Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

春の妖精を訪ねて 近くて遠い地元の山

4月24日 三重県局ヶ岳(つぼねがたけ)
自宅から直線距離で31kmにも関わらず、道路事情で84kmかかる登山口の駐車場に向かいます。

10年振りに訪ねた局ヶ岳。白猪山、堀坂山と合わせて伊勢三山、または「伊勢の三つ星」と言われています。古くから伊勢湾で操業する漁師には、海上で位置を判断する目印にしていたそうです。
高見山地の東端に位置する局ヶ岳は、そのピラミッド型の姿から「南伊勢の槍ヶ岳」と呼ばれています。登山道は南北に整備されていますが、南側の新旧登山道を利用した周回が一般的です。
春の妖精と呼ばれる「カタクリ」。山行レポでは、すでに見頃を過ぎているものの、まだ間に合うような感想。カタクリ以外にも春ならでは花を楽しめるようで、今回の目的は花をメインにしたトレーニング山行。ルートも最短になる「新登山口」ピストンとしました。
周回ルートの起点になる局ヶ岳神社の駐車場には数台とマイクロバスが1台。思ったより少なく感じました。私達の起点はそこからまだ数100m先の新登山口。傾斜のきつい林道をショートカットします。
駐車場に着くと清涼感のある美しい鳥の声が出迎えてくれます。聞き覚えのある声の主は日本三鳴鳥「オオルリ」。ようやく姿を確認し1枚だけ写真に納めたところで飛び去ってしまいました。
登山口の標識には山頂まで22町と37m(2,435m)。序盤から急坂が続くのは、山容から想像が出来ます。前回は周回ルートのため、この新道を下山に利用しています。結構、ルートは記憶しているのですが、この山に関しては、山頂の風景と誰一人も会わなかったことしか記憶がなく、まるで初めて訪ねた山のような感じで、ジグザグの急登を進みます。足元にはスミレが咲き、頭上は時折射す陽射しに新緑が映えます。まさに「山笑う」光景です。
地形図では道が交差していますが、良く整備され、脇道へ進入しないようになっています。相変わらずの急坂が続くものの、自然林と人工林が適度に共生した明るい登山道は春らしい気温とともに身体中の細胞を活性化してくれます。
道端にカタクリが見え始めた頃、尾根に取り付きます。ここから道の両側にはカタクリが増え始めました。カタクリは咲いた後、地上部が枯れてしまうため、春先の短い期間だけ姿を現すことから「春の妖精」と呼ばれるのかも知れません。また、発芽から開花まで8~9年を要し、2枚葉になってようやく花をつけます。1枚葉の期間が長い訳で、至るところに見つけることが出来ますが、花に注意を注ぐとそれらを踏んでしまいかねません。
しばらくして旧小峠。山頂まで400m。旧道と合流すれば小峠。やがて、最後の直登が始まり、大きな岩を回り込めば、イワカガミが出迎えてくれました。高山植物でも人気のあるコイワカガミの低山種。この花を見るとアルプスへの思いが強くなると共に、少し得した気分にも浸れます。ミツバツツジが見え始めると頭上が開け始め、本家の槍ヶ岳同様の狭い山頂広場(但し、こちらは平ですが…)。反射板以外は遮るものがない山頂からの展望。おらが山から大峯奥駈道、そして、航路の目印となるだけあって海岸線も望めます。
時間も早いことから、昼食は下山途中で済ませることにしました。いつもながら、登りでは見つけることの出来なかった花を楽しみながらの下山路。思ったほど急坂に感じることなく、また、久しぶりの山行に「膝笑う」こともありませんでした。
下山後は、改装されて気になっていたお店に寄った後、別腹でいつもの…(笑)

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本日のルート 局ヶ岳の由来(一説)も載っていました
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今年もキザ男君の季節です…マムシグサ
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スミレ界の観葉植物…フイリシハイスミレ (?)
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ここでは 名前の通りでした…ヒトリシズカ
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白の中の白だと思う…ミヤマシキミ
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どことなく愛嬌を振ります…ジロボウエンゴサク
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スミレの王道でしょうか?…タチツボスミレ
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自宅周辺で見ると春を感じる…ミツバツツジ
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黄色く目立ちますが ひっそりと…キジムシロ (?)
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美しき「春の登山道」
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本日一番の反り具合でした(笑)…カタクリ
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冠の付かない名前もあるのですね…スミレ (?)
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先端が近付いてきたこと感じます
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高山帯より濃厚な雰囲気がする…イワカガミ
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こちらは爽やかな桜色…
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霧氷「三峰山」からおらが山「尼ヶ岳」へ続く稜線
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蜂とともに 忙しなく舞っていました
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山肌に散りばめられた 宝石です
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食後のおやつも楽しめる 春の陽気
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人工林を飾る新緑が 足を止めました
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春の木漏れ日が 優しく包みます
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小さな風船が 風に揺れているよう…アセビ
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「山笑う」…見ている私も微笑んでしまう
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麓から見上げる 「南伊勢の槍ヶ岳
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最強の街道餅で いつもの…

