Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

秋の周回と木枯らし1号

10月23日 奈良県薊岳
近づくにつれて雲が多くなるのはいつものことと思いながら、駐車場に向かいます。

僕が精霊の森と呼ぶ明神平。凍てついた冬、ミルキーウェイに閉ざされている森は、人を寄せ付けない世界。この明神平へは四郷川に沿って向かうのが一般的なルート。この他に、バス停大又から縦走するルートがあり、そのルート上の最高峰が薊岳 1,406m。その頂は明神平のある台高山脈から、西に派生する支尾根が南へ折れ曲がったところ。明神平から見れば、お椀を伏せたような形の頂は、いつも目に留まっていました。とは言え、駐車場からバス停までは林道を1時間近く歩くため、計画することはありません。近年、その稜線上にある1334Pへダイレクトに登り、薊岳からの霧氷を楽しむレポを見て、冬の前には試登しなければと思っていました。このルートは林業用であり、地図上に示されておらず、急登が続きます。登山口は駐車場から林道歩きを始めてすぐに現れる鉄階段。ここから稜線までは、ほぼ直登で向かいます。随所にテープが巻かれており、目印がたくさんあるものの、900m付近のトラバース道へは入り込まないよう注意が必要です。「稜線まで上を目指すこと」が、このルートの原則。
1200m付近からの自然林に合わせて、傾斜が更に厳しくなる、このルートの核心部。歩いた感覚としては、滑落のリスクはあり、雪があれば尚更でしょう。そのため、私達の中では、このルートを利用する選択肢はなくなりました。
稜線に立てば、木々の向こうに薊岳。近くで見てもこんもりと盛り上がっています。色付き始めた葉やすでに赤い実のみを残す木。苔の緑が赤茶けた落ち葉道の縁を飾る縦走路を西へ向かいます。今日は木枯らし1号が吹く予報の関西。稜線を抜ける北西の風に、今シーズン一番の寒い山行となりました。
南に折れると、広かった尾根は急に細くなり、やせ尾根は頂まで続きます。特に北側は切れ落ちている箇所もあり、注意が必要でした。こんもりした姿から丸みのある頂を想像していましたが、地形図でも判るように、細長い山頂部。規模は全く異なりますが、ジャンダルムと同じ見え方であることが登ってわかりました。岩が点在し始め、切れ落ちた先に細い立ち枯れが1本。薊岳の山頂です。
コブのように稜線から飛び出た山頂は、大峯奥駈道台高山脈の「台」である大台ヶ原から「高」の高見山へと続く稜線。また、奈良盆地や大阪方面の街並みに地元、おらが山まで見事な展望でした。そして、台高山脈の稜線上に見える開けた場所がこれから向かう「明神平」。まずは、来た道を戻ります。
登り詰めた1334Pで10名ほどのグループが休憩をしており、その後、10数名の方が薊岳方面に歩いて行かれました。その人数を許容できる山頂ではなかったため、事故がなければと思います。冬、霧氷のトンネルが続くだろう歩きやすい稜線をのんびり歩いて前山へ。山頂部にあった大きな倒木を風除けにし、昼食タイム。しばらくすると、青空が広がり始め、太陽の暖かみを全身に感じます。
最近は明神平までが多く、しかも冬のミルキーウェイ。この前山は県境を除く三重県の最高峰「桧塚奥峰」で幕営して以来の8年ぶりでした。明神平へ下る際、道の両側を埋めるシダは赤くなり始め、青空とともに新鮮な風景。関西の山でも稀有な世界の明神平。この緩やかで、おとぎの国を想像させる場所は貴重な存在です。
今年はこんな空の下、白く染まった精霊の森を訪ねることが出来るのだろうか。でも、晴れていれば、精霊を感じることは出来ないだろう…。期待と不安が交差しながら、シンボルツリーのもとへ。数張りのテントが点在する明神平からは、いつものように薊岳を眺めます。先ほどまで居た頂には、いつもと違う思いが繋がりました。
下山後は、自宅と反対方向に車を走らせたお店でいつもの…。

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登れども 登れども…時間が経たねば稜線に着かず
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落ち葉が美しい季節になりました
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間近でも見ても いつもの雰囲気…薊岳
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写真だけ見れば 暖かな稜線
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赤い実りが 稜線を飾ります
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大通りから路地裏に入った感じの尾根歩き
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この岩を覆うには どれほどの時間が…
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明神平の山荘が 遠くに見えました
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山頂はこの道を過ぎてから 眺めましょう
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青山高原と俱留尊山 そして おらが山(右から2番目の頂)
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やっと立てた感じが強い 頂です
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これから向かう明神平と前山への稜線
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秋色が 台高山脈を縁取ります
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関西の前穂高北尾根…大普賢岳ファミリー
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霧氷も良いだろうけど 落ち葉道も素敵
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足元の小さな森に 風が吹き抜けます
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素晴らしい防風林でした
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8年振りのとは思えなかった この展望
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今は 森の精が 踊り始めそうに思えました
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シダの一本道が 明神平へと導く
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晴れ間の明神平は 遥か彼方の記憶
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「孤高の貴婦人」は いつでも 素敵です
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次は霧氷の世界に立ってみたい
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では また…
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頭上を飾る紅一点
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扉を開ければイタリアの風で いつもの…

霊峰とともに 秋のテントライフ

10月15~16日 愛媛県瓶ヶ森(かめがもり)

