Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

「秋の花めぐり入門」… バンビーズ

10月3日 奈良県三峰山
初めて2週続けて、同じ道を駐車場に向かいます。

厳しい暑さが幾分和らいだとは言え、まだまだ暑かった前回の山行。そこで知ったのは、思った以上に山への適応力が低下していること。この調子では八ヶ岳界隈でもリスクがあるのではないかと思い、徐々に元の状態に近付けなければと、バディに話をしていました。
10月に入り、秋らしい気温となってバンビーズの山行再開。奇しくも、今日は「登山の日」。行先は、先週無雪期としては13年振りに登った三峰山。コースタイムと言い、ルートと言い、復帰戦としては丁度良い感じの山だと登った際に感じていました。何より、お目当ての花を1種残したことが最大の理由と言えます。
そして、今日の結果。無事に出逢うことが出来ました。諦めないでずっと探したご褒美か、先行していたバディが見つけてくれました。
山行前にはこの花を更に知っておこうと、先日まで放送していたドラマのモデルになった植物学者が書かれた図や何枚かの写真を閲覧し、自分なりに生育地や姿を想像して向かいました。結論として、この花に限らず、注意深く観察しながら歩けば、花を見つけることが出来ると思いました。当然、咲いていることは条件ですが…。これは昔から思っていることで、花でなく葉で区別ができれば更に山歩きが楽しくなるのでしょう。
さて、出発時の気温は先週より5℃ほど低い16℃。一気に秋の空気です。今日も不動滝↗ 登り尾↘ で周回。花探しで前回以上に時間を掛けて不動の滝に到着。ここからの登りで体感温度が上がった前回。今日はまだ大丈夫のようです。
地元を流れる川の源流がこの山域。沢に沿って標高を上げて行けば、やがて涸沢となり、歩いて渡ればそこは普通の谷道。展望のきかない三峰山奈良県側ルートは、どのルートを進んでも稜線近くまでは薄暗い人工林を歩くことになります。林道歩きが長く傾斜のきつい不動滝ルート。林道歩きが短く傾斜のゆるい登り尾ルート。縦走気分が味わえる新道ルートは林道歩きが最も長くなります。三者三葉のルートをどう組み合わせるか、これも三峰山登山の楽しみ方かもしれません。複数ルートがあった場合、私達の選択基準は「急坂を下山路としない」。これが原則になっています。
先週、久しぶりの登山を火照った身体で登った急坂は、ある程度順応出来ており、今日が初日のバディも次回には順応していることでしょう。同じような人工林が続く中、さすがに景色は覚えており、もうすぐ分岐点の小屋だと判ります。何となく着いた気分になりがちなここ避難小屋も、山頂へはまだひと登りあります。木の根道や少し粘土質の道に注意しながら新道ルートの分岐点に着けば、9.5合目的な感じ。次の分岐点は山頂と八丁平。ここは迷わず、八丁平へと進み、そのまま「ゆりわれルート」に沿って、ヤマハハコ群生地を目指します。
見事な群生地や途中のトリカブトでは1週間前と変化は感じられませんでした。しかし、前回見つけて撮った花の一部や茸は、その時間の経過を感じることが出来、これまでにない面白味を感じたのが、今日2番目の成果。また、前回 ISO感度を誤って設定していたため、その撮り直しが出来たのも3つ目の成果と言えます。
昼食をとった八丁平に吹く風も、あと2ヶ月余り経てば、霧氷をつくる力となっていることでしょう。あっという間に山の秋が過ぎていきそうです。
下山後は、前回テイクアウトしたお店でいつもの…(笑)


今日も 金色の穂が 見送ってくれます

赤い蕾が 良く目立っています…ミゾソバ

至るところで 咲いています…アキチョウジ

この林道歩きが 楽しい区間になるとは…

日本固有種 ハガクレツリフネソウ ... 学名は「Impatiens hypophylla Makino」

小さな小さな秋の物語 … ミズヒキ

ぴりりと辛い大人の風味 … 山椒

「春は曙…」そして 秋には アケボノソウ

秋の野山に打ち上げ花火 … シラネセンキュウ

先週より 水量は控えめの「不動の滝」

源流域を横目に…

初めましては トリカブトの種

この辺りの主だと思う ブナの木

八丁平を目指す お気に入りの道

山を選んでも 言葉のとおり

熊野灘へと続く 紀伊の稜線

ようやく 秋らしい 風景と気候

バディにも この景色を … ホソバノヤマハハコ群生地

久しぶりに 山Time

大きな栗の木の下で…

里にも 秋の実りが 訪れます

ここで四国の冠花と逢うのもご縁かな … シコクママコナ

見落とさないでと 声を掛けられました

ちょっとしたツチグリの実験 …

「おまんは 誰じゃ?」と問いたくなります… ツルニンジン

地元で 秋を感じる いつもの…

「秋の花めぐり」に入門

9月26日 奈良県三峰山
通勤の対向車に注意を払いながら、平日の登山者用駐車場を目指します。

三重と奈良の県境に連なる三峰山。初夏のシロヤシオ、冬の霧氷で人気の山。自宅から登山口となる駐車場までは1時間もかからないことから、登る機会が多いものの、季節はいつも冬。雪のない季節に登ったのを遡れば、13年前の11月。また、その年の7月には、初テント山行に向けての試し張りとトレーニングを兼ねて、初めて登った山でもあります。
今日は午後3時まで、1人の時間が出来たため、おらが山や吉野山等、候補地を考えたものの、コースタイム的に丁度良い「三峰山」としました。今の時期、ヤマハハコとトリカブトが見頃だと山行レポで確認していましたが、一昨日、検索した山行レポでは、それ以外にも秋の花が咲いているとの情報を知り、道中でも足元に注意を払わなければと、まだ朝の空気に包まれた駐車場を出発。
先週から随分秋らしくなったとは言え、最高気温は30℃近くになる予報。久しぶりに4h超えとなる山行は、暑さとの闘いになることでしょう。奈良県側から三峰山へは3ルートが代表的。今日も定番の「不動滝↗ 登り尾↘」を利用します。
しばらく続く林道歩き。いつもは準備運動と思って歩いていますが、今日は花を探して、右や左の斜面や道端をキョロキョロ。お目当てのヤマハハコとトリカブトは稜線上にあるため、それまでのお目当ては3種。その内の2種は凡そ見当が付いているため、見つけることは出来るでしょう。そして、残るは1種。これは、結果的に見ることが出来ませんでした。また、次の機会にとっておくこととします。
そんなこんなの林道歩き。冬と違ってまだまだ緑豊かな景色と合わせて、ある意味新鮮な時間でした。林道から分かれて、いよいよ本格的な登山道に入れば、幟が立つ建物が見えてきます。その手前にあった階段を初めて登ってみると「白蛇神」が祀られていました。その社の背後にも見えるのが、このルートの名前にもなっている「不動の滝」。落差21m。下流の小さな滝を含めれば、3段の滝になっています。
その滝を巻いて登れば、しばらくは辛抱の道。針葉樹の中、急登と平坦路が交互に続く、展望のない山行が続きます。そんな林床でも冬の陽が届くように、今日も木漏れ日に包まれますが、体感温度が上がってしまいます。熱中症対策として、ベースの上にフルジップの半袖シャツを着用し、温度を逃がすようにしています。それでも、久しぶりの山行と合わせて、まだ残暑が厳しいためか、熱が体内に籠る感じとなりました。ただ、何度かルートを歩いているため、先を見越して歩けることと、ここでも足元の花探しが救いとなりました。
冬。登り尾ルートと合流すれば世界が変わる森は、まるで新緑のような瑞々しい姿を針葉樹越しに魅せ、足に活力を取り戻させます。お気に入りの八丁平へ続く道も同様、緑に溢れ、写真で切り取れば、新秋という事実が消え去りそうですが、吹いてくる風がそれを押し戻します。
いつもはここから山頂を目指すものの、今日はお目当ての花を求めて、三重県側のゆりわれルートを進みます。八丁平から続くトリカブトに案内され、谷間を覆う白い絨毯、ヤマハハコの群生地に到着。こんな景色があったとは、まだまだ自分の未熟さに気付かされます。
八丁平に戻り、三重県側を眺めながら昼休憩。あまりの気持ち良さに、このまま昼寝をしたくなった身体を無理やり起こしました。行く必要はなかったのですが、メンタルトレーニングとして山頂に向かいます。そして、タッチアンドゴーで山頂を後にし、登り尾ルートで下山。
花探しの山行は思った以上に楽しく、やっぱり、山はいい。
下山後は、秋の続きでいつもの…(笑)


陽の当らない場所で 独り立ち … オタカラコウ

名前のとおり ひっそりと … ハガクレツリフネソウ

いつもなら 通り過ごす花にも シャッターチャンス

何気ない花に ふっと足を止めるは 今日の気持ち

名前からしてシーズン … アキノキリンソウ

まだこれからと思われる … ミカエリソウ

不動の滝と競うように … イヌショウマ

休憩の理由を見つけました…(笑)

花数は少ないけど … イヌショウマ?

