Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

秋が奏でるホーム...周回とその向こう側

11月6日 三重県ブナ清水
賑わいを見せるホームの峰々、その駐車場のひとつに向かいます。

毎年、GW頃からホームは蛭休み。そして、再開する頃に迎える行楽シーズンの人混みを避け、気付けばホームの紅葉は山麓辺りまで下りています。今年の5月、久しぶりに訪ねたブナ清水ルートは新緑が美しく、「ホームの楽園」と名付けました。知名度が上がってきたとは言え、まだ訪ねる人は少なく、ブナやカエデが着飾る頃に訪ねてみたいと思い、天気と休みが重なった今回の山行計画。
ここの核心部は登山口の駐車場。午前7時、100台を超える駐車場のほぼ最終組で停めることが出来、あとは安全登山を心掛けるだけです。
この朝明大駐車場は人気の高い釈迦ヶ岳のほか、国見岳、ハライド、イブネなど、多くの起点になっています。私達の予定は、旧千種街道で根の平峠を目指し、その手前からブナ清水を経由し、ヤシオ尾根、県境尾根で根の平峠へ。そこから、滋賀県側に下り、「鈴鹿上高地」と言われる場所にある大カツラを最終目的地とする「周回&ピストン」。
まずは、車道を歩いて羽鳥峰峠の分岐から朝明川にかかる橋を渡り、旧千種街道で伊勢谷を遡ります。オオルリの声が響いた林は、今は川のせせらぎが響く静寂の林。秋から冬へと眠りにつく準備をしているかのようです。何度か徒渉をくり返し、山肌が迫ってきた頃、空を覆う木々に変化が見えてきました。
黄、橙、赤…。すでに葉を落とした木や赤茶けた木もあります。そして、常緑樹がそれらと競合するかのように濃く、深い緑を発します。森が奏でる秋のシンフォニー…第1章。
短い直登の先に明るく光っているのが見えるとブナ清水の分岐点。ここから先が本日のメインストリート。落ち葉の絨毯に照らされて見頃を迎えた木々が私たちを囲みます。朝明水系は登るにつれてその川幅をどんどんと細め、やがて、一歩で跨ぐことになり、その出発点が「ブナ清水」。大きな岩の奥から流れ出すその滴は、多くの命を育んでいることでしょう。
意外なことに、分岐後は登山者を見かけず、あの駐車場の喧騒が嘘のような静けさ。そんな場所をアップするのはどうかと思う反面、さほど影響力もないから大丈夫と自己弁護。
さやさやと微かな音をたてて落ちていく葉。ただ歩くだけでなく、この世界と同化する楽しみ。ホームの楽園は、静かに秋を過ごす時間と音を与えてくれました…第2章。
ヤシオ尾根とは県境尾根からハライドへ伸びる支尾根。その尾根に向かう途中、アルペンムードが漂う釈迦ヶ岳を真正面に捉える展望地。稜線から山肌へ下りる木々のパッチワーク。重なり合う緑も美しい伊勢谷。出発点の駐車場が眼下に小さく見え、思った以上に登ってきたことを感じます。
県境尾根に合流するとすれ違う登山者も増えましたが、駐車台数から思えば少ない感じです。最後の分岐点「根の平峠」まで戻り、ここからは初めて通る道でタケ谷出合を目指します。
県境尾根と呼ぶように、鈴鹿の主稜線は三重県滋賀県に跨っています。急崖な三重県側と違い、緩やかに近江平野へと続く滋賀県側。「鈴鹿の山と谷」というシリーズ本があるように谷が入り組み、必然的に、沢の多い鈴鹿山脈 。ホームとは言え、奥深くなる滋賀県側は、その魅力と合わせてリスクも背負うことから、県境尾根の向こう側は滅多に歩きません。
事前に大カツラの場所を調べ、ここだと思う脇道から神崎川沿いの台地状になった林を進みます。膝下まで埋まる落ち葉道を過ぎ、少し高台から開けたブナ林を見下ろせば、「鈴鹿上高地」と呼ばれるのも合点がいきます。最近はここで幕営するレポも見かけ、今日も3張。そして、帰り道でも何組かの幕営組とすれ違いました。目指す大カツラは更に進んだ台地にあり、圧倒的な迫力は他の木々を寄せ付けない威厳さえ感じました。その大カツラを背に、川の畔でのランチタイム。時々、対岸の道を歩く方の話し声が聞こえますが、こちらは貸切状態。見上げれば奥座敷イブネに続く稜線。県境尾根との狭間に出来たこの森と川は、ホームの多様さと奥深さを五感で楽しむ世界でした…第3章。
根の平峠まで戻り、ブナ清水の分岐点で周回は終了。秋の陽は短く、昼下がりの陽射しでも夕方のように柔らかい発色。林を抜けた陽が照らす木々は、より一層に色付き、山行のフィナーレを飾ってくれました…第4章。
下山後は、新規開拓した小さなお店でいつもの…。

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アクセスの良さは 混雑と表裏一体…朝明駐車場
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旧街道を行く山歩きは 景色と歴史を楽しめる
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街道から離れ ブナ清水ワールドへ
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谷間の変化も楽しみのひとつ
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新緑 紅葉 落葉…繰り返される時間
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頭上を飾る 陽の当らない道
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錦の森は 静かな朝が 良いと思う
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紅の森でした…ブナ清水
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今日は 紅葉カラーの バンビーズ
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次からは ここで 時間を過ごせばいいか…
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点を繋げば線になる ホームの紅葉…釈迦ヶ岳
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明るく染まる ヤシオ尾根に続く道
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巨大な箱庭…伊勢谷
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県境尾根からの奥座敷「イブネ」
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ヤシオ尾根北斜面を照らす「黄色の雪洞」
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県境尾根の向こう側へ…根の平峠
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足元にも 秋はありました
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穏やかな道が 果てない道に感じる 滋賀県
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神崎川…標高650mの谷間を流れる ホームの深淵
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この森のシンボルツリーは 圧倒的な力系 (笑)
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秋が奏でるホームの「ランチタイム」
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ブナ清水と 対照的な森でした
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美しいホームの秋に 感謝
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午後の陽を 楽しみながらの下山
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紅葉にも負けない 色とりどりで いつもの…(笑)