Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

秋のテントライフは バンビー3

11月11~12日 滋賀県イブネ
朝の通勤渋滞を抜け、待ち合わせ場所に向かいます。

11月11日
京都、安曇野在住の山友お二方と私達で作る「バンビー4」。私達だけだと「バンビーズ」、京都の方と出かける場合は「関西バンビー3」、安曇野の方だと単に「バンビー3」がマイルール。
先月、テント泊山行の話を受け、浮かんだ幕営地は3ヶ所。その中から、紅葉シーズンを迎える鈴鹿奥座敷「イブネ」を選びました。
昨年もこの時期に訪ねたイブネは、今回で5回目。今では「苔の楽園」やら「苔の大地」などと紹介されていますが、9年前はホームに広がった笹枯れ現象からの移行時期で「楽園」と言うよりは「荒野」。
滋賀県三重県を結ぶ旧千種街道がアプローチ。今は林道となった街道はやがて針葉樹と広葉樹が交差する登山道へと変わっていきます。眼下を流れる渋川は愛知川に名を変え、近畿の水がめと呼ばれる琵琶湖に流れますが、その源頭部が今回の水場。また、空間を埋める対岸の山肌は、これから魅せてくれる世界に期待を膨らませます。
分岐点となる杉峠までは、旧千種街道の史跡が紹介されています。最初に現れるのは「善住坊の隠れ岩」。続いて「桜地蔵」、「古屋敷跡」…。久しぶりに交わす山友との会話に、それぞれの案内板がいつもより早くやってくるように感じます。
その山友と初めて会ったのは8年前の春。3年間の停滞時期があったものの、山に観光に旅にと多くの時間を過ごしてきました。初幕営は2014年5月 蝶ヶ岳山頂。翌年も徳澤で幕営したものの、それ以降、山行スタイルが異なることから、私達のテントを訪ねることはあっても、共に張ることはありませんでした。今回の山行は時間の経過とともに、山のベクトルが近付いて来た証かもしれません。
昨年名付けた「もみじ橋」。今年も街道一番の賑やかさでした。全山燃えるような紅葉とは違い、針葉樹や立ち枯れ木が混じった低山の紅葉。色付きも、紅、赤、橙、黄に茶色系と規則性のない風景に、自然とカメラを向けてしまいます。
この滋賀県側(甲津畑)ルートは、緩やかに登って迎えた後半に、僅かな急登区間を迎えます。また、杉峠で旧千種街道から外れ、登った先にある杉峠ノ頭から望む頂上台地は、まだ遠いと感じますが、佐目峠を過ぎて視界が広がれば、いつの間にか眼前に出迎えてくれます。核心部と言える、2段の急登を抜けると、イブネの玄関。僕にとっての支配人が出迎えてくれます。
レコで見ていたように、登山道にはガイドロープが張られ、昨年幕営した適地もロープの内側。今年は撮影の関係からイブネ北端付近で張れればと思っていたため、ロープ圏外となりましたが、これもやむを得ないのでしょう。
ひと休みし、山友と2人で散策。お決まりのクラシ、チョウシ、熊の平の周回ルート。苔が好きだと言う山友はなかなか次へ進めず、それを待つ自分もいつもと違う過ごし方。そして、バディはラジオを聴きながら、時折、小さな私達を眺める「三人三様のテントライフ」。
「おじさん2人で歩く世界じゃなく、若い2人が似合うよね」
「若い2人にこの世界の本質は見えるかな?もっと歳を重ねないと」
「それだと、リアル過ぎねぇ?」
山友と交わす会話が楽しい …。
陽の傾きとともに苔や木々がオレンジ色に染まり始め、テントならではの時間帯がやってきます。一日の終わりを迎えるイブネの世界。それは、やがてマジックアワーの西空からオレンジ色の月が昇る東の空へと続きます。
名古屋方面の夜景が最もよく見えるイブネ北端。反対側の琵琶湖を望む夜景は滋賀県側の特徴。伊勢方面も含み、三方に夜景を望むイブネは鈴鹿奥座敷に相応しく、現代社会を遠くに眺めながら静かに時が流れていきました。