10月15日
核心部の林道を抜け、日帰り登山者で賑わう駐車場に着きました。

四国の名峰「石鎚山」。山岳信仰の山として日本七霊山のひとつです。その石鎚山脈にある「瓶ヶ森」。山名に「森」が付くのは、この地域の特徴で、山頂が森になっている訳ではありません。稜線上には、男山(1,830m)、女山(1,897m)のピークがあり、三角点のある女山に「瓶ヶ森」の標識があります。
この山は初めて石鎚山に登った時に知り、2020年の登り初めで見た山頂部に広がる笹原と急峻な中腹部。そして、その峰に続く石鎚山脈の稜線。本州では味わえない印象的な景色。調べると、キャンプ場もあることが判り、いつの日かと思っていた6年越しの山行計画。
当初の予定は立山雷鳥沢3泊4日。ところが、17日の天気が悪く、晴れた地域を探した結果の計画。1泊2日に減りましたが、残りは観光登山家らしい行程を組みます。
早朝、自宅を出発し、核心部の瓶ヶ森林道、通称「UFOライン」へ。この道は中盤以降、尾根沿いを走る展望道路ですが、途中、連続カーブはもちろん、基本1.5車線の道路で、すれ違い困難な箇所も多く、1時間以上も緊張が強いられます。
キャンプ場は第1、第2があり、駐車場に近いのは第2。私たちはトイレが整備され、女山に近い第1を選択。遠いと言っても、ゆっくり歩いて30分。最大高低差も70m程です。早速、駐車場で石鎚山と再会。向こう側から眺めた場所に立つことは、立体的にその山域を理解し、思い出も重なります。
左側に石鎚山、右側に氷見二千石原と呼ばれる笹原と瓶ヶ森を眺めながら進む一本道。あっという間に避難小屋へ到着し、そこから林を抜ければ、ベンチが目印のキャンプ場入口に到着。テントサイトは登山道から下がった先にあり、その途中にも1~2張のサイトが数段。今宵の宿地はテントから石鎚山を眺めることの出来る最上段としました。
午後から瓶ヶ森に向けて出発。第2キャンプ場を経由して、瓶ヶ森の語源になった「瓶壺」に立ち寄り、そこから駐車場近くまで戻ってからの登山開始。まず男山に登り、女山瓶ヶ森)から第1キャンプ場に戻る周回ルートです。第2キャンプ場のある旧白石小屋へ続く道は腰高までの笹を掻き分けて進まねばならず、足元の注意が必要でした。午後になって気温が上がるにつれ雲も上がり、石鎚山が隠れることもありますが、夕方に雲が上がると思っているため、今はその変化を楽しむ余裕があります。水場とされている「瓶壺」には、イシヅチサンショウウオが生息しており、運良く見ることが出来ました。また、版画家の畦地梅太郎さんの作品で「石鎚山」を描いたものが数点あり、我が家にもあります。その作品を描いた場所がここ瓶ヶ森。場所の特定は困難でも、想像は景色以上に広がります。こうした登山以外の要素が詰まった「見て」「感じる」前半部分です。
昼下がりの陽射しが容赦なく照り付ける中、本格的な登りになり、岩の先端に立ち止まって一休みすれば、広大な笹原の海へ飛び込めそうな錯覚に陥ります。笹原の反対側は、核心部UFOライン。吉野川源流域から立ち上がる山腹に引かれた道路は、日本と思えない開放的な景色を見せています。
祠が祀られた男山。そこから女山へは緩やかに続く道。この稜線は見る場所によって新たな興奮を覚える世界観。遠く雲の上に顔を出す石鎚山と針葉樹林。そして一面に広がる笹原。奥深さと色調の連続変化を伴った景観は女山に登ることが勿体ないとさえ思わせます。山頂では幾分傾いた太陽が一足早く秋の夕暮れを感じさせ、眼下で踊る雲にブロッケン現象と似た光輪が映し出されていました。
テントに戻り、ベンチで夕食の準備をしていると、途中から始まったマジックアワー。これまでの山行史上稀にみる夕暮れショーの始まりは、調理をしながらの慌ただしいもので、撮影、調理、撮影、食事、撮影…。17時までに食事を済ませておくべきだったとは「後悔先に立たず」。この後、山麓の夜景が瞬くまでの時間は、生涯語れるものになりました。
木星土星を連れた上弦の月は、林の小道に影を浮かび上がらせ、天の川の流れを止めます。静かな静かな夜。これが私たちの求めるテントライフ。

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前方に今日の稜線…UFOライン
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堂々たる姿の美しさ…石鎚山
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午後から歩く稜線と並走して 第1キャンプ場へ
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石鎚山が見守る テントサイト
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キャンプ場から振り返れば 青空と瓶ヶ森
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メインストリートから外れれば この通り…
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これほどまでの笹原は 初めて…氷見二千石原
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石鎚山の賑わいが嘘のような 静寂さ
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修験の山らしく 厳しい登頂への道…子持権現山
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一気に高度を上げる男山への道
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特徴は花弁の紅色筋…シコクフウロ(イヨフウロ)
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リンドウは あちらこちらで 咲いていました
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一部を切り取って 秋を味わいます
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10月の陽射しとは思えない
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頭を雲の上に出し~♪ これも山の醍醐味
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女山瓶ヶ森)からの稜線とUFOライン…男山頂上
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見た目以上に穏やかな稜線
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振り返って 男山からの稜線と石鎚山
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瓶ヶ森に続く 最後の一筋
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午後の光は一期一会
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石鎚山脈の稜線が彼方へと…女山頂上
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二千石原を二分する 駐車場への道
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雲が上がり始め マジックアワーの訪れ
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時間に合わせて 主役の登場です
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雲が湧いてこその 茜空
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再び 顔を出した夕陽は 蜜柑色
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時が見えそうな 今日の夕暮れ
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静かに そして長く続く 秋の黄昏
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夜の帳が マジックアワーの終焉
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小屋の灯りと星明り 瓶ヶ森には マイハウス

10月16日
最近の山行で、体力以外に回復したのが「気力」。2月の編笠山山行で消えかけていた灯火に、「欲」という酸素が送り込まれ、CT40分の瓶ヶ森女山)に向けて夜明け前山行。
5時前、テントから顔を覗かせば満天の星。予報では雲が湧き、西風が吹くとのことでしたが、雲海から昇る朝陽やモルゲンロートの石鎚山を想像し、オリオン座が照らす笹原の登山道を登り返します。
「ヘッデンの灯りだけで登るのはいつ以来だろう」と思いながら、まだ起ききれていない身体に気を配ります。中腹で星空撮影をしているグループを通り過ごしてからの登頂。慌てずに登っても20分弱で着いたのは、やはり、山に入り始めたからであり、もう少し頑張ってみようと更なる「欲」が高まります。
山麓の夜景と東の空に走る一筋の光明筋。しかしそれも束の間で、西風が雲を連れてきます。標高を下げた方が展望は良いのではと、男山を目指そうかと思いましたが、予定外の行動は事故の元と思い直し、一瞬の雲間に期待します。その後、雲のカーテンが開く度に漆黒の空が明けていく様子を感じます。ただそれを撮影しても、その空気感が出せないのは、自分の力量と諦めます。
今日の日の出時刻は6時過ぎ。この頃になると一向に雲が取れる気配はなく、西の空ではすでに太陽が昇ったことを教えてくれます。6時30分を下山時刻と決め、バディに連絡。少し下って振り返ってみると、やはりガスは稜線部のみ覆われていました。素晴らしい展望は昨日に満喫しており、これもまた新しい世界観。陽射しを受けない笹原は悠久の時を感じさせ、霧がかかった立木は晴れ間より風情があります。対面の石鎚山も暗い雲が稜線を覆い、その姿を望める雰囲気はありません。今日は冬曇りを思わせる空。モノトーンに染まった世界に紅葉した葉が映えます。
瓶ヶ森の周回ルートは、男山を先に登る左回りと女山を先にする右回りがあります。左回りは駐車場からの直登で始まり樹林帯からの男山登頂。右回りは瓶ヶ森をトラバースする道から笹原の女山直登。個人的感想としては、急坂を登りに利用するのが常套ルート。また、真正面に石鎚山を眺めながらの下りになる左回りがお薦めです。
午後遅く雨になるという予報でしたが、今にも降り出しそうな雲行きに、予定を早めて下山準備にかかります。天候次第で雰囲気の変わるテントライフ。「昨日があっての今日」です。
出発間際、細かい雨が降り始めたものの、降雨までには至らず。お世話になったキャンプ場にお礼を告げて出発。早くも周回をされてきた方やこれから瓶ヶ森に向かう方とそれぞれですが、天候に左右されることなく、この氷見二千石原の景色を満喫されていることでしょう。
岩峰「子持権現山」が間近に見えると駐車場。谷から沸き起こる雲が、修験の山らしい厳しさを醸し出します。半時間もかからずテントサイトに到着できるアクセスの良さは何度でも訪ねてみたい場所ですが、自宅からの距離を考えれば、次回の予定は立ちません。
雨の気配がなくなったため、駐車場でコーヒータイム。昨日の景色をオーバーラップしながら石鎚山を眺めていました。平日の昨日より駐車台数が少ないのは、やはり天気の影響でしょう。
この後、UFOラインの終着点「石鎚山登山口」に移動し、石鎚神社土小屋遥拝殿に参拝。そこに向かう途中で見た瓶ヶ森は、笹原の山頂部を残し、巨大なスプーンで掬い取ったような山体で「鎧を纏った女王」のように思えました。昨日、あの頂に立ち、こちらを眺めていた。ここでも思い出が重なりあって、この山域は更に近くなりました。
下山後は、眺めていた夜景の町でいつもの…。

