望みながらの開放的な山行を楽しめます。但し、残雪期は谷沿いの一部が「落石の巣」となり(6年前に経験)、今回も登山道の反対斜面で落石がありました。
山頂までのCTは2時間。ホームの中では最も登りやすい山だと思います。今日は、春を告げる花と春を実感する御陽気に誘われて大勢の登山者の姿を見かけます。我々は途中から半袖になり、正しく、春山開山と言ったところでしょうか。
笹原の広がりが見え始めた頃、本日のお目当て「福寿草」の群生地に到着。植生地を傷付けないように、また、石を落さないよう注意しながら近付き、黄色と言うよりは黄金色に輝くりっぱな花弁にしばし魅了されました。
ここから本日のメインストリート。笹原を行く一本道の登りに差し掛かります。冬、この笹原は見事な雪原となり、トレースを引くことが出来た日には大興奮(笑)となりますが、無雪期でも、登るに連れて背後に広がる伊勢平野の展望は「また来よう」と思わせます。呼吸と歩幅を揃えれば、難なく稜線へ。泥濘に注意をしながらアセビのトンネルを抜けると、鳥居へ続く参道。そして、登頂となります。
谷間から見えていた伊勢平野は視界に収まりきれないほどの広がりを見せ、春霞みに覆われた伊勢湾の向こうに知多半島の影絵。北には鈴鹿の槍「鎌ヶ岳」へ続く鎌尾根から先月登った主峰「御在所岳」。南を望めば、鈴鹿鹿島槍、双耳峰「仙ヶ岳」を中心に広がる南部鈴鹿の峰々。遠くには、まだまだ雪に覆われた「御嶽山」「乗鞍岳」の北アルプスに加え、「白山」も見えました。山容は異なりますが、素晴らしい展望を持つ入道ヶ岳は、鈴鹿の「蝶ヶ岳」と言ったところでしょう。(バティ談)
青空の下、山頂から少し離れた笹原でホームの峰と共に昼食。風もないこんな日は、このままお昼寝気分にさせられます。とは言え、下界で待つものもあり(笑)、再び、泥濘に足を取られないよう注意しながらアセビの北尾根を下りました。途中、498ピークからの支尾根が駐車地への近道(地図に記載有)だと思い進みましたが、廃道同然でバリエーション化されていました。「近所の山、恐るべし」を再認識した出来事です ^^; 
下山後は、山麓で待っている「和と洋」でいつもの…(笑)

f:id:Regulus0821:20190310103355j:plain
入道ヶ岳は「アセビの山」とも言えます
f:id:Regulus0821:20190310103945j:plain
「落石の巣」となった付近…後方からの落石を避けて岩肌にへばりつきました
f:id:Regulus0821:20190310104014j:plain
ネコノメソウ…シロバナネコノメソウは確認できず…
f:id:Regulus0821:20190310104044j:plain
凛とした佇まい
f:id:Regulus0821:20190310104116j:plain
春の陽を受けている姿が 力強い
f:id:Regulus0821:20190310104145j:plain
山に色が戻れば 春がやってきた証
f:id:Regulus0821:20190310104211j:plain
最も近くで伊勢平野を楽しめる 入道ヶ岳
f:id:Regulus0821:20190310104238j:plain
竜ヶ岳「遠足尾根」の横移動に対し ここは縦移動
f:id:Regulus0821:20190310104306j:plain
井戸谷。そして、伊勢平野
f:id:Regulus0821:20190310115149j:plain
アセビのトンネルは 泥濘の道(笑)
f:id:Regulus0821:20190310104411j:plain
山頂鳥居は入道ヶ岳の代名詞です
f:id:Regulus0821:20190310104438j:plain
やはり見えました…養老山地越しに「乗鞍岳」と「御嶽山
f:id:Regulus0821:20190310104506j:plain
冬靴から夏靴に履き替えて…
f:id:Regulus0821:20190310104531j:plain
青空のグラデーション…町から宙へ
f:id:Regulus0821:20190310104557j:plain
ダイナミックな山容…鎌ヶ岳南壁
f:id:Regulus0821:20190310104625j:plain
意外と手強いルートを持つ「仙ヶ岳」
f:id:Regulus0821:20190310104655j:plain
槍を眺めるこの地は まさに鈴鹿の「蝶ヶ岳
f:id:Regulus0821:20190310104753j:plain
御在所岳…ルート本谷は 白い鉄塔の左 岩尾根の向こう側
f:id:Regulus0821:20190310104818j:plain
白く浮かぶ北陸の島…白山
f:id:Regulus0821:20190310104847j:plain
3月17日開通…新名神鈴鹿PA「PIT SUZUKA」
f:id:Regulus0821:20190310104922j:plain
パラグライダーが 青空に舞っていました
f:id:Regulus0821:20190310104951j:plain
アセビの白は 雪山に別れを告げる色
f:id:Regulus0821:20190310105023j:plain
今日の振り返り…入道ヶ岳から続く北尾根
f:id:Regulus0821:20190310105052j:plain
創業明治35年が誇る「麩まんじゅう」と「草もち」
f:id:Regulus0821:20190310105117j:plain
1987年創業 フランスを体感できる いつもの…