熊野路を 新旧の道で周回…

3月14日 三重県便石山(びんしやま)
旅と山をセットにした週末。泊地であり、出発点でもある道の駅に向かいます。

北陸、山陰、八ヶ岳…。各方面を視野に入れながら山行計画を立てます。土曜日は荒天予報のため、日帰り山行とし、雪を踏みに日本海側を予定していましたが、日曜は太平洋側が晴れると言う予報になり、地元は南部の低山縦走周回に落ち着きました。
当初、熊野古道伊勢路で馬越(まごせ)峠に向かい、そこから天狗倉山、おちょぼ岩を往復して、便石山への周回ルートでした。しかし、ちょうどクマノザクラが見頃を迎えていることを知り、午後から桜探訪に変更。峠からは便石山へ向かうことにしました。
クマノザクラとは2018年に自生種として100年振りに発見された新種の桜。紀伊半島南部、三重県奈良県和歌山県に分布する野生種で、山桜より早く咲く花は香り豊かでソメイヨシノよりひと回り小さく思えました。
さて、時を戻して便石山。標高599mの展望なき山に向かう理由は2つ。
登山口から分岐の馬越峠まで続く熊野古道伊勢路の石畳。日本有数の降水量を誇る尾鷲地域ならではの、大小様々な自然石を巧みに組み合わせ、尾鷲ヒノキの林を進む道は、当時の面影を濃く残しています。この日も昨日までの雨が沢から勢いよく流れ出て、一部登山道を冠水する箇所もありましたが、石畳のお陰で靴を濡らすことなく通り過ごせました。重機はもちろん、満足のいく道具も揃わなかっただろう時代に、これほどまでの土木工事を行い、後世に残る美しい道を作った「人の力」に良くも悪くも驚かされます。そして、これらの道が積み重なり「世界遺産」に登録されたことは納得が出来ます。
所々、解説板が立ち、また、22分割された案内杭を目安に登っていると、その約半分の13で馬越峠に到着。あとの数字は、尾鷲市側の登山口を目指しているのでしょうか。
ここは新旧の道が交差する四辻。古道の伊勢路尾鷲市内へと下り、熊野本宮へと続きます。私達が進む新道「尾鷲トレイル」は全長37.7㎞。その一部を利用する便石山へはCT 2時間となっていました。
325mの峠を一旦下り、緩やかなアップダウンを繰り返せば、お椀を被せたような便石山が目前に迫り、約300mの急な登りとなります。そのほとんどは整備された階段とは言え、ペース配分が大切な箇所です。時折、樹間から熊野灘尾鷲市内を眺めることは出来ますが、基本的には展望のない急登が続きます。巨岩が点在し、反射板を過ぎると道はなだらかになり、下山ルートになるキャンプ場からの道と合流すれば山頂に到着。樹林に囲まれ、標識だけが頂を示す場所です。
そして、この山を目指すもうひとつの理由は、山頂から少し下った所にある「象の背」と呼ばれる絶景ポイント。その形状から名前が付いた巨岩は、飛び込み台の如く空中に突き出し、熊野灘を始め市街地を眼下に見渡せます。ただ、数10cmの幅しか歩けない背中は両側が切れ落ち、転倒は即命取り。事故報告は検索出来なかったため、大きな事故は確認出来ませんが、一歩間違えれば取返しが付かなくなることは必須です。とは言え、バディの制止を聞かず先端まで行き、恐る恐るターンをして戻ってきました。
下山路はキャンプイン海山を目指すルート。登りと同様に展望のない急な階段の下りに加え、不安定な道が混在していました。林道と交差し、沢沿いに歩き始めれば、キャンプ場まで残り僅かとなります。しかし、低山周回アルアルで、ここから出発地点の道の駅まで3.2㎞の舗装道を戻らねばなりません 。
春の陽気を思わす中、銚子川の向こうに見える今日歩いた稜線と便石山。モズが鳴き、河津桜は葉桜となり、満開を迎えるはクマノザクラ…。足元をトレランシューズに履き替え、季節は春を迎えようとしています。
下山後は、クマノザクラとともに郷土の和菓子でいつもの…。

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朝陽を背に 悠久の道へ
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緩やかな曲線が 更に石畳を美しくさせます
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最も美しい箇所だと 感じました
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尾鷲ヒノキの幹が 映えました
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石畳同様 歴史を感じさせる巨木たち
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本日の周回ルート…馬越峠
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シダの林床が美しい 尾鷲トレイル
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視界が開けると 低山ならではの展望でした
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遥か遠くに思える 便石山
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ダイヤモンドトレイルを彷彿させる 階段道
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いつ見ても ホッとする シダの芽生え
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朝の歌声が 林に響いていました…メジロ
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あの岩場に立つのが 今日の目標…「象の背」
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目標達成(笑と汗)
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スタート地点側…紀北町を流れる銚子川
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往きはよいよい 帰りは怖い
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古道は 尾鷲市街を越え 熊野本宮へ
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道幅が広いか 狭いかは 個人差があります
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林道から 最後に渡る橋が 見えています
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黄色い花を見ると「春だなぁ」と思います…レンギョウ
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いつもクールな表情…モズ
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林道から見た橋にて 今日の山行を振り返ります
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橋を渡った先で待ってくれていました…クマノザクラ
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水が入り始めています…丸山千枚田
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花より団子…いえ 花とオサスリ