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町は眠らない…西条市新居浜市
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昨日の黄昏と この暁の空は 続いている
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「春は、あけぼの…秋は、夕暮…」ですが 秋の曙も素敵です
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この後 山頂は 永遠のミルキーウェイ (笑)
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さて 昨日とは違う光で 戻りましょう
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朝の冷え切った空気とこの景色が 身体を浄化します
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振り返ってみれば 稜線を覆う ミルキーウェイ
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旧ヒュッテの右上が 第1キャンプ場
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今日は 石鎚山も 姿を現さないでしょう
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下界は 晴れる様子です
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快適な時間を過ごせた 第1キャンプ場でした
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昨日を振り返りながら 駐車場まで戻ります
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紅葉の見頃は 1週間先でしょうか
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明日向かう 遥か彼方の 松山市
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モミ、ツガ、ササ等々の立体的な世界でした…瓶ヶ森
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関西とは異なる 四国の山深さ
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畦地さんの世界が 至るところにあります
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遠くの石鎚山より 近くの子持権現山…(笑)
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UFOラインで土小屋へ…瓶ヶ森と子持権現山
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0番は 寒風山登山口…UFOライン 土小屋(石鎚スカイライン終点)
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汗を流して登った昨日が 嘘のよう…男山
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UFOラインから瓶ヶ森女山)を見上げます…吉野川源流の碑
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吉野川源流は 入り組んだ谷
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まだまだ続く核心部…UFOライン
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陽射しの秋を表現した いつもの…

時代を巡る 登城ハイキング

10月9日 奈良県高取山
山麓の和菓子店に寄り、出発点の観光駐車場を目指します。

標高583.6mの高取山に建てられた高取城。奈良と吉野を結ぶこの地にその抑えとした役割を持ち、南北朝時代に造られています。幾多の変遷を経て、大小の天守閣を持つまでになりましたが、明治初期に廃城が決定し、今では石垣が残るのみとなっています。
元々城に興味があり、現存12天守を見てきましたが、城跡に興味を持ち始めたのは40代後半になってから。今では遺された石垣から当時を想像することが楽しみになっています。
この高取城跡の存在は随分と前から知っていたものの、山麓の街道までしか訪ねておらず、城跡には縁がありませんでした。今回、登るにあたって調べたところ、「日本三大山城」のひとつと呼ばれており、他の二城はすでに登城していた「美濃岩村城」「備中松山城」。自宅から最も近い城が最後とは、物事アルアルです。また、行くことを決めた後、読んでいる短編集に高取城が舞台となっている話が出てきて、今回の山行に縁を感じます。
高取城大手筋に続く旧城下町の通りは「土佐街道」と呼ばれ、松ノ門や長屋門などの遺構を通り過ごし、人工林の急坂に迎えられてから、大手筋の入口にあたる第一の城門「黒門跡」となります (以下、跡は省略)。この辺りは「別所廓」と呼ばれ、最初の要であったと思います。そこを過ぎれば「七曲り」。各地の登山道でも〇〇曲りはありますが、ここでは防御と攻撃の意味合いが含まれています。次のポイントは「一升坂」。緩やかに真っすぐの道が林の中へと消えていきます。
踊り場のように少し広くなったところにあるのが「猿石」。アニメ映画に出てくる結界石のように思えました。そして、すぐに二ノ門となり、ここから時間が一気に遡ります。
三ノ門手前にある国見櫓への分岐点。石垣に気を取られていると通り過ぎてしまうことでしょう。この場所からは大和三山や河内へ続く街道など大和を一望出来る、正に「国見の地」。天守閣よりも展望が良い場所でした。
元来た道に戻り、この後も続く門跡の石垣。折れ曲がりながら続く道を歩く気分は、天守へ登城する武士か商人か敵方か…。
そして全ての道がここに続く「大手門」。その石垣だけで当時の迫力が伝わってきます。
広くなった二ノ丸から見える太鼓櫓と新櫓の石垣。やっと大手門を抜けたと思った矢先の石垣に戦意喪失の私です。ところが、次に現れる本丸の高石垣に比べれば半分程度のもので、正に本丸の石垣が「最後の砦」と言ったところでしょう。天守閣に三等三角点が設置され、登城とあわてせて高取山に登頂。
この頃、奈良の娘と呼ぶ山友が山麓土佐街道を訪ねており、約1年振りの再会には至りませんでしたが、ここでも高取城との縁を感じました。
重機のない時代にこれらの石垣に加え、天守、櫓、門などの建築を行い、加えて、急峻な山の上に建てる。当時の人々の暮らしを思わずにはおれません。栄華な部分とその影。シダや苔等の草に覆われ、崩落している箇所も多くみられた石垣は「つわものどもがゆめのあと」の世界です。
数多く登ってきた山城の中で、この高取城の防御力は素人の自分から見ても強固に感じ、道中の幟に書かれた「日本最強の城」を強く思いました。下城は壺阪口から五百羅漢を経て、西国三十三所第6番札所の南法華寺(壺阪寺)から土佐街道へ。壺阪寺を結ぶ帰り道は、格子窓の旧家が続き、土佐街道とは違う雰囲気でした。
山行と城跡巡りを同時に楽しめた今回の高取山。観光パンフを読み返せば、訪ねていない場所もあり、次回は高取城だけを訪ねることになるでしょう。ただ、今日のような10月とは思えない陽射しの日ではなく、冬から新緑の季節に時代を遡ってみたいと思います。
下山後は、イタリア地方菓子の専門店でいつもの…。

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本日の周回ルート…「健康のまち」らしく15時には ラジオ体操が流れてきました
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長屋門…旧藩主の住居になっています
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番組で選ばれた冠…日本最強の城
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何気に急坂だった 序盤の林道
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曲がった先には また 曲り道…七曲り
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所々に設置された案内図に 一息つきます
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おらが山の階段とは 背景が異なります…一升坂
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当初は石垣となる運命…猿石
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今も樹々の緑を映す 水堀跡
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彼方の敵をここから見張っていたのでしょうか…国見櫓
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城奥深く 入ってきた感じがします…宇陀門
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行軍する武士のように…トリカブト
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歴史に「もしも」はありませんが…
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見上げる石垣は 城代屋敷のもの
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ここで天守を仰ぎ見たことでしょう…二ノ丸
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右から訪ねた順になっています
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天守の高石垣は12m…一番槍はこれを登る
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高石垣の縁に立ち 当時を振り返る
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今日のピークは 天守の石垣を越えたところ
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地元のお菓子を 本丸でいただく
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城主も 遠く大峯の峰々を 眺めたことでしょう
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時が流れても 天守から二ノ丸を見下ろことは同じ
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10月の空とは思えないことが 印象的でした
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大手門を抜け 壺阪口へ向かいます
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石岩に彫り込めた五百羅漢は 壷阪寺の奥の院
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低山の宿命は 照り付ける陽射し
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約30年振りの壷阪寺は 通り過ぎるだけ
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漆喰と格子の旧家が続きます
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新しい世界を望めた いつもの…