この時期も 魅力を感じた道

林床を照らす 苔の森にも ほっと一息

カケスの群れが 賑やかでした

この道が 八丁平の全てだと思う

三重県側の展望は どこまでも続く山並

ゆりわれルートの 道しるべとなった トリカブト

ホソバノヤマハハコとコラボ中

ブーケのようでした

美しい谷間の光景が 折り返し地点

花だけではない 秋の山行

この系統には 愛嬌を感じます

秋の収穫祭…食用かどうかは不明ですが

こんなに小さいとは … ヤマジノホトトギス

帰り道 反対側にも咲いていました … ハガクレツリフネソウ

知っていたけど 見るのは初めてかも … ツチグリ

9月下旬 秋はまだ始まったばかり…

すでに 秋が始まっている いつもの…

秋山を前に 山慣らし

9月14日 奈良県大台ヶ原
次第に濃くなるミルキードイラブウェイを駐車場に向かいます。

帰国した後、しばらくは整理などに追われ、また、賑わいを取り戻した北アなどへは、とても行こうと思う気分にはなれず、インドアな生活を続けた2023年の夏。9月に入り、自宅周辺ではようやく秋の気配を感じ始めた朝夕。まずは鈍った身体を動かそうと、散歩を再開。ただし、日中はまだまだ暑いので、虫の声を聞く夜…。
そんな暮らしの中、3連休明けの天候次第では、白山へテント泊山行を予定し、その足慣らしに、この暑さでも歩ける場所はと思えば、それは「大台ヶ原」一択。結局、予報では晴れマークが付かなかったため、山行は延期にするものの、足慣らしと言うより、山慣らしと言うことで、大台ヶ原へは向かいました。
ところが、予定をしていた14日も、次第に天候が怪しくなり、前日の予報では午後から雨。11時出発の予定を9時にする1つ目の変更。そして、前述のミルキードライブウェイは予定コースを半分にする2つ目の変更となりました。
ここ大台ヶ原熊野灘を望みながら、整備された登山道を歩くのが魅力のひとつ。そして、よくポスターで紹介されるのが、山から突き出た大岩の展望スポット「大蛇嵓」。今日は久しぶりにここへもと思っていましたが、ミルキーな世界は断崖も散策路も同じ展望になるため、次の機会にします。
着いた時の気温は18℃。下界の最高気温は、30℃を超すと言われる中、1,572mの駐車場はそれを忘れさせます。ただ、南の湿った空気感で、蒸してくるような風です。近年の大台ヶ原は、山を歩くことよりも、鳥見がメインとなっていますが、苔やコメツガ、ウラジロモミの樹林帯を歩く散策路。現代アートのようなトウヒの立ち枯れとミヤコザサのコラボなど、展望がない時にも楽しめる場所。今日は少し秋も探せればと思いながら、駐車場を後にします。
ビジターセンターの横から東大台右回りの登山道が始まります。歩き始めてすぐに、山頂「日出ヶ岳」と「尾鷲辻」の分岐点となり、尾鷲辻方面に向かいます。それは、正木峠付近から正木ヶ原間に整備された木道を下りではなく、上りで利用したいため。特に、湿りがちな階段は危険回避にも繋がります。
尾鷲辻へは所々石畳となった平坦な道。ここも滑る可能性があると思いながら歩くことが重要。そんな足元、潤いを帯びた多くの苔は、生き生きとした表情を魅せ、苔の森に隠れてしまいそうな茸がひっそりと佇んでいました。
昨年、日出ヶ岳直下の展望台では、熊に襲われる事故が発生するなど、大台ヶ原では多くの目撃情報がありました。検索したところ、話題に上っていなかったので、今年はまだ大丈夫かと思いながらも、人の訪れが少ないこんな天候では、鈴と熊除けスプレーは安心材料。途中、昨年まではなかった熊除けの鐘が何ヶ所か設置されており、訪ねる側にも心構えと準備が必要であると感じます。
これまでと変わって、尾鷲辻から正木峠までは上り調子。次第に汗ばんできます。曇っていても、気温が上昇しているように感じます。そこで、展望もないことから、日出ヶ岳へは向かわず、手前の分岐点から駐車場に戻ることにしました。今日、3つ目の変更。
シロヤシオが広がる正木峠からの下り、秋への準備を始めた葉を見れば、猛暑だった2023年の夏もそろそろ終わりが近付いてきたのかなと期待します。結局、2時間ほどの散策でしたが、自宅周辺の散歩とは明らかに異なる道の状態に、山の記憶を呼び起こせました。
下山後は、地元の和菓子店で購入したいつもの…(笑)


時間の概念を無くしそうな 苔の世界

小さい秋を見つけました

キンポウゲ科トリカブト属「カワチブシ」

薄日が射したのは ここまで 

森の奥にある 異世界

有為転変…正木ヶ原

竜? 獣? … 想像力が広がる正木ヶ原

これは これでの 大台ヶ原

1番と3番に該当しました

正木峠に向かう裏玄関口

歴史を感じ始めた 散策路

正木ヶ原方面を振り返ります

いつの日か 元の森を取り戻すのでしょうか

晴れていれば 雲の代わりに 熊野灘

ここでも熊の目撃情報はありました

たまには こんな景色も良いもんです

正木峠に向かって 最後の上り

本日の最高地点 … 正木峠

少しずつ 季節は 移ろいでいきます

山頂(日出ヶ岳)も 次の機会に…

今日 一番の秋でした…

帰り道 何気ない石畳に 要チェック

所々で 落下していました…ウラジロモミ

茸=秋 は 脳に刷り込まれています

いつものは 夏から秋への バトンタッチ (笑)

最後の山散歩は…高山湖

7月7日 Ehrwald, Tirol, Österreich:Seebebsee
車で国境を通過するのは、今日で最後と思いながら、駐車場に向かいます。

ドイツ入国39日目。いよいよ来週は本当の出国日。一昨日、Kroatienから戻りましたが、彼の休暇中に最後の山散歩を計画してもらい、オーストリアはチロル州MiemingerKette(ミーミング山脈)のCoburger Hütte(コーブルガー・ヒュッテ)1,920mに向かうこととしました。
小屋の近くには、Drachensee(ドラッヘン湖)、途中には高山湖のSeebensee(ゼーベン湖)があり、ドイツ最高峰 Zugspitze(ツークシュピッツェ山)2,962mも望めます。
オーストリアに入国するのは4回目。国境と言っても、日本で言う県境のようなものなので、気付けばオーストリアだと言うこともあります。起点となるEhrwald(エールヴァルト)へは約100km 1時間半ほど。混雑を避けるため、早朝に出発するのは、いつものことでした。途中、Zugspitzeが連なるヴェッターシュタイン山地や槍の穂先をそのまま成長させたような岩峰を車窓から望み、標高1,050m程に広がる目的の駐車場に到着。ここからEhrwalder Almbahn(ゴンドラ)を利用すれば、標高1,500m Ehrwalder Almまで上ることは出来ますが、今日は往復人力です。
まず目に引くのは、巨大な岩塊とも言えるZugspitze山塊。その頂上は東側にあるため、ここからは見えませんが、森の中、突如として現れたような山容は「塊」そのものです。「CG合成じゃないの?」と思える景色は、世界に多くあるのでしょう。
天使の梯子が掛けられた森の一本道をゆっくりと歩き始めます。大型車両が時々通る林道を歩くこと1時間。森を抜け、待望の視界が広がります。左側にZugspitze、前方から右側へは、Hole Munde(ホーエ・ムンデ)2,662mからSonnenspitze(ゾンネンシュピッツェ)2,416mまで続く岩稜線。標高が低いこともあって、雪は解け、険しい岩稜が朝陽の陰影でより一層際立って見えます。SuldenやGrindelwald、過去に行ったDolomitenとも異なる展望。そしてここから、息をのむ景色の連続です。
冬にはスキー場となる草原。今は高山植物が咲き、放牧された牛が寝そべっています。長閑な景色の向こうに広がる荒々しい世界。ここでも特別だと思える景色が日常風景になっています。
Ehrwalder Almを過ぎると道は大きく右へと弧を描き、再び、森へと入ります。これまで歩いた道がそうであるように、時々、案内表示は立っていますが、時間表示は殆どありません。ただ次々と変化する景色に、時間という概念は存在しません。幅の広い、よく整備された道を進みますが、これは自転車用で歩行者用は別にあると教えてくれました。車窓から見た「成長した槍の穂先」を正面に捉え、徐々に近付いていきます。森を抜けると、Seebenalm(ゼーベンアム)の建物が見えてきました。ここで、登山道と合流するため、登山者の数が一気に増えます。背後には美しいZugspitzeの姿。前方はSonnenspitzeの岩峰。右側は柔和な稜線を遠くに望み、左側は対照的とも言える岩壁。そしてそれらを覆う青空は、最後の山歩きに相応しい背景となって、写真に色を与えてくれます。
小さな滝が続く小川の横、少しだけ傾斜のついた岩のトラバース道を進んだ先、エメラルドグリーンのグラデーション。Seebensee(ゼーベン湖)1,657mに到着。歩き始めて3時間15分でした。
水面の向こう、Drachenkopf(ドラゴンズヘッド)2,303mを前衛に Grünstein(グリュンシュタイン)2,661mから Schartenkopf(シャルテンコプフ)2,332mの連なりは、この旅、唯一無二の景色であり、日帰りでこの景色が楽しめることにも、この地域の奥深さを感じます。時間的なこともあり、予定していたCoburger Hütteは取りやめ、ここをピークとしました。
往復6時間の山行。標高差は600mですが、それを感じさせない緩やかな登山道が続いていました。また、Ehrwalder Almに戻り、Seebenseeの辺りを見渡せば、歩いた以上の高度感と距離を感じます。
旅行も含め、天気予報を確認して計画していますが、これほど天候に恵まれたのは感謝しかありません。また、奇しくも今回の山行はドイツ、イタリア、スイス、オーストリアと分かれ、それぞれに個性のある、そしてまた、比較出来ない山行でした。ただ、どこにも共通していたのは「頂上を目指していないこと」。これは、今後の私達にとって、大切な課題です。また、彼曰く「次はいつ来るのか」の問いも、ひとつの課題です。
山行は最後でも、 まだまだ続くいつもの…(笑)