イブの続きを始めたくて…湖北路

2月20日 滋賀県寒風
昨年のクリスマスイブと同じような空模様の下、メタセコイア並木を抜けて、駐車場に向かいます。

関西に雪をもたらした12月。天候が下り坂の中、湖北はマキノ高原に向かいました。出発時間が遅かったのもありますが、トレースのない雪深きルートにP562直下の展望地をピークとした前回の山行から2ヶ月。先週半ばに再び降雪があった湖北に向かいます。
山麓の情報では降雪量は30㎝ほど。前回の反省から、1時間程早く到着しましたが、雪遊びが出来るマキノ高原ファミリースキー場を訪ねる家族と私達と同じように雪山を楽しむ方で結構な賑わいを見せています。
ここを起点に、多くの方は赤坂山もしくは赤坂山からの周回で寒風を目指します。そのため、私達が向かう寒風へのルートを登りに利用する方は少数派になり、静かな山行を楽しめますが、その裏返しに、トレースがないこともあります。思い返せば8年前、レンタルスノーシューでノートレースの寒風から赤坂山へ周回したことが、こことの出逢い。真っ青な空の下、2人分のトレースしかない高島トレイル。あの感動を越える周回はないと思い、あれからは寒風の先は大谷山になっています。
駐車場を抜けたところから雪があり、そこからスノーシューを装着。このアクセスの良さもスノーシューハイクを楽しむ大きな理由のひとつでしょう。ファミリーゲレンデから聞こえる歓声を耳に、ゲレンデ跡を眺めると、2組のパーティが見えました。これでトレースは確保されたと、ひとまず安心。予報は晴れ。ただし、朝のうちは稜線に雲が残るとのことでしたが、上空の高曇りと稜線を隠す雲は、そう簡単に取れそうにもない雰囲気でした。
ゲレンデ跡に取り付くと、見事はハイウェイが完成されていました。こうなれば、ある意味夏道より歩きやすいのが雪道。ヒールリフターを上げ、汗をかかないようゆっくりと登りますが、バディは早くも袖を捲っています。
前回苦労したゲレンデ跡を難なく通過し、振り返ってみる山麓の景色。そこには、いつもと同じ景色があるだけですが、好きな景色と言うものは、いつ見ても綺麗であり、身体の浄化作用があるのではないかと思います。雪に阻まれて急斜面を登ることもなく、トレースに沿って進めば、あっという間に前回のピーク「メタセコイア並木」の展望地。青空の気配が一向に感じられない中、針葉樹の扉を奥へと入っていきます。
高木の広葉樹が上空を覆う冬枯れ道。周囲は雪と霞みでミルキーウェイ。樹々を縫うよう付けられたトレースを進めば、いつしか夏道と分かれ、尾根道を行く冬の一本道になります。この辺りから天候に関係のない素晴らしい世界へ。ここを一気に通過してしまう下りに使うことは、とても勿体なく思います。一旦、左側の展望が開けますが、ミルキーウェイが濃くなるばかり。最後の急登を終えれば、門番の木に出迎えられ、標高840m 寒風に到着です。
林の向こうから風の唸り声が聞こえる中、無風の斜面で昼食をとっていると、時折、雲が流れて薄日が影を落とします。劇的変化の前触れかと期待しながら休憩を取りますが、そう容易く変化は起こりません。稜線の視界が開け始め、もう少しで青空になると判っていましたが、雲間に見た青空で満足し、山頂を後にします。何度も訪ねている山では、晴れ間を見ることよりも、その山に入っていることの喜びが勝るようになってきたこの頃。登れることの有難さと山に見せてもらえる景色。これだけで十分です。そして、ここまで積み重ねた安全登山を継続し、山を続けること。
すっかり青空になった下山路。トレースを離れ、真っ新な雪の林床を歩きながら、スノーシューの浮遊感を楽しむことは、一時の展望にも勝り、この瞬間はまさに今しかない出来事です。核心部のトラバースを抜ければ、山麓が見渡せるゲレンデ跡トップ。そこからは白く輝く稜線を振り返りながら、汗ばむ陽気とともに下ります。更に賑わいを増したファミリーゲレンデ。キャンプ場にはテントも数張。
「あぁ、面白かった」
駐車場に戻って、稜線を眺めながら、今日の山行を振り返った一言でした。
下山後は、洋と和のコラボレーションでいつもの…。

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ゲレンデ跡を登る先行者…ここからお礼を申し上げます
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前回引き返した地点を過ぎ P562に向かいます
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同じ雪景色なのに 何故か感じる「湖北の匂い」
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展望地以来 初めて広がる景色…稜線は近い
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春になれば イワカガミが咲く林床も 今はモノトーン
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直下の直登…風はないけど 見通しもない (笑)
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お久しぶりです 「寒風」の門番さま
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積雪は80㎝超えの 山頂でした
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メタセコイア並木を見ることが出来れば それで良いんです
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山麓の展望から振り返ると ミルキー青空
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薄日が射す中 帰り始めます
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激しく流れる雲の動きは 感情を揺さぶります
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大谷山方面も見え 青空へのカウントダウン…
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赤坂山への稜線…高島トレイルは 全長80km
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違う山に来たような 往きと帰りで変化する展望
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里に向かって スノーシューハイク 第2幕
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赤坂山からの周回者…風はどうなんでしょう
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影絵は 青空のバロメーター
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1時間ほど前の景色が嘘のようです
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近くて遠い大谷山…登頂の秘訣は「心」
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兎と小動物の クロスオーバー
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今日はこれが全てだと思えます
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春霞に浮かぶ 琵琶湖の曲線美
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ゲレンデ跡から 大谷山と前回のピーク
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桜と苺…春の倍返しで いつもの…