1年振りの関西バンビー3…おらが山へ

10月2日 三重県尼ヶ岳
台風一過の青空の下、いつもの駐車場に向かいます。

トレーニングに限らず、何かの節目にも登る機会が多いおらが山「尼ヶ岳」。先月、バンビー4の一人でもある安曇野の山友と蝶ヶ岳で10ヶ月振りの再会を果たし、今回はもう一人のメンバーである京都の山友と11ヶ月振りの約束。そして、再会の山行をおらが山としました。
最近は1人で登ることが多かったおらが山。今年は5月以来の2回目。バディは約5年振りの尼ヶ岳になります。そして、安曇野の山友とは何回か登っていましたが、京都の山友は初めてです。ただ、階段が多い山であることは、私達の山行から知っていました。
さて、先月の蝶ヶ岳登山で、体力の低下を感じたことから、月2回はおらが山へ登りたいと思っていた矢先、今回の山行となりました。やはり、おらが山との縁を感じます。
自宅を出発したのは10時過ぎ。それでも間に合うのがこの山の良いところ。30分程で登山口駐車場に到着し、11時前に出発。ゆっくりと登っても、お昼過ぎには登頂できることでしょう。
1人や安曇野の山友と登る時とは違い、今日は通常歩行。階段登山に向けての準備運動になる林道歩きを丁寧に進みます。ミソサザイが囀る分岐点の橋。今日は川音が聞こえるだけです。針葉樹に囲まれた林道は光が届きにくく、橋の上はひんやりと空気に包まれていました。
バディのザックは、昨日買ったばかりの新品。10年前に購入したザックのメインストラップが何と前回の山行で切れてしまいました。ここでも感じるおらが山との縁。
左右に笹が広がる一本道をゆっくりと高度を上げ、最初のベンチを過ぎた先に見えるは、第1階段。
尼ヶ岳へのルートは、よく利用する高尾登山口のほか、南に位置する大洞山を縦走する真福院(三多気)口、西側の美杉町から富士見峠経由で向かう太郎生口等、その山容から伊賀富士と呼ばれるように、登山道が四方から山頂に伸びています。
2段に分かれた第1階段を過ぎれば、すぐに第2階段。階段区間に入れば、前半の緩やかな登りから打って変わっての直登が山頂まで続きます。ただ、階段が高度をかせぎ、一気に山頂へ駈け上ることから、辛さがあるものの、気付けば山頂となるのもこのルートの特徴。
高尾登山口から山頂へはこのルートの他、富士見峠経由があり、周回するのが一般的。富士見峠経由では第1から第3階段が省略できることになるため、上りに利用される方もいますが、下りに急な階段を利用する方がリスクは高いと思われます。
支尾根にのる第3階段を過ぎれば、広葉樹が見え始め、登山道が明るくなり、最長第4階段が目の前に現れます。緩く始まるこの階段は、次第に傾斜が増し、振り返れば直滑降で滑ることが出来ないことを知ります。右側の針葉樹が広葉樹に代わっていることに気付けないほど階段に集中すれば、救いのベンチが並ぶ終了点。今日はここで息を整え、最終区間の「天使が見える」第5階段に向かいます。
陽射しを一杯受けた山頂広場には、先客が2名。少し霞みながらも、伊勢湾越しに知多半島鈴鹿南部、青山高原に室生火山群。そして、地元の町並。この景色を山友に紹介出来て良かったと思える今日の天気です。木陰で休めば、吹く風はすっかり秋。行楽日和の下、時間を埋めていくバンビー3。この調子で行けば、バンビー4が揃う日もそう遠くはないかも知れません。
薄が揺れる先には霧氷で有名な三峰山。次の季節に登る山。自宅から簡単に登れる山が数多くある土地に生活を構えたのは、偶然ではなく必然かもしれません。そして、おらが山の素晴らしさを山友と一緒に感じ、貸し切りとなった山頂を存分に楽しみ下山の途につきました。
下山後は、山友が知らない地元の名店をテイクアウトしていつもの…。


近くて遠かった山友と歩く 歩き慣れた道

さぁ 始まりました…第1階段

待ち受けているのは 第2階段

綺麗な弧を描くのは 第3階段

灯りが見えれば 終わりは近い 第4階段

その前に 一休み…

最後に天使が笑うのは 第5階段

天にも昇るとは 良く言ったもの…

「天使が見えた」とは 山友の弁

最後のハードルは 本当に高い

伊勢湾が見える おらが山の素敵な展望

まずは地元の山で バンビー3

手作り「栗のマフィン」が 食後のデザート

おらが山の シンボルツリーを 初めて気付く…

そして 柿の木があったことにも…

大洞山からの縦走も いつか歩いてみたい

昼間でも お月見気分は 味わえます

地元を眺めながら 再び 階段路へ

こちらのハードルは 高過ぎました…

山には 秋色が 散りばめられています

里より 一足早い 山の秋

第4階段相当を振り返れば…

この橋もおらが山の一部です

準備運動の道は クールダウンの道でもあります

再会を祝して いつもの…

あの日から7年…そして 8年振りの登頂

9月24日 長野県御嶽山(剣ヶ峰)
「大人の肝試し」的な道を抜け、2年振りの登山口に向かいます。

私達にとって御嶽山は日帰りで3,000mに登れることや危険な岩稜がないことから家族登山、夏山登山の高地トレーニングに暑熱順化として唯一無二の山でした。また、雪山を始めてからは、残雪期の北穂高に向けてや3月に3,000mを踏める山として、その存在は常にありました。ルートは最短「田の原登山口」。ここは登山のみならず、散策や星空観望でも思い出深い場所です。
田の原ルートはハイマツに荒涼とした風景が印象深く、雑誌やテレビで御嶽山の美しい紅葉を知った時は意外に感じ、その時初めて、黒沢口ルートを意識しました。それが、2014年9月初旬。
そして、2014年9月27日。その日は、山友8名と常念岳でオフ会をしており、夕食時に知ることとなります。ほぼ同時に、自分の知人から安否を確認する電話が2件。翌日、横通岳から見た槍穂のモルゲンロートと東の空へ真っすぐにたなびく噴煙を見た時の得も言われぬ恐怖心は、生涯忘れることができないでしょう。
当事者でない自分にとって、いつの日か登頂することが亡くなった方の慰霊になると思い続け、2016年4月 濁河温泉から飛騨頂上。2017年7月 同じく濁河から継子岳周回。2017年10月 今回と同様、中ノ湯から開田頂上。少しずつ剣ヶ峰に近付きます。
2018年9月に数日間、規制が緩和され、剣ヶ峰まで登れるようになりました。初年度は自分のような者が登る資格はないと思っていたのと、前年、開田頂上から賽の河原を抜けた時に眺めた剣ヶ峰や稜線から見た田の原登山口、また、二ノ池の変わりようを目の当たりにし、自分の想像を超える思いに引っ張られそうで、しばらくは登頂できないと感じました。
ようやく登頂への気持ちを強く持ち、天候が許せば、それは山が迎えていることと思い、まだ薄暗い中ノ湯登山口を出発しました。
中ノ湯登山口の標高は1,820m。田の原より360m低く、剣ヶ峰3,067mとの差は1,247m。CTも1時間程長くなっています。また、御岳ロープウェイを利用して、7合目の飯森高原から登ることも可能ですが、運行時間の都合上、出発時刻が遅くなります。
このルート、そのロープウェイからの合流点「行場山荘」までの階段コース。8合目「女人堂」までの広葉樹コース。9合目「石室山荘」までの展望コースと分かれ、最後に剣ヶ峰に続く規制緩和トラバース。
山天予報では昼前には雲が上がってくるとのことで、予定より出発を早め、結果的に功を奏しました。金剛堂へ続く直線では、秋への衣替えが始まり、樹林帯を抜けたと同時に眼前一杯に広がる御嶽山の岩稜は、このルートのハイライト。小屋前の広場からは、笠ヶ岳乗鞍岳、槍穂高に、先日、登った蝶ヶ岳の北アルプス。続いて、八ヶ岳から中央アルプス越しの南アルプス。(なお、もう少し先にある場所からの方が遮られることなく一望できます)
御嶽山の岩稜から下る紅葉の滝は、まだ色付き始めた頃ですが、それは4年前に対面済。今回は登頂が目的です。とは言え、「山は頂にあらず、道にあり」。その道程を味わいながら、ともすれば、あの日の状況に引っ張られそうになる思いを押し留めます。
背の高いハイマツ帯を抜ければ、遮るものがない世界。近くて遠い小屋は見えますが、女人堂から見えていた剣ヶ峰は岩稜の向こう側。振り返れば、木曽谷から遥か彼方に思えるアルプスの峰々。高度を上げることで槍穂高は継子岳の裾野に隠れ、中央アルプスに隠れていた富士山が姿を現します。その展望と共に覚明堂で呼吸を整え、前回、二ノ池から来た際にはロープが張られていた規制区域に入ります。変わり果てた二ノ池を見ながら前方には剣ヶ峰に続く最後の階段。聞こえてくるのは時折吹く風と石を踏む足音。田の原ルートの最終関門「王滝山頂」から八丁ダルミ。前回より冷静な自分が景色を追いかけます。
写真で見てきたシェルターと慰霊碑。正直な気持ちで合掌。
7年の歳月を経て、8年振りに登頂した剣ヶ峰。景色や時代が変わっても、山は変わらず。あの日の出来事には、登頂者それぞれが思いをお持ちでしょう。自分は安全登山を続けることが、山で亡くなった方への慰霊。そして、安全登山とは山の選択であり、今の自分を知ること。登山口では山頂の滞在時間を短くするようアナウンスされていました。幾分危険が和らいだとは言え、忘れてはならないことだと思います。
登頂出来た思いと共に下山を始め、中ノ湯ルートはこれにて完結。これで御嶽山への一区切りになりました。ただ、本当に帰ってきたことになるのは、田の原ルートからの登頂だと思い、静かにその日を待ちます。
下山後は、定番のものでいつもの…。

