Satの 山と一期一会

春夏秋冬。山との出逢いはいつも一度限り。

クリンソウ咲く 伊賀の霊山

5月10日 三重県霊山
昨年1月以来の林道を抜け、駐車場に向かいます。

「伊賀の高尾山」と言ったイメージがある「霊山」。霊山と言う言葉からは、富士山、立山、白山の日本三霊山を初め、神仏などを祀っている神聖な山を思い浮かべます。この山は山名そのものが「霊山」であり、由来は今も山麓に建つ「霊山寺」。このお寺、元は山頂にあった巨大寺院で、現在は「霊山山頂遺跡」として三重県の史跡に指定されています。
最近は自宅周辺のハイキング程度に限られていたため、クリンソウの開花情報とともに、久しぶりの山行。とは言え、山頂までCT1時間、標高差400m程の低山トレッキング。登山口になる「霊山寺」までは自宅から1時間弱。昼前の登頂を予定しており、自宅出発は8時30分。日の出前に出発するホーム鈴鹿と違い、のんびりとしたものです。
駐車場には数台の車。ここものんびりとしています。ウグイスの囀りを聞きながら準備を始め、最初の石段を上ったところで、早速、クリンソウのお出迎え。白、ピンク、紫のグラーデーション。大好きなハクサンコザクラを想像させるその花は、同時に北沢峠の群生地を思い起こさせます。
霊山寺の境内に入ると、まず目に入るのは大きなイチョウの木。葉の上に実を結ぶオハツキイチョウは、県の天然記念物に指定されています。その横を通り抜け、石仏の並ぶ薄暗い参道から本来の登山道に合流した地点が1合目。この後、200m毎に標柱があります。
次第に傾斜がきつくなる階段を抜ければ「櫻地堂」。所々で広葉樹が頭上を照らしますが、基本、針葉樹林帯を進みます。今日の伊賀地域の最高気温は25℃と予想され、熱中症対策が必要かと思っていたところ、陽射しを覆う針葉樹に時折吹く風はまさに「薫風」。低山とは言え、市街地とは別世界の空気感です。
7合目辺りから広葉樹となり、8合目を過ぎれば、展望の開けるところもあります。藤が終わり、躑躅もそろそろ見納め。まだ新緑が映える中、花の季節は移ろいでいます。
稜線直下で数株のクリンソウ。冬、凍結していた箇所はぬかるんでおり、クリンソウの環境に適しているのでしょう。山頂と南峰をつなぐ縦走路と田代湖へ下る交差点。まずは山頂を目指します。9合目を過ぎたところから始まる階段は、慣れない方にとって、試練かも知れません。ただし、その後には、素晴らしい眺望が待つ、山頂遺跡に到着です。
伊賀盆地を始め、青山高原、霞みながらも近江富士比良山地と言った展望は、低山らしい身近なもの。「大人のジオラマ」と言える景色はいつまで見ていても飽きません。
少し早めの昼食後、本日の目的地「クリンソウの群生地」に向かいます。クリンソウは数段に花が重なることで、五重塔等の屋根にある「九輪」と似ていることが由来とされています。まだ開花の多くは1段目でしたが、陽射しを受けて輝くピンク色の花が風に揺れる様子は春らしく、生命力を感じるものでした。いつまでも、この自生地が続くことを願う限りです。
前回訪ねなかった大平池は人造池とは言え、豊かな森に囲まれた静かな場所。訪ねる人も居らず、野生動物の息遣いが聞こえてきそうです。そして、田代湖から源流体験ルートに入ってすぐ、20m程先に体長1m弱の四肢動物が走って行く姿を見送ります。茶毛であったものの、その姿は熊を連想させ、元来た道に戻り、別ルートで山頂方面へ向かうことにしました。
久しぶりの山行と言える今回。標高は関係なく、その一期一会の出逢いを楽しむことが出来ました。
下山後は、夕食前で控え目にいつもの…(笑)


輝く様は まるで 春の宝石箱

まずは 参拝から始まります

石仏に添えられた 九輪塔

おらが山とは一味違う 階段路

陽射しを遮る針葉樹は いい時もあります

頭上を照らすは 山椒の若葉

今は 登山者を見守る 六地堂

県指定の天然記念物 アセビ群生地

この時期ならでは 緑のグラデーション

登山道にも 数株咲いていました

レンゲツツジのブーケは 稜線の交差点

至るところで鳴いていました…キビタキ

大人のジオラマ…低山ならではの景色です

先週は向こう側から…青山高原

平日の登山は 静かですね

この株は まだ成長途中なのでしょう

轍の横に咲くのは 今年からだそうです

多くの陰影も また美しい

人造池とは思えません…大平池

北沢峠の群生地を思い出させます

ここだけ 紫の絨毯が 浮かび上がっていました

光のシャワーが 次の世代を育てます

いい出逢いと思い出に 感謝です

竹の紅葉も 春を代表する風物詩

今日は この気分で いつもの…(笑)