厳冬期の南八…テントライフ

2月5~6日 長野県編笠山

2月5日
青空を確信させる朝、期待を膨らませ、甲斐駒ヶ岳が望める駐車場に向かいます。

数十年前のGWに娘と登った編笠山。山頂から見た雪景色の赤岳を初め、南八の岩峰群は、まだファミリー登山の域に居た自分にとって強烈な印象を与えました。時が過ぎ、本格的に山をやり始めてからも、編笠山から見る景色は特別な思いに駆られ、訪ねる度に当時を思い出しています。
この時期の拠点、富士見高原からのルートはその山容が表すとおり、長く緩やか裾野から始まりました。
一昨日から降ったものか、登山道に入ったところから、雪が残っています。何度か林道と交差し、盃流しの沢を越えて乗った尾根が、これから始まる山行のスタート地点と呼んでよいでしょう。
テント装備のため、休憩とあわせてアイゼンを装着。ここ数年は1,900m付近の急登地点だったため、ずいぶん手前からになります。昨年の3月、氷結した登山道に苦労し、結局登り切った2,150m付近で撤退して以来の編笠山。そのつづら折り急登は、締まった雪のお陰で歩きやすいものの、去年来、慣れないザックの重さが体力を消耗させます。
前回、撤退した地点を通過したあたりから、トレースはつぼ足状態になり、一歩の負担が急上昇。また、スノーバスケットが破損するトラブルにも見舞われます。このルートは山頂直下まで樹林帯を歩くため、一気に広がる展望は高度感と解放感を味わえます。そして、目の前に現れた小さな空間。疲れていたためか、青空が見えるその空間は、森林限界が近い場所と勘違い。再び、樹林帯に入り、道は更に雪深くなります。そして一度、緩んでしまった気持ちを立て直すことは至難の業で「山頂まで1時間」の案内に心は折れ、山頂を越えた青年小屋での幕営は無理だと思いました。
バディは下山を希望。しかし、それも危険ではないかと思い、樹林帯で幕営できればと適当な場所を探しながら進みます。結果オーライのため、これが正しい判断であったかは、後々考えねばなりませんが、2,299m 森林限界手前の登山道脇にテントを張った跡があり、整地することなく幕営できました。設営中、駐車場で挨拶をした2名の方と話をしたことで、少し気分転換。ここまでの道中では「もう、次はないな」と思っており、山頂からの展望を是が非でもと、渋るバディと共にサミットプッシュ。
ここから道は更に急登となり、待ちに待った樹林帯を抜けました。このことから、山頂を除き、幕営地として最高地点だったと言えます。
岩稜帯に入れば風の洗礼を受けるのが編笠山。断続的に10m程度、時にはそれ以上の西風を全身に受けますが、経験上、登れないほどの風ではありません。背後に広がる富士山、南、中央、北アルプスの展望がこれまでの苦労を風と共に流していきます。所々、踏み跡は消え、また、心配された踏み抜きもなく山頂が少しづつ近付いてきます。そして、エビの尻尾に覆われた山頂標識と共に姿を現す南八の名峰たち。
「明けない夜がないのと同じで 終わりのない登りはない」
そう言い聞かせてきた今回の山行。ひとまず終わりが見えました。
今日の入山者は自分達を含め7名。この時間帯の山頂に立てたことは初めての経験であり、当然、自分達2人しか居ません。衰えを知らぬ風はゆっくりと景色を味わう雰囲気ではありませんが、しっかりと目に焼き付けることが出来ました。また、八ヶ岳を柱に、北は白馬から東の富士山まで続く遠景、近景はいくら見ていても飽きることはありません。しかし、陽が傾き始めた今、安全確保のためには潮時です。屏風絵の如く前方に広がる南アルプスと歩いてきた裾野。丁度、編笠山をひっくり返したかのように、釜無川を底にして、巨大なすり鉢が広がる景色。そこに飛び込むような錯覚を抱きながら樹林帯へと向かいます。全てを脳裏に刻むことは無理だとしても、この帰り道の思い出をいつまでも大切に残しておきたい。
再び樹林帯に入ると、ひとつの幕が閉じた気分。次の幕は水作りから始まる厳冬期テントライフ。編笠山の懐深くで過ごす一夜は、展望に勝るとも劣らないかけがえのない時間でした。

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目指す頂きは この後 登頂まで姿を隠します
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この季節 青空と風は 別物です
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つづら折りが終わる2100m付近は 木漏れ日ゾーン
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トレースの変化に対応しながら進みます
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大きな勘違いをした 小さな世界…
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つぼ足山行は 試練と我慢
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13時40分 奇跡のテント場に到着
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待ちに待った 南ア北部の名峰たち
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森林限界に向かって…
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遂に森林限界を迎え 展望が待つ岩稜帯へ…
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まずは 富士山からの南アルプス…
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続いて 南アルプスからの中央アルプス…
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最後は 中央アルプスからの御嶽と乗鞍岳
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空を眺めれば 岩と雪の世界
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厳冬期の風と共に まずは偽ピーク へ
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ピークに向かって 最後の登り
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富士山やアルプスを眺めながら 雪山を楽しみます
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このルートで最も好きな場所
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次の朝には 崩落したエビの尻尾…日々 変化です
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2月ともは思えない富士山ですが 日本一には変わりなし
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歩いた文三郎ルートを目で追いながら…赤岳
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風を除けた場所からの「阿弥陀岳
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雪面の山脈は 緩やかでした
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厳冬期「編笠山」… 見るものは全て見た気持ちです
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この景色と出逢えたことに感謝
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パノラマの下りは 編笠山の代名詞
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初めての夕暮れ迫る景色は これが見納め
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水を作りながら眺める「雪行灯」
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安定の美味しさに 自画自賛
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風がないため 意外と寒さは感じません