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4年振りのご対面…女人堂
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秋の空に羽ばたく雲
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左端に剣ヶ峰…今日は登頂させていただきます
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落葉も進んでいました
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女人堂から5分…俗世と御神域の境界
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至るところで感じます…御嶽信仰
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ハイマツの一本道は 結構 長く感じます
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「自らの魂のふるさと」
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紅葉の滝が見頃を迎えるまで もう少し
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独立峰「御嶽山」らしい展望
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あの尾根の向こうに田の原ルート そして 三笠山直下の登山口
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登ることで 季節が 変わります
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剣ヶ峰に向けて 最後の一息…覚明堂霊神場
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剣ヶ峰へ続く道は感無量…規制区域内
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荒涼とした景色と信仰は 以前と変わらず
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様々な思いがよぎる 10数分間
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災害だけでなく 安全登山の礎になります
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この階段は 小6の娘と登った思い出とあり
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最後に登ったのは 2014年7月17日
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現場に立つ大切さを 感じます
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田の原登山口と八丁ダルミ…いつの日か
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6年前 継子岳で誓った 登頂を達成 … 二の池
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いつの日か 高山植物も帰ってくることでしょう…一の池
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一の池お鉢回りからの二の池…2013年7月24日
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今日は 文太郎さんと 同行二人
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無事下山が 私達の努め
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俗世まで戻ってきました…金剛童子
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今年も 賑やかなひと時を迎えることでしょう
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感謝の気持ちで 下山再開
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秋風で 撮影後は車内で食べた いつもの…

テントを担いで 北ア回帰

9月12~13日 長野県蝶ヶ岳
人気の高い山に伴う駐車場問題にドキドキしながら、真っ暗な林道を登山口に向かいます。

9月12日
すっかり回数を減らしたテント泊山行。気付けば2月の編笠山以来。テント泊した夏山はベース方式、無雪期の日帰りはトレランシューズの山行になり、今年初めて履く登山靴の 手入れを慌ててします。
そんなことで、蓮華温泉から白馬大池。そして、小蓮華山往復を考えていましたが、3日前に満杯となり、計画変更。種池、常念、黒百合…限られた候補地から決めたのは、予約不要の「蝶ヶ岳」。ルートは安曇野側から登る三股ルート。ただ、候補地の中で最もCTが長く、また、階段の多いこのルートで、久しぶりのテント装備を担ぎ上げられるのか不安は拭えません。
蝶ヶ岳は言わずと知れた槍・穂高展望の地。自分にとって山の原点は「白馬・八方池」。そして、ここは「槍・穂高の原点」。42年前、初めて登った蝶ヶ岳から見たその稜線は、厚い雲に覆われ「また、来るかい?」と問いかけているようでした。それから3年後、再び訪ねた稜線からは、山岳雑誌で見たままの景色が広がっていました。この時はまだ、目の前に連なる岩稜を眺めるだけで、登ろうとは思っていません。それから時が経ち、今では殆どの頂に立ち、そこに至る稜線や尾根、沢も歩きました。それは共に眺めたバディも同じこと。一冊の雑誌とこの山が与えた影響は計り知れません。
蝶ヶ岳は今回で7回目。8月に1回、5、7、9月に各2回。ルートは長塀尾根4回、三股3回。北アの中で最も登った頂です。
前日遅くには第1駐車場は満車となり、約800m手前の第2駐車場へと多くの車が戻っていき、それは出発前の今も続いています。朝陽が射し始めた 5時30分、日帰り山行の登山者で賑わう駐車場を出発し、まずは800m先にある登山口に向かいます。前方高くに連なる稜線。その標高差は約1400m。自宅周辺にない高さは、やはりアルプス。蝶沢と常念沢が合流した本沢は激しい音を立て、滝の如く流れています。そこに架かる吊り橋を渡れば、いよいよ登山が始まったと感じます。
力水で水補給。今回は夕食を簡単なものにしたとは言え、カメラ込みで24㎏。しかも、歩き始めから両足に違和感。5年前に、雪山トレーニングとして担いだ27㎏の山行が蘇ります。力水からひと登りで有名な「ゴジラみたいな木」。そして「まめうち平」まで続く第1急登区間。しばらく緩やかに森の中を進み、蝶沢を過ぎたあたりから始まる第2急登区間。長いトラバースを折り返せば大滝山との分岐点になり、頂上はハイマツの向こう側。
階段が整備された道は、足上げ運動が繰り返され、トレーニング不足の身体には疲労として蓄積されます。第2急登の半ばで休んでいると、山頂で会う予定だった安曇野の山友が登って来る姿が見え、1年振りの再会を喜ぶ間もなく、自分の23㎏ザックを担いで山頂に駆け出していきました。残された我々は、遭難救助された気分です(笑) その後も幾度となく現れる階段を何とかやり過ごし、ハイマツ帯の先に槍の穂先が見える最後の直線を迎えました。高曇りとは言え、槍・穂高の稜線に出迎えられ、まずは一安心。
前回も常念岳経由で登って来る山友と待ち合わせ、今日も同じ場所で待っていてくれました。一緒にテントを設営し、積もった話が始まれば、13ヶ月の空白があっという間に埋まり、時が再生します。ただ、陽射しのない稜線は肌寒く、時間とともに重ね着をするバンビー3。
「寒いから帰る」と山友が下山した14時半の気温は11℃。体感温度は6℃以下でしょう。
目まぐるしく変わった出発前の天気予報。結果は槍穂を始め、左に焼岳、乗鞍、御嶽。右に野口五郎、大天井と表裏銀座の稜線。後ろには、頸城山塊、浅間山八ヶ岳、富士山、南ア北部と、正しく展望の山です。
日没前から始まるマジックアワー。遠く東の空から太陽を追いかけるように紅や紫が移り、やがて穂高の稜線から発せられた金色に輝く光の咆哮は、静かに消えていきました。その後もしばらく続くマジックアワー。その変化する世界に稜線を立ち去る機会が見つかりません。
静けさを取り戻した薄曇りの空に星空を期待出来ず、小屋の灯りが今宵の一番星。そして、眼下に広がる安曇野の夜景が、地上の銀河。
次第に西風が勢いを増し、テントを揺らします。数年前では考えられませんが、それを子守唄にします。夜も更け、諦めの悪い自分は、2度、顔を覗かせては空を眺めますが、暗闇の中に絹のカーテンを引いた世界が見えるだけでした。