ガイド山行…ルートはホーム本谷

2月20日 三重県御在所岳
昨年6月に交わした約束通り、ホーム鈴鹿をご案内するため、雲に隠れた山頂を眺めながら、待ち合わせの駐車場に向かいます。

今回同行した京都在住の山友ご夫婦。これまでに3度御在所岳を計画されたそうですが、全てが順延。今回は天候に加え、体調も思わしくなく、今週初めまでは来冬へ順延のつもりでいたところ、体調が快復し、雨も明け方には上がる予報。となれば、登るしかありません(^^)
ご夫婦と歩くのは初めてでしたが、これまでの山歴から我々の定番冬ルート「本谷↗・中道↘」は大丈夫だと判断。とは言え、今年の雪の状態に加え、前日の雨により、ルートの難易度が数段上がっていることは否めません。
登山口から山頂直下までひたすら谷を歩く「ルート本谷」。沢登り風に沢沿いを歩く経験が初めてのご夫婦、ましてやバリエーションルートとなれば、自然と緊張を強いられます。そんな中、ルートの説明やルートファインディング、岩の歩き方等次回に繋がる話をしながら、少しでも緊張を緩めます。
川幅の広い下流はルート取りも多く、その日の水量を見ながら歩きやすいルートを進みます。やがて、名も無き滝が続くようになり、巻道や直登など、全身を使った登りが増えてきます。
我々が初めて本谷を訪ねたのは2012年の秋。1枚のルート詳細図を手に、ルーファイに集中し、慎重に歩いたことを覚えています。13年の冬、ガイドツアーで本谷を訪ね、アイゼン歩行やピッケルワーク等、ルートと合わせて、冬山山行に必要な技術を学びました。その後、年に一度は本谷を訪ね、特に冬は、毎年変わる様子を楽しんでいます。そんな本谷も初めは誰もが緊張するもの。ご夫婦の緊張感を肌で感じながら「慣れに対する危機管理」をあらためて思い起こします
大きな岩が両側に続くと、最初の二股に到着。ルート本谷の原則「二股は右」をルーファイと共に説明します。しかし、次の二股だけは左のため、目印になるハーケンから延びた鎖を指差確認。そして、ここが最初の核心部。今回はそこに至る雪も注意が必要でした。小さな岩の窪みにつま先を掛け、岩登りの要領で数m登ります。岩が乾いておれば難なく通過できますが、濡れていると足下がおぼつきません。
この辺りから道に雪が出始め、緩んだ雪は突然太腿まで沈み込みます。一歩一歩足元を固めながら進むため時間はかかりますが、安全第一です。
普段とは違う緊張とともに、メインストリートの門番「ジョーズ岩」へ。ここでも豊富な水量は岩を打ち、水飛沫が全身を濡らします。直登からのルート取りは危険なため、鎖に頼った登りとしました。数年前にはなかったこの鎖、もし付いていなければ、用意したロープの出番になるところです。
ここから上部は情報通りの雪道。ここの雪も緩んでいるため、踏み抜き注意です。雪の下にある岩を想像しながら登りますが、踏み抜きは突然やって来ます(^^; 雪質から判断し、アイゼンは付けずにピッケルだけで登り始めました。少しすると、谷を覆っていた雲が晴れ、伊勢湾に続く山麓の景色がV字の向こうに広がります。そして、頭上を行き交い山麓へと続くゴンドラ。ここまで要した時間は3時間半。いつもより、余計にかかっていますが、この景色は、緊張から来る疲れを一瞬で開放し、その勢いのまま本谷終了地点に到着。一般道に合流すると、ルート本谷を登り終えた達成感と安堵感から自然に笑みがこぼれていました。山上レストランで昼食をとり、気持ちをリセットした後に下山開始。まだまだ油断出来ない中道ルートを下り、本谷を望む岩に立った時の感動。
「その気持ち、良く判ります」
初めてのバリエーションルートで緊張の続く山行をされたご夫婦ですが、「本谷史上最難関」だったルートを無事に下山できて、ほっとした案内人でもあります。
登山口が見えた時、山友の呟いた「あぁ、終ってしまうのか…」がとても印象的でした。
下山後は、疲れた身体を癒してくれるいつもの…(笑)