2月6日
上空を過ぎて行く風の音が一晩中聞こえていたように思えます。テントを始めた頃だと気になって眠れぬ夜になったかもしれません。経験は耳栓よりも効果が高く、今ではテントを揺らすほどの風が吹いても眠れます。予報では午前中は稜線に雲がかかるとのことでしたが、昨日同様、雲ひとつない快晴になり、これでは夜明け前に展望地まで登って写真を撮れば良かったかと思いました。
今回のように山行途中で幕営地を変更したのは2度目。前回は5年前の黒戸尾根。その時も山行前日に降った雪の影響で七丈小屋へ辿り着けず、五丈小屋跡に張りました。人の気配が全くない雪のテント場。聞こえてくる風と梢のハーモニー。灯りは自分達のテントだけで真の闇が見える世界。
早朝と同様、昨夜、夜景撮影に向かえなかったのは、体力ではなく気力の問題。私達が計画する冬山テント山行は体力より気力が落ちた分、標高を下げなければなりません。昨日の山行は今後の計画に転機を促す、ひとつの分岐点になったことは間違いのないことです。
朝食をとり、撤収の準備も一段落したところで、一人、森林限界地点まで向かうことにします。最後にもう一度、眺めておきたい気持ち。気力が体力を上回った瞬間です。
空荷とは言え、冷えた身体で急登に取りかかるため、慎重に歩き始めます。昨日、午後の斜陽を受け、黄砂の影響で黄色く染まった中央アルプス方面の空。今朝は青波がどこまでも続いています。槍ヶ岳を眺めるところまで登り、手当たり次第と言っていいほどシャッターを押し、気が付けば寒さで指先に痛みを感じます。迂闊にも、行動用のウール手袋のみで撮影していたためです。もう十分であろうと思えたところで戻り支度を始め、いつものように手袋の中で指先を温めようと拳を握ったところ、左右両方の指数本、第1関節から先が固まっています。感覚はありますが、触れる感覚はありません。正直、焦りました。ずっと握って温めたいものの、樹林帯まではピッケルが必要で、握らないわけにはいきません。逸る気持ちを抑えて樹林帯に戻り、しばし立ち止まって「戻れ、戻れ」と祈りながら指先を温めます。ほどなく、感覚が戻り始め、かゆみと痛みが継続して生じます。この時点で初めて指を見ると、指先が少し赤くなっている程度で、大事には至りませんでした。時間にして10分程度ですが、冬山では「これぐらい」は禁物です。
今回の山行はトレースと言い、直下のテントサイト、そして凍傷未遂とギリギリのところで事なきを得ました。久しぶりであったことを含め、油断のあったことは否めません。また、慣れた山、快晴、最後かも知れない等、様々な要因が思考力を鈍らせています。取りあえず、安全に下山したことは、山行が成功したことの証しですが、正解だったかどうかは言い切れません。
昨日と打って変わってゆっくりとした時間を過ごし、いよいよ下山することに。本当に奇跡的なテントサイトを作って下さった方にあらためてお礼を伝え、昨日苦労した道を戻り始めます。つぼ足だったトレースは、週末登山者のお陰で一本の道になり、夏道より歩きやすくなっています。それこそあっという間に下山した感じで、急坂を下り終えた1,800m付近の明るい林で、春の陽気を思わす暖かな陽射しを受けながら、ランチタイムとしました。白樺林と雪景色。ホームや地元では味わえない雰囲気。今後、雪を踏みたくなったならば、スノーシューハイクへと移行するのも時の流れだと思います。
最後に青空の下、お椀のような頂を見せる編笠山に別れを告げ、人工的にクールダウンさせるいつもの…。

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昨日とは違う 今朝の登り坂
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振り返って眺める景色にも 親近感を感じます
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森林限界を超えて 北岳甲斐駒ヶ岳仙丈ヶ岳
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白き山嶺が輝きを増す 朝の展望
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全ての景色は「一期一会」
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このまま山頂に登ってしまいたくなります
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諏訪湖越しの北アルプス 編笠山らしい景色
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いつの日か 頂きに立ってみたい…北岳
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登頂よりも 印象深い 冬の黒戸尾根山行…甲斐駒ヶ岳
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初めての南アルプスはここから…仙丈ケ岳
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雪景色はいつも遠望…木曽駒ケ岳
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今年は頂きに立つのだろうか…御嶽山
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永遠の憧れ…槍・穂高連峰
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思い出に残る一晩を過ごさせていただきました
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唯一心配だった頭上の雪…
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下山中 最後の展望に感謝
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つぼ足は 見事なトレースに 進化していました
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1本の高速道路が 林の中を突っ切ります
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忘れられない 勘違いの場所
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春を思わす 日当たり良好の林
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何気ない注意書きを胸に 下山します
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しばらくは レンズ越しのにらめっこ
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この道も これが最後の見納めでしょう…
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テントを張ったのは どこだろう…
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山頂から眺めても 麓から眺めても 素晴らしい山に変わりなし
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いつかこの展望を 皆と揃って 眺めましょう
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昭和感たっぷりのお店で いつもの…