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登山口よりも登山口らしい 本沢の吊り橋
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名前の如く 勢いのある流れでした…本沢
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この流れが 本沢へ…蝶沢
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樹林帯と階段が 三股ルートの特徴
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荷物をシャッフル…前方は 23㎏ザックの山友
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稜線が近付くと 秋の気配を感じます
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山友と槍の穂先は ダブルケルン
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今回も ここまで長い道のりでした
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再会の喜びは この景色とともに…
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ハイマツを眺めるホシガラスに 哀愁を感じました
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この5年間だけでも いろいろあった バンビー3
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足取り軽やかに 裏山を下りる 山友
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横尾尾根・槍沢の槍ヶ岳周回から9年
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2010年9月 初めて登った穂高奥穂高岳
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岩稜と北穂沢でそれぞれ登頂…北穂高岳
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西穂高登頂から6日後に登頂…前穂高岳
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氷壁の地を訪ねたく 中畠新道で「奥又白池」は2014年
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蝶ヶ岳は 登った回数以上に 思いが深い
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山に包まれていく…安曇野
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高曇りならではの一期一会
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焼山・火打・妙高…頚城山塊が黄昏る
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この角度なら「天使のスロープ」だな…(笑)
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時の流れを感じる 山の夕暮れ
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槍と常念をつなぐ 紅の架け橋
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やはり 槍ヶ岳は 「北アのランドマーク」
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ここで味わうマジックアワーは 贅沢でした
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夕食の準備をしながら…テントにて
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1番星・2番星・3番星…
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地上の銀河とともに 素敵な夢を…

9月13日
遠くで聞こえてくるアラーム音に気付くには、いつもより少しだけ時間がかかりました。風の音は大丈夫でしたが、はためくテントが頭に当たっては起こされる一夜でした。
昨夜から槍穂が染まるモルゲンロートの朝は期待していませんでした。まず、その稜線が見えていてくれたら感謝です。山天予報どおりに安曇野側は見事な雲海。稜線で幕営すれば雲海は付き物だと、職場で話していたとおりの朝になりました。昨日と同じような高曇り。それでも、雲海が景色に変化をもたらし、その光と影が織り成す世界は一期一会。
「雲と雲のサンドイッチ。具材は浅間山に八ケ岳」
蝶ヶ岳ヒュッテのテントサイトは、HPでは30張可。今回の40張弱でも余裕はありましたが、傾斜地になります。行楽シーズン前とも言える日曜日で、これほどの張数と言うことは、週末、まして行楽シーズンと重なれば、結果は想像できます。テント事情の他にも、この5年間で様々な山行スタイルが確立され、狭い範囲ですが、北アの現状を垣間見た気分です。
久し振りのテント泊山行とは言え、昨日の疲れが残っている現実。以前から感じていますが、もう経験だけで補えない年齢です。「山は逃げない」と言いますが、「気力と体力」は逃げます。今後の自分を守る術は「現状認識」と「山の選択」。ただ、今回の山行でもう少しだけ頑張ってみようと思いました。行きたい山に向かって、努力をしてみようと思いました。
9時出発の13時30分下山が今日の予定。都合が合えば、再び山友と会う予定です。
荷物整理を行い、瞑想の丘の向こうにある草紅葉まで散策。前回と較べて今年は1週間程度遅いように思えました。普段の生活で樹々の紅葉は身近ですが、草紅葉を感じることはありません。山ならではの景色です。まして、それが槍穂高と共演している「蝶ヶ岳劇場」。観覧料は1人2000円のテント代と標高差1400m歩き。席は自由です。
時折、雲間から陽が射し、稜線に影を落とします。見飽きることのない展望。その背景には、歩いてきた道のりがあります。深田久弥さんの有名な言葉「百の頂に百の喜び」。自分は「頂」よりも「道」に思いを感じます。そして、その思いは山だけでなく、人生に返ってきます。蝶ヶ岳から見る景色には、「山・人生の縮図」と言っても過言ではないぐらい、時が交差しています。
テントを撤収し、次はいつ来れるだろうかと思いながら飲む「最後の一杯」。ハイマツ越しに連なる峰々は、力強く、荒々しく、しかし感じようによっては、静かにじっとしている風です。
「10回は登頂したいなぁ…」は僕の思い。「テントが駄目なら小屋泊へ」はバディの意見。
ハイマツの小道を抜けて振り返れば、昨日、避雷針の台座で手を振っていた山友の残像が浮かびます。そしてその横には、ケルンのような槍の穂先が次の道しるべとなり、見送ってくれています。
山の事故は下山時。昨日も痛ましい事故がすぐ近くで起きていました。階段が続くこのルートは登りの辛さよりも下りの転落が核心部。下り終えた先にあるほっとする一歩目にも注意を払います。
ベンチ、蝶沢、まめうち平、ゴジラみたいな、力水。本沢にかかる吊り橋を渡れば、何となくゴール。
今回も色々考えさせられることになったテント泊山行。とにかく、無事下山に感謝。
山友とは都合がつかなくなり、また次の機会になりましたが、今度は1年先にはならないことを願います。
下山後は、この時世でテイクアウトのみになったお気に入りのお店でいつもの…。

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紅の帯が 日本海上を横切ります
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雲海の上空に もうひとつの雲海
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今でこそ判る大人の雰囲気…大天井岳
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朝が近付いてきました
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今日のご来光は 「朧太陽」
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青い山脈は 今夏登った仙丈ヶ岳(右端)
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雲海にも表情があり 今日は 綺麗でした
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山のグラデーションを楽しめる 朝のひと時
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穂高の展望だけではない 蝶ヶ岳
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ヒュッテに向かう途中からの「槍・穂高連峰
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下山前に 少しだけ 稜線散歩
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小さな秋を 少しだけ感じます
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幾度となく沿って歩いた 梓川
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少し歩くだけで表情が変わりました
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この道は 蝶槍・常念・燕岳へと続きます
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見事な草紅葉…横尾本谷右俣
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そろそろ ゆったりテントライフを 大切にしていきたい
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八ヶ岳を眺めながら 下山開始
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振り返って 最後のお別れ
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ハイマツ広がる稜線は 北アルプスらしい景色
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雲海に向かって 下ります
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足元の 紅を楽しむ 帰り道
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そろそろ常念岳とも お別れです
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降りてしまえば あっと言う間の 2日間
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数年振りに訪ねたお店で いつもの…