朝陽の森から スタートです

刻一刻と 迫る 岩稜線

前方から右後方まで このパノラマ

そして 左後方へは この展望

ゲレンデのある Grubigstein(グルービッヒシュタイン)2,230mとその後方 Gartner Wand(ガートナーワンド)2,377m

横たわる迫力は 共々… Zugspitze と ハイランド牛

ツイン 槍の穂先 … こんな光景が よくある世界

右下がり から 右上がり へと変化する地層

至るところにある 巨大な 蟻塚

公園のお散歩ですか? (笑)

小屋(Seebenalm)が 見えてきました

Seebenalm 標高1,575m のオアシスです

Seebenalm を振り返れば …

ここで 自転車道(右)から歩行者道(左)へ

景色に目を奪われ 唯一の核心部

徐々に見えてくる期待が 最高潮の瞬間

Grünstein(グリュンシュタイン)2,661m から Sonnenspitze(ゾンネンシュピッツェ)2,416m

「こんな景色は スイス だけじゃないんや」が 正直な感想 (笑)

少し歩いて…

今回の山旅4ケ国 共通項は「牛」でした

「モー 最高!」…シツレイシマシタ

Seebensee から 始まる 新しい 命

時間があれば あのベンチで…

日本で言う 涸沢 みたいな もんですね

帰り道…下の道は 往路の自転車道

「あそこまで 歩いたのか」は 帰りの弁… Ehrwalder Alm

Seebensee の 小川から Seebenbachfall(ゼーベンバッハ滝)

Ehrwalder Almbahn にあった 幟

帰り道 その1…中央の△が Sonnenspitze

帰り道 その2… 何とか撮影成功

これぞ ドイツのケーキ で いつもの…(笑)

夢叶う... Eigerとともに

6月28日~29日Grindelwald, Bern , Schweiz:Männlichen
天候に確信を持てないまま、1泊2日で隣国に向かいます。

6月28日
日本出国前、旅行の打ち合わせをする中で、候補に上がっていたスイス。友人の負担を考え、必ず行きたいとは言えない中で、友人が強く計画を進めてくれたのは、自分の顔に出ていたからかも知れません。しかし、計画を立てた週は、これまでと違って天候が不安定。その中でも、可能性のある2日間に賭けて、スイスはGrindelwaldに向かいました。
出発前、友人が利用したことのあるホテルに問い合わせをしましたが、要領を得ない部分があり、またGrindelwaldの予約率は90%を超えていることから、ホテル代金が高額になる可能性が出て来ました。そこで、26日まで天候の様子を見る事とし、29日の午前中は晴れ予報となったことから、40kmほど離れるもののHofstettenにある宿を予約しました。
友人宅からGrindelwaldまでは400km、約5時間。途中、オーストリアを通過し、スイスへ入国します。スイスはEU加盟国でないため、国境のゲートはありましたが、往復ともにパスポートチェックはありませんでした。
今回、スイス旅行で友人に伝えた希望は、・Eiger(アイガー)を見たいこと ・M社で買い物をしたいことの2点。その希望に加えて、友人は軽登山の計画を組み入れようとしてくれます。
自宅を出発する時に降っていた雨もスイス国内では高曇り。今回も変化に富んだ岩稜を車窓から眺め、そして、数多くの湖と滝を見ることが出来ました。まずはホテルに向かい、荷物を預けます。玄関横のプランターにエーデルワイスが植わっていたのは、さすがスイスです。
Grindelwald到着は12時。中心部の駐車場は満車のため、私達を降ろした友人は別の駐車場へと向かいました。ここに着く前、反対側の窓から初めて見たEiger 3,970m。そして、車を降りた場所からもその切り立った岩壁が視界を釘付けにします。
Grindelwald駅前からDorfstrasse (ドルフ通り)へ。バス乗り場を通り過ぎると正面にはEIGER+と書かれた円形の建物とMättenberg(メッテンベルク)3,104m。そして、その建物の左奥に日本で見慣れたお店の看板が見えています。
このM社グリンデルヴァルト店との関わりは10年前に遡ります。M社が主催し、大阪で開かれた「グリンデルヴァルトのゆうべ」。村長や観光局長のお話やチーズ、ワインの試飲。また、抽選会では4っ星ホテルの宿泊券が当たりましたが、到底行くことが出来ず、今回同伴している友人夫婦が利用しました。そして翌年の抽選会、特等(航空券付の別荘利用券)まであと5人に2人が残りましたが、惜しくも落選。他にも、グリンデルヴァルトのグッズをもらったり、会長直々にEiger登攀やこのお店の話を伺いました。そして今、その入口に立てたと思うと感慨深いものがあります。まず、目に入ったのは、元ミッテレギ小屋の扉とただ1枚しか残っていないという会長のEiger北壁登攀写真。Eigerを見た時と同様に、Grindelwaldに来たことを実感しました。購入するのは日本でも各地で販売しているご当地Tシャツ等の限定品。すでに、友人から頂いたTシャツは持っているものの、自分で購入したものは別物です。(ポイントを使用し、円安効果の恩恵を受けました)
友人も合流し、ドルフ通りを教会まで散策。その後は、車で1,228m(Grindelwaldは1,034m)にある駐車場へ移動し、Wetterhorn(ヴェッターホルン)3,692m、Klein Schreckhorn(クライネス シュレックホルン)3,494m の岩峰を見上げました。ここからもEigerは望めますが、北壁だけは雲に隠れて見えません。
夕食後、Brienzersee(ブリエンツ湖)の畔から見た景色や部屋のテラスから眺めた夕陽に染まる峰々は、Hofstettenに宿を取ったことで得られたもの。Grindelwaldだけでないスイスを感じられた初日でした。
昼食後、併設しているケーキ屋でいつもの…。


アルプス三大名花は なんちゃってコンプリートと言うことで…

紆余曲折の GrindelwaldとEiger

まずは 用事を済ませに行きます

来れたことが 未だに信じらない気持ちでした

限定品コーナー…反対側が レディース

自分1人では 来れなかったと思いながら … Eiger

上を目指すには 登山列車、ゴンドラ、人力…

旅行案内所のある建物

工事中の Dorfstrasse(ドルフ通り)を振り返ります

Wetterhorn(ヴェターホルン)3,701m はまだ頂を現しません

Glecksteinhütte SAC(グレックスタイン小屋)2,316m

氷河 Ischmeer(イシュメアー)の横には 幾本もの滝

メインストリート Dorfstrasse から Wetterhorn

工事中のため 歩行者天国になっていました

明日の天気を信じて…

Wetterhorn 3,692m、Mättenberg 3,104m、Kleines Fiescherhorn (クライネス フィッシャーホルン)3,895m、Eiger 3,970m

日本とは形状が違う ラック式

Grindelwald-Grund (グリンデルヴァルト-グルント)にあるWengernalpbahn(ヴェンゲルンアルプ鉄道)の車庫

列車は ここ(Grindelwald-Grund 駅)で スイッチバック(方向転換)