雨が降る前に ホームで参拝

1月28日 三重県入道ヶ岳
平日の曇り空。まだ参拝者の姿がない椿大神社の横を抜けて、駐車場に向かいます。

休みと天気が合わないまま1月を終わろうとしています。年末に降った雪も各地で貯金を使い果たし、期待されたほどにはなりませんでした。そんな中、新春を祝う春告げ花「福寿草」の便りが届き始め、行先を雪か花か決めかねていましたが、所により午後からにわか雨の予報に、ホームの中ではショートコースとなる入道ヶ岳に決定。ルートは福寿草が咲く井戸谷ルートを登り、前回下りに利用した北尾根ルートは駐車場への登り返しがあるため、南側の二本松尾根ルートを利用した周回コース。さて、福寿草を見つけることが出来るのかと思いながら、まずは序盤の核心部に向かって集中します。
入道ヶ岳は鈴鹿山脈南部に位置する標高906mの山。登山口は今回利用する椿大神社や北の宮妻峡、南の小岐須渓谷等があり、四方にルートが広がることから、そのなだらかな山頂付近を想像することが出来ます。また、主脈から見れば前衛峰の立ち位置で標高1000m未満と合わせて、ホームの中では比較的登りやすい山です。
井戸谷ルートは樹林帯から始まり、核心部となる小さな滝が続く沢沿い、そして最後、伊勢湾や山麓の町並を眺めながらの笹原急登となっています。中盤の沢沿いでは、要所にロープが張られ、また、雪解け時には落石の巣になることから、下りよりも上りで利用されることをお勧めします。(登山道には、20年3月 下山時に滑落の注意書きがありました)
序盤の樹林帯は急坂で身体が馴染むまでは慌てないことが後半の笹原急登に繋がります。3番ポイントにある祠には横着をして登山道から安全登山を祈願。その後、避難小屋までは短いロープ場や細い道もあり、核心部への準備運動になります。樹林帯も切れ始めた明るい沢沿いで、1本の木に群れる鳥を発見。八ヶ岳ではお馴染みの「鷽(うそ)」でした。鷽と言えば、新年の「鷽替え神事」が思い起され、名前が「嘘」に通じることから、昨年の災厄、凶事が嘘であり、今年は「吉」になることを願って行われます。「替えましょ 替えましょ」の掛け声はありませんが、本物の「鷽」と出逢い「吉」になるよう願わずにはおれません。
美しい沢は危険と表裏一体。落石、滑落、転倒。まさに鈴鹿アルアルです。ただし、注意が必要な区間を過ぎれば、沢と自然林が一体となった、これも鈴鹿らしい道が待っています。
お目当ての福寿草。前回は2年前の3月。群生地は登山道から逸れるため、そのポイントを思い返していました。ここだと思う地点で入り込みましたが、確信が持てず、周囲に株を見つけることが出来なかったため、引き返しました。結果的には、更に入り込まなければならなかったと思いますが、次回の楽しみとなりました。
そして、最後の笹原登り。井戸谷ルートのメインストリート。徐々に広がる山麓の景色と前方の笹原。数年前、真っ白く染まった雪の斜面にトレースを引いた谷。微妙な曲線が演出する稜線までの道は思ったほど長くありません。稜線に合流すれば、北の頭から奥社を経由して山頂に向かう山頂周回ルートもあります。
入道ヶ岳はアセビの山。県の天然記念物にも指定されています。そのアセビのトンネルを抜けた先にある鳥居は椿大神社奥宮。この入道ヶ岳が御神体になっています。笹原のゆるやかな山頂付近は360度の展望で、晴れていれば北アルプスに白山、伊勢湾越しの知多半島などを眺めることが出来ます。高曇りの今日でさえその眺望は素晴らしく、風も穏やかであったことから、昼食とともに満喫しました。
下山時に利用した二本松尾根は急坂の印象が強いルート。その核心部でちょっとしたことから拳大の石を落としてしまい、幸いにも登山者が居なかったため大事に至りませんでしたが猛省。加害者、被害者も表裏一体。忘れがちなことを胸に刻んだ出来事です。
後半は樹林帯の中、変化のない道が続き、河原が見えれば駐車場に到着。片付けをしていると霧雨が車体を濡らし、山頂付近は霞んできました。
下山後は、参道にあった日本茶カフェでいつもの…(笑)。

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通報ポイント設置は それが必要なルートだということ…
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登り初めが急なことは 鈴鹿アルアル
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長居は無用「落石の巣」
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残雪期は 右側からの落石に注意
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今は 左側への滑落に注意
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今年初の花…ネコノメソウの仲間
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実?を食べるのに一生懸命…鷽 (トリミング処理)
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今日は深く沈んで見えました…伊勢湾
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ホームらしい 沢沿いの冬枯れ道…美しい
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さて メインストリートへと参りましょう
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名残雪となるのでしょうか…
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曇り空でも明るい山行が楽しめるルート
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思った以上に 斜度があります
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山麓の景色を楽しめるのは ホーム随一
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稜線に出れば 更に景色が広がります
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アセビのトンネルは 入道ヶ岳の代名詞
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振り返り アセビ越しの鎌ヶ岳と御在所岳
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鳥居に続くこの道も 代名詞…
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貸し切りの山頂広場で 久しぶりの…
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見守っていることを実感できます
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主峰「御在所岳」は やはり貫禄がありました
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雪景色になることを祈って…
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再び アセビのトンネルを抜けて 帰ります
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椿大神社の森を眼下に 中央を横切るは新名神高速
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家庭では味わえない日本茶で いつもの…(笑)