2021夏山…女王の向こうには

8月5~7日 長野県大仙丈ヶ岳
2年振りの夏山稜線歩きを目指し、早朝出発で山麓の駐車場に向かいます。

8月5日
南アルプスの女王と呼ばれる「仙丈ヶ岳」。北アルプスや八ヶ岳を登っていた山行人生第3期で、初めて訪ねた南アルプスがここでした。そのきっかけは、管理人として登山道の整備や環境保全等をされている高校の先輩と会うことです。その後、塩見岳甲斐駒ヶ岳赤石岳、荒川三山を回り、雪の黒戸尾根(七丈小屋)、GWの仙丈ヶ岳と続き、それ以来、5年振りの南アルプス。
近年、テント泊も含めて思うように山行が出来ず、夏山山行計画もそれを踏まえたものになります。仙丈ヶ岳へは、北沢峠にある長衛小屋で幕営。北沢峠へは山麓の仙流荘から南アルプス林道バスを利用することになります。7月下旬までは災害復旧工事の影響により、GW同様「歌宿」までの運行でしたが、現在は「鹿の沢」まで延長され、工事区間を10分弱歩いた後、北沢峠までのシャトルバスに乗車できます。(運賃は、仙流荘~歌宿間分)
初日は移動日であることから、10時5分発に乗車し、昼前に到着です。乗車人数は峠付近散策の団体10名を含め、16人。「鹿の沢」まではゆったりと乗車出来ました。途中の乗り換え区間では、アサギマダラが道端に咲くヒヨドリソウに群れ、透き通った青に清涼感をもらいます。青空と白い雲。そして、東駒ヶ岳。(伊那では甲斐駒ヶ岳のことを東駒、中央アルプスの木曽駒ヶ岳を西駒と呼びます)照り付ける陽射しは厳しくとも、吹く風は爽やかな高原の風。夏の匂いが満ちあふれていました。
北沢峠から長衛小屋へは林道を山梨県側に5分程下ります。右側の沢にかかる小さな橋が明日の登山口。その左側に小屋への案内表示があります。
テントサイトは沢沿いに細長く、陽射しを避けて木陰に張る方が多いようです。テント申込は事前予約制で、直接小屋に電話をします。キャンセルは前日の午後6時まででした。総数で20数張。私達は水場に近い小屋寄りの箇所に張ります。小屋の向こうには東駒ヶ岳の摩利支天、反対側には小仙丈ヶ岳の稜線が見える場所です。
午後から鳥見を兼ねて、北沢峠周辺を散策。ただし、バスの運転手さんが話されていた熊情報に深追いはせず、適当な時間でテントに戻ります。陽も随分と傾き、夕食の準備を始めようとした時、森から聞こえるコマドリの鳴き声。でも、次第に遠ざかっていき、姿を見ることは出来ませんでした。
やがて赤く染まっていた摩利支天の白き岩峰が空に溶け込み、辺りは漆黒の世界へと移ります。聞こえてくるのは、沢と水場の音だけのテントサイト。明日の山行に期待を膨らませ、2021夏山1日目の夜は過ぎていきました。


遥か彼方に思える仙丈ヶ岳…明日の今頃はあの稜線に立っている 

5日前にシャトルバスが運行開始…バス会社のご努力に感謝 !!

随分と近くになりました…仙丈ヶ岳

本当なら徒歩で見ている景色…東駒ヶ岳~駒津峰~双児山

山梨県と長野県をつなぐ 鋸岳「鹿の窓」

工事区間は歩行者専用の仮設通路で通過します(通過時間は2分程度)

藪沢から北沢峠までは 無料シャトルバスで10分程度

ここからテントサイトまで 林道を下ります

5年振りの 小仙丈ヶ岳稜線…前回は雪でした

12時15分幕営完了 そして 本日の予定も完了(笑)

寝転んで見上げる 夏の空

隠れては 現れる 摩利支天(東駒ヶ岳

ここでも慌ただしく動いていました…コガラ(トリミング処理)

オダマキを初めて見た時の感動は今でも…キバナヤマオダマキ

目元が若々しい…シジュウカラ

第一種特別地域の北沢峠周辺は 舗装も禁止されています

プクっとした姿に いつも癒されます…ヤマホタルブクロ

北沢峠から望む岩峰は 双児岳の不動岩でしょうか

仙水峠への登山口で咲いていました…シナノオトギリ

奥に 一段下がったテントサイトがあります

両側出入り口のテントは 風が気持ち良いです

南アルプスのテントサイトは 水が豊富で助かります

湿度が低いため 気温以上に涼しく感じます

酢飯は 夏テント泊の常連食

明日も期待できる 夕暮れのひと時

8月6日
時刻は2時40分。起床時間まで30分ほどありましたが、空模様が気になり、フライシートのファスナーを上げます。テント泊で最も期待する瞬間。結果は、満天の星空でした。
今日は、小仙丈ヶ岳から仙丈ヶ岳に向かい、その時の状況で大仙丈ヶ岳に行くかどうかを判断し、仙丈小屋からは馬の背ヒュッテを経由せず、小仙丈ヶ岳経由で下山する計画。
熊対策も兼ねて、ヘッデンの必要がなくなった頃、テントサイトを出発。登山道の状況は判っていることから、靴は負担の軽いトレランシューズを選択しました。
橋を渡ってすぐにある北岳見晴台。朝陽を浴びて赤く染まり始めている北岳とご対面。しばらくは急登が続き、北沢峠からの道と2合目で合流します。その後は、明るい樹林帯の道。やがて、樹間に槍・穂高連峰を望めば4合目。馬の背ヒュッテ分岐点の大滝頭で圏内となり、先輩の友人でもある兄からLINEが入り、今日、先輩が入山するので下山時に寄ってとの伝言。そのため、仙丈小屋からは馬の背ヒュッテ経由に変更することにしました。大滝頭を過ぎれば、鳳凰三山南八ヶ岳を望み、東駒ヶ岳が背後に聳えます。山頂部から摩利支天にかけての花崗岩は冠雪を思わせる白さで、その特徴的な山容は「登るより見る山」。
大きな石が続く直登の道端がハイマツに変わると、森林限界まで残り僅か。超えれば6合目で、大パノラマの序章が始まります。小仙丈ヶ岳に続く道は一面ハイマツの海。ほぼ同じ標高である北アルプスの常念岳と全く異なる植生は、南アルプスの特徴と言えます。良く整備されたハイマツの道を登れば、その時間と共に変化する周囲の景色。お馴染みの富士山、北岳間ノ岳123ショットやオベリスクの地蔵岳で有名な鳳凰三山。東駒ヶ岳の向こうには八ヶ岳が連なり、馬ノ背越しには空木岳から妙高連山までの峰々。2,864m小仙丈ヶ岳に登頂すれば、正面に聳える仙丈ヶ岳。ホーム鈴鹿の竜ヶ岳を「鈴鹿の女王」と呼んでいますが、さすがにスケールは敵いません。先輩に連れられて登頂した際は、南部の峰々を山座同定していただきましが、今では歩いた稜線も数多くあり、思い出が蘇ります。
仙丈ヶ岳までCT 1時間。その時間以上に懐の深さを感じさせるのは、小仙丈沢カールを従えているからでしょう。ここから始まる展望稜線は、本州を代表する南、中央、北アルプスの峰々や富士山、八ヶ岳秩父、頚城が夏空の下、変わらぬ姿を見せてくれています。これまで歩んだ山の軌跡があの峰々にあることを思うだけで、今は幸せな気持ちになれます。そして、こうして未だ見ることの出来る自分に感謝です。
GWの時は雪壁となって立ちはだかった箇所もつづら折りで難なく通過し、仙丈小屋の分岐を過ぎれば、藪沢カールに小屋を望み、3,033mの頂を正面に捉えます。足元に咲く高山植物に祝福された5年振りの登頂は、前回同様、私達だけの時間を女王が与えて下さりました。
時刻は9時前。天候、体調共に問題はなく、予定通りに大仙丈ヶ岳へと向かいます。ここは、先輩が勧めていた場所。仙丈ヶ岳から塩見岳へと続く仙塩尾根。その最初のピークが大仙丈ヶ岳2,975mです。
途中にあるお花畑と岩場が続く非対称稜線。そして、仙丈ヶ岳が擁する3つ目の大仙丈沢カール。
チシマギキョウ、タカネコウリンカ、ミネウスユキソウ、イブキジャコウソウ、タカネツメクサ…。この楽園を過ぎれば、両側に切れ落ちた岩尾根に向かいます。伊那側へ落ちれば助からない高さであり、歩く人が少なければ浮石も多く、また、ザレた箇所も多いことから、久しぶりに緊張する場面が続きました。40分程で大仙丈ヶ岳に登頂。振り返った仙丈ヶ岳は、違う山に見間違えるほど、荒々しい姿に感じました。
往路とは別の視点で楽しめる復路。お花畑まで戻ってホッとする感覚はここ数年味わっていないものでした。仙丈ヶ岳の山頂は結構な人で賑わっており、そのまま小屋に向かって下山。小屋で小休止のあと、先輩の待つ小屋に向かいます。
7年振りの再会はその時間的空白を感じさせることなく、作業中の先輩が発した最初の言葉が「泊まっていきなよ」。ここで再び、山行計画が変更となりました。
ただこの変更が、結果として、娘に心配を掛けることになり、電波状況が悪い場所での課題となりました。