Suldenと同じ色をした Schwarze Lütschine(シュヴァルツェリュッツィーネ)は ライン川から北海へ

Eiger-Nordwand(北壁)は 刻一刻と変化していました

車体に描かれたのは 三大名花 チャボリンドウ

Oberer Grindelwaldgletscher(アッパーグリンデルヴァルト氷河)も後退中…

ここから先は 規制区間です

明日は 今日より いい姿を 魅せてください

ちょっと寄り道…Lauterbrunnen(ラウターブルンネン)にある Staubbachfall(シュタウプバッハの滝)

友人お薦め 本場スイスで チーズフォンデュ

素敵な 湖畔ドライブでした…Brienzersee

Grindelwaldでは 味わえない 景色だと思います…Hotel Alpenrose beim Ballenberg AG

色で決めた スイスのいつもの…(笑)

6月29日
朝、目覚めると同時に窓の外を見ます。夕陽に照らされていたSchwarzhorn(シュヴァルツホルン)2,928mの峰々は、朝陽を浴びて白く輝いています。今日はゴンドラでMännlichen(メンリヘン)まで向かい、そこから近くの頂(Männlichen)を往復。その後は、Grindelwaldへ下山しますが、どのルートを選択するのかは、その場で判断しようということになっています。
昨日と同じGrindelwald-Grundにある駐車場を予約しており、そこからGrindelwald Terminal(ゴンドラ乗り場)までは、歩いて5分程でした。青空を背景に聳え立るEiger。しかし、北壁にその陽射しは届きません。また、昨日は隠れていたWetterhornの頂は、光の霞に包まれながら、その全貌を魅せています。
この駅から出るゴンドラは2本ですが、乗り換えや乗り継ぎを含め、数種類のチケットが販売され、登山者を含む多くの観光客で賑わっていました。購入まで10分ほど待った後、ゴンドラに乗車。空中散歩の始まりです。やがて、前方にはEiger の右隣にMönch(メンヒ)4,107m、そして、アルプス3大名峰Jungfrau(ユングフラウ)4,158m のオーバーラント三山が続きます。途中、HOLENSTEIN駅を経由したゴンドラは、高度を更に上げ、眼下には一面に広がるお花畑と草原。その向こう、Grindelwaldの集落は光のカーテンとなった薄雲に包まれ、WetterhornやMättenbergは蜃気楼のように浮かんで見えます。
20分ほど乗車し、Männlichen 2,222m に到着。駅前には巨大な牛 (笑) と遊戯施設。そして、素敵なホテル。その向こうには、Eigerから続く、3,500m超えの稜線。単純な表現をすれば「思っていたとおりのアルプスの光景」がそこにありました。もはや、浮き足立つ気持ちを抑えきれません。
まずは、駅名と同じ名前のMännlichen(メンリッヘン) 2,343mを目指します。展望台のある頂はここからも見えており、草原の中、弧を描きながら一本の道が続いています。Männlichen Royal Walk と彫られたベンチが所々に置かれており、やがて、眼下に集落が見えてきます。その時、彼がLauterbrunnenと教えてくれました。よく見ると、Staubbachfallも小さく見えています。
歩き始めて30分。全周囲にアルプス展望が広がるMännlichenに登頂。今旅、初めてのピークです。
さて、ここでこれからのルートについて、話し合います。選択肢は、Grindelwaldへ戻るLieselotteweg、
KLEINE SCHEIDEGG(クライネ・シャイデック)に向かうPanoramaweg。KLEINE SCHEIDEGGは観光地であり混雑している可能性があるものの、ここから見る限り、ルート上は人影が少ないことから、まずはPanoramawegに決定。もし、人が多ければ、途中で分かれるRomantikwegから下山することになりました。Männlichen駅に戻り、ここから先、Eiger、Mönch、Jungfrau、そして、前衛峰 Tschuggen(チュッゲン)2,520mに向かって歩きます。道はTschuggenの南側、緩やかに下っているのが遠くに見えますが、しばらくは3名峰を正面にした、正しく、パノラマルートを楽しみます。歩き始めて40分、KLEINE SCHEIDEGGのホテルが見えました。しかし、ここから道は大きくカーブし、深い谷間へと迂回します。こんなことが数回続いた40分後、もうひとつの登山ターミナル KLEINE SCHEIDEGG 2,061mに到着です。
ここは自分にとって特別な場所。と言うのも、10年以上も前から夢で何度も訪ねている駅。はっきりここだと断言出来ませんが、状況はほぼ一致。いつも、線路上から駅舎を見て終わるだけの短い記憶ですが、正に、夢が叶った瞬間です。そして、その背中には、Eiger。これほどまでの幸福感を、山で味わったことはありません。
時刻は13時。前日の予報では、そろそろ崩れる頃。まだ青空は広がっているものの、北壁だけは目まぐるしく変化しています。13時15分 名残りは尽きませんが、KLEINE SCHEIDEGGを後にします。と言っても、Grindelwaldはまだ遠く、ここから先もEigerと共に歩く道。今度はMönch、Jungfrauの代わりに、WetterhornとMättenbergが前方に続きます。Eiger Trail(アイガートレイル)と言われるルートは、300m程上の道。ただし、起点となるAlpiglen(アルピグレン)はこのルートでも通ります。Tarilは間近に北壁を感じられるでしょうが、Eigerを望む点から言えば、少し離れたこのルートが適しているように思いました。Eigerにかかる雲が増え、全体的にも雲が目立つようになってきました。そろそろ、天候の下り坂。しかし、まだ道は下り坂とならず、緩やかな道が続きます。歩き始めて約1時間でAlpiglen 1,615mに到着。この頃には、Wetterhornにも雲がかかり、Eigerにかかる雲は黒くなり始め、すでに雨か雪が降っているかもしれません。雨具は持っているものの、出来れば使いたくないため、歩く速度が少し速まります。やがて、遠くに雷鳴、肌に冷たい風。いよいよ夕立がそこまで近付いてきました。午後3時前、牧草地の向こうにGrindelwaldの集落が見え、終盤の下り坂が始まりました。ただし、道は曲がりくねり、近付きそうでそうはならない駐車場。いよいよ雨の気配を感じた時、Schwarze Lütschine沿いとなり、雨脚の勢いが増してきたまさにその時、駐車場に到着。その後、山は雲に包まれ、地面を叩きつける激しい雨。本当に間一髪です。もし、KLEINE SCHEIDEGGで「いつもの…」をしていたらと考えると到底笑ってはおれません。
16時 昼食と夕食を兼ねた食事を済ませ、17時にGrindelwaldを出発。雨に濡れた車窓からのEigerが見納めでした。午後10時半に帰宅のため、いつものはなし。代わりに、Warstener BREWERS GOLD で乾杯。


これ以上ない Grindelwaldの朝

一気に Eigergletscher 2,320m まで... Eiger Express

ターミナルで映されていた 案内表示

Männlichen までは 片道 CHF 32.-... Männlichenbahn

ゴンドラから Mönch と Tschuggen

ゴンドラを降りれば この展望 ... Männlichen

The Royal View を目指して 出発

Sulden とは 比較できない この展望

こうした 案内表示が所々にありました

王冠の展望台(The Royal View)が待つ Royal Walk

Männlichen 2,343m から 振り返ります

Wengen の下に Lauterbrunnen そして Drättehorn(ドレッテホルン) 2,793m

Jungfrau からの BernerAlps

まさに 気高き道 Royal Walk

KLEINE SCHEIDEGGに向けて... Panoramaweg

Männlichen から Wetterhorn、Mättenberg まで

距離はあっても 感覚としては これぐらいの大きさ

Alpenrose の赤が 緑に映えました

どこまでも歩きたくなる世界

登山鉄道にAiger Express そして Jungfraujoch Sphinx展望台

今日という日は 一生の思い出

標高 3,591m Top of Europe... Jungfraujoch Sphinx展望台

何気ないところに 素敵な景色…KLEINE SCHEIDEGG

Jungfraujoch からの 下り列車

ここで いつも目が覚めます(笑)

KLEINE SCHEIDEGG…様々な人が交差する山のターミナル

Grindelwald発 KLEINE SCHEIDEGG行き

自転車用のコースで Grindelwaldに戻ります

アイガー北壁の記録…6番目に 1969 Japanerroute とあります

午後2時 Eiger は その姿を隠そうとしています

登山列車が Eigerの下を 通り過ぎていきました

午後3時10分 2時間前の姿は もうありません

「雨よ もう少し 待ってて頂戴」と願いながら…

レストランのランチョンマットは 地図になっています

最後は再び 姿を現した Eiger…感謝の2日間でした

Suldenで過ごした 5日間

6月15日~19日 Sulden, Autonomous Province of Bolzano,Italien:Düsseldorfer Hütte
ようやく開いた小屋を目指して、まずは麓のホテルへと向かいます。