2021年初登りは モノトーンで開幕

1月11日 奈良県三峰山
3連休の最終日。自宅から最も近い霧氷の山の駐車場に向かいました。

関西で霧氷の山と言えば「金剛山」「高見山」と、ここ「三峰山」。シーズン週末は霧氷バスが運行され、公共交通機関利用者にも門戸が開かれます。山域は台高山脈から派生する高見山地東部に位置し、奈良県三重県の県境尾根を歩く「新道ルート」等、複数のルートがあり、登山口は南北両県にあります。また、三重県側の山麓には中央構造線が露出した国の天然記念物「月出露頭」。そのスケールの大きさは地球規模です。
私達は自宅から40分程度で着く、奈良県御杖村にある登山口から山頂を目指します。ここを起点に、不動滝、登尾、新道の3ルートがあり、不動滝↗ 登尾↘ がマイルート。その理由は、下山時の林道歩きを短くすることと、急坂は上りに利用することの2点です。
林道に入ると先日降った雪が所々に残っており、やがて白一色に覆われていきます。そんな中、道端の側溝に沿って飛ぶ鳥の姿。飛んだ瞬間に見えた青い羽根に「ルリビタキ」であることがすぐに判りました。その後数分間、私達を先導するかのように一定の距離を保ちながら飛び、林の中へと飛び去っていきました。登り初めで出逢えた青い鳥。幸先の良い始まりとなりました。
林道から分かれて約10分でルートの名前になっている「不動の滝」に到着。氷瀑の進捗状況は3割程度でしょうか。両側が迫った谷の突き当りにある落差21mの滝は、小さな滝をいくつも従えた堂々たる姿。行場であることからも神秘性も感じます。
ここからしばらく続くつづら折りの急登。昨日までの寒波は幾分落ち着き、体温は一気に上昇します。汗冷えをしないように注意しながらも、出るものは抑えられず(笑)、それでも登尾ルートと合流する頃には気温が下がることを実感でき、いよいよ冬山らしい雰囲気になってきます。
今日は高曇りのため、太陽を浴びてきらきらと煌めく霧氷にはなりませんが、色を無くしたモノトーンの世界は晴れの日とは違う世界を演出し、見た目以上の透明さを感じます。「三畝峠」が県境稜線。以前は下山ルートとして、この尾根を歩く新道ルートで周回していましたが、最近は今日のルートばかりです。
ここから先は更に開放的な林を一色に染める「霧氷大通り」を歩くことになり、時の流れを忘れさせます。最後の分岐点は「山頂」と「八丁平」。八丁平は山頂の南側に広がる笹原の台地。アセビやゴヨウツツジが巨大な日本庭園を飾り、そこに至る樹林帯を抜けるルートは山頂からの下りよりも、トラバース道からの方が立体的な美しさと広がりを感じることが出来、その一本道を歩くことは、まさに、三峰山へのレッドカーペット。まず、目に飛び込んでくるのは、霧氷の林へ適度に配置された針葉樹。その濃淡は光溢れる晴天よりも、今日みたいな曇天の方が際立ち、繊細なグラデーションも浮かび上がらせます。
三重県側からのルートと合流すれば、台高山脈からの派生する多くの山稜が一望でき、眼下に飯高の町並を見下ろせます。この急峻な山腹の地下に中央構造線紀伊半島を横断し、四国へと繋がっています。とてつもない力と時間が眼下の景色に影響しているのではと想像できる三峰山の隠れた魅力です。
さて、八丁平からもうひと登りで円形ステージと呼ぶ山頂広場。そこだけ切り取ったような一角からは、室生火山群の峰々が霧氷フレームの奥にひっそりと佇んでいます。
最も霧氷が美しいと思うのは、山頂から八丁平分岐点までの稜線。八丁平が「全体」を楽しむのなら、ここは「個」を楽しむ一本道。その道を少し外せば、膝下まで埋もれる箇所もありました。合流までの道は、まだまだ続く霧氷を名残惜しむ時間でもあります。
お昼を山頂で過ごそうと大勢の方が登って来られる中、山麓の集落にあるお目当ての食事処を目指して下山したバンビーズ。家を7時に出発して、昼前には下山できる環境に感謝です。
下山後は、自家製でいつもの…(笑)


今年も安全登山をお願いします…ルリビタキ(トリミング処理)

林道歩きが 三峰山への準備運動

氷瀑へは始まったばかり…不動の滝

登山道から少し離れて「不動明王像」

暑くはないけど 汗ばむ登り

登尾ルートと合流すれば 世界が変わります

この案内板を過ぎれば 着いたも同然 (笑)

今日はモノトーンの霧氷通り

八丁平経由で山頂に向かうのが 我が家流

ドア to ドア 3時間でこの景色

青空がなくても 美しい「八丁平」

今来た道を 振り返ります

この道を 下山に使いたくないのです

2021年 ようやく始まりました バンビーズ

八丁平から三重県側の展望…遠くに台高山脈

さて 山頂に向かいます

伊勢方面は 薄日が射しているようです

山頂からの展望は 室生火山群の「俱留尊山」

おらが山「尼ヶ岳」も 顔を覗かせています

コースを外れれば モフモフの膝下通り

一足早く 霧氷祭りを 楽しませてもらいました

山頂からの霧氷通りは 帰りがお薦め

登尾ルートは 変化に富んでいます

駐車場から見上げる稜線は 別世界でした

自家製ぜんざいを焙じたてのお茶で いつもの…(笑)