f:id:Regulus0821:20190221210656j:plain
本谷ワールド が 始まりました
f:id:Regulus0821:20190221210745j:plain
何段の滝だろう…でも 名前は知らない
f:id:Regulus0821:20190221212137j:plain
横移動から 縦移動へ…
f:id:Regulus0821:20190221212415j:plain
イラストにも負けない 皆いい笑顔なんです(笑)…不動滝
f:id:Regulus0821:20190221212511j:plain
一般ルートとは 一味違う 本谷の序盤
f:id:Regulus0821:20190221212608j:plain
最初は 力技で登ってしまいます
f:id:Regulus0821:20190221212648j:plain
中盤を迎えると ルートも限られます
f:id:Regulus0821:20190221212725j:plain
今年の大黒滝は 見事な水量でした
f:id:Regulus0821:20190228225550j:plain
大黒滝上部は 岩よりも雪が 目立ち始めます
f:id:Regulus0821:20190221212758j:plain
ガイドロープのお陰で 通過しやすくなりました
f:id:Regulus0821:20190221212833j:plain
視線の先には…
f:id:Regulus0821:20190221212906j:plain
門番 ジョーズ岩…(右側の岩を登ります)
f:id:Regulus0821:20190221212940j:plain
ジョーズ岩の目線で…
f:id:Regulus0821:20190221213012j:plain
ここで踏み抜きを繰り返すのは 初めてでした
f:id:Regulus0821:20190221213041j:plain
トレースは無いに等しかった メインストリート
f:id:Regulus0821:20190221213116j:plain
ここからの景色は 是非 見て欲しかった
f:id:Regulus0821:20190221213151j:plain
メインストリート 登っている時は 意外と平常心
f:id:Regulus0821:20190221213233j:plain
アイスガーデンを過ぎると 後半戦に入ります
f:id:Regulus0821:20190221213301j:plain
大黒岩直下 谷が狭くなってきました
f:id:Regulus0821:20190221213331j:plain
上部は ミルキーウェイの世界
f:id:Regulus0821:20190221213408j:plain
油断禁物 でも ほっとする標識です
f:id:Regulus0821:20190221213454j:plain
山頂は踏んでませんが 記念の1枚
f:id:Regulus0821:20190221213540j:plain
名古屋方面…来月開通する新名神も見えています
f:id:Regulus0821:20190221213636j:plain
顧客に喜んでもらうのは ガイドの仕事(笑)
f:id:Regulus0821:20190221213709j:plain
メインストリートと再会 ここで本谷のファンになります
f:id:Regulus0821:20190221213742j:plain
次は どんな顔で待ってくれるのでしょうか
f:id:Regulus0821:20190221213813j:plain
今日の本谷を表わす2色で いつもの…(笑)