さて どんな秋が待っているのでしょう

徐々に山へ入っていく 甲津畑ルート

木の窓に 射し入る景色が 眩しい

往年の世界が感じる「もみじ橋」

並べると迫力がありました…蓮如上人御旧跡

美しきホーム の 秋

行き交うは 近江商人から登山者へ

里にはない 山の秋

イブネ坂を前に スモールワールド

今年もやってきた 頂上台地

散歩の途中で イブネ北端を見上げます

近くて遠いは 主峰「御在所岳

矢印が示すは クラシへの道

クラシ派とイブネ派に 分かれるのではないでしょうか…

夜の帳が 近付く気配

いつも哀愁を感じます

夕暮れが似合う 熊ノ戸平

緑から橙の世界へ

時が見える 夕暮れの テントライフ

「遠き山に 陽は落ちて」

シチューの美味しい季節になりました

滋賀の灯りが 浮かび上がってきました

苔に限らず これも イブネワールド

夜は 足元から光が届きます

「星は空を 散りばめぬ」

11月12日
街の灯りが静かに感じる午前4時前。まだ、東の空に明ける兆しはありません。地上を照らす月明かり。昼間と全く違う世界は果てしなく感じます。何枚かの写真を撮った後、タイムラプス動画の撮影に入り、再び、シュラフに戻ったのは、小1時間後でした。
何時も期待しながら下ろすフライシートのファスナー。今朝は期待に反した霞み調子の頂上台地。昨年、ここから見た富士山やアルプスの展望は次の機会になりそうです。
日の出時刻は6時19分。その20分前、ご来光地点の東寄りに放射状の帯が浮かび上がってきました。「天使のはしご」で知られる「薄明光線」と言ってしまえば科学的。日の出が近付くとともに消えているその帯は、やはり「マジックアワー」。
移り行く空。通り過ぎる風。聞こえてくる鳥や鹿の声。
自分を中心にして取り巻く世界が、身体に入ってくるような感覚を楽しめるテントライフ。それには標高や名前は必要なく、自分がお気に入りの場所であればOK 。そんな世界を山友と共有出来て良かったと思える、夜明け前の出来事でした。
雲をお供に浮かび上がった太陽。弱い光が次第に輝きを増す様子は、いつ見ても力強く、一日の始まりを感じます。セットしておいたタイムラプス動画を確認すれば、まだ使い慣れていないため、後半に課題を残し、完全版は次回へと持ち越されました。
山友は昨日訪ねたクラシ方面に向かい、自分は頂上台地を散策。そして、バディはテントで過ごす、今朝も三人三様のテントライフ。
ホオジロが賑やかに食事タイムを過ごす中、こちらも朝食準備。ちょうど、朝陽を浴びた東雨乞岳の登山道がシルエットで浮かぶのが、苔の向こうに見えています。その時々で変化する何気ない風景。頂上台地のイブネだからこそ味わえる世界です。
テントを片付け、出発しようとしたところへ、本日一番乗りのトレラン2人。この後「一反ぼうそう」まで、多くと登山者とすれ違うことになります。
朝露に濡れた苔に陽が当たると、一段とその生命力は増し、大きな波動を感じます。そんな世界を二分するガイドロープに囲まれた登山道。成長著しいアセビから顔を出す笹や苔に消えていく旧道。10年後の頂上台地の姿は予想出来ませんが、数多くの写真を撮り、今日と言う日が振り返られるようにと思いました。
11月半ばとは思えない朝からの陽射しを受け、雨乞岳や鎌ヶ岳などは、薄青く霞んでいます。佐目峠へと続くアセビ帯を前にして振り返れば、イブネ坂がお別れを告げています。この辺りにも、苔が広がっていますが、数年前に較べれば、随分と成長してきました。やがて、頂上台地のような景観となるのでしょうか。
杉峠から再び、旧千草街道に戻ります。ここからは木漏れ日が射す程度の道。陽の当たる色付いた葉は、ひと際、輝きを増し、多くの木々は黒子になります。そんな飽きることのない帰り道には、ここでテントライフを過ごしても優雅だと思える場所が多くありました。
やがて道は終盤に差し掛かります。このルートを通る度に思うことは、その殆どにおいて安全なルートだと言える中、下山後半に現れるロープの張られたトラバース道や木橋の危険性。逸る気持ちを抑えて、慎重に通り過ごさねば、楽しい思い出は生まれません。GW以来のテント泊山行は思っている以上に疲れが残っていると自戒し、林道に出るまでは「注意一秒、怪我一生」。
下山後は、旅の思い出を語れるお店でいつもの…。


星に見守られた バンビー3

最も好きな時間帯…あけぼの

浮かぶ姿は やはり ホームの主峰

一期一会に「感謝」

2022年11月12日の朝は記憶の一頁

時間が逆戻りしたような 朝

正に 鈴鹿奥座敷

ひと月早く クリスマスがやってきました

光の苔山脈

昨年の幕営地 次は 消えているかも…

今年も 笹とアセビの成長を 感じました

この世界を 独り占めできる テントライフ

朝の光が 優しく包みます

お揃いのテントが バンビー3

朝食に大忙しでした…ホオジロ

さて 次の目的地へ …

足取り軽く 頂上台地を進みます

この景色が イブネワールド です

佐目峠を境に 世界が変わります

また 会いましょう

帰りには帰りの秋が待っています

1本でも主張します

新旧揃い踏みの景色が好き…大シデ

今年もホームの秋を楽しめました

総合的に核心部

秋の変化が楽しめる いつもの…(笑)