6月15日
ドイツに来たら、必ず行こうと誘われていたイタリア はSuldenにある小屋 Düsseldorfer Hütte(デュッセルドルファー ヒュッテ)。今年は雪が多く、小屋明けが1週間以上遅れると言うことで、小屋明けと同時に入山することになりました。
ただし、山麓の町へは友人宅から230km、4時間ほどかかるため、前泊とし、まずは麓の町を散策することにします。
ホテル用とヒュッテ用。溢れんばかりの荷物を詰め込んで出発。日本でも有名なノイシュヴァンシュタイン城を過ぎれば、オーストリアへ入国。欧州連合EU)加盟国のため、23年前にはあった国境のゲートは撤去されていました。やがて車窓に広がるアルプス。巨大な槍ヶ岳がそこかしこにあります(笑) 自宅を出発して3時間、イタリアへ入国。今回はモバイルWifiを契約しており、現在位置を確認できるため、旅の厚みが増します。それは、これまでに向かった観光地でも同様で、朝の散歩など、私達だけで行動しても迷うことはありません。
今日目指すSuldenは3,000m以上のアルプスに囲まれた標高1,850mほどの集落。本格的な山行からいくつもあるコースを楽しむ軽登山、そして、冬にはスキーを楽しめる白馬のような場所。
10時40分 ホテルに到着。これまでの旅先でもそうでしたが、部屋の準備が済んでいれば、荷物を置いてもよいことになっています。と言うことで、今回も荷物を置かせてもらい、身軽になって散策に出かけることとしました。
集落に沿って流れるTrafoier Bach(トラフォイアー川)と並行してハイキングコースがありました。この他にも、明日ゴンドラで向かうKanzelや反対側の山へ向かうルートもありました。
黄色い花が一面に咲く一本道。その向こう、針葉樹の山を超えて顔を覗かせる岩峰。そして、その山々の中腹より上は雪に覆われ、その一部は氷河であることを、友人の説明で知りました。
Trafoier Bachを渡る木橋。Schrötterhorn(シュレッテルホルン)3,388m の白き巨体が奥に横たわり、その前衛峰にはゴンドラの駅が見えています。川の色は日本では見かけない青みがかった灰色。アルプスの鉱物が混じっているのでしょうか。道端には、チョウノスケソウやワスレナグサとよく似た花からクレマチス・アルピナ、セイヨウキンバイソウなどの見かけない花。そして、アルプス三大名花のひとつと言われるアルペンローゼが咲いていました。標高が1,800mを超えているとは言え、これほどまでに花が咲いているのは、やはり気候が適していることなのでしょうか。
森の散歩道から望む小川、お花畑、集落、森、アルプス …。美しい光景が続きます。所々、この辺りに生息している動物か、木彫りの像が設置され、説明文も立てられていました。また、適当な間隔でベンチも設置され、ゆっくりとこの自然を楽しむ環境がここにはあります。
1時間半ほど歩いて集落へ。続いて、小さな教会(2ヶ所)を見学し、その教会とアルプスを見ながらテラス席でランチタイム。「ここで過ごすのも有り」と思わせる時間でした。
その後は集落を散策し、途中で明日泊まる小屋の奥さんと出逢います。これも何かの縁なのでしょう。その後、友人とは別れて教会を背景にした公園へ向かいます。Trafoier Bachの灰色とは違い、エメラルドグリーンの水面をたたえた小さな池にはアルプスの稜線が映り込み、教会とともに眺めれば、一枚の水彩画が完成されます。
夕方、友人の車でドライブに出かけ、今見ているアルプスの反対側へと向かいました。夕食時間の都合上、標高2,200m付近で戻りましたが、そのつづら折りの山岳ドライブウェイは圧倒的な迫力で、車窓一杯に広がるアルプスの岩肌は、気軽にアルプスと呼べない、寄り付きがたい存在であると感じました。
時間は戻って…散策だったけど、ランチの後にはいつもの…(笑)


その美しさは 遠くからでも… ノイシュバンシュタイン城

次々と車窓を過ぎていく アルプスの峰々

標高差1,500mは 上高地から見る穂高連峰と同じ

雪渓にはない光景…氷河の断面

自然と笑みがこぼれる景色

斜面によって 山の表情が 変化します

日本で見かけるには迷鳥のようですね…ウタツグミ

濁っているのではない 不思議な流れ

チングルマとチョウノスケソウのハイブリッド(笑)

行き交う人がほぼ居ないのは 日本と違うところ

花期は少し過ぎたかも…Alpenrose(アルペンローゼ)

Vorderes Schöneck(ヴォーダーレス・シェーネック)2,908m と Hinteres Schöneck(ヒンテレス・シェーネック) 3,128m

Plattenspitze(プラッテンシュピッツェ)3,422m と Hinterer Pederspitz(ヒンテラー・ペーダーシュピッツ)3,313m

樹間から見る景色に アルプスを実感

フウロソウの仲間でしょうか…?

黄色の雪洞が揺れています…トロリウス エウロパエウス

この青空に感謝

明日からお世話になる Düsseldorfer Hütte 2,721m

オダマキのように俯き加減で咲いていました…クレマチス・アルピナ ?

明日利用するゴンドラの終着駅が見えています

Church of Sulden … テラス席からの1枚

Suldenの集落を散策しても 花とアルプス

美しい光景が ここでは 日常風景

夕方のドライブ… Vordere Madatschspitze(フォルデレ・マダッチシュピッツェ)3,191m

午後8時50分… ホテルのバルコニーから

Erdbeer-Buttermilch イチゴとバターミルクのケーキをホイップ添えで いつもの…

6月16日
朝6時。バルコニーに立てば朝陽を受けて白く輝くアルプスが目に留まります。朝食までの時間、近くを散歩することにしました。昨日の青空とは違い、雲が低く垂れこめ、稜線を隠している山もあります。ただ、今日は小屋への移動日。明日、明後日が晴れればそれでOKと言う、少し余裕の気分です。
9時20分 今日から運転を始めたゴンドラに乗車。乗車時間は10分ほど。2,350m KANZELを目指して、450mを一気に稼ぎます。友人曰く、小屋へはここから森の中を沢沿いに歩く美しい道があるそうです。そして、この道が本当にお薦めだと言います。とは言っても、今日はゴンドラに乗車(笑)。昨日歩いた集落がぐんぐんと小さくなっていきます。そしてその反対に、見えていなかったアルプスの峰々は大きく、屏風のように立ちはだかります。Suldenの集落を境にして聳えるアルプスは、Ortler 3,905m、Monte Zebrù 3,735m、Königspitze 3,851m。… 勝手にOrtler三山と命名
9時45分 Düsseldorfer Hütteに向けて出発。丁度、乗鞍岳の畳平から肩の小屋に向かう道のようです。ただ、決定的に違うのは周囲の景色と眼下に広がるSuldenの集落と森。そしてもうひとつが高山植物。同じような感じの花は咲いていますが、個体としては全くの別物。一部、崩落した跡なのか、大きな岩を乗り越えるような箇所もありましたが、全体的には平坦な軽トラックが走れる幅の道を進みます。
歩き始めて約1時間。前方を、ずんぐりとした胴体を揺らしながら走り去る動物がいました。それが、事前に友人から聞いていたマーモットであることは、すぐに気付き、前を歩くバディに伝えましたが、岩穴に隠れてしまいました。ところが、ビギナーズラックか、岩穴から顔を覗かせ、その姿を私達に見せてくれました。TVなどで紹介される立ち姿までは無理でしたが、日本で見ることの出来ない動物だけに、幸先のいい出来事です。
小川に架かる橋のところで休憩。ここが麓からの道との合流点。水の色は集落と違い透明でした。歩き始めに見えていた青空は、雲が垂れ込め、Ortler三山の稜線も隠れています。しかし、こちら側のMadritschspitze 3,265mやHintere Schöntaufspitze 3,325m、Vertainspitze 3,545mはその岩稜線を私達に見せています。また、小屋も見えていますが、標高差約320m、まだまだ長いようです。ここからの道は、懐深く開かれた谷を、折り返しながら高度を上げていきます。そして、近付くにつれて姿を隠していた小屋が現れれば、最後の一本道。KANZELを出て2時間30分、標高2,721m Düsseldorfer Hütteに到着です。
小屋の周りは人も居らず静かでしたが、丁度、お昼時と言うこともあって、小屋の中は食事をする登山者で賑わっていました。まずは、チェックイン。顔馴染の5代目と共に久しぶりの再会を喜んでいた友人が全てをやってくれます。今日は今のところ私達1組だけ。部屋も4人部屋をあてがわれ、広々と使えます。また、心配されたコンセントも室内にあり、バッテリー充電の課題も解消です。
食事をした後は夕方まで休憩。その後、近くを散歩すると言うことで、結果的に、男性だけで出発。そして、ここで言葉の壁による行き違い。近くだと思った散歩は、往復1時間15分の半分をツボ足で、時には太もも近くまで嵌る山行となり、靴もパンツもビショビショの状態で帰ってくることになります。早速、冷えた身体を温かい飲み物で暖め、そのまま夕食へ。ここの小屋は、ボリュームたっぷりと言うことで、前菜+メイン+デザートで申し込んでいます。ベーコンの入った豆のスープ、豚肉のカツレツ、Quarkのクレープ。下界で食べるのと遜色がありません。
夕食を食べ終えた20時30分過ぎ、夕陽を照らして薄く染まる山肌と雲。明日は氷河を見に行く山行。この山域でピークを目指すと言うことは、岩登りをすることであり、とても私達の技術では辿り着けません。ただ歩くだけでも、十分にアルプスの空気を感じることは出来るでしょう。
ランチ後に皆でシェアしたいつものに加えて、夕食後にダブルいつもの…(笑)