木星が照らす 小仙丈ヶ岳

ここから見る北岳は美しい…見晴台

まだ陽の射さぬテントサイトと東駒ヶ岳

稜線は緑一面の大海原

馬ノ背の向こうに広がる 中央から北アルプスの稜線

定番ですが…小仙丈ヶ岳

これも定番の1・2・3

仙丈ヶ岳と対照的な山容…鋸岳~東駒ヶ岳

稜線の思い出は 南アルプスの歴史…悪沢岳塩見岳・荒川中岳・前岳赤石岳

この稜線歩きは 時間を感じさせない

残雪期の直登を思い出しながらの「つづら折り」

世界が変わる 藪沢カール巡り

仙丈ヶ岳で最も美しい道だと思う

今回も貸切の 3,033m…女王に感謝

地上の青空か宝石か…チシマギキョウ

仙塩尾根で隣の頂へ…大仙丈ヶ岳

唯一咲いていた 南アを代表する花 …タカネビランジ

お花畑を過ぎれば そこは 岩の世界

右側は 伊那谷への直滑降

仙丈ヶ岳は 女王を守る近衛兵

大仙丈沢カールは 新たな景色を生みました

遠く塩見岳へ…南ア北部の背骨「仙塩尾根」

来た道もまた新しい「世界観」

足元で輝く「地上の宝石」…イブキジャコウソウとヒメレンゲ

藪沢カールを 仙丈小屋へ…

馬ノ背から振り返る 仙丈ヶ岳と仙丈小屋

ハイマツの海に浮かぶ 「東駒ヶ岳」島

小屋の息吹が 森を照らす

囀りの鳥を探して 囀らない鳥を見つける…サメビタキ?(トリミング処理)

藪沢新道を横切る 名もなき滝

先輩曰く 「空は秋」

7年振りの夕暮れ…

8月7日
予定していない2,550mで3日目の朝を迎えることになりました。
「藪沢小屋」。幕営している長衛小屋を開き、「南アルプス開拓の父」とも評される「竹澤長衛」さん。昭和16年に藪沢新道を開き、昭和26年、その中間に位置する場所に建てました。それから70年が経ち、建て替えられているとは言え、その半分以上の歴史を知る先輩は、昭和から平成、令和へと続く時代の「生き字引」でしょう。
台風の影響か少し雲が多い朝は、かえって朝焼けの東駒ヶ岳を見せてくれました。
昨日来の先輩の話で、今回も心に留め置かねばならない事がたくさんありました。
「ポール問題」「登山道整備の意味」「環境保全
40年以上、ここ南アルプスで過ごしてきた先輩が話す環境の変化を初め、多くの事実は、偶にしか訪ねない私達にとって、気付ない事柄がたくさんあります。その言葉から、私達が歩いている道は当たり前ではなく、見ず知らずの方による努力によって存在するものであり、その道を破壊するような行為は慎まなければならないことを、あらためて、思い起してくれます。
本人が気付かないまま道を破壊している。整備しているつもりが破壊している。道の破壊は高山植物や生態系の破壊へと繋がる。
先輩の話を聞くことで、気付かないことや忘れていることが思い返されます。
「秋になれば、関西の山を一緒に登ろう」と約束をし、今日も登山道整備に向かう先輩に見送られて、小屋を後にしました。
朝、真っ赤に染まる雲を纏っていた東駒ヶ岳は、まだ朝陽を受けておらず、黒々とした山塊を私達に見せています。鋸岳左側にある山間では雲が谷を埋め、稜線から流れ落ちる「滝雲」風の景色。また、遠くに望む白馬三山から鹿島槍ヶ岳の稜線。昨日より幾分雲が多いのは、台風の影響でしょうか。
大滝頭に合流するまでにいくつかの沢を渡りますが、身体が温まっていないため、慎重に通過します。
当初の予定は、北沢峠を12時30分発に乗車する予定でしたが、天候や混み具合を考慮し、1本早めの9時30分としました。8時前にはテントサイトに戻れる計算であり、あとは下山スタートによる転倒など怪我をしないよう注意を払います。
駒ヶ岳が樹間から姿を隠し、あとは北岳が残るだけです。その北岳とも見晴台を最後に別れを告げ、林道へと戻ってきました。
昨日、先輩の同行者が下山される際、長衛小屋に計画変更を連絡していただきましたが、帰り際には声をかけておくよう言われていたため、小屋番さんにお礼と共に伝えると、玄関までお見送りをいただき、あらためて、先輩の大きさを感じました
帰りのバスは14人。東駒ヶ岳の頂は雲に覆われて見えません。「昨日は麓から仙丈ヶ岳が1日中見えていたが、こんな日は夏だと数日しかない」と、運転手さんの話す声が聞こえてきました。
その貴重日に女王が招いてくれたことに、あらためて感謝の気持ちを寄せ、次はいつ訪ねようかと思いながら、アルプス林道を麓に向かって揺られました。
下山後は、伊那の名産でいつもの…。


今日最初の モルゲンロート

想像を搔き立てる シルエットの東駒ヶ岳

最終日…朝焼けは「雨」

藪沢新道の朝…雲が黄金色に輝く

駒ヶ岳が 「雲ルゲンロート」^^;

小屋も目覚めます

落雷被害で立ち枯れたそうです

刻一刻と変化する 山の朝

今年 先輩達が整備した 藪沢新道

大滝頭まで いくつもの沢を越えます

雲が舞う 朝は 一期一会

山の原点「八方尾根」と初めて幕営した「鹿島槍ヶ岳

北岳は 南アルプスのランドマーク

ナナカマドの巨木は 南アルプスの森

ここでお別れ…北岳見晴台

あの稜線から「お帰り」 そしてマイハウスに「ただいま」

昨日の山行を思い出しながら バスを待ちます

道端の夏提灯…北沢峠バス停にて

駒ヶ岳は夏雲へ…手前は「双児山」

ヒヨドリソウに舞う 渡り蝶 「アサギマダラ」

やはり 看板表示は 「東駒ヶ岳

さて 「鹿の窓」は どこでしょうか…

GWのバスはここまで…歌宿

戸台川への標高差は 400m

伊那の栗で山旅を終える いつもの…