2020年登り納め…ルート本谷

12月27日 三重県御在所岳
晴れ予報を前日に知り、2シーズン振りの駐車場に向かいました。

先週のマキノ高原がバンビーズとしての登り納めになると思っていましたが、急遽、晴れマークと雪の状況が確認できたことで、1年10ヶ月振りにホーム鈴鹿、冬の定期便「本谷↗ 中道↘」を計画し、慌ててアイゼンの手入れをします。
駐車場に向かう車窓から見える本谷メインストリート。真っ白な1本の筋とは言えませんが、12月としては久し振りの景色ではないでしょうか。道端にはまだ雪が残る駐車場への道。ルート上にどの程度雪が残っているのか気になります。
10数台が停まる8時前の駐車場。数組の方が準備中でした。今年2月の東天狗岳以来となるヘルメット、アイゼン、ピッケルの3点セット。ここ数年、関西周辺の雪山はチェーンスパイクが多く、今シーズンは雪に期待が持てそうです。
本谷の入り口は「山の家」前。楽しみが緊張を上回る中、焦らないように自分を戒めます。ルート本谷は御在所岳一ノ谷をスカイラインから大国岩直下まで歩くコース。大小数々の滝や変化する川筋を全身運動でやり過ごしながら、最後はロープウェイ直下のメインストリートへ向かうバリエーションルートです。
堰堤広場におりると踝程度の雪。ここに雪があるとアイゼンを付けるのがマイルール。雪の状況でコースが変化する冬の本谷。今シーズンは雪と岩のミックスでスタートです。
広場を染めていた雪も樹林帯に入ると岩が目立ちます。岩間のトレースには何人かが歩いた形跡がありますが、それに頼ると歩けなくなるため、都度ルーファイをし、歩きやすい自分のルートを探します。最も、ルートが選択できるのは序盤だけで、やがて、歩ける箇所は限られてきます。
左岸の巻き道を過ぎると、いよいよ本谷ワールド。覆い被さった枝葉はなくなり、沢筋が開け、幾筋もの滝が現れます。それを横目にアイゼンの前爪を岩にかけて登る短い緊張と解放感の連続。本谷に戻ってきたことを実感できます。
前回、ここを訪ねたのは2019年2月。山友を案内しての山行でしたが、その日は雨上がりで雪も今より少なく、アイゼンも不要。ただ、濡れた岩と踏み抜きの雪に注意が必要な状況でした。それに対して今回は、薄くもなく厚くもない着雪で、ピッケルが大活躍。又、手掛かりが少なくバディが登りにくそうであれば、躊躇なくスリングで補助する機会が何度かありました。これまでの経験に頼ることなく、現状を理解した対応力は今後一層重要になってきます。
二股を右に進めば白い鉄塔が見え、赤いゴンドラが遊園地の乗り物にように愛嬌を振りまく上空。視線を戻せば谷が狭くなり、いよいよ終盤に差し掛かった現実に引き戻されます。ほとばしる水飛沫の大黒滝を過ぎれば最後の二股。ここは広い斜面となった左股に進んでしまうことが多い分岐点。ポイントは沢筋から離れないこと。大黒滝を巻くように鎖場を過ぎ、「側溝滝」と僕が呼ぶ、浸食した岩を滑り落ちる滝が現れます。この巻道が力業の必要な個所で、次に現れるジョーズ岩への関門と言ったところでしょうか。
ジョーズ岩。今回、数年前に設置された鎖が無ければ、水に打たれての穴くぐり。岩寄りに鎖を導いた後、それを利用したバディはいつものように登り終えました。しかしここは「後悔先に立たず」の場所で、スリングを利用した簡易ハーネスを付け、ロープで確保した上で鎖場にかかるかどうか、判断に迷うところです。
メインストリートを登るにつれ、雪質は目に見えて良くなり、小さな粒が堆積するパウダー状態。恒例(笑)のゴンドラ手振りを楽しみながら、一歩一歩の積み重ねで本谷終了点に到達。最後の難関、大黒岩への直登はロープの力を借り、ピッケルとアイゼンの補助で通過。ここまで来れば一般道に合流し、ひとまず一息つけます。山上公園ではソリ遊びをする親子連れで賑わいをみせ、霧氷目当ての観光客も大勢訪れています。そんな中、ピッケルをぶら下げ、ヘルメットにアイゼン。そして、袖を捲った姿の私たちは奇異に映ったことでしょう。
絶好の登山日和の中、雪の本谷を楽しめたことは、いろんな出来事があった2020年の登り納めとしては最高でした。来年も可能な限りで山を楽しめればと思います。
下山後は、久し振りに訪ねた御在所岳とセットのお店でいつもの…(笑)

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朝陽に染まる 御在所岳と本谷メインストリート
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冬季閉鎖中の鈴鹿スカイラインからの御在所岳
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思った以上に雪が残っていました…堰堤広場
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これぞ本谷序盤…ルートは直進あるのみ(笑)
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ほど良い緊張感が バリエーションの好きなところ
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ミスター本谷「不動滝」…いつ見ても神秘的
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巨大な岩が点在するのも 本谷ワールド
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トレース(右岸)を振り返ります…歩きやすくなってきました
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力業その1…160cm以上あれば難なく通過
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力業その2…大黒滝の巻き道は岩とのミックス
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力業その3…側溝滝の巻き道は 一番のロング直登
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青空がお似合いの 門番「ジョーズ岩」
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近年は ジョーズ岩の鎖に 助けられています
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本谷メインストリートの別名は「手振り街道」(笑)
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S34 建設 高さ61mの6号支柱は日本一(当時は世界一)
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アイスガーデン…上から見ますか? 下から見ますか?
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歩きやすいが この辺りは 30度を超える斜度
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登山日和は 景色に余裕を与えてくれます
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陽の届かぬ メインストリートも そろそろ終盤
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最後の関門…大国岩への登り
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締まった雪は 気持ちよく登れました
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大国岩より…右端が「富士見岩」
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何とか通行可能でした…右側はアウト!
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本日のピーク「展望レストラン ナチュール」
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ようやく青空の雪景色と 出逢えました
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鈴鹿奥座敷「イブネ」の奥に比良山地「打見山」
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ホーム北部へと続く 雪景色のグラデーション
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精霊の居ないここは 輝く霧氷がお似合いです
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名物「御在所カレーラーメン」と屏風絵「鎌ヶ岳」
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本日のピークから大国岩(右端)
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富士見岩から鎌ヶ岳・大国岩・本谷メインストリート
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一般道「中道」…8合目岩峰手前の鎖場
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中道のメイン「キレット」…鎖場は岩の裏側
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キレット上部から見る 鎌ヶ岳と白鉄塔がお気に入り
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いつもの場所で いつもの振り返り…LOVE HONTANI
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いつかは ゴンドラから眺める日が来るのだろう
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素晴らしき主峰「御在所岳」に感謝
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往きと帰りでは景色が異なる 鈴鹿スカイライン
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ホーム鈴鹿の冬は 始まったばかり
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時間を戻して…雪を連想させる生クリームで いつもの…(笑)