Suldenで迎える初めての朝

MONTANA … 食事の美味しいホテルでした

ゴンドラは どこで乗っても ワクワクします

KANZEL からのパノラマ… 中央が Ortler(オルトラー)3,905m

区別しにくいですが No.12からNo.5 が 本日のルート

建物の向こうには Madritschspitze (マドリッチュシュピッツェ)3,265m(右) と Hintere Schöntaufspitze(ヒンテレシェーンタウフシュピッツェ)3,325m(左)

少しの時間でも 思い出がいっぱいの町

豆粒のような 目的地 Düsseldorfer Hütte

しばらくは こんな道が続きます

イワカガミ系だと思ったら イワカガミダマシ属なんだ…ソルダネラ・プシラ

こうした谷を 幾度も 曲がって行きます

これは見た通り サクラソウ属でした…プリムラ・ファリノサ

移り変わる その時間が 愛おしい

初 Marmota … 岩穴から 顔を覗かせてくれました(トリミング処理)

プルサティラ・アピフォリア…キンポウゲ科オキナグサ属

青空が見えない力を与えてくれます

振り返れば トラバース道が 斜面を横切っていました

昼食…小屋の名前が付いた パスタは チーズがたっぷり

パンケーキの一種 Kaiserschmarrn(カイザーシュマーレン)が 一品目のいつもの…

部屋は2段ベットが2つ置かれた 4人部屋

Tシャツのデザインにもなった Vertainspitze(ヴェルテンシュピッツェ)3,545m

さて 男性2人で 夕方のお散歩

ここまで来る つもりではなかったのですが…^^;

ましてや ツボ足で トレースを作るなんて… (泣)

帰り道…この後 霰混じりの雨と なります

夕食は 消費以上のカロリーでした

Quark…ヨーグルトのような フレッシュチーズ(日本では販売していません)で W いつもの達成 …

6月17日 
6時起床。すでに陽は昇っており、朝陽がOrtlerを照らしていました。Ortlerを正面とし、小屋の左側に聳えるVertainspitzeはまだ目覚めてはいませんが、その頭上に浮かぶ雲は、しっかりと朝の光を受け止めていました。やがてその力は高まり、頂や氷河や岩を浮き上がらせます。飽きることない時間は、場所を選びません。
8時から朝食。これまでに泊まったホテルの朝食は、数種類のパン、チーズ、ハム。そして、ジャムやヨーグルトに果物。これらをベースにして+αとなるわけですが、さすがに山小屋では基本ベースのみでした。今日の山行は氷河を見に行くことにあり、あわよくば、氷河を歩くことになっていますが、昨日の夕方の散歩からして、どれだけ近付けるかは雪面の状況に依るでしょう。いずれにしても、出発したら最後、戻ってくるまでは行動食のみのため、しっかりと朝食を摂ります。
9時15分小屋を出発。正面に見えるOrtler三山には、雲がたなびき、稜線は姿を隠しています。ただ、目指す方向の稜線ははっきと見え、陽射しもたっぷりとありました。今日はゲーターを履き、足元をしっかりとガードして、踏み抜きに対応しますが、まだ気温が上がっていないことと、昨日トレースを作っておいたことで、順調に歩みを進めます。最初の踏み抜き地帯を過ぎ、岩が露出している登りに差し掛かります。前方にはCroda di Cengels 3,375m から続く黒々とした岩峰が私達を見下ろすかの如く立ち上がり、ただ立ち尽くすことしか出来ないほど、人間のちっぽけさを感じます。
100mほど標高を上げたところが、部屋の窓から見えていた小高い丘。新しい景色が広がる場所。地形図で見ると、この辺りは広大な平地になっており、日本で言うところの「〇〇平」か「〇〇ヶ原」。今は大半を雪に覆われていますが、大きな岩が点在しています。
左側に切り立つ断崖絶壁の岩峰Croda di Cengels の稜線。右側の雪原に向こうには Vertainspitze から続く Hohe Angelusspitze 3,521m、Hochofenwand 3,431m、Kleine Angelus Spitze 3,318m。標高差としては500~700mですが、急峻な岩肌はそれ以上の高さを感じさせます。昨日の折り返し地点だったケルンを通過すると、しばらくは直線的な窪地を進みます。今日は雪面も落ち着き、嵌ることもありません。気温はさほどではないものの、照り返しの陽射しがきつく、袖を捲って体温調節をします。20分ほど進むと前方に岩が露出した斜面が見え、どうやら窪地の終了点のようです。最初は雪を避けて登ろうとしましたが、落石の危険性があるため、すぐに引き返し、これまで通りに雪面を登ります。途中、氷や岩に雪が付いている箇所もあり、スリップ→転倒→滑落 とならないよう注意をします。
登り切れば、今回2度目の新たな世界。まだ半分以上雪を被った翡翠色の池。その池を巻くようにして支尾根が伸び、Kleine Angelus Spitzeへと続きます。そして、新たに見えたのがSchafbergspitze 3,306mとその間に流れる氷河。休憩後、もう少し氷河に近付きます。尾根部分は岩が露出して歩きやすかったものの、最後の数10mは再び、雪に覆われていました。そして、この頃から、Ortler三山の雲も取れ、素晴らしい光景に新たな花を添えてくれます。
小屋を出発して2時間40分、3,300~500mのアルプスに囲まれた3,000m付近を本日のピークとします。ここから見る氷河は雪渓と変わらず、遠望でも、その断面を見る方が迫力を感じました。
帰りはOrtler三山を見ながらの山行。ただし、気温の上昇と共に雪が緩み、嵌る回数が増えたため、男性2人が先行して踏み固めます。何度も太もも近くまで埋まり、時には、抜け出すのに時間もかかりましたが、午後2時前、無事、小屋に到着。靴やパンツは再び、乾燥室送りとなりました(笑)
往復5時間程度の山行でしたが、すれ違ったのは1組2名。小屋は食事をする方で賑わっていましたから、この時期、ほとんどの方がこの小屋を目的として登られているようです。我々もスープパスタとアップルパイでエネルギーを補給し、休憩タイム。本日の夕食は、前菜が野菜たっぷりのバジル風味パスタ、メインが牛肉煮込み、デザートは洋酒の効いたチェリーの上にチョコが付いたアイスクリーム。と言うことで、今日もいつものは、ダブルでした(笑)


自分達の部屋は 2階 右端の窓

簡素でも パンのボリュームは たっぷりあります

Hohe Angelusspitze(ホーエ アンゲルシュピッツェ)3,521m

昨日のトレースを辿って…

アルプス三大名花の1つ チャボリンドウ かどうかは?

パノラマモードが大活躍…Vertainspitze から Ortler

昨日 トレースを作って 正解だったと感じながら 進みます

見たことのない世界に アルプスを実感

昨日の折り返し地点…ここからは 新しい世界

雪の壁と岩の壁 高低差は違いますが…

Croda di Cengels(クローダ ディ チェングレス)は 穂高を思い出させました

今 歩いてきた道を 振り返ります

次なる ステージへ 小さな高みを目指します

新たな景色は 前に進む 気持ちを高めました

友人曰く「まずは あのピークを 目指します」

世界を切り取れば そこには アルピニストの姿 (笑)

雪がなければ 何てことのない 道なんですが…

ヒュッテからは見えない奥深さ…Vertainspitze

今来た道と Ortler三山

ドイツ語で 氷河はGletscher(グレッチャー)と言います

ピークのつもりで ハイポーズ (^^)

素晴らしき景色を見ることが出来て 感謝!

往路とは違う復路の景色 この感覚に国境はありません

塩味とスープが 身体に沁みました…Nudelsuppe mit Wurst 7.70€

お昼のいつものは… Hausgemachter Apfelstredel(自家製 アプフェルシュトゥルーデル)

これで主食になる前菜です

牛肉の煮込み マッシュポテトと野菜添え

染まるかと期待した夕暮れの アルプス

ちょっと大人の雰囲気で 夜のいつもの…(笑)

6月18日
深夜ベットを抜けだして、窓から外を見上げると、星の瞬きが見えました。今回のもうひとつの目的、星空と小屋の撮影。外に出てみると、なんと外灯が点いており、まずは小屋から遠ざかります。そして、見上げたアルプスの星空。しかし、意外にも宇宙を感じるような一体感がありません。空が明るいのです…と言っても、星空撮影での話ですが…。時刻は午前1時前。しかし、北緯45°を超えるこの辺りは自分の住む町より10°以上緯度が高いため、今の時期、日没は遅く、日の出は早い。それだけではないのでしょうが、とにかく、天の川でさえはっきりとしない空でした。とは言え、何度か星空軌跡モードで撮影し、その待つ時間は貴重な思い出として過ごしていました。撮影途中、Ortler三山でヘッドライトの光芒を見かけます。ここにも、国境はないようでした。1時間近く撮影していると目も慣れてくるもので、天の川の中心部を撮影出来、予定終了。次は夜明け前に起きて、Ortler三山のタイムラプス撮影。
と言うことで、寝不足気味のSulden4日目は、雪の上ではないルートを歩くことになりました。そのルートは、ゴンドラの終着駅KANZELまで降り、その先にある谷合の道を歩く計画です。
9時20分 小屋から表に出ると、これまでで一番の青空。雲ひとつないOrtler三山です。若い時からこの小屋を訪ねている彼曰く、この空はワンシーズン中に限られたものだそうです。
さて、まずは2日前に登ってきた道を下ります。日本で言うと、岳沢ヒュッテに泊まって、大正池か明神池を見に行くみたいなものですね。当然、ヒュッテ周辺のルートも検討してくれたみたいですが、やはり、ツボ足問題を避けて通ることが出来なかったようです。それでも、初日とは違う空、軽い荷物、下り。それらの要素が足取りを軽くさせます。今日は日曜日と言うこともあって、多くの登山者とすれ違い、その度に「Hello」か「Morgen」。
曇っていた初日、閉じていたプルサティラ・アピフォリアは、陽を浴びるように上向きで咲いていました。この他にも、アルプスの強い陽射しを受けた花々は、短い今を精一杯生きているように思います。人も花も身体いっぱいに太陽を受け止めていました。
写真を撮るなどして、遅れ気味の私達。先行していた友人夫婦は一昨日と同じ場所で休憩をし、待ってくれています。その後も、慌てることなく、KANZELへの長いトラバース道を進み、11時20分到着。昨日から駅前のカフェは営業をしており、随分と賑やかになっていました。そのテラスで一息ついてから、出発。目的地は特に定めず、1時間程度歩いて適当な場所で折り返すといったもの。木柵を過ぎると、道は日本的な山道へとなり、緩やかな緑の斜面をアルプスに向かって歩き始めます。右側にはOrtler三山とその前衛峰が集落のある谷間から、一気に駆け上がっています。その標高差は最大で2,000m。この位置からだと下に450m、上に1,550m。そのスケールは視界に収まりきれません。更に、それはパノラマ的に横へも広がります。
「これが世界なんだなぁ」と実感しました。
足元に注意をしながらトラバース道を進むと、前方には新たな景色が広がり始め、やがて、Plattenspitze 3,422m、Hinterer Pederspitz 3,313m から Hintere Schöntaufspitze 3,325m へと続く岩稜パノラマとなりました。そこには、雪解け水が滝から川となって麓へと流れる様子やその水を受けて広がる森。また、足元では数多くの高山植物が小さな体を揺らしています。このままどこまでも歩いて行けそうなので、小川の畔にあった標識を折り返し地点としました。
「登らない山歩き」「目指さない山登り」そんな言葉を思い浮かべながら、KANZELへと戻ります。帰りは別のルートを利用しました。KANZELまで高度感と展望のトラバース道が続き、距離も時間も短縮されました。
テラスで軽い昼食をとり、小屋へ戻ります。朝よりは雲が湧いているものの、目安となるOrtler三山の稜線は隠れていません。ただ、天中から降り注ぐ陽射しはきつく、自然と口数が減っていきました。16時小屋に到着。そのまま、いつもの…(笑) そして、夕食のデザートを見た休憩中の登山者が、私達にもと追加注文した 本日2品目の いつもの…。


星降る Düsseldorfer Hütte は 撮りたかった1枚

緯度=北極星の高度…日本と比べると随分高い

天の川銀河は 逆に低くなります

安全登山を 願います

この景色も 落ち着いてきました

洗面所の窓は 時間と共に変化する 自然の額縁

最高の天気の下 出発です

この天気には 感謝しかないでしょう

昨日とは また違う姿…Hohe AngelusSpitze

友人夫妻は 過去に登っています… Ortler 3,905m

この山歩きで 十分満足な 私…

池フェチには たまらない光景です(笑)

この川沿いに 麓の集落へ向かうのは 次の機会?

アルプスとともに KANZELへ

標高差 2,000m その光景は 圧倒的な存在感

正に 氷の河

オキナグサ属の プルサチラ・ウェルナリス ? 

Ortler三山に Colaで乾杯

ここから先は 新しい世界

視界に広がる森が 印象的だった道

ジンチョウゲ属 ダフネ・ストリアタ 

振り返れば ここでも Ortler三山

Plattenspitze(プラッテンシュピッツェ)3,422m から続く岩稜を 手軽に 味わえる静かな ルート

何だろう この気持ちの良い 山散歩は…

本日の折り返し地点 … これを 新しい山のスタイルにしたい

でも この景色は 日本では 無理か…

ベルリンで買ったというTシャツが面白かったので ご一緒に…

ボリュームと栄養のあるスープは 山のお昼にピッタリです

小屋への帰り道 いつもの休憩場所で 友人を待ちます

お花畑の向こうに川 そして 美しい景色 … 三途の川とはこんな世界か

ラズベリーの酸味が 美味しい Linzer Torte(リンツァートルテ)

ジビエのお団子で まずは ほっこり

ヘレ肉は 手を止めさせません

今でも 隣席の登山者の表情を思い出す(笑) いつもの…

6月19日  
小屋で過ごす3度目の朝。今日も青空が出迎えてくれます。何度もこの地域を訪れている友人曰く、これほどの好天が続くのは珍しいそうです。過去には2週間滞在して、数日しか晴れなかった年もあるとのこと。本当に恵まれていたとしか言いようがありません。朝食で提供されるハムは毎日変わり、今日は赤みがかったベーコンのような見た目をした生ハムで、弾力のある味わい深いものでした。それも今日で終わり…と思っていたら、帰り道、お肉屋さんで買っており(スペック:チロル地方で作られるもので、豚のもも肉を塩漬けした後に燻製し、さらに熟成させて作る)、自宅の朝食時に楽しめました。
Ortlerの頂付近は雲に隠れているものの、その殆どは青空が広がる下、4日間過ごした小屋を後にします。帰り際、笑顔の素敵なスタッフ達へ「とても日本では過ごすことの出来なかった時間でした」と、友達から(笑)感謝の気持ちを伝えてもらいました。
小屋を出てすぐ、遥か下方を足早に去っていく動物を発見。出発前、小屋近くで友人が見たマーモットのようです。何をそんなに慌てているのか、あっという間に、斜面の向こう側へと消えていきました。
ゴンドラは12時20分~13時30分まで、昼休憩で運行しません。それまでには着かねばなりませんが、9時に出発をしているため、時間はたっぷりとあります。この広大な世界に、急ぐという言葉は勿体無いです。昨日、厳しい午後の陽射しを受けながら登った道も、今となっては思い出。もうしばらくは、もしかしたら2度と見ることがない景色を記憶に刻みながら下山します。小屋の5代目曰く、この小屋で日本人が来たのは、友達の奥さん以外初めてだと。そして友人は、週末の2日間は人がたくさん来ていたと話しますが、上高地八ヶ岳と比べれば、静かな山行を楽しめます。私達にとってこんなにも素晴らしい景色は、この辺りでは日常風景であり、観光地として集中することがないのでしょう。
どこからともなくカウベルの乾いた音が聞こえてきます。目を凝らせば、いつも休憩する橋の近くに牛の群れが散歩しています。登山道のすぐ脇、時には登山道を歩く牛達。横を通り過ぎても、「我関せず」と言ったような表情で、草をはんでいました。
今日もここで休憩。心地良い陽射しと石の冷たさ、川のせせらぎ、草の匂い、お花畑にアルプスの峰々。つい長居をしたくなる場所。ここを名付けるとしたら「天国に近い休憩所」。ただし、生きている者としては現実に戻らねばならず、重い腰をそろそろと上げます。
雲が沸き立つOrtler三山。夏山の景色。振り返れば、Hinteres SchöneckからVorderes Schöneckへと続く、巨大な岩稜線。その稜線を歩くことは出来ませんが、今なら、何となく想像できる自分が居ました。また、友人お薦めの沢沿いの道を追いかけ、森から集落へと抜けていきます … すべて妄想だけですが…。前方に Hintere Schöntaufspitze、Madritschspitzeが見えてくるとトラバース道も終わりが近付いてきます。Ortler三山を正面にして歩いてきた道はHintere SchöntaufspitzeからKönigspitzeへと続く雪のグラデーション。友人曰く「以前と比べれば、随分と氷河は小さくなった」は、この地域だけではない、現実のお話。
KANZELを目前にして、Ortleはその頂を現わし、私達にお別れを告げてくれたようです。10時45分 KANZELに到着。3日前、荷物以上に詰め込んだ期待は、すべてが良い思い出となり、今は荷物の重さだけを感じています。前回、ドイツを訪ねた際に歩いた南チロルのドロミテ山塊。その記憶は定かでなくなってきています。今回、カメラ、ネット等環境の変化に伴って得た情報は、較べものにならないほど膨大なものになりました。記憶という変化するものから情報という固定のものへとなったわけです。そして今、その情報をもとにして、このブログを作成し、次に残そうとしています。
明日(6/20)からはBerlin(ベルリン)へ3泊4日の旅行のため、毎食後に食べるチョコレートがいつもの…。


今朝も レストランの窓から いつもの景色

レストラン…扉の向こうは フロントとテーブル席

この景色は ここでお別れです

マーモット…結構 駆け足は 早い方です(トリミング処理)

KANZELへの道が 続いています

お世話になった小屋が 遠くになる寂しさ

名前は特定できませんが リンドウの仲間ですね

谷間を流れる小川が 良いんです

Königspitze(ケーニヒシュピッツェ)…日本だと 〇〇槍と付けるんだろうなぁ

牛も 橋を渡るようです…ブラウンスイス種

牛飼いの姿は ありませんでした

路上の牛糞には注意が必要です(笑)

4度目の橋も 今回で渡り納め

中央の大きな石が お決まりの休憩場所

カルタ・パルストゥリス(キンポウゲ科 リュウキンカ属) かな?

頼りになる ドイツの友人

振り返って 岩稜線…初日の驚きは落ち着きました

前方のOrtler三山…見飽きることはありません

今日は これから開くのでしょう…プルサティラ・アピフォリア

氷河の流れは 悠久の流れ

こんな道が 日本あればとは 無いものねだり

これに乘れば お終いです

山麓からHintere Schöntaufspitze を見上げれば すでに 遥かな頂

帰り道 Gomagoiの集落で買った Speck

車窓から スイスの山 Piz Mundin 3,146m

ドイツ最高峰 Zugspitze を オーストリア側から

14時16分 ドイツに入国

ドイツで初めての 山散歩

6月1日 Bad Kohlgrub, Bayern,Deutschland:Zeitberg
入国3日目 身体を慣らすため、50kmほど南下し、麓の集落に向かいます。

23年振りのドイツ。前回は南チロルの山を歩いたものの、ドイツ国内の山は歩かず、今回が初めてとなります。
友人の住むVilgertshofen(フィルゲルツホーフェン)は、Bayern(バイエルン州)の南部に位置する標高700m前後の集落で、ドナウ川の支流であり、アルプスを源とするレヒ川が近くを流れる、風光明媚な場所。そこから、登山口になるBad Kohlgrub(バート・コールグループ)へは40分ほどで到着。駐車地からしばらくは集落を進み、しばらくすると、すでに3日目で見慣れてきた広大な農地が緩やかな起伏を伴って広がり、その中に、赤茶色した屋根と白い壁の家々が朝陽に照らされていました。
20分程歩くと車道から地道(舗装されていない道)へとなり、やがて塔屋に十字架がある小さな建物が出迎えてくれます。入口上部に描かれた鹿の絵や建物内部に置かれていたものから、猟師に纏わるものなのかもしれません。また、個人の写真も飾られていたので、日本で言う安全登山を祈願する神社的なものではないのでしょうが、とにかく、祈りを捧げました。次第に道の傾斜がきつくなるものの、私たちを気遣ってゆっくりとした歩調で進むため、息も乱れず、また、爽やかな朝の風は、身体の火照りを抑えてくれます。
植生はドイツトウヒと思われる針葉樹が多く、道端の草花は日本で見かけないものもあります。また、姿を見せない鳥達の囀りは想像力を高めます。すでに友人宅の庭にて、日本でも見かけるシジュウカラ(但し、腹は黄色)やゴジュウカラ、アカゲラの他、日本で見る機会の稀な ノハラツグミ、クロウタドリ、ホシムクドリを見ており、この山行でも期待が膨らみます。
友人曰く、いくつもあるルートから、往路は直登、復路は緩やかルートを選んでいるということですが、その言葉どおり、急な登りが続きます。歩き始めて約1時間。時折、視界が広がり、樹々越しには麓の集落から続く緑の大地や天を衝く険しい岩峰、日本では見かけない稜線にため息が出ます。冬にはゲレンデになるのであろうリフト乗り場を過ぎると、再び、急登の始まり。基本、ゲレンデの登りはきつく、それはドイツでも同じでした。しかし、振り返ってみれば、樹間に切り取られた世界が、ここは日本でなく、ドイツであることを思い起こさせ、今自分が歩いていることに旅の実感が湧いてきます。時々、すれ違う登山者と交わす言葉は「Hello」。やっぱりここは、異国です。
樹林帯からゲレンデに戻ると、小屋(Hörnlehütte)も見えてきました。そして、更にその左側には、目的地と思わしき展望台も見えます。その時、小屋の陰から一羽の鳥がぴょんぴょんと飛び跳ねながら近付いてきました。雀よりひと回りほど大きく、頭頂部分はまるで五分刈りしたような赤茶色の鳥。図鑑を含め、見かけたことのない鳥だったため、早速、検索したところ、ズアオアトリだと判明しました。
さて、思わぬ歓迎を受けて少し足止めをされましたが、登山口から2時間弱、標高1,404m Zeitbergに登頂です。中央に十字架が立つ展望台からは、南にドイツ最高峰 Zugspitze(ツークシュピッツェ)を始めとしたWetterstein-Gebirge、Ammergauer Alpenの連なり、北側はBad Kohlgrubの集落を中心に、霞みながらもStaffelsee(シュタッフェル湖)が見え、森と湖の山麓風景が広がっていました。麓からはリフトで来ることが出来ます。但し、まだ運行前で、私達を含め、4名だけの静かな時間を過ごせました。ここから先にもまだまだ道は続いていますが、今日はここまで。そして、いつまでも眺めていたい景色であっても、時は止まらず、展望台を後にします。途中まで同じ道を利用し、ゲレンデ下のリフト乗り場で分かれ、林道のような道を下りました。途中、シュタッフェル湖が前方に広がる場面に放牧の牛たちや一面のお花畑を通り過ぎるなど、往路とはまた違った雰囲気の中、下山路を楽しみました。
休憩を含めて、4時間弱の山行。低山歩きに分類されるのでしょうが、景色は当然ながら、登山道や小屋など、その環境は日本と異なります。冬になればスノーシューハイクを楽しめるそうで、身近なところで、滋賀県のマキノ高原を思い起こさせたドイツ初の山歩きでした。
下山後は、遅目の昼御飯だったため、翌日にいつもの…(笑)


丁寧な案内表示なんでしょう…多分(笑)

この景色が 日常風景

このような建物は 各地で見かけました...Hubertuskapelle

朝陽が森を照らします

北側には 広大な土地が広がっています

日本で言うところの キレットですね

ドイツとオーストリアにまたがる Ammergauer Alpen

登ってきた感よりも 高度感がありました

キンポウゲの仲間だと思います…標高は1,300mほど

遠くに Goalらしき 建物

後で 鳴き声と姿が一致する…ズアオアトリ

鮮やかな色が ひと際目立っていました…サクラマンテマ? シレネ・ディオイカ?

さて どんな世界が 待っているのでしょうか

南側は Ammergauer Alpen

ドイツ最高峰 Zugspitze 2,962m

北側は バイエルン州Bad Kohlgrub のジオラマ

真っ赤な車両が 目立っていました

道は まだまだ 続きます

この青空に 感謝して 下山開始

気軽に登れる 素晴らしき低山

道幅が広いのは 車道だけでは ないようです(笑)

そろそろ 運行開始時刻となります

美しい下山路でした…シュタッフェル湖

集落でも よく見かける 十字架

放牧の牛との出逢いも 日常風景

ザッハトルテから 始める いつもの